2021年5月1日(日本時間2日)米国ラスベガスのUFC APEXにて「UFC Fight Night: Reyes vs. Prochazka」が開催された。
メインイベントの前日計量では、ライトヘビー級戦(5分5R)のドミニク・レイエス(205.5lbs/93.21kg)vs.イリー・プロハースカ(204lbs/92.53kg)がともにパスしている。
世界王座に2度挑戦しているレイエスに元RIZIN王者のプロハースカが勝てば、UFC世界タイトル挑戦の可能性も高まるメインイベントだ(※試合前のプロハースカのコメントはこちら)。
UFC Fight Night: Reyes vs. Prochazka 速報
現地時間2021年5月1日(土)、日本時間2日(日)米国ネバダ州ラスベガス/UFC APEX
【メインイベント】
▼ライトヘビー級 5分5R○イリー・プロハースカ(チェコ)204lbs/92.53kg[2R 4分29秒 KO] ※バックエルボー×ドミニク・レイエス(米国)205.5lbs/93.21kg
当初、2月27日(同28日)のUFCのメインイベントで行われる予定だったこのカードは、新型コロナウィルス感染予防対策により延期。約2カ月を経て今回、実現となった。
RIZINでベルトを巻き、オクタゴンに参戦した28歳のプロハースカ(27勝3敗1分)は11連勝中。27勝のうち23勝がKO勝利で、2回は一本勝ちという強力なストライカーであり、フィニッシャーだ。
2020年7月のUFCデビュー戦では、当時ライトヘビー級7位につけていたオーズデミアを相手に2R KO勝利を収め、パフォーマンスボーナスを獲得している。
対するレイエスは“The Devastator(破壊者)”の異名を持つトップアスリート。幼少期からレスリングとアメリカンフットボールを始め、ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校時代にはディフェンシブバック(セイフティ)として1年からスタメン入り。キャプテンも務めている。
MMAは12勝2敗で、ジャレッド・キャノニア、ヴォルカン・オーズデミア、クリス・ワイドマンら名だたる強豪を打ち負かし、2020年2月にUFCライトヘビー級ベルトをかけてジョン・ジョーンズに挑戦も判定負け。同年9月には空位のライトヘビー級王座をヤン・ブラホビッチと争い、初のTKO負けを喫した。今回が再起戦となる。
UFC2戦目に挑むプロハースカは、会見で、オクタゴンデビューとなった前戦のオーズデミア戦の勝利について「初戦の1Rは危険だったと思っている。(ノーガードから)拳を上げ、正確な動きができるようにアップデートをしてきた」と語り、今回の王座挑戦経験もあるレイエスとの対戦に向け、「立ち技にこだわりがあるけれど、テイクダウンも狙う彼と組み合う準備も出来ている」と、自信を語っている。
世界王座に2度挑戦しているレイエスにプロハースカが勝てば、タイトル挑戦の可能性も高まるメインイベント。それぞれの強みはどこにあるのか。
身長193cmでリーチは196cmのレイエスに対し、プロハースカは身長193cmでレイエスと同じながら、リーチでは203cmと上回る。
サウスポー構えのレイエスは、バックステップをしながら、あるいはサイドステップで相手をかわしながら後ろ手の左ストレートでダウンを奪うなど、得意の左ストレートをカウンターで打つことに長けている。さらに近距離でのコンパクトな左アッパー、左ミドル、廻し蹴りなど多彩な攻撃を誇る。
強い腰は主にテイクダウンデフェンスに力を発揮するが、UFCデビュー戦のジェレミー・キンバル戦では、ケージ際で体を入れ替え、自らシングルレッグテイクダウン。バックから4の字に足を巻いてエルボーで削り、最後はリアネイキドチョークで極めるグラウンドワークも見せている。ストライカーのプロハースカを相手にテイクダウンを織り交ぜた攻撃も見せるか。
対するプロハースカは、前戦でノーガードのスタンドに危うさを見せたものの、その低い手の位置からの打撃は出どころが分かりにくく、頭を上下にしたレベルチェンジからの右ストレートは相手のレンジを越えて伸びてくる。そして基本はオーソドックス構えながら、オーズデミアをぐらつかせたスイッチからの左ハイ、そして詰めての跳びヒザ、ヒジ打ちも大きな武器だ。上下の動きが多く、スタミナ面に難があるが、オッズではランク5位のプロハースカがフェイバリットで優勢となっている。
果たして、プロハースカがUFC2連勝で一気に王座戦線にからむか。それともレイエスが元RIZIN王者をも破壊するか。
ムエタイのモンコンをイメージした弁髪姿のまま試合に臨むプロハースカ。続けてレイエスがオクタゴンイン。コールに両手を広げたプロハースカ。レイエスも両目を閉じて両手を広げる。
1R、タッチグローブ。オーソドックス構えのプロハースカにサウスポー構えのレイエス。ガードは低めのプロハースカ。レイエスは左ボディストレート、左ミドルを当てる。左をスウェイするプロハースカ。右を振って牽制。さらに右アッパーもレイエスはかわす。
レイエスの左ストレートがヒット! しかしプロハースカは右前蹴り! 詰めて四つから小外がけテイクダウンはレイエス! ハーフガードのプロハースカは背中を見せて立ち上がる。
左の蹴りはレイエス。プロハースカは右ストレートをヒット! さらに右ハイも。しかし下がりながら左はレイエス! もらいながらも詰めるプロハースカは詰めると右ストレート。
レイエスは左ミドルを返すが、金網に詰めるプロハースカは右アッパーも。左ストレート、ヒジを返すレイエス。連続攻撃にプロハースカは若干、疲労か。左ジャブ! 右フックをプロハースカが当ててブザー。レイエスは出血。
2R、レイエスの左ミドルを掴むプロハースカ。さらにいきなり長い左! 膠着から左ミドルを当てるレイエスは右のダブルも。そこをノーガードでかわすプロハースカ。レイエスの左に一瞬ヒザを着いたプロハースカだが、構わず左右で前に。
気合を入れ直すかのように「フー」と息をついてに前に出るプロハースカは右ヒジ! レイエスの左に動きが止まるプロハースカはクリンチ気味にダブルレッグへ。そこにギロチンを合わせるレイエス! 首を抜くプロハースカはパスガードからサイド、パウンド!
背中を見せて立ち上がるレイエスを追うプロハースカは左ハイ、さらに右ヒジ! さらに打ち下ろしの右ヒジはかわしたレイエスだが、プロハースカはそのまま回転して左回転バックヒジ! レイエスが前のめりにマットに崩れ落ち失神!
モンコン髪にした通り、ムエタイの神技を決め、タイトル挑戦権獲得を決定づける見事な2R KO勝ちを決めたプロハースカ。勝利コールに両手を広げ、合掌して一礼。「UFCを目指して、チャンピオンになることを目指してずっと練習してきた」と語るプロハースカは最後に「次はタイトルマッチ?」と問われると、「OK、準備は出来ている」と答えた(※9月に対戦予定のライトヘビー級王者ヤン・ブラホヴィッチと1位のグローバー・テイシェイラの勝者に挑戦とダナ・ホワイト代表は明言)。
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【コ・メインイベント】
▼フェザー級 5分3R○ギガ・チカゼ(ジョージア)146lbs/66.22kg[1R 1分03秒 TKO] ※左三日月蹴り×カブ・スワンソン(米国)145.5lbs/66.00kg
コ・メインイベントでは、フェザー級14位のギガ・チカゼ(ジョージア)と15位のカブ・スワンソン(米国)が対戦した。
ジョージア出身のチカゼは極真空手と沖縄剛柔流空手がバックボーン。空手時代には顔面パンチありと時間制限つきの寝技ありルールも経験したという。K-1 MAX出場を目指しゴールデングローリー、マイクス・ジム、ボスジム等を渡り歩き、It's Showtime、GLORYで活躍。GLORY世界フェザー級王者のセルゲイ・アダムチャックに勝利したこともある。
現在は元シュートボクセのハファエル・コルデイロのキングスMMAに所属し、MMA12勝2敗、現在UFC5連勝中で、今回が初のランカーとの対戦となる。
対するスワンソンは、MMA27勝11敗のベテラン。4連勝後に4連敗とリリース寸前になったが、2019年10月にクロン・グレイシーに判定勝ちで復活。2020年12月の前戦では、UFC復帰2戦目のダニエル・ピネダに2R 右クロスでKO勝ち。2013年のデニス・シバー戦以来、7年ぶりのフィニッシュ勝利を決めている。
1R、ともにオーソドックス構えから。リーチ差13cmでチカゼが上回る。右のカーフキックから入るチカゼ。さらに右の前蹴りを突いて、そのまま前足に着地させスイッチしたチカゼ。踏み込んで左ストレートを出して、今度はそのままオーソドックスに戻す、空手のように歩いて前足を入れ替える。
遠間のチカゼ。スワンソンの大きな前蹴りはかわすと、スワンソンの入りに左ジャブ。なおも金網まで詰めるスワンソンは右を振るが、すっと右にサークリングするチカゼ。
スワンソンの左フックをダックするチカゼ。続く左ローも間合いで外すと、スワンソンの右の入りにカウンターの右! さらに右前蹴りを突く。
オーソドックス構えから左ミドルを当てるチカゼ! 今度は足を後ろに引いた動きですぐに左ストレート! さらに左を今度は三日月蹴りでみぞおちにヒット!
スワンソンは身体がくの字になり、後ずさりしてダウン! レフェリーが止める動きはなく、チカゼはうずくまったスワンソンに前進しパウンドを連打し、レフェリーが間に入った。“ギガキック”を決めたチカゼは怒涛のUFC6連勝(MMA8連勝)。
試合後、チカゼは「自分のことを知らない人は今日で分かったと思う」と語ると、「最高の選手のひとりで、自分もファンな人がいるからその人の名前を言いたい、マックス・ホロウェイ、あなたと戦うことができたら大変光栄に思う。あなたはこの階級の最高の選手でナンバーワンコンテンダー、個人的に戦いたいと、とても思っているけれど、もしそれがかなわなければあなたと前回対戦したカルヴィン・ケイターでもいい。まず彼に勝利をしてということでもいい。ホロウェイと戦いたい」と語った。バックステージでの公式インタビューのコメントは以下の通りだ。
◆チカゼ「スペシャルなキックさ。トップ10の誰かとやるのがいいと思う」
「最高の勝利を決められて、美しいKOを決められて嬉しいけど、でもこの人のことが大好きなんだ。最後の数回のパンチは必要なかったと思う。あのキックの直後に止められていたら良かったのに。でも、レフェリーが止めない限り、俺は行くしかない。彼はレジェンドだ。レジェンドの1人を倒せて最高の気分だよ。もっと打ち合いになるかと思っていた。チャンスを見つけたからいった。スペシャルなキックさ。他のファイターがじっくりと見ることになるだろうね。最高の気分だよ。ようやく人生で満足できることが起きた。目指すべきところに一歩近づけたと思っている。ゆっくり行くつもりだ。それについてはとても満足している。今回のような相手を1分で仕留めたら、次の相手はきっとビッグネームだ。こういう試合をしてもっとファンを増やしたいし、その上で自分に相応しいと思うものを手に入れたい。必死に頑張ってきた。自分のハードワークを信じている。カブとの試合を終えた今は、トップ10の誰かとやるのがいいと思う」
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【メインカード】
▼ライトヘビー級 5分3R△イオン・クテラバ(モルドバ)206lbs/93.44kg[判定1-1] ※29-28, 28-29, 28-28△ダスティン・ジャコビー(モルドバ)205lbs/92.99kg
ライトヘビー級戦では、イオン・クテラバ(206lbs/93.44kg)とダスティン・ジャコビー(205lbs/92.99kg)が対戦。
マゴメド・アンカラエフに2連敗中のモルドバのクテラバは計量後のフェイスオフで、UFC2連勝中の元GLORY戦士のジャコビーに対し、いきなり首根っこを掴んで激高しており、いただけない乱闘劇を繰り広げている。
1R、ともにオーソドックス構え。右ローはジャコビー! クテラバは左を振って前進しダブルレッグテイクダウン。立ち際にバックに回り崩すが、立ち上がるジャコビー。なおもバックに崩して投げるクテラバは背後からパウンド。立ち際を再三崩してパウンド。その都度ジャコビーは金網まで這って立つが、立ち際に右ヒジを連打するクテラバ!
背後から小外で足をかけて崩すクテラバ。背中につかれながらパウンドを受けるが、ようやく正対するジャコビーは離れてワンツーを当てる!
2R、ヒザ蹴りを当てるジャコビー! しかし詰めて金網まで押し込むクテラバ。離れ際にヒザ蹴りも。シングレレッグで軸足を払おうとするクテラバだが、足を抜き離れるジャコビー。左ジャブを突く。左フックを返すクテラバに右を差すジャコビーが放してスタンド勝負。クテラバのダブルレッグをスプロールし、右ロー。そこにクテラバも右を合わせる。
詰めて行くジャコビー。右を振るが、そこに右アッパーを狙うクテラバ。防御するジャコビーは左インロー、左ジャブ! クテラバのアゴが上がる。さらに右ストレートを当てる! クテラバの右は空を斬る。
3R、左を打つクテラバだが、ジャコビーは右ストレート。クテラバの大きな右ヒジをかわしすジャコビーは右跳びヒザへ。それをかわして掴んだクテラバ。しかし、体を入れ替えて押し込んだのはジャコビー。シングルレッグへに自ら入る。ここは切ったクテラバが右フック! ここはクリンチからダブルアンダーフックで詰めるジャコビーが最後にダブルレッグテイクダウン! クテラバに腰を着かせてブザー。
判定は1-1(29-28、28-29、28-28)ドローに。計量で険悪な掴み合いを繰り広げたクテラバだが、試合後は互いに健闘を称えあった。
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▼ミドル級 5分3R○ショーン・ストリックランド(米国)185.5lbs/84.14kg[判定3-0] ※30-27×2, 29-28×クリストフ・ヨトゥコ(ポーランド)185.5lbs/84.14kg
ミドル級15位のストリックランドと、ランク外のヨトッコ。
ストリックランドは、UFCでは7勝3敗後、バイク事故で2年以上のブランクも、2020年10月にミドル級階級を上げて復帰。ジャック・マーシュマン、さらに3連勝中だったブレンダン・アレンを2R KOで下した。
ヨトッコはUFC3連勝中。アレン・アメドフスキー、マーク・アンドレ・バリオルト、エリク・アンダースにいずれも判定勝ちしている。
1R、サウスポー構えのヨトッコは左ストレート。オーソドックス構えのストリックランドも左ジャブを打つ。左ミドルを当てるヨトッコ。すり足でじりじりと詰めるストリックランドはノーモーションの右を打つ。
右回りにヨトッコは下がりながら左を打つ。ブロックするストリックランドはアゴ下に置いた右をヒット! ヨトッコはバックヒジを狙う。右を当ててヨトッコの左をかわすストリックランド。ヨトッコの前手の右フックをかわして右ストレート。ヨトッコは左ミドルを返す。追うストリックランドはいきなりの右ストレート。さらに跳びヒザ蹴りから右を見せる。
2R、サウスポー構えから先にワンツーで前に出るヨトッコ。右前蹴りはストリックランド。ヨトッコは左から右を振るがさばく。左オーバーハンドをのどもとに当てるヨトッコ! 右を返すストリックランド。ヨトッコの後ろ蹴りを詰めて潰すと右を突く。
ストリックランドの右に頭が上がるヨトッコは後退し右回り。ヨトッコは左前蹴りも軸がブレる。しかし下がりながらも左ストレート! アゴを引いて受けるストリックランド。左右の蹴りを当てて右を突く。ヨトッコは鼻血。
3R、インターバル中も座らなかったストリックランド。ヨトッコのワンツーをさばいて左ローもそこに右ストレートはヨトッコ。追うストリックランドは手数を増やしたい。右跳びヒザ狙いのストリックランド。右前蹴りを腹に突く。さらに右ジャブ。追うストリックランド。下がりながら前手の右フックを狙うヨトッコだが避けるストリックランド。ならばと詰めて左ストレートを当てるヨトッコ。ストリックランドが前蹴りのフェイントから右を当てる。ヨトッコはニータップの動きも深追いせず。跳びヒザを打つストリックランド。さらに右ヒザをヒット!
判定は3-0(30-27×2, 29-28)で終始圧力をかけて、的確に有効打を当てたストリックランドが勝利。UFC4連勝をマークした。
◆ストリックランド「あんなふうにバックするヤツが相手だと難しい」「駆け上がっていくべき階段があるのは理解しているし、最後の勝利に勝るものはない。ただ、悲しいけど今回はノックアウトできなかった。あんなふうにバックするヤツが相手だと、コネクトするのが難しい。またグラインドに戻ってしまうんだ。俺は立ちっぱなしでそのままさ。追いかけるのは好きじゃない。相手が一度もテイクダウンを取ってこなかったことはびっくりした。それが彼のゲームプランだと思っていたからね。俺を蹴ろうともしなかった。何度かファンキーな攻撃を仕掛けてきたことは褒めてもいいかな。それで少しは心配もしたしな。おかしなスピンやバックエルボーを警戒していなければ、もっとポケットに入ってしまっていたと思う。UFCにいられて幸せだ。とにかく戦いたい。気にしないさ。誰とでも戦う。相手はUFCが知っている。やりたいやつがいれば、いざ勝負だ」
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▼バンタム級 5分3R○メラブ・ドバリシビリ(ジョージア)135.5lbs/61.46kg[判定3-0] ※29-28×2, 30-27×コーディ・ステーマン(米国)135.5lbs/61.46kg
黄金のバンタム級では、メラブ・ドバリシビリ(135.5lbs/61.46kg)vs.コーディ・ステーマン(135.5lbs/61.46kg)の好カードも実現。
テリオン・ウォーレ、ブラッド・カトナ、ケイシー・ケニー、グスタヴォ・ロペス、ジョン・ドッドソン相手に5連勝中のドバリシビリは強力なテイクダウンを武器に判定で競り勝つドミネーター。
対するステーマンはダロン・クルックシャン門下生の打撃も危険なレスラー。前戦ではジミー・リヴェラに判定負けも、ブライアン・ケレハー、アレハンドロ・ペレスに勝利し、ソン・ヤードンもテイクダウンを決めまくっての不可解ドローだった。
1R、ともにオーソドックス構え。先に圧力をかけるステーマンが左ハイ。ガードするドバリシビリも右フックを振る。蹴り足を掴んでテイクダウンはドバリシビリ。立ち上がり際にパンチをまとめる。離れるステーマン。
ステーマンのテイクダウン狙いに右アッパーを突くドバリシビリ。ステーマンはシングルレッグも切るドバリシビリ。右を振ってシングルレッグはドバリシビリも、ここも切ってスクランブルで立つステーマン。
ガードが低いステーマン。ドバリシビリのワンツーからのダブルレッグを切るステーマンは左! しかしドバリシビリもワンツーから右を当てる。さらに下がりながらワンツーも。追うステーマンに左ジャブからタックルへ。これをステーマンが足を飛ばしてがぶり首を押さえたところでブザー。目まぐるしい組み技の攻防。
2R、サウスポー構えで入るステーマン。右を突いて金網に詰めダブルレッグテイクダウン! 腰を抱えるステーマンに鉄槌を突くドバリシビリは立ち上がる。その際に左を振るステーマン。
右ストレートから組んで首を獲りがぶるドバリシビリ。立ち上がるステーマン。ドバリシビリは左インロー。圧力かけるとドバリシビリは左ハイ狙い。さらにダブルレッグテイクダウンはステーマン! そこにギロチンチョークはドバリシビリ! がっちりクローズドに入れるが首を抜くドバリシビリ。
ニータップはドバリシビリ。切るステーマン。その離れ際にボディ、ミドルキックと繋げるドバリシビリはダブルレッグをリフトしテイクダウン!! サイドを奪い抑え込もうとするがここも難なく立ち上がるステーマンが前へ。右を振り前に。しかしドバリシビリが首投げ! すぐに立ち際を首を抱えるが、上を取り返すステーマン。そこにドバリシビリはハーフネルソンに固める。
3R、拳を合わせた両者。詰めるステーマンにドバリシビリはサイドキック。ワンツーを振るがかわすステーマンも右を狙う。右を当てるドバリシビリ。ワンツーの右を当てる。ステーマンの打撃は遠くなる。右後ろ廻し蹴りが空振りのステーマン。ドバリシビリのワンツーの右がかすめる。
互いにシングルレッグも足を取るのはドバリシビリ。下がるステーマンに跳びヒザも。前足にシングルレッグのドバリシビリ。切るステーマン。左から右アッパーはドバリシビリ!
シングルレッグで足をかけようとするドバリシビリだが、捨て身気味になりステーマンが上に! 大きなパウンドを狙うが、下のドバリシビリが下から細かいパウンド、草刈からシングルレッグへ。ともに譲らずスタンドへ。金網までもつれてノンストップの攻防は終了のブザー。
判定は3-0(29-28×2, 30-27)でドバリシビリが勝利。5つのテイクダウンを奪ったドバリシビリ。すべて判定勝ちながら見ごたえあるMMAレスリングでUFC6連勝を飾ると、「ドミニク・クルーズでもほかの誰でも、来月でも上位ランカーと戦いたい」とアピールした。
◆ドバリシビリ「タイトルを争っていない元チャンピオンが4人とか5人もいる。そういう人たちが俺と戦えばいい」「とにかく忙しくいたい。今日は楽勝だった。試合を楽しんだよ。すごいヤツらとトレーニングしているし、俺のスタイルはレスリングとか打撃とか、それだけじゃなくて、混合なんだ。これはMMAだからな。相手は何が来るか全然分からないはず。俺のスタイルが他と違うのはそういうところだ。だから試合が楽になるし、相手には奇妙に映るだろうね。どうやって勝ち続けているのか分からないだろうから。
バンタム級のトップ15はかなりスタックしている。本当にすごい人たちがたくさんいる。俺はランキング12位だったけど、トップ10には入れるはずだ。正直、今はタイトルを争っていない元チャンピオンが4人とか5人もいる。そういう人たちが俺と戦えばいい。ドミニク・クルーズ、T.J.ディラショー、コーディ・ガーブラント、ジョゼ・アルド。俺は元王者とだって戦うよ。6連勝しているから、ビッグネームとやるべき。きっとでかいことになる。誰と戦おうとも構わない。UFCでの戦いを楽しんでいるんだ。それが幸せ。でも、俺には大きな試合がふさわしいとも思っている。UFCには感謝しているし、本当に幸せだ。UFCが俺に求めることがあれば準備はできている」
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【プレリム】
▼女子ストロー級 5分3R○ルアナ・ピニェーロ(ブラジル)115.5lbs/52.39kg[1R 4分16秒 反則] ※グラウンド状態での蹴り×ランダ・マルコス(カナダ)115lbs/52.16kg
1R、ともにオーソドックス構え。左右の4連打で金網まで詰めるマルコスだが、首投げ、払い腰で3度投げるピニェーロ! しかしマルコスの立ち上がりに抑え込みに固執せず。右ローを当てる。ピニェーロの開いた前手がアイポークに。中断。再開。
一気に前に出るマルコス。突っ込むもすぐに腰に乗せて投げるピニェーロ。パウンドを入れるが、マルコスがヒザをマットに着いたピニェーロのボディから、顔面にも反則の蹴り上げを入れて中断。ドクターチェックもピニェーロが続行不能で試合終了。マルコスの反則負けとなった。
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▼フェザー級 5分3R○T.J.ブラウン(米国)145.5lbs/66.00kg[判定2-1] ※27-30, 29-28×2×カイ・カマカ(米国)146lbs/66.22kg
MMA8勝3敗のカマカは、2020年8月にUFCデビューでトニー・ケリーに2R TKO勝ち。しかし11月の前戦ではジョナサン・ピアースにTKO負けしている。
MMA14勝8敗のブラウンはコンテンダーシリーズ2019から、2020年2月にUFC入り。ジョーダン・グリフィンにギロチンチョークで一本負け。8月にダニー・チェヴェスに判定負けで2連敗中。
1R、ともにオーソドックス構え。右カーフを打つブラウン。カマカも右ストレートでブラウンを後退させる。ワイドスタンスで左ジャブを突くブラウンに右カーフキックはカマカ! サウスポー構えにしてからオーソに戻すブラウン。そこにカマカは右ローを打つ。さらに右ハイ! 右ロー。スイッチして前足を変えるブラウンは左ハイもバランスを崩し下に。左足を手繰りデラヒーバ狙いでバックに潜るも離れるカマカ。
近距離で互いに打ち合いの中、ワンツーフックはカマカ。サウスポー構えから左の蹴り、左ボディを当てるブラウン。
2R、オーソから入りサウスポー構えとなるブラウンに右ハイを当てるカマカ! オーソに戻すブラウンは右ストレートをヒット! しかしカマカも右フックを返すと、ブラウンの右にカウンターの右! ブラウンがダウン! インサイドからブラウンの足を腰に乗せて寝かせるカマカだが、ブラウンは下からキムラクラッチを背中に回すが、腹下に戻したカマカ。離れる。
左ハイをガード上に打つブラウン。左ジャブのブラウンに、ワンツー左ハイと繋ぐ。レベルチェンジからダブルレッグテイクダウンはブラウン! ギロチンを狙うカマカだが、ブラウンも首を抜く。
3R、右を突きダブルレッグはブラウン。スプロールから切るカマカが上に! オモプラッタのブラウンを外すカマカだが、立ち上がることに成功。左ボディを突くブラウン。さらに左ボディもそこに押し込んだカマカがテイクダウン! 両足をまとめたカマカに背中を着いてしまうブラウン。左で差してスイッチを狙うブラウン! 力の入る攻防から立つブラウンは打ち合いに。
右ミドルを当てるカマカに退かないブラウンは、カマカの蹴り足を掴んでテイクダウン。なんとストレートフットロックに入るが、そこですぐに上を取るカマカ。ブラウンは下からキムラロックも、腕を戻したカマカが上でブザー。
大熱闘はスプリット判定2-1(27-30, 29-28×2)でブラウンが勝利した。
◆T.J.ブラウン「底辺から必死に戦ってここまで来た」「俺にとっては夢がかなった。思い続けて10年、底辺から必死に戦ってここまで来た。アーカンソーの小さい町から、ここまで。地元に勝利を持ち帰れることを誇りに思う。どうなるか分からなかった。唯一、確信していたのは自分が心の底から戦うってこと。いつもは後ろのポケットに仕込んでいるんだけど、今日の試合にそれを持ち込むべきかどうか分からなかった。それで試合に臨んで、勝利。
どこに行こうとも俺は危険だ。試合に出ればフィニッシュできる。オクタゴンのどこからでもかかっていけるんだ。相手もドッグだったと思う。今回の試合は全力で来ると思っていたし、俺は彼のことをとても尊敬している。ここからいい感じの勝利を何度か決めていきたい。きっと魅せてみせる。俺はトレーニングも好きだし、競争も好きだ。それ以上に愛してやまないのは息子が家に戻ってくること。家に帰りたいし、息子をギュッと抱きしめたい。一緒に勝利を分かち合いたいんだ」
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▼女子フライ級 5分3Rポリアナ・ボテーリョ(ブラジル)125.5lbs/56.93kgルアナ・カロリーナ(ブラジル)128.5lbs/58.29kg ※※カロリーナは体重超過。試合は予定通り行われるものの、対戦相手のボテーリョに報奨金の20%を支払う。
1R、オーソドックス構えのボテーリョが左ロー、右ミドル。サウスポー構えのカロリーナは右ハイをかわす。その入りに右前蹴りを当てるボテーリョ。さらに右前蹴りを腹に。左前蹴りから右を振るボテーリョは前に。
左で差してテイクダウンはボテーリョ。ハーフガードのカロリーナに左で枕に巻き、右で脇差し。肩で首にプレッシャーをかけてパスガード&マウントを奪う。さらに左脇を開けさせ三角絞めを狙いブザー。
2R、右の蹴りから前に出るカロリーナだが、両脇を差すのはボテーリョ。ボディロックから引き出すが戻すカロリーナ。ボテーリョは右ヒジ。体を入れ替え四つに組むカロリーナは左ヒザ。ボテーリョも体を入れ替え、ボディロックから回すが、体重超過のカロリーナはヘッドロック気味に投げて上に。亀になるカロリーナにペルヴィアンネックタイを狙う。
極めさせず立ち上がるボテーリョが両脇を差してボディロック。しかし押し込むのはカロリーナ。離れるボテーリョ。左ミドルをガード上に当て前に出るカロリーナ。ボテーリョは左で差して押し込み右を振ってブザー。
3R、右の長い蹴りを上下に突くカロリーナ。ボテーリョも右ハイ、ミドル。さらに打ち合いから右を当てるが、左で差してのテイクダウンの際で上を取ったのはカロリーナ。力強さを見せる。クローズドガードに入れるボテーリョはニーシールドに変えてキムラクラッチに。またいで外すカロリーナがバック取り引き込み。中腰になり落とそうとするボテーリョにボディトライアングルに足を組むカロリーナ。背後から右を振るカロリーナに、右でガードし、背後にパンチを突くボテーリョだが、左目尻から出血。カロリーナも右瞼をカットしている。ブザーに両者ともに手を挙げる。
判定は2-1(29-28×2, 28-29)に割れて、体重超過のカロリーナが勝利した。
◆カロリーナ「ドクターから二度と戦えないと言われたこともあった」「泣いてしまいそう。この数年は本当にしんどかった。UFCの初勝利後、頸椎を骨折してしまい、たくさんのお医者さんにもう二度と戦えないと言われた。昨年、アリアネ(リプスキ※ヒザ十字で一本負け)と戦うことができて、今回、スプロールができたおかげで勝者になれた。試合はあっという間だったけど、本当に嬉しかった。ヒザをケガしてまた後退してしまったけど、周りにいてくれた人たちに感謝したい。試合前に言ったように、ただ勝つだけを望んでいたわけじゃない。本気で戦いたかった。前回の試合があっという間で自分のスキルを見せる暇がなかったから」
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▼女子ストロー級 5分3R○ローマ・ルックブーンミー(タイ)116lbs/52.62kg[判定3-0] ※29-28×3×サム・ヒューズ(米国)115.5lbs/52.39kg
女子ストロー級。PANCRASEでも猛威を振るったMMAムエタイを階級上でも駆使するルックブーンミーは、UFC2勝1敗。2020年は2月にアンジェラ・ヒルに判定負けも、10月にジン・ユ・フレイに判定勝ちを収めている。
対するヒューズは、LFAからUFC入り。2020年12月の前戦では、テシア・トーレスの打撃で劣勢となり、1R終了時に左目負傷が判明し、トーレスにTKO負けとなっている。ルックブーンミーが連勝なるか、それともヒューズがオクタゴン初勝利を挙げるか。
1R、ともにオーソドックス構え。右ミドルから入るルックブンミー。ヒューズの右ローをかわして右前蹴りで距離を取る。左で差して組むヒューズに右を首に置き首相撲ヒザ蹴りはルックブンミー! さらにこかしでサイドポジションに! ケージウォークで足を戻すヒューズに体を離して立つルックブンミー。
再び両脇を差して組むヒューズ。しかし差されてルックブンミーが右ヒザを突いて回してテイクダウンはルックブンミー! 蹴り上げて立つヒューズ。
ルックブンミーは前に出して押し込む左前蹴り、ヒューズも右を返して詰めて左で差す。右足を踏むルックブンミー。その崩しで上になるのはまたもルックブンミー。
2R、右前蹴りのルックブンミーに組むヒューズ。首相撲から回して崩すルックブンミーだが、バックにつくヒューズ。片ヒザ着きから立ち上がるルックブンミーは正対し離れる。
右ストレート、右ローはルックブンミー。さらにスーパーマンパンチも、かわしてその打ち終わりに組むヒューズがダブルアンダーフック。そこに巧みにヒザを突き、右を首後ろに巻いてヒザを突くルックブンミー!
なおも左で差して肩で押し込むヒューズはシングルレッグに移行。右で小手に巻き、金網背に右足を外に出して凌ぐルックブンミー。左ヒジも。さらにスペースが空くと右ヒザ! 離れるヒューズに右ハイを当ててテイクダウンしたところでブザー。
3R、右前蹴りをかわすヒューズ。ルックブンミーの右ローに左ジャブを狙う。左フックをブロックするルックブンミーは組んで首相撲からヒザ。しかし左で脇を差すヒューズが金網まで押し込む。右で小手から首に巻き直し右ヒザをレバーに突くルックブンミーが突き放す。ワンツー、さらに右ヒジを狙うルックブンミー。かわすヒューズ。左ヒジを持ち、右は首後ろの首相撲で回すルックブンミー。これに慣れてきたかヒューズは倒れず左で差して前に。ここも突き放すルックブンミー。
右の相打ち。ヒューズは右のスーパーマンパンチ! ルックブンミーはヒューズのワンツーをかわして左を打ち込む。左で差して押し込むヒューズにヒザを突くルックブンミーだが金網背に。ヒューズが両脇を差してブザー。 判定は3-0(29-28×3)でルックブンミーが勝利。2連勝をマークし、UFC戦績を3勝1敗とした。
◆ルックブーンミー「オクタゴンから長く離れていたから、反応が鈍かった」「今回の試合はあまりサプライズが多くなかった。コーチが教えてくれたのとほとんど同じ感じだったけど、彼女に押し込まれたときは向こうがかなりしつこかった。全体としてはうまくパフォーマンスを発揮できたとは思っていない。オクタゴンから長く離れていたから、反応が鈍かったんだと思う。自信がなかったことも認めないといけない。私の中の自信に何があったのか分からない。次の試合は自信を持って臨まないと。試合になったらもっと自分に自身を持たないといけない。これまでは対戦相手の試合を見たくなかったけれど、これからはもっと見始めていくことが重要なんだろうと思う」
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▼ミドル級 5分3R○アンドレアス・マイカライディス(ギリシャ)185.5lbs/84.14kg[判定3-0] ※30-27×2, 29-28×K.B.ブラー(カナダ)186lbs/84.37kg
◆マイカライディス「俺のパワーを感じた途端に逃げていった」「最高だよ。初めてのときは実現できなかったけど、今日はできた。最高の気持ちだ。自分の人生を賭けて追い求めてきたのがUFCだからね。今日は勝利できたし、本当に嬉しい。俺のことを知ってくれている人なら、いつも面白い試合をすることは分かっている。ノックアウトできるように頑張ったけど、相手がタフだった。自分としても最高の一発を打てたのに、それを受けて生きながらえたんだ。仕留めるために全力を尽くしたけどできなかった。こっちのパンチに応えさせようとしたのに、俺のパワーを感じた途端に逃げていった。前回の敗戦後、みんなに実力を見せたかった。今回の勝利がほしくてたまらなかったくらいだ。次の試合は少しストレスが減るだろうから、俺としてはもっと良くなると思っている」
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▼フェザー級 5分3R○フェリペ・コラレス(米国)145.5lbs/66.00kg[判定3-0] ※29-28×3×ルーク・サンダース(米国)145.5lbs/66.00kg
◆コラレス「対戦相手に感謝しないと。彼がいたからこそ、2カ月も必死にトレーニングして頑張ることができた」「試合に負けそうになると、母のことを考える。勝たないといけないんだって思えるから。母を助けたいから勝たないといけない。気持ちで戦っていたし、勝利が必要だった。今日は俺が勝者だ。母にハグをして“大好きだよ。治療を支えるからね”と伝えたい。人生を変えてくれたUFCに感謝している。自分の試合を判定に持ち込むのは好きじゃない。フィニッシュやKOがいいけど、UFCはレベルが違う。ここにいる人たちは世界のトップだ。対戦相手に感謝しないと。彼がいたからこそ、2カ月も必死にトレーニングして頑張ることができた」
【試合中止】▼フェザー級 5分3Rガブリエル・ベニテス(メキシコ)150.5lbs/68.27kg※ジョナサン・ピアース(米国)146lbs/66.22kg※ベニテスが体重超過。試合は予定通り行われるものの、対戦相手のピアースに報奨金の30%を支払う。※ピアースが試合を拒否、中止に。