2021年4月29日(日本時間30日)米国ニュージャージー州アトランティックシティのオーシャンカジノリゾートで開催された「PFL 2021 #2」で、2つの「肩固め」のフィニッシュが話題となっている。
柔道技としても知られる肩固めは、抑え込みと極めの両方を兼ねた技で、失敗してもポジションを失うことなく上を取り続けることが可能なため、下になることが不利になるMMAでは海外でも「アームトライアングルチョーク」として多くの選手が極め技に使用している。
しかし、肩固めを絞めるには、一般的には相手のガードの外に出る方が極めやすいとされており、ハーフガードからの場合も、プレッシャーをかけて最終的にサイドポジションに移行して極める選手は少なくない。
上にいる選手が前腕を喉元に押し付けてきたところを、ボトムの選手がクローズドガードにして、腕を流して下から抱き寄せて肩固めを狙うシーンや、マウントポジションで上から極めることもある。しかし、クローズドガードの中から極めるとは……。
そんななか、この日のPFLでは、マルシン・ハムレット(ノルウェイ)が相手のクローズドガードの中から、そして、レイ・クーパー3世(米国)がハーフガードの中から、いずれも正面の高い位置から肩固めを極めている。
これらの足を越えない肩固めは、自身のサイズやリーチ、相手の対処など、様々な条件が必要そうだが、ハムレットが再三、ガードの中から狙っていたことは興味深い。
ライトヘビー級のハムレットは、UFC世界ミドル級7位のジャック・ハーマンソンと同門。この日は、ダナ・ホワイトコンテンダーシリーズで白星も挙げているダン・スポーン(米国)と対戦した。
▼ライトヘビー級 5分3R○マルシン・ハムレット(ノルウェイ)[2R 0分50秒 肩固め]×ダン・スポーン(米国)
1R、サウスポー構えのスポーンの左を掻い潜り、オーソのハムレットが右で差してテイクダウン。ガードの中に入れるスポーン。ハムレットはインサイドから細かいパウンド。スポーンの左脇が開くと肩固めの動きも見せる。
2R、開始早々にシングルレッグテイクダウンはハムレット。再びガードの中に入れるスポーン。スポーンの左脇が開いたところに頭を突っ込んでスポーンの左腕を流したハムレットが、左腕を首に巻き、背中ごしに右手とクラッチ。なんとクローズドガードの中から肩固めへ。下から1発、右手で腹を叩いたスポーンだが、上からの肩の圧力もあり、すぐに失神! 1Rで一本勝ちしたハムレットが5Pを獲得した。
川尻達也の“川ちゃん固め”のように、通常とは逆側の頸動脈を極めたか。解説陣も「信じられない、クローズドガードからアームトライアングルチョークを極めた!」とアナウンスするなど、と驚愕の一本勝ちを伝えている。
1Rにもクローズドガードの中から肩固めを狙っていたハムレット。これでMMA戦績を7勝1敗のとし、自身3つめの肩固めでの勝利をマークした。
▼ウェルター級 5分3R○レイ・クーパー3世(米国)[1R 1分23秒 肩固め]×ジェイソン・ポネ(フランス)
1R、オーソドックス構えのクーパーに、サウスポー構えのポネ。詰めるクーパーにポネはシングルレッグへ。がぶるクーパーを金網まで押し込んで左で差すポネ。
金網背に四つに組むクーパーはポネのヒザ蹴りを下から抱えるとそのままスラム! サイドを奪うとポネの左脇を開けて首を突っ込み肩固めへ。
右に出たいクーパーに、下のポネはクーパーの右足をハーフガードでからめるが、このハーフガードの中のままクーパーは絞め上げ、ポネがタップ!
勝利したクーパーはマゴメド・マゴメドカリモフとの対戦をアピールした。