どんどん前に出て一発一発が重い攻撃を繰り出すチャド(右)。海人は2Rから後退を余儀なくされた
4月27日(土)東京・後楽園ホールにて『SHOOT BOXING 2019 act.2』が開催された。今大会ではメインイベントでS-cup2018世界王者のエース・海人が世界的強豪チャド・コリンズを迎え撃つ大一番のほか、シュートボクシングと、キックボクシング&ムエタイプロモーションのレベルスによる4vs4対抗戦、MIOが新鋭のTOMOMIの挑戦を受ける試合などが行われた。
【前日計量・会見】
▼第11試合 66.0kg契約 エキスパートクラスルール 3分5R延長無制限R ※ヒジ打ちあり
●海人(TEAM F.O.D/S-cup2018世界王者、SB日本スーパーライト級王者)
[判定0-3]※48-50、48-49、48-50
〇チャド・コリンズ(オーストラリア/SITSONGPEENONG PHUKET/WKA豪州スーパーライト級王者、WBCムエタイ・クイーンズランド州スーパーライト級王者)
チャドはタイ在住のオーストラリア人選手でこれまでにセクサン、パコーン、サックモンコンといったムエタイのスター選手を次々と撃破している。今年2月の『KNOCK OUT』で初来日し、KNOCK OUTスーパーライト級王者・不可思から右ヒジでダウンを奪い、判定勝ちした。同階級で指折りの世界的強豪である。
不可思、健太、宮越慶二郎、鈴木博昭ら国内強豪を次々と撃破し、日本スーパーライト級最強の呼び声も高い海人とチャドの一戦はまさにスーパーファイト。激闘必至の戦いに注目が集まった。
1R、ローを蹴っていく海人をチャドは前蹴りで突き放す。海人が入ろうとするとヒザを上げてけん制するチャド。海人が左ボディを放つとチャドがすぐに同じ技を返したが、海人は縦ヒジを合わせに行く。チャドの右ストレートと右フックを被弾する場面もある海人だが、パンチからヒジとヒザのコンビネーションが決まる。オープンスコアはジャッジ三者とも10-10。
2Rはチャドが前へ出る。前蹴りから右のパンチを顔面とボディに放つチャド。さらに左ミドルを蹴る。海人は隙あらば縦ヒジを繰り出す。下がりながらもジャブを出す海人にチャドが右縦ヒジを打つ。オープンスコアは1Rに続き10-10。
3R、チャドは左右に構えをスイッチしながら前へ出ていく。海人もスイッチしつつ、ボディをパンチで攻めていく。このラウンドも下がらされる海人。コーナーに詰めたチャドは左ミドルから右の縦ヒジを振り下ろし、これで海人は左側頭部から流血。ドクターチェックを受ける。再開後、さらに前へ出るチャドがヒジとミドルを連打。海人もヒジで応戦する。オープンスコアはジャッジ三者とも10-9でチャドがリード。
4Rもチャドは左右に構えをスイッチし、左右のミドルをヒットさせていく。海人は右ストレートを当てていくが、チャドを完全に下がらせるには至らない。海人の入り際にミドルと前蹴りを合わせるチャドが距離をコントロール。海人は入れない展開が続く。
5R、チャドがワンツーと左右のボディ、そしてアッパーとヒジ、右ハイキックで海人をコーナーへくぎ付けにする。被弾する海人に場内は騒然。ようやく脱出した海人は左ボディ、右ストレート、ヒジでの反撃を試みるが、チャドはどんどん前へ出てきてヒジを打つ。ラスト1分、海人はパンチとヒジで勝負をかけたがチャドは首相撲に持ち込み、時間切れ。
判定は3-0でチャドの勝利。海人の連勝は「5」でストップ。S-cup65kg世界トーナメント2016王者ザカリア・ゾウガリー、ラジャダムナンスタジアム認定スーパーライト級王者チャムアトーン・ファイタームエタイに続き、世界の壁に突き当たる結果となった。
▼第10試合 SHOOTBOXING vs REBELS 対抗戦 大将戦 65.0kg契約 エキスパートクラスルール 3分3R延長無制限R
〇西岡蓮太(龍生塾/SB日本ライト級王者)
[判定3-0] ※30-29×3
●不可思(クロスポイント吉祥寺/KING OF KNOCK OUT 初代スーパーライト級王者)
シュートボクシングvsレベルス対抗戦の大将戦は、西岡と不可思の対決。
不可思は単身タイへ渡ってムエタイを学び、試合も経験して2008年8月に国内デビュー。地元・名古屋を中心に活動し、2012年からはレベルスに参戦。REBELS60kg級王座獲得を皮切りに次々とタイトルを獲得し、2018年12月には激闘のトーナメントを制して初代KNOCK OUTスーパーライト級王座に就いた。また、SBには過去2度参戦し、1勝1敗の戦績を残している。
今回はSBの若き王者(20歳)西岡と対戦するが、西岡は20歳になったばかりのSB関西期待の新星。昨年11月にはあの大月晴明からも勝利を収めている強敵だ。決して油断のならない相手と対戦する。
1R、左ローを蹴りながら前に出てくる不可思。西岡は回り込みながらジャブ、左ミドルで迎え撃つ。不可思の出鼻をパンチで捉える西岡だが、不可思は表情ひとつ変えずに前へ出て左右ローを蹴っていく。
2Rも同じ展開で西岡の左アッパー、右ストレートが入る。不可思は変わらずローを蹴りつつ、ワンツーを繰り出す。西岡の右ストレートがクリーンヒットし、不可思は首相撲からのヒザ蹴りを見せるが、西岡の首投げでシュートポイントを奪われた。さらに西岡は首相撲で崩して不可思にヒザを着かせる。
3R、西岡のワンツーをもらう不可思だが、ワンツーを返していく。首相撲に持ち込むと西岡に投げられてしまう不可思。打っては動いてを繰り返す西岡を捕まえられない展開が続く不可思は、残り1分でパンチ勝負を仕掛けるが西岡も譲らない。組んでしまう不可思は逆転の一撃を放つことができず試合終了。
判定3-0で西岡が勝利し、格上の不可思を破る大番狂わせを起こした。首投げのシュートポイント(1点)差のみの判定となったが、手数とヒット数でも西岡が上回っていた。
これにより、対抗戦の戦績は2勝2敗の痛み分けとなった。