Krush.1242021年4月23日(金)東京・後楽園ホール
▼ダブルメインイベント第2試合(第8試合)Krushウェルター級タイトルマッチ 3分3R延長1R×加藤虎於奈(TEAM TOP ZEROS/王者)判定0-3 ※27-30×2、28-29〇松岡 力(K-1ジム五反田チームキングス/挑戦者)※松岡が第9代王座に就く。加藤は初防衛に失敗。
加藤はレオナ・ペタスの弟で、2017年12月にKrushでプロデビュー。左右どちらにも構え、豊富な運動量で動き回る独特な戦い方で戦績は6勝(3KO)2敗。1月大会で山際和希を判定3-0(30-26×2、30-27)で破り、王座を奪取した。
松岡は空手からキックボクシングに転向し、新日本キックボクシング協会でプロデビュー。2017年に現在のK-1ジム五反田に移籍し、2018年1月からKrushに参戦した。2019年8月のK-1で近藤魁成にKO負けを喫して引退を口にしたが、2020年7月に復帰宣言。戦績は9勝(4KO)7敗2分。 両者は2020年11月に対戦したが、加藤が2度のダウンを奪った後、松岡が両手でつかんでのヒザ蹴りを見舞ってしまい、加藤が試合続行不可能となって加藤の反則勝ちとなった。
リング中央で向かい合うと、松岡は額をグリグリと加藤の額に押し当て、両者にらみ合い。
1R、互いに右カーフを蹴り、加藤は左右に構えを変えて左ミドルを強くヒット。互いに相手のパンチをかわす目の良さを見せるため、空振りが多い。 2R、ジャブ、前蹴りは当たるがなかなか梅雨いクリーンヒットを奪えない両者。パンチや蹴りが空振りとなる。松岡は組むような位置から右フックをコツコツと当てに行き、加藤のパンチにヒザを合わせ、距離を詰めると右フックからの左フックでダウンを奪う。左右フックからのアッパー、さらに連打で加藤を追い詰めた。加藤は右目をぱちぱちとして気にする。
3R、松岡は左右フックでガードを固めさせてアッパーをねじ込む。前に出る加藤だが、ジャブを当てるのは松岡。右クロスをヒットさせ、至近距離で左右フック。残り1分で加藤の右クロスがヒット。そこから打ち合いとなるが、両者とも疲れが見えて長くは続かない。加藤のバックハンドブローは不発。左右フックを放つ松岡に加藤が右をヒットさせるが、松岡も手を出し続ける。そして終了のゴング。
勝利を確信した松岡はガッツポーズ、加藤はガックリとうなだれた。判定はその通り、3-0で松岡が勝利。ベルトを巻いた松岡は満面の笑顔を浮かべ、「松岡力です。ちょっと虎於奈が強すぎて。僕のやってきた格闘技人生に花を添えることが出来ました。もう僕はトシで28歳なので、長くは出来ませんがあと1回はK-1で世界トーナメントをやってもらって。そこで僕の格闘技人生を終えたいのでその時はオファーしてください。あと、みんな遊んでください」とマイクでK-1出場をアピールした。
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▼ダブルメインイベント第1試合(第7試合)第5代Krush女子フライ級王座決定トーナメント決勝戦 3分3R延長1R×真優(月心会チーム侍)判定0-3 ※28-30×2、29-30〇壽美(NEXT LEVEL渋谷)※壽美が第5代王座に就く。
壽美はKHAOSとKrushで3連勝をあげて2019年8月にヨセフィン・ノットソンと対戦したが、判定で敗れた。12月のK-1初代女子フライ級王座決定トーナメントのリザーブマッチでは真優に判定勝ち、2020年6月のKrushでNA☆NAに判定勝ち。そして11月のK-1で女王KANAを破る大番狂わせを演じ、一躍脚光を浴びる存在に。今年1月のトーナメント準決勝では芳美に勝利して決勝へ駒を進めた。戦績は10勝(2KO)4敗。
真優は大阪出身の20歳。空手仕込みの蹴り技を武器に、高校生時代の2016年8月には「J-GIRLSフライ級ニューヒロイントーナメント」で優勝を飾った。K-1 JAPAN GROUPには2019年6月から参戦し、KANAと壽美に連敗を喫したが、2020年10月に小澤聡子に判定勝ちして連敗から脱出。1月のトーナメント準決勝ではNA☆NAに顔面前蹴りでKO勝ちした。 1R、サウスポーの壽美は真優のパンチを左ミドルで迎え撃つ。打ち合いになると真優が左右フック、右ストレートでヒットを奪う。壽美も前へ出ると左ストレート。動きの堅い壽美が打ってくるところへ真優が右ストレートを合わせに行く。
2R、壽美の左ボディが一発ヒットすると真優は途端にクリンチが増える。入り際に顔面前蹴りを軽く当てるも、壽美の連打に追い詰められてクリンチ。その展開が何度も続き、真優の急激なペースダウンが目立つラウンドに。
3R、声を発して気合いを入れて飛び出した真優。壽美はいきなり打ち合いを仕掛け、両者のパンチが交錯するが押していくのは馬力に優る壽美。ステップで下がる真優に壽美は左ストレートから入っていく。壽美は左ミドルからの左ストレート。真優もパンチで迎え撃つが、顔面を捉えるのは壽美だ。最後は真優もバックハンドブローを繰り出したが、展開を変えるまでには至らず。壽美が判定3-0で新王座に就いた。
壽美はマイクを持つと「今日は笑顔でいたかったんですがまた泣いちゃってごめんなさい。私は不器用で不器用な私をチャンピオンにしてくださったグレイシャアさん、ありがとうございました。先輩も本当に素敵な仲間ばかりで私の誇りです。スポンサーさんも友だちも家族もファンの皆さんも愛と優しさが溢れていて、ありがとうを伝えたい気持ちで頑張れました。チャンピオンになってまたスタートです、ここからがスタートなのでもっと頑張ります」と語った。
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▼第6試合 Krushスーパー・ライト級 3分3R延長1R〇小嶋瑠久(PURGE TOKYO)KO 2R 1分25秒 ※右アッパー×斉藤雄太(K-1ジム五反田チームキングス)
小嶋はフルコンタクト空手出身で、2017年のK-1甲子園準優勝。ウェルター級からスーパー・ライト級に転向すると堀井翼、松岡翔大を破り2連勝を飾ったが、2019年11月の山崎秀晃戦では初回KO負けを喫し、下克上を阻止された。2020年7月に中野滉太に敗れ、ジムを移籍してリングネームも瑠久から小嶋瑠久に改名しての再起戦に臨む。戦績は7勝(3KO)3敗。
斉藤は2014年9月からKrushに参戦し、海斗、堀井翼、泰斗らと対戦。一時は泥沼の5連敗を喫するが、2020年6月大会では元プロボクサーの大泉翔から延長Rで勝利をもぎ取り、12月大会ではスーパー・ライト級のホープと目されていた寺島輝から初回TKO勝ちをもぎ取った。普段はエステサロンを経営する“戦うエステ社長”戦績は5勝(4KO)7敗。
1R、細かいジャブ、ショートでの左右フック&アッパー、そして左ボディで攻める小嶋。鈴木は思い切り右フックを繰り出すが、小嶋のスピードについていけない様子。小嶋の左ボディがクリーンヒットし、後退する鈴木。小嶋は左ボディを狙い撃ちしつつも右ボディも打ち、鈴木はバックハンドブローと左ストレートで抵抗。しかし、パンチの回転力で上回る小嶋が次々とパンチを打ち込む。
2R、思い切り右を打つ鈴木だが、かわした小嶋はワンツー。鈴木のフックをかわしつつ、右フックを顔面、そして左右ボディを当てていく小嶋。スピードと手数で上回る。コーナーに詰まった鈴木には右フックを叩き込んでスタンディングダウンを奪った。
必死にパンチを繰り出す鈴木だが、ロープを背にしたところで小嶋の右アッパーを2発もらって崩れ落ち、小嶋のKO勝ち。
圧勝を収めた小嶋は「どうすか? 盛り上がっていますか? 自分的にはダメダメだったんですが、久しぶりの試合でKOできてホッとしてます。でもここでホッとしてないで上に行くので、チャンピオン獲りに行くのでこれからも応援よろしくお願いします」とマイクアピールした。
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▼第5試合 Krushウェルター級 3分3R延長1R×FUMIYA(ポゴナ・クラブジム)KO 1R 2分07秒 ※右ストレート〇幸輝(インタージム)
FUMIYAもK-1&Krushで活躍するファイターで、水泳でジュニアオリンピックに出場し、陸上でも関東大会出場を果たしたフィジカルエリート。2017年3月にKrushでプロデビュー。2020年11月の『スーパービッグバン』では当時のKrushウェルター級王者・山際和希をKOした。戦績は6勝(6KO)7敗。
幸輝は沖縄のTENKAICHIで活躍するキックボクサーで、昨年10月には新日本キックボクシング協会に参戦。リカルド・ブラボにTKO負けを喫している。Krushには今回が初参戦。
1R、両者ともパワフルなパンチと蹴り。FUMIYAの左ミドルにワンツーを合わせに行く幸輝。その右ストレートがもろに直撃し、FUMIYAは大きく仰け反る。ダメージのあるFUMIYAが左フックを放ったところへ幸輝が全体重を乗せた右ストレートを打ち抜いた。打った幸輝が勢いで前へ倒れるほどの一撃だった。
もんどり打って倒れるFUMIYA。カウントが開始されるがすぐにストップされ、幸輝の豪快KO勝ちとなった。マイクを持った幸輝は「自分初参戦でKOで勝ててよかったです。メインにウェルター級タイトルマッチがあるので自分もいずれ挑戦したいと思います」と、Krushのタイトルを目指すと語った。
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▼第4試合 Krushクルーザー級 3分3R延長1R〇植村真弥(WSRフェアテックス幕張)KO 1R 1分43秒 ※右アッパー×中平卓見(北眞舘)
1R、いつも通り左右フックを振り回して突進する植村が顔面とボディへフックを叩き込む。中平はヒザで対抗するが、ロープに追い込んだ植村が連打から右アッパーを突き上げると中平は座りこむようにしてダウン。
植村が襲い掛かり、ボディの連打から右アッパーを突き上げて2度目のダウンを追加。ヒザ蹴りで対抗する中平だったが、またも植村の右アッパーをもらって3度目のダウン。植村が速攻KO勝ちを飾った。
植村はマイクを持つと「初めまして植村です。今日はお父さん、お母さん、親戚がいっぱい来ているのでありがとうございます」と口下手なマイクパフォーマンスを行った。
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▼第3試合 Krushライト級 3分3R延長1R×迅也(北斗会館浅科道場)KO 1R 2分48秒 ※右フック〇昇也(士魂村上塾/第4代Bigbangスーパー・ライト級王者)
迅也はプレリミナリーファイトでK-1に2度出場経験があるサウスポー。2020年4月の『KHAOS』で川越亮彦に勝利し、3連敗を脱出すると11月のKrush-EXではメインで山下和希に判定勝ち。
昇也は昨年12月のBigbangで行われた王座決定戦を制してBigbangスーパーライト級王者となった。2020年3月の『村上祭』ではMA日本ウェルター級6位・浅井悠太と激しい打ち合いをして勝利を奪っている。サウスポーから多彩な蹴り技を繰り出し、左フックを強打するタイプ。9月の『KNOCK OUT』では鈴木千裕と打ち合いの末にTKO負け、11月の『スーパービッグバン』では稲石竜弥を相手にドロー防衛に成功した。
1R、サウスポー同士。昇矢の左フックがヒットした直後に迅也の右フックがヒット、一気にラッシュした迅也が右フックでダウンを奪う。
仕留めにかかる迅也だったが、ショートの距離で昇也の右フックをもらって逆にダウン。
これで左目を負傷したか、立ち上がった迅也の目は腫れている。そこへ昇也が右フックを連打し、豪快に倒して逆転KO勝ちを飾った。
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▼第2試合 Krushフェザー級 3分3R延長1R×久保一馬(FIGHT CLUB 428)判定0-2 ※29-30、29-29、28-30〇立基(K-1ジム目黒TEAM TIGER)
1R、立基は前足に内外からローを狙い撃ち。久保は思い切り右フックを振るが何度も空を切る。それでも前に出る久保が乱戦に持ち込んでいく。
2R、久保はパンチを連打しての右カーフキック。接近して荒々しく攻める久保に立基は狙っての右ストレート、ジャブを当てに行く。
3R、久保は顔面、ボディへの連打、ヒザ蹴りとガムシャラに前へ出て攻める。しかし、的確にヒットを奪うのは立基だ。クリーンヒットをもらって何度もアゴが跳ね上がる久保だが、下がらず手数を出し続ける。有効打の数で上回った立基が勝利した。
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▼第1試合 Krushライト級 3分3R延長1R〇里見柚己(team NOVA)判定3-0 ※30-28×3×堀井 翼(K-1ジム五反田チームキングス)
里見は13勝(7KO)9敗1分の戦績を持つ23歳。昨年8月の再起戦で、ベテランの山本真弘から得意の左ストレートでKO勝ちして名を上げた。スーパー・フェザー級からライト級に階級を上げて連敗を喫したが、2020年1月の金子大輝戦では得意の右のパンチを炸裂させてKO勝ち。7月の瓦田脩二戦で敗れ、今回はジムを移籍しての再起戦。
堀井は2019年3月にK-1 JAPAN GROUPに初参戦、1Rにダウンを奪われながらも3度のダウンを奪い返して1R2分46秒でKO勝ち。その試合のインパクトもさることながら、もっと話題を集めたのは試合前の個性的すぎる“メンチ切り”だった。堀井が「フラッシュバック」と命名したこのメンチ切りは、相手に背中を向けてエビ反りになって相手を睨みつけるというもの。しかし、6月の瑠久戦では喧嘩っ早さが仇となり、記者会見で乱闘騒ぎを起こして会見は中止に。試合では瑠久に判定で敗れ、その後も不可思と山崎秀晃にKO負け。2020年6月の金子大輝戦では相手のローブローにより反則勝ちとなったが、8月に決まっていた再戦は堀井の負傷欠場により中止となった。今回が10カ月ぶりの復帰戦。戦績は6勝(4KO)3敗3分。
1R、サウスポーの里美はグッと距離を詰めて右フック。堀井は右ミドルを三日月気味に蹴っていく。堀井はこの蹴りを多用。右フックからの左フック、左ボディ、さらに左ハイをかすめる里見。堀井は里見の左ボディに右ストレートを返す堀井。ここで堀井の右グローブがロープに引っかかるアクシデント。
2R、堀井は里見に右フックを直撃させるが、里見も左ストレート、右フック。堀井は前蹴りで止めてのバックハンドブロー。里見は上手く入り込むもパンチを当てるには至らない。
3R、堀井の左フックにすかさず右フックを打ち返す里見。堀井のヒザ蹴りにも右フックを合わせる。連打で前に出た里見の左で堀井は大きく仰け反る。顔面が血に染まる堀井に里見は左ハイ、左ストレートとヒット。打ち合いでも里見の右フックがヒットし、里見の流れで試合は終了。判定3-0で里見が勝利した。
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▼プレリミナリーファイト Krushスーパー・ライト級 3分3R〇齋藤紘也(WSRフェアテックス三ノ輪)判定3-0 ※30-29×2、30-28×マーク・バード・ジェームス(K-1ジム五反田チームキングス)
互いにカーフを蹴りつつ、斎藤は左ミドルから右ストレートにつなぎ、ジェームスはボディへつなげるコンビネーションを繰り出す。2Rはジェームスのジャブ、右ストレート、左ボディの被弾が増える斎藤だが、前へ出て右ストレートを打って行く。
3R、斎藤の左フックでジェームスがヒザを折り、右ストレートで前へ詰める斎藤。ジェームスもワンツーで反撃し、斎藤は被弾しても前へ出て攻めの姿勢を見せる。判定3-0で斎藤の勝利となった。