キックボクシング
レポート

【RISE】小林愛三が田渕涼香にリベンジ、工藤政英も田渕神太を退ける

2021/04/17 21:04
RISE1482021年4月17日(土)東京・後楽園ホール ▼メインイベント RISE QUEENフライ級(-52kg)タイトルマッチ 3分5R無制限延長R〇小林愛三(NEXT LEVEL渋谷/RISE QUEENフライ級暫定王者)判定3-0 ※50-49、49-48、49-47×田渕涼香(拳聖塾/第22回全日本少年少女空手道選手権大会 高校生女子軽量級優勝)※小林が正規王者となり初防衛に成功。  小林は2015年2月にプロデビューすると、2018年7月にシュートボクシングの試合でイリアーナ・ヴァレンティーノに敗れるまで13戦無敗を誇った。同年12月には伊藤紗弥を判定で下し、2019年4月にイリアーナと『KNOCK OUT』で再戦してリベンジに成功。さらに11月にはWPMF世界女子フライ級王座を奪取。2020年9月の「初代RISE QUEENフライ級(-52kg)王座決定トーナメント」1回戦ではKOKOZを3-0で破り決勝へ進出。12月には陣内まどかと決勝戦を戦う予定だったが陣内の負傷欠場により暫定王者に就いた。  しかし、試合前に暫定王者として認定されて臨んだその12月大会のワンマッチで初参戦の伏兵・田渕にダウンを奪われ判定負け。今回は正規王座を懸けたリベンジマッチに挑む。  田渕は2017年第22回全日本少年少女空手道選手権大会(極真会館関西総本部主催)高校生女子軽量級優勝の実績を持つ空手歴17年の20歳。昨年12月に陣内の欠場を受けて急遽RISE初参戦。階級上の小林からダウンを奪い判定勝利を収める番狂わせを起こした。今年2月には寺山日葵と対戦するも、寺山の牙城を崩せずプロ初黒星を喫した。  1R、序盤はローの蹴り合い。きびきびと動く田渕は右に左にと構えを変える。小林がローを蹴ってくると回り込む田渕。両者とも慎重な立ち上がりとなった。  2R、田渕の左ハイでバランスを崩した小林に田渕はパンチをまとめる。すぐに立て直す小林は田渕の前足を内外とローで狙い撃ち。小林もステップを使って動きながら右ストレート、左ミドル。田渕はなかなか距離を詰められないようだ。  3Rも前足へのローを多用する小林。田渕が前へ出てくるとバックステップで攻撃をかわす。自分からは左ミドル。田渕は左ローから右ストレート。小林はバックステップで田渕をかわし、左ミドルを蹴る。ここまで両者ヒット数は少な目。  4Rは小林が前へ出る。ジャブ、左ロー、左ストレート、左ミドルを出す。田渕も前蹴りとロー、ジャブを打つ。小林の右ミドルに突き刺すような前蹴りを返す田渕。右ローを蹴る田渕が右フック、小林はジャブから左ストレート。  5R、小林が前へ出てパンチを打つと田渕負けじと前へ出て打ち返す。田渕がヒザを蹴ると小林は首相撲でコカす。田渕の右ローから前へ出ての右フックがヒット。小林は右ミドル、組み付くとヒザ蹴り。小林は右ストレートをヒットさせ、組み付く田渕にヒザ蹴り。この展開が続く中で試合終了。  判定は3-0で小林の勝利に。小林は嬉し涙を流し、ベルトを腰に巻いた。マイクを持つと「私の応援で会場に来てくださった方、手を上げてください。私は皆さんのおかげで勝てました」と言うと、涙で言葉にならないがたくさんの人へ感謝を伝える。 「私は世界で通用する強い選手になります。これからもっとアグレッシブに戦う愛三が見たいと言ってもらって自慢できる選手になります」と言うと、再び涙声になって聞き取れなかったが「伝えたいことはSNSで伝えます」と現代っ子らしい言葉を残した。 [nextpage] ▼セミファイナル SuperFight! フェザー級(-57.5kg)3分3R延長1R〇工藤政英(新宿レフティージム/同級王者)判定3-0 ※30-29、30-28×2×田渕神太(拳聖塾/第2代アクセルバンタム級王者、 ABW初代バンタム級王者)  工藤は2018年6月に王者となったが、その後はワールドクラスの相手に3連敗。復活をかけて臨んだ2019年5月のタリック・トッツ戦でKO勝ちして連敗を脱出。7月にはスアキム・PKセンチャイムエタイジムをKO寸前まで追い詰めたタリソン・ゴメス・フェレイラをも下した。しかし、9月のONEでムエタイのトップファイターであるパンパヤック・ジットムアンノンに敗れ、2020年7月のRISEではNKBフェザー級王者・高橋亮と延長戦の末にドロー。なかなか波に乗れない状態が続いたが、今年1月にWBCムエタイ日本統一フェザー級王者・大田拓真(新興ムエタイジム)を判定3-0で破り、復活の狼煙をあげた。  田渕は空手とキックボクシングを並行して行う二刀流で、キックボクシングではACCELバンタム級王座とABWバンタム級王座を獲得。昨年12月にはACCELバンタム級王座の初防衛に成功すると、今年3月のHOOST CUPではOISHI GYMのルーキー・HΛLを判定で下している。シュートボクシングのリングにも上がるなど戦う場所や相手を選ばず、19勝(4KO)8敗2分の戦績を持つ。  1R、素早いコンビネーションで顔面とボディを打ち分ける田渕。至近距離でショートのパンチを交換している中で、偶発的なバッティングにより工藤は右目尻をカットして流血する。ドクターチェック。コンビネーションパンチを回転させる田渕に工藤は前へ出て右ロー、ワンツー、左ボディ。顔面を血に染めながら、工藤はパンチから右ロー。  2R、工藤はどんどん前へ出て右ストレート、左ボディ。田渕は回り込んで顔面とボディのコンビネーションを回転させるが、工藤の左ボディが快音を発して鮮やかに決まる。さらに左フック、右フックも。工藤の左フックに身体が泳ぐ田渕。右フックを打ち返す田渕だが、工藤はもらっても下がらず左右フックを打ち返す。田渕も前へ出て左右フックを打ち返すガッツを見せる。  3R、右ローの蹴り合いになると工藤が右フック、左ボディ、右ローとコンビネーション。工藤はボディにヒザも突き刺す。田渕は起死回生狙いの胴廻し回転蹴り。工藤は右ロー、左ボディと得意技で攻め込み、田渕も右フック、左ボディを返す。全く怯まず前へ出るガッツを見せる田渕。ガムシャラに打ち合う田渕に工藤も応える。工藤が飛びヒザ、田渕が胴廻し回転蹴り。意地の張り合いは最後まで続き、工藤が判定で田渕を振り切った。  工藤はマイクを持つと「またKOするって今回もできなかったですけれど、RISE王者はKO勝ちしてこそチャンピオンだと思うので申し訳ございません。初防衛戦が決まっているので今度こそKOします」と、またもKOを逃したことに不満そうだった。 [nextpage] ▼第6試合 スーパーライト級(-65kg) 3分3R延長1R×水落洋祐(エイワスポーツジム/同級8位、元WPMF世界ライト級暫定王者、元WPMF日本ライト級王者)KO 1R 1分21秒 ※右フック〇伊藤澄哉(戦ジム/同級5位)  水落は国内外の強豪と真っ向から打ち合い、数々の激闘を繰り広げてきた“名勝負製造機”。2019年9月のRISE初参戦時には北井智大に1RでKO負けを喫したが、2020年10月の横浜大会で松本芳道から3Rにダウンを奪い約1年半ぶりの勝利を手にした。  その水落に対するは“ムエタイ才女”伊藤紗弥の実兄・伊藤澄哉。伊藤は地下格闘技キックの大会『益荒男』や『飛車角』で活躍。17勝15KOという実績を引っ提げて2019年11月にRISEに参戦。ホープとして期待されるチームドラゴンの森香津眞からダウンを奪い判定勝利を収めると、昨年11月にはランカーとして長く活躍する川島史也を相手に、強烈な右フックでロープ外に吹っ飛ばすと追撃の連打でKO勝利を収めている。RISE3戦目にしてムエタイ世界王者との対戦となった。  1R、右カーフキックとボディへのヒザ蹴りでいきなりダメ―ジを与えた伊藤は極端に目線を下に落とし、いきなり右ストレートを打つ。そして右の連打での右フックでダウンを奪う。  立ち上がった水落を連打で圧倒し、身体が泳いだところに右フックを直撃。水落は後頭部をマットに打ち付けるほどのダウン。レフェリーがストップし、伊藤の豪快なKO勝ちとなった。  笑顔の伊藤はマイクを持つと「自分は本当は根が真面目でけっこう臆病なんですけれど試合が決まったらバチバチやりますよ。スーパーライト級は勢いがないと言われてますけれど、それは自分以外じゃないですか。倒せる選手は自分しかいないので、すぐにでもチャンピオンいけます」と、3連勝でタイトル挑戦をアピールした。 [nextpage] ▼第5試合 ミドル級(-70kg)3分3R延長1R〇宮城寛克(赤雲會/同級6位、TENKAICHI元ウェルター級&ミドル級王者)KO 1R 2分55秒 ※右フック×森 興二(FJ KICKASS/ZST第2代フェザー級王者)  今年開催が内定している賞金トーナメント『DEAD OR ALIVE』ミドル級の査定試合という意味合いが強い一戦。宮城は2020年10月にベイノアに敗れたがアグレッシブな試合を展開、森は初参戦の元MMAファイター。  1R、サウスポーの森に宮城が右ローを蹴ると森は大きくバランスを崩す。さらに右ミドルと右前蹴り、右ストレートでもボディを打つ。森は狙いすました身体ごと行くような左ストレートを打ち込むと、左フックでダウンを奪う。 その後もガードを突き破るような森の強烈な左をもらう宮城だったが、ほぼ同時に放った右フックで宮城がダウンを奪い返し、森のダメージを見てレフェリーがストップ。劇的な逆転KO勝ちとなった。  宮城はマイクを持つと「地方沖縄からということで沖縄からも応勢に来てくれてありがとうございます。絶対に勝ちたい執念で練習してきました。森選手、記者会見の時に生意気なこと言ってしまいすいません、感謝しています。これからもどんどん上がっていきたいのでよろしくお願いします」とアピールした。 [nextpage] ▼第4試合 -53.5kg 3分3R延長1R〇金子 梓(新宿レフティージム/RISEスーパーフライ級9位)判定2-0 ※30-29、29-29、29-28×鳩(=あつむ/TSKjapan/MuayThaiOpenスーパーバンタム級王者、WMC日本バンタム級王者)  金子は田丸辰と初代スーパーフライ級王座を争ったこともあるが、2019年2月からバンタム級に転向。しかし1勝4敗と思うような戦績が残せず今年1月からスーパーフライ級に戻した。前回は勝利を収めている。  鳩はムエタイで合計5本ものベルトを獲得するなど試合経験を積み、RISEには今回3度目の参戦。過去1敗1分で初勝利を目指す。  1R、金子はパワフルなジャブ、右ミドル、前へ出ながらの右ストレート。鳩の左フックには左ハイを合わせる。しかし、鳩の右カーフキックでサウスポーにスイッチ。前へ出て今度は左ストレート、右ローを蹴って鳩にロープを背負わせて優勢を印象付ける。  2R、鳩が左右フックを強打すれば金子もすかさず左フックを返す。左ストレートと連打で鳩に長くコーナーを背負わせる金子。鳩も左右フックを強打して右カーフを蹴るが、金子に押し込まれて印象は悪い。  3R、右ローと左ストレートで雨へ出る金子を左右フックで迎え撃つ鳩。手数を出して細かく当てていく金子に鳩はコーナーに詰まる。それでも左右フックを打ち返していくが、金子の左右フックとアッパーをもらって後退。しかしすぐに同じようにフックとアッパーを打ち返す。金子の攻撃は止まらず、鳩をコーナーやロープに釘付けに。  持ち前の豊富なスタミナと手数を活かして、金子が判定2-0で勝利した。 [nextpage] ▼第3試合 アトム級(-46kg)3分3R×平岡 琴(TRY HARD GYM/2014年全日本女子ウェイト制空手道選手権軽量級優勝)判定0-2 ※29-30、29-29、28-30〇小林愛理奈(FASCINATE FIGHT TEAM/第38回全日本空手道選手権大会2019軽量級優勝)  平岡は極真会館の『全日本女子ウェイト制空手道選手権』軽量級優勝の実績を持ち、多彩な蹴り技が持ち味の選手。昨年2月には3連勝でRISE QUEENアトム級王者・紅絹に挑み、ダウンの応酬の末に判定で敗れると、同年8月にerika(※名前の後にハートマーク)、10月にはsasoriに判定負けを喫しており現在泥沼の3連敗中。歯に衣着せぬ発言で話題を呼ぶ“怖いお姉さん”だ。  対する小林は強烈なパンチを武器に持つ20歳。平岡と同じくフルコンタクト空手出身で、主に関西圏の大会で多くのタイトルを獲得してきた。昨年10月に宮崎小雪にプロ初黒星を付けられるも、今年1月の『アトム級NEXT QUEENトーナメント』1回戦で奥脇奈々を得意のパンチでKO。決勝戦では宮崎小雪へのリベンジを狙うも判定負けを喫し、今回が仕切り直しの一戦となる。  この対戦は当初、昨年10月のQUEEN of QUEENSトーナメントのリザーブマッチとして予定されていたが、女神の欠場により平岡が本戦に出場となり実現しなかった一戦でもある。  1R、両者とも右カーフを蹴りつつ、小林は右ストレート、平岡は左ミドル蹴って右ストレートを打つ。小林の右ストレートから左フックの返しが鮮やかにヒットし、平岡が大きくグラつく。しかし平岡は持ち直して右フックを打つ。小林の左フックをもらうと一気に前進して打ち返すに行く気の強さを見せる平岡。  2R、パンチから右ミドルにつなぐ平岡に小林は飛び込んでの右ストレートから左ストレート。小林はパンチが1発で終わらない。平岡が左ミドルと左前蹴りでペースを掴み始めたと思いきや、前に出る小林が左フックでクリーンヒット奪う。平岡もすかさず打ち合うが、左フックに仰け反らされた。  3R、平岡は打ち合いに行くが小林の左フックをもらう。右から左への返しに対応できない平岡、それでも前へ出て打ち合いに行き、小林もこれに応える。平岡が左フックをヒットさせると、左右フックを連続で当てる小林。小林は胴廻し回転蹴りを放って場内を沸かせる。パンチの適格性で優る小林だが、平岡はもらっても負けじと打ち返す。  試合終了と同時に大きな拍手が沸き起こり、好試合は小林が判定2-0で制し、両者は笑顔で抱き合った。 [nextpage] ▼第2試合 ミニフライ級(-49kg)3分3R〇ERIKO(ファイティングラボ高田馬場)判定3-0 ※30-28×3×紗彩(ドージョー☆シャカリキ)  ERIKOは普段派遣OLで、ダイエット目的で3年前からキックボクシングを始めた。2019年9月の『RISE』でプロデビュー。パンチでの打ち合いを好む激しいファイトスタイルで4勝(2KO)2敗の戦績を持つアグレッシブスタイルの女子だ。2月のミネルヴァで真美に敗れており、再起戦となる。  紗彩はジュニアキック出身で、中学時代は柔道部にも所属して3年生時には県大会で3位に入賞。2020年3月、高校に進学し、12月の『JAPAN KICKBOXING INNOVATION』でプロデビュー。勝利を収めている。 1R、紗彩は左へ回り込みながらERIKOがパンチの距離に入ると前蹴り。自分からは左ミドルで攻撃する。ERIKOは前へ出るが、紗彩の蹴りと回り込みに捉えることができずほぼ一方的に蹴られて初回を終えた。  2Rも回り込み、前蹴り、ブロッキングでERIKOのパンチをディフェンスする紗彩だったが、時間が経過するにつれてERIKOに距離を詰められる場面が増え、顔面前蹴りをヒットさせるもロープやコーナーを背負って顔面とボディにパンチをもらう。  3R、一気に間合いを詰めるERIKO。足が止まった紗彩にERIKOが左右ストレートとボディを見舞い、右ストレートで紗彩のアゴが上がる場面も。残り30秒でラッシュをかけるERIKOに完全に捕まる紗彩。右ストレート、左フックをもらってしまい、勝敗は明らかに。ERIKOが判定勝利をもぎ取った。 [nextpage] ▼第1試合 フェザー級(-57.5kg)3分3R×杉山豪基(鹿浜TOP TEAM)判定0-2 ※29-30、29-29、28-30〇龍翔(BLACK☆Jr)  杉山は2020年9月にRISE初参戦、現在プロ負けなしの2連勝。龍翔は新空手で活躍するファイターでプロでは2勝1分と同じく負けなし。  両者ともカーフキックを蹴るがそれだけに頼らずパンチを繰り出していく。龍翔はパンチのコンビネーションから至近距離で飛び上がっての飛びヒザを見せる。2Rに龍翔はパンチでボディを攻めつつヒザ蹴りとバックキックも。杉山は右カーフを蹴りつつ左フック。カーフのダメージを感じさせながらも、右のパンチを当てていくのは龍翔。ジャブを突いて右ボディからの左ヒザで杉山のカーフキックを避け、判定勝ちした。
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