2021年4月25日(日)東京・後楽園ホール『KNOCK OUT 2021 vol.2』にて、元TENKAICHIバンタム級王者No-Ri-(=ノーリー/ワイルドシーサーコザ)と対戦する龍聖(TRY HARD GYM)のインタビューが主催者を通して届いた。
龍聖は小学1年生でキックボクシングを始め、HIROYAの指導を受けアマチュアで多くの経験を積んで2019年4月にプロデビュー(KO勝ち)。“HIROYAが送り込む刺客”として同年8月のREBELSに初参戦し、強打で2R53秒KO勝ち。その後もKOで連勝し、2020年12月のREBELSでは聖域統一フェザー級王者・光太郎ZLSに1Rわずか51秒でハイキックによるKO勝ち。6戦6勝全KO勝ちのパーフェクトレコードを更新していたが、前回3月大会で大脇武に判定勝ち。無敗記録は更新したものの初めてKOを逃してしまった。
僅か1カ月のスパンで試合に臨む龍聖にとってどんな意味、どんな目的があるのか?
自分自身を納得させたいという意味で早く試合がしたい
──今大会、ある程度出揃ったカードに「大丈夫か」とツイートしたと思ったら、急きょ2大会連続で出場が発表されました。あのツイートがきっかけだったんですか?
「宮田プロデューサーから、あのツイートの写真と一緒にオファーが来たみたいです」
──じゃあ「そんなに言うならオマエが出ろ」ということなんですかね(笑)。
「いや、『助けてくれ』ってことじゃないですか? もともと次は5月の大会に出る話があったし、ジムの選手のタイトルマッチもあったりしたので、正直タリいなって感じだったんですけど、まあ困ってるんだったら自分がやんなきゃなと思って決めました。試合後に言いたいこともあったし」
──やはりツイッターで前回戦った大脇武選手について、厳しい言葉も書かれていました。前回の試合を早く払拭したいという気持ちも?
「それは大きいですね。KOできなかったということじゃなくて、内容的にダメだったので、自分自身を取り戻したい、自分自身を納得させたいという意味で早く試合がしたいというのはありました。(ジムの代表代行の)HIROYAさんは『急いでやらなくてもいいんじゃない?』って感じだったんですけど、やることにしました」
──その大脇戦ですが、改めて振り返ると?
「何だかんだ今まで、あんなに逃げるヤツはいなかったので。来たところにカウンター合わせたりはしたんですけど、全部自分で組み立てないといけなかったので。あと、連続KOの記録があったので、『倒さなきゃいけない』と思って勝手に固くなって、自滅したなって感じですね」
──やはりデビューから全試合KOということが、プレッシャーになっていたということですか。
「うーん…プレッシャーを力に変えられるタイプだと思ってたんですけど、どこかでやっぱりそうなってたんですかね。『絶対に倒さなきゃ!』という思いはありました」
──試合中も、そのために焦って空回りしたところもあったんですか?
「焦るというより、『うわ、力んでんな!』とは思いました」
──試合後、周りからはどんな反応でしたか?
「終わった直後は『あれは無理だよ!』って言われました。『あんなに逃げられたら勝てないよ』って。ただ、トレーナーのノップ(ノッパデッソーン)からは『ただでさえ逃げられたらやりづらいのに、あんな追っかけ方をしてたら無理だろう』って言われて。プレッシャーのかけ方とかも勉強にはなりました」
──やはり相手には向かってきてほしい?
「いや、別に戦い方のスタイルとしてああいうのはあると思いますし、向かってくるかどうかが全てではないですけど…。正直、アイツはあの内容で終わってガッツポーズしてましたし、俺に勝つことは捨てて俺の連続KOを止められればよかったのかなとか思いましたけど…まあ、別にいいんじゃないですかね(笑)」
──あの試合を踏まえて、何か意識したり練習で変えたことはありますか?
「今、すげえ意識してることがあって。今まで『攻撃は最大の防御』だと思ってて、それはそうだとは思うんですけど、やっぱりディフェンスも課題だなと今は思うようになったんですよ。だんだん自分の強さも分かってきて、これからはああいう逃げる相手も増えてくると思うので、それをどう捕まえるかだなと。そのためのプレッシャーのかけ方とかもノップとすげえ一生懸命勉強してて、一個一個考えてやってることがだんだんモノになってきてるので、凄くいいかなとは思います。次はそういうことを出したいですね」
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『ONE PIECE』の白ひげ海賊団みたいな凄くいいチームになってきてる
──で、次の対戦相手は沖縄のNo-Ri-選手です。印象は?
「試合映像をいくつか見ました。トリッキーというか、回転技とかけっこうハチャメチャな感じかなと思います。予測不能なことをしてくるので、見えないとこからもらうと効いちゃうから警戒しますけど、そこだけ…ですかね。前の試合みたいに逃げる気もしなくもないので、そこがポイントかなと思ってます」
──次こそまたKOでという気持ちは強いですか?
「もう、そこに気負う必要もないし、こだわる必要もないので。それよりは、いい試合をしようという気持ちの方が強いですね。いい試合、自分が納得できる試合がしたいなと」
──出場の経緯も含めて、やはり目立つ勝ち方が期待される状況ではありますよね。
「そうですか? 出るだけでいいんじゃないですかね?(笑)まあでも、勝手にKOになるとは思うんですけどね。とにかくこの前の試合のムカつきをどうにかしたいし」
──前回の試合が終わって残った一番の気持ちは、「ムカつき」ですか。
「いや、試合後の言い訳というか、相手の周りも凄かったので。それを、山口代表が『いいねしました』とか『リツイートしました』とかっていうのが、ツイッターのタイムラインに出てくるんですよ。それですげえムカついて。『左があれば勝てた』とか言ってて、『勝てるわけねえだろ』と思って。だからムカついてますよ。もう『KNOCK OUT』のリングに上がらないでほしいです」
──あの試合を経て、試合に臨む気持ちに変化はありますか?
「この前の試合の前日計量は河部儀信代表と一緒に行ったんですけど、その時から『お前には早く3R判定の試合を経験してほしいんだ』ってずっと言われてて。ノップからも『龍聖はまだ3R戦ったことがない。早く経験してほしい』ってずっと言われてたんです。正直、『いいよ、そんなの。KOしたるわ!』と思ってたんですけど、この前の試合でそれがちょっと分かりましたね。ずっと全部KOでいける選手はいないし、試合後に宮田さんと話した時にもそういうことを言ってもらえて、いい経験だった、転機だったのかなと思いました」
──だとすると、今回の試合で一番のテーマは何ですか?
「“次”につながる試合がしたいということですね」
──“次”?
「それはまだ言えません。勝ったらリング上で言いたいと思ってるので、想像しといてください」
──ジムでも女子選手が新たに他団体のチャンピオンになったり、どんどん選手が出てきてますよね。
「そうなんです。TRY HARD GYMは凄い選手がいっぱいいますけど、はじめは自分が一番年下だったんですよね。でも気づいたら自分はプロの若い選手をまとめるような場面が多くなってきてたり、アマチュアでプロ志望の選手もたくさんいるので、自分の未来だけじゃなくて後輩たちの未来も背負ってるなと思うようになったんです。そういう意味でも絶対に負けられないですね」
──それだけいい選手が出てくるのはなぜでしょう?
「ノップとHIROYAさんの指導と、HIROYAさんがのびのびやらせてくれるところですかね。でも自由すぎないというか。『ONE PIECE』の白ひげ海賊団みたいな感じなんです。試合が終わった選手もすぐに、次に試合がある選手の調整を手伝ってて、凄くいいチームになってきてるなっていうのがありますね。彼らを引っ張って、自分も大舞台に行かなきゃなと思います。とりあえず次の試合で勝って、何を言うか楽しみにしててほしいです」
──ありがとうございました!