(C)PANCRASE
2021年4月4日 大阪・コレガスタジオにて、「PANCRASE大阪大会」がリングにて行われた。
メインでは、UFC参戦経験を持ち、第3代GRACHANバンタム級王者、初代HEATバンタム級王者に輝いた手塚基伸(シークレットベースドミネート・コブラ会)が約8年ぶりにPANCRASEマットに復帰した。
手塚は、UFC後、PANCRASEにカムバックし、2013年5月の中島太一戦(判定勝ち)まで主戦場にしていたが、2013年10月にVTJに出場すると、GRACHAN、HEATを経て、2019年6月から修斗に参戦。奇天烈に肩固めで一本勝ちを飾ると、11月に小野島恒太に判定勝ち、2020年1月に魚井フルスイングに負傷TKO勝ちと修斗3連勝を飾っていた。今回が約8年ぶりのPANCRASE復帰戦で、1年3カ月ぶりの試合となる。
対するはバンタム級10位の土肥潤(総合格闘技道場MIBURO)。ハンセン玲雄、瀧口脩生を相手に2連勝した土肥は、2019年11月の「DEEP&PANCRASE大阪」で三村亘にスプリット判定負け。2020年7月に関原翔に判定勝ちも2020年12月の前戦で花レメ紋次郎TKに判定負けと、白星と黒星を繰り返している。
手塚は試合前のビデオで、「格闘技が好きという思いと、やっぱり格闘技に対する意地、そこでモチベーションを保っている。歳を重ねて、いろいろな状況も味わってきたので、精神的には強くなっていると思います」と心境を語り、2014年にHEATで祖根寿麻を極めたトラックポジションからの変形ツイスター=鬼神固めを披露し「狙えるタイミングがあったらしっかり狙って一本を取ります」と意気込みを語る。
「もともとPANCRASEのベルトが欲しくてやっていたので、このタイモングでまた来れたので、スパッとまたベルトまで突っ走りたい」と、バンタム級王座獲得を目標とする。
対する土肥は、高校時代にレスリングを学び、桜庭和志に憧れてMMAを始めた。「緊張して頭が真っ白になってグラウンドに行くスタイルになった」というが、手塚戦に向け、「戦う前は怖いけど、試合中は怖いとは思わない。僕が失うものは何もない。残り何試合できるか分からないですけど、いつも通り自分らしい試合をしたい」と、静かな闘志を見せた。
また、“聖帝”のニックネームについて、同門のエダ“塾長”こうすけから「(北斗の拳の)聖帝サウザーに声が似ている」ということで付けられたことを明かし、「特に思入れは無いです」とはにかんで答えている。
▼メインイベント バンタム級5分3R
×土肥潤(MIBURO)
[判定0-3] ※島村27-30/加納28-29/鶴和28-29
〇手塚基伸(シークレットベースドミネート・コブラ会)
1R、ともにサウスポー構えから。後ろ蹴りで牽制する手塚に、かわす土肥は、手塚の左フックの打ち終わりに組み付き、四つからコーナーに押し込んで、シングルレッグのハイクラッチに移行、手塚の左足を刈って手前に引き出そうとするが、足を戻す手塚に対し引き込んで自ら下に。ハーフで作ろうとするが、足を抜いた手塚がマウントへ。
亀になって立とうとする土肥のバックを奪い、シングルバックでコントロール、後ろから腹にパウンドを入れる。さらにリアネイキドチョークをパームトゥパームで絞ると、絞め手を解いた土肥の正対狙いに、トラックポジションも狙う。オープンジャッジは、3者ともに10-9手塚のラウンドに。
2R、左から右を振って前に出る手塚。遠間からの土肥のシングルレッグを切って潰すとディープハーフを狙う土肥の潜りからの左足手繰りを左腕で剥がして、細かい鉄槌連打。土肥が左肩を開けると肩固めも狙う。下からネッククランクを狙う土肥だがハーフガードで不十分。キムラ狙いも手塚に剥がされ、手塚の肩固め狙いに背中を見せる。
両足をかけ完全バックを奪う手塚。片足を外しシングルレッグで正対を試みる土肥の足をすくいに行くが、切った土肥が上に。インサイドガードからパスを狙う。
3R、手塚は左振って土肥を誘い出すと、左で差してボディロックから回してテイクダウン。ハーフガードの土肥に対し手塚はパスガード、マウントを奪いバックへ。4の字ロックを組むが、腰をずらしていた土肥が正対。
インサイドから右足をまたぎヒジ狙い。すぐにフルガードに戻す手塚は左手を差し入れてスイッチ狙い、さらに下からキムラを狙う。それを切った土肥が上からパスを狙うと、手塚はいったん亀になってから土肥のクラッチを掴み、キムラを狙うが土肥も放さず。ゴング。
判定は3-0(30-27, 29-28, 29-28)で試合を作った手塚が勝利。息子をリングに上げ、勝利の記念撮影をすると、マイクで「このコロナ禍のなかご来場ありがとうございました。またこういう場を提供していただきありがとうございました」と周囲に感謝の言葉を述べると、「今回、いままでにないくらい苦しかったんですけど、今回55戦目で35勝、とにかくPANCRASEというのは俺はこういう泥くさい試合だと思っています。またこうやって戻ってこれて嬉しく思います」と、8年ぶりのPANCRASEカムバックを語った。
「あとRIZINで……今日はアカンかったけど、またゼロから作り直して、RIZINが盛り上がっているんで、俺も最後にひと噛みしたいと思っているんで、この後、PANCRASEでベルトを獲ります、よろしくお願いします」と、ハファエル・シウバが持つバンタム級王座獲得とRIZIN参戦をアピールした。