キックボクシング
インタビュー

【KNOCK OUT】安達浩平「打たれずに倒そうかなと思います」vs工藤“red”玲央「気持ちの強さで勝負します。古臭いですけど」

2021/03/25 19:03
 2021年4月4日(日)東京・新宿FACE『SACRED FORCE presents KNOCK OUT-EX』のセミファイナル(第5試合)、KNOCK OUT-REDバンタム級王座決定リーグ戦3分3Rで対戦する、J-NETWORKバンタム級王者・安達浩平(team AKATSUKI)と工藤“red”玲央(TEPPEN GYM)のインタビューが主催者を通じて届いた。  昨年2月に6人でスタートしたリーグ戦だったが、諸事情で3選手が離脱。安達はすでに5月22日に予定されている王座決定戦への進出が決定している状態だ。そんな中で3度目となる工藤との対戦に、どんなテーマを持って臨んでいるのだろうか? 「気持ちを前面に出して、工藤選手を倒すことしか考えてないです!」 ──リーグ戦自体、コロナの影響や何やでいろんなことになりましたが、次の試合での得点状況については把握できていますか? 「はい。ここまで自分は全部勝っていて4ポイントで首位で、工藤“red”玲央選手が前回KOで勝ったので3ポイントで2位。響波選手が2点だったけど、前田伊織選手が引退ということで、次で4ポイントになるんですよね。なので、次の新宿大会で僕が工藤選手と戦って、僕は勝っても負けても王座決定戦に進めると。僕が工藤選手に勝つかドローなら相手は響波選手、負ければ工藤選手ともう一回ということですよね」 ──その通りです(笑)。なので、王座決定戦への進出は決まっている状態での試合ということになりますが、その部分はいかがですか? 「今は目の前の試合に勝つことしか考えてないので、工藤選手には普通に勝って、王座決定戦も響波選手に普通に勝ちたいと思ってます」 ──ここまでのリーグ戦2試合を振り返ると? 「2つとも順調に勝てて、王座決定戦にも進めるという状況なので、僕的にはまあいいかなと思ってます。最初の前田戦は固くて、良太郎代表にも『動きがよくなかったね」って言われる感じだったんですけど、響波戦では作戦勝ちというか、前に出て勝つことができたので、その面においてはよかったかなと思ってます」 ──もともとリーグ戦なので長丁場の予定ではありましたが、それ以上に状況が変化しましたよね。 「そうですね(苦笑)。コロナがなくて順調に行っていれば、去年6人で争ってたはずなんですけど、状況が状況でみんないなくなっちゃって(苦笑)。本当に、文字通りのサバイバル・リーグ戦になっちゃったなって感じです(笑)」 ──確かに。その中で、気持ちを保つのは大丈夫でしたか? 「僕は大丈夫でしたね。ずっと決まってたんで。試合が決まってない時も気持ちを切らさずに練習してましたし、絶対にベルトを獲るんだという気持ちでやってきました。リーグ戦がなくなっちゃったとかになったら気持ちが切れてたかもしれないですけど、そのまま続けていただけたので、モチベーションは維持できました」 ──さらに、当初は『REBELS』王座決定リーグ戦としてスタートしましたが、『KNOCK OUT』の王座が懸かることになりました。 「ウチの代表が巻いていた『REBELS』のベルトがほしいという気持ちもあったんですけど、『KNOCK OUT』はメジャーイベントなので、そこはうれしいです」 ──では改めて、工藤選手との試合についてなんですが、印象は? 「工藤選手とは次で3回目になるんですけど、1戦目がドローで、2戦目は『REBELS』のリングで戦って僕が判定勝ちしたんですけど、接戦だったので、あんまりスカッと勝ったという印象はないんですよね。次もお互いに前に出て、僅差の試合になるのかなと思ってるんですけど、警戒するポイントはやっぱり、前田選手も倒されてる右のパンチですかね」 ──お互いにかなり手の内が分かった状態での試合ということになりますよね。 「そうですね。向こうも僕の攻撃とかは分かっていると思うので、対策は練ってくると思いますけど、こっちもそこをうまく凌ごうとしてるという感じです」 ──その相手の対策を裏切るような要素というのは用意してますか? 「代表と策を練ってます。具体的には言えないですけど(笑)。でも向こうもTEPPEN GYMでいろんな策は練ってくるのかなとは思います。ただ、試合が始まっちゃったら前に出てきて右ストレートとかを打ってくると思うんですけど、僕がそれをどう対処して勝っていくかということになりますね」 ──確かに、過去の戦いを見ても接戦になる可能性は高いのかなと思われますが、そこを凌いで勝つのに必要なものとは? 「やっぱり気持ちだと思います。僕と工藤選手は33歳で同い年なんですけど、向こうもたぶん、これに負けたら最後というか……僕に一度負けているし、絶対勝つという気持ちで来ると思うので、最後は気持ちの勝負になるかなと思いますね」 ──その「気持ち」というのは、ベルトへの気持ちもありますよね。 「はい。特に向こうは勝たないとベルトへのチャンスもなくなってしまうので、気持ちを前面に出して戦ってくるのかなと思いますし。もちろん僕も、絶対に獲ってやろうという気持ちでいますから。ベルトへの気持ちという点では負けないです」 ──先ほども出たように、この勝ち負けにかかわらず王座決定戦が待っている状態です。そこはまだ考えない? 「はい、今は考えないようにしています。ホントに目の前の工藤選手に勝つということだけです」 ──試合も迫ってきていますが、ここから当日までに必要なこととは? 「今もけっこうハードに追い込んでいるんですけど、もっとハードに追い込んで、気持ちを高ぶらせることですかね」 ──「気持ちを高ぶらせる」という点では、2・28『REBELS ~The FINAL~』での良太郎代表の試合は……。 「鳥肌が立ちましたね。僕も会場で応援してたんですけど、すげえなって、改めて思いました。打ち合って、あんなにバーッと会場を沸かせて。僕は代表みたいな試合はできないですけど(笑)、あんなワーッとお客さんが沸くような試合はしたいなと思ってるので、打たれずに倒そうかなと思います。代表みたいに、お互いにもらいながらというのはやりたくないです(笑)」 ──まあスタイルもありますし(笑)。さて、先のことはまだ考えないというお話でしたが、現実にあと2つ勝つとベルト、というところまでは来ています。チャンピオンになると、また違う景色が見えてくると思うんですが。 「他の階級はけっこう盛り上がってるし、この前開幕した『KNOCK OUT』のトーナメントもすごい選手がいっぱい出ている中で、今のバンタム級は経験の少ない選手が多くて盛り上がりに欠けてるなって、僕自身も感じるんですよね。だからベルトを獲って有名な選手と試合して、『KNOCK OUT』のバンタム級も盛り上げていきたいという思いはあります」 ──『KNOCK OUT』もREBORNとなったことで、主役争いも活発化しています。その中で安達選手の思いとは? 「けっこうバチバチに倒す派手な選手が多くて、僕はそんなにKOも多くないですけど、気持ちを前面に出して戦うタイプなので、ここでファンの皆様に認知していただいて、僕のファンになっていただければいいかなと思ってます。みんなで盛り上げていければいいなと思うので」 ──では次の試合も、見てもらいたいのはそういう部分でしょうか。 「そうですね、気持ちで勝っていこうと思っているので。このままポンポンとベルトまで行きたいので、目の前の試合に集中して工藤選手を倒すことしか考えてないです」 ──では最後に、ファンの方へのメッセージをお願いします。 「工藤選手もここで勝たないと王座決定戦に進めないので、死ぬ気で前に出てくると思います。僕も工藤選手の気持ちに負けないように戦って倒したいと思いますので、応援よろしくお願いします!」 [nextpage] 「毎日、安達選手のことしか考えてません。彼に連勝してチャンピオンになります!」  工藤が王座決定戦に進出するには、KOでも判定でも、とにかく勝利しなければならない。そして勝てば、安達との4回目の対戦が待っているということになる。その状況で彼が思うこととは? ──今回の安達浩平戦はリーグ戦の最終試合ということになります。リーグ戦はいろいろありましたが……。 「コロナでいろいろあってモチベーションが落ちたり体重管理ができなくなったことは、僕も実際にコロナ鬱みたいになったのもあって、みんな大変な思いをしたのは分かるんですけど、離脱した3人に関しては正直『オマエら、ふざけんなよ』というのが本心です。例えば会社で与えられた仕事を投げ出してるのと同じじゃないですか。普通の会社だと、こんなのあり得ないじゃないですか」 ──まあ、結果としては。 「僕と安達選手と響波選手は、『人数が少なくなったからチャンスだ』って言われるんですよ。でもそれって違うなあと思ってるし、リーグ戦も後楽園でできなかったり、あんまり注目されてないじゃないですか。それは感じるんですよ。こういうことがあるからキックボクシングが舐められるんですよ。キックボクサーとして、社会人として、もっと自覚を持ってほしいというのが正直、ありましたね」 ──なるほど。先ほど「コロナ鬱」という話もありましたが、工藤選手自身はそんな中でどうモチベーションを保ってきたんですか? 「僕もモチベーションは保ててなかったですよ。正直、去年2月の響波戦で負けた後にすぐコロナで自粛期間になっちゃったので、キツかったです。試合に勝ってればまだよかったですけど、正直3月、4月頃は逃げ出したいという気持ちがメチャメチャあったんです。でも、6人でやると決められたプロジェクトから、僕だけ逃げるのはみっともないし、ジムにも迷惑がかかるし、応援してくれる人にも何も言えないじゃないですか。だからそこだけは何が何でもやろうという気持ちでいました。それで月日が経って試合が決まったら、2人抜けたと。その時はイラッときましたね。『俺だってそうしたかったよ』みたいな。それぞれ理由があるのは分かりますけどね。でもそこで耐えて学んだから、10月の前田伊織戦で勝てたのかなと思います」 ──では、最終的にはいい方向に転換できたわけですね。確認ですが、今回の安達戦での得点状況は把握できてますよね? 「はい。僕は勝てば王座決定戦に進めるわけですよね」 ──ですね。安達選手とは今回が3回目の対戦になるわけですが。 「そんなに意識してないんですよね。『3回目だから僕が勝てるだろう』みたいな(笑)。もちろん、最後にやったのは2年ぐらい前なので、前回よりは確実に強くなってると思います。実際2回やっているし、12月の彼の試合も見ていたので、初対戦の選手よりはイメージは作りやすいでしょうけど。ただ全く負けるつもりはないので、何回目とかいう意識はないですね」 ──過去2回で感じた印象や、今回気をつけたい部分は? 「彼は根性もあるしけっこうしつこいので、こっちの印象が悪い感じでラウンドが終わるんですよ。向こうが蹴って終わり、みたいな感じで、印象を作るのがうまいんですよね。そこは気をつけないといけないというのと、プラスアルファ、この2年で僕が持っているイメージの1.25倍ぐらいは強くなっていると思ってます」 ──そういう相手に、どう勝ちたいですか? 「判定で勝ちたいです」 ──判定で? KOは狙わないということですか? 「僕は、倒そうとしたら力んじゃうところがあって。前回の前田戦は結果的にKOできたんですけど、自分としては全く判定狙いだったんですね。その方が楽に戦えるので、力を抜いていこうかなって感じです」 ──今回、工藤選手が勝って王座決定戦に進出すると、そこで安達選手と4回目ということになりますね。 「そうなんですよ。ここまで1敗1分けなので、まずここで1回、僕が勝ちます。そしたら1勝1敗1分けになってキリがいいので(笑)、4回目は白黒ハッキリつけようぜってことで」 ──なるほど。それはそれでいい流れですね。しかし同じ選手とは3回当たることすらなかなかないと思います。選手によっては、再戦すらイヤという人もいますが……。 「そういうとこも『しつこい』って感じですよ。僕はいいけどお客さんがどうかなあと思いますし。でも今回僕が勝てば、1勝1敗1分けからの4回目は面白いじゃないですか。しかも僕らお互い33歳だし、これが最後になるので、そこで決着という感じですね。ここで勝てなかったら、『結局勝てなかった』で終わっちゃうんですけど、僕は勝つので」 ──4回目も必ずあるぞと。 「安達選手のファンからしたらつまらないかもしれないですけど、僕を応援してくれる人たちには、けっこう楽しめるんじゃないですかね」 ──ということは、ここから安達選手に連勝すればチャンピオンになれるということになります。 「チャンピオンになれるのはうれしいです(笑)。まだベルトを巻いたことがないので、ここで巻けば選手生活も悔いなく終われますから」 ──チャンピオンになれば、その先も見えてくると思いますが。 「そうですね、考えてることもあるんですけど、まずは一番近くの試合に勝たないといけないので。今言うと夢物語みたいになってしまうし、今は本当に毎日、安達のことばかり考えてるんで」 ──では目の前の安達戦で、勝つのに一番必要なものは何でしょう? 「戦略ですね。過去の試合でも印象の部分で負けてきたし、次はどうせカーフキックとか蹴ってくると思うので、その対策が大事かなと。そこはしっかりやってます」 ──今回の試合で、一番見てほしい点は? 「下がらない、気持ちの強さですね。昔から言ってるんですけど、『うまい』選手って多いじゃないですか。僕はそういう選手じゃないので、気持ちの強さで勝負します。古臭いですけど」 ──そこは最初の師匠であるファイヤー原田さんから受け継いだものですか。 「そうですね。ファイヤーさんにはいつも言われてましたし、一番学んだところなので。アバラが折れても何しても絶対下がらない人でしたからね」 ──そこから、現在はTEPPEN GYMに所属されてますよね。TEPPEN GYMで一番学んだことは何ですか? 「みんな練習が真面目なんですよ。自分は年上だし、しっかりやらなきゃいけないと思わされますね。技術的には、もらわないで当てるとか、攻撃されたらすぐ返すとか、そういうことを重点的に教わってます。TEPPEN GYMの中ではそういうのがうまい方ではないんですけど、自分にとってはすごくプラスになってますし、練習に取り組む姿勢も変わりました」 ──では最後に、ファンの方にメッセージをお願いします。 「最後まで折れないところを見せて勝つので、楽しみにしててください」 ──ありがとうございました!
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