2021年3月21日(日)名古屋・日本ガイシホールにて「Yogibo presents RIZIN.27」が、4,558人の観衆を集めて開催された。
セミファイナルの第13試合では、ライト級の71.0kg契約(5分3R・ヒジ無し)で、ホベルト・サトシ・ソウザ(ボンサイ柔術)と徳留一樹(パラエストラ八王子)が対戦。104秒、三角絞めでサトシが徳留からタップを奪った。
QUINTETでも極めの強さを見せていた徳留得意のハーフガードに対し、下から煽って極めた三角絞め。
MMAの中で「何年も三角で(一本)取られていない」と対策に自信を持っていた徳留をして「普通の三角の入りじゃない」というサトシのそれは、最初は逆から組んで、足を組み直して極めた匠の技だった。
序盤、ワンツーの左ストレートから四つに組み、小外がけで先にテイクダウンを奪ったのは徳留だった。
左で脇を差したサトシは、右手で徳留の左足をすくい、左足で徳留を跳ね上げて煽ると、身体を後ろに戻した徳留の胸に頭をつけるように潜り尻で座るところまで上体を持って行くと、徳留の背中ごしに両手をクラッチ。
左足を脇下に置き徳留の右手を挟むと、一気に引き込んで両足でクラッチ。スイープして右ヒザ裏で組む逆の三角に。
下から鉄槌を打ちながら、正対してきた徳留相手に、いったん四角に組み直すと、頭を引き付けて、通常の引き込んだ手の側の左足ヒザ裏で三角を組み直し、徳留の右腕を内側に流して、左足も抱えて、左手で自身の右脛を引き付け、三角を狭めてタップを奪った。
そのセットアップが速く緻密だったサトシ。
試合後、サトシはフィニッシュについて、徳留の寝技での重心が前がかりになりがちで、三角絞めのチャンスがあること。さらに、独特の入り方は、「私とクレベルとかお兄ちゃん(マルキーニョス、マウリシオ)といつも練習してきたこと」と語った。
また、長い打撃という武器を持っている徳留が、相手の土俵である組みの展開に自ら持っていったことについては、「PANCRASEとONEで打撃で敗れ、スタイルをチェンジして、打撃から組みで2連勝してきた」と、取り組んできたことを信じての戦い方だったことを明かしている。
矢地祐介戦に続く2連勝のサトシは、「この階級にチャンピオンがいないのは面白くない」と語り、5月大会でトフィック・ムサエフ(アゼルバイジャン)が来日出来ないのであれば、「武田光司とベルトを賭けて戦いたい」と、次戦でタイトルマッチを希望した。
サトシ、徳留との一問一答は以下の通りだ。
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サトシ「柔術は下からでも危険」
──試合後の率直な感想をお聞かせください。
「最初、試合が始まった時は緊張(笑)、最初が私、ちょっと身体が硬いから、(徳留が)パンチ来ると投げをやりたいことは知っていたので、その後にグラウンドに来たけど、気にしない。私は上でも下でも出来るから」
──対戦を終えて、相手の印象は?
「同じ。本当はやりたくなかった。徳留は友達だし、彼の家族も知っているから、(友達なのは)変わらない。試合が終わっても、今もまた友達」
──今後の展望を教えて下さい。
「前と一緒。ベルトを獲りたい。(GP覇者の)トフィック・ムサエフが日本に来れないなら、もう1個、ベルトを作るのでいいじゃないかと思う。斎藤裕と朝倉未来の試合と一緒。チャンピオンとチャンピオン(グランプリ覇者と初代王者)でやればいいじゃないか」
──最後の三角絞めは、徳留選手がテイクダウンしてハーフガードから攻めてきたところを三角絞めを最初は右で組む逆クラッチで、最後は左に組み変えました。あれは狙っていた?
「あれは、私とクレベルとかお兄ちゃん(マルキーニョス、マウリシオ)といつも練習してきたこと。私、知っているね。彼(徳留)が、ガードにいるときやハーフにいるときに体重が前になるから三角のチャンスがあることを。だから彼が投げにくることも気にしなかった。
三角は反対から入ってスイープして最初は右で絞めて、最後は左で絞めた。その後に相手の足抱えて、相手のヒジを流して……それから彼はすごい我慢した。でもあまり動きは出来ないから気にしなかった。入ったら絶対にタップするから。彼も我慢しか出来なかった。下にいても上にいても、柔術が強いから問題ない。MMA選手がみんな考えるのは、上だけがいいと。上だけからパンチが出来て下はあんまりデフェンスだけと言うけど、柔術は下でもすごくいろいろな危険がある」
──サトシ選手の試合の前に、クレベル選手が摩嶋選手に三角絞めで勝ったことは刺激になりましたか。
「そうですね。クレベルの相手は強いけど、強いのはグラウンド、それはクレベルの方が絶対、強いね。その後も、クレベルは三角が得意だから、入ったら、私はもう終わり(だと思った)。同じ日にクレベルと試合したからちょっと緊張したけど、絶対クレベルが勝つことが出来ると思ってた」
──今回の試合は一本勝ちでしたが、もっとストライキングを見せたかった?
「そうね。今日、BELLWOODの鈴木博昭戦線もいるから、ちょっと使いたいなと。練習したから最初にちょっとキックを1回だけ出来たけど、その後に徳留がすぐに投げにきたからちょっと悲しい(笑)。でも勝って怪我が無かったのが一番良かった。また練習に戻ることが出来るから、それが一番大事」
──同じライト級の武田光司選手と久米鷹介選手の試合はどう見ましたか。
「そう、すごい試合ね! 2人とも心が強いから、絶対いい試合をすると知っていた。誰が勝つか分からないと。でも、武田にちょっとびっくりしたね。相手にたくさんパンチをやられても(前に)進んで止まらない。やっぱりDEEPのチャンピオン、ライト級の日本も凄いなと思いましたね」
──早くベルトに挑戦したい?
「私も(RIZINで)6試合目だから、タイトルを獲りたいね。たくさん人もいるし、私の気持ちは、ベルトが金メダルみたいなもの。たとえばムサエフが来れないから、もう一個のライト級のベルトを作って、私と武田が戦って勝ってからムサエフがやる。階級にベルトが無いからちょっと面白くない。ただ試合・試合をしてもチャンピオンがいないと意味が無い。(ムサエフが持つGPのベルトと)もう1個ライト級のベルトがあってもいいかな」
──最後にファンにメッセージを。
「みんないつも応援してくれてありがとう。私、いつも同じね。絶対判定じゃない。KOと極めでやります!」
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徳留「極めの力はほんとうにレベルが違う」
──試合後の率直な感想をお聞かせください。
「いやー、サトシ強かったですね」
──対戦を終えて、相手の印象は違いましたか。
「三角に入られてから、何も出来なかったですね……。あんな取られ方は、本当に何年も三角で取られてないので、やっぱりサトシは本当にすげぇなと思いました」
──初めてのRIZINのリングはどんな印象でしたか。
「リングがすごい戦いやすいと思いました。アップのときに確認したんですが、マットがすごい良くて、踏み込みがしやすいので、試合で打撃をもう少しやりたかったなと思いました」
──今後の展望を教えて下さい。
「負け方が、あんなすぐに負けているので……今後呼ばれるかは分かりませんが、また呼ばれたら、その一戦にしっかり賭けて練習したいです。展望とかはそこまでないですね」
──最初にセンターを取って、打撃から組みに行ったのは、徳留選手からでした。あれは、組めたら自分からテイクダウンしようと決めていましたか。
「そうですね。一回、肌を合わせて、どれくらい力やフィジカルが強いかを。プランとしては押し込んでテイクダウン、押し込んでテイクダウン、というのをやれたらいいね、というのを話していて、組んで強かったら、打撃でやればいいかなと思っていました。
組んだら、やっぱりサトシは柔術家なので、あんまり力を使わず、自分が四つが得意というのもあるんですけど、結構イージーにテイクダウンをさせてくれて、自分の得意なハーフガードにも行けたんですけど……ちょっと欲が出てしまって、QUINTETのときもそうでしたが、ちょっと乗り過ぎちゃって腕を取られてしまったんですけど、サトシがそれを狙って、ちょっと浮かせてから三角を取られちゃったんで、同じ負け方を2回してんなって」
──あの三角、前に煽って右手を引き付け、最初は三角を右足で組んでいたのを、引き付けて左足に組み直していました。
「ああー、組み直したんだ……。普通の三角の入りじゃないし、自分が(前に)乗っちゃっているというのもあるんですけど、極めの力はほんとうにレベルが違うなと思ったスね」
──最後は納得したような表情を浮かべていましたが、これから就職もし、新しい生活のなかで格闘技を続けていくような感じでしょうか。
「そうですね。あの負けは納得する以外、見ている人もコイツ弱ぇなと思うぐらい、きっちり極まってたんで……まあ、弱いスね、自分が」
──徹底してスタンドで戦おうとは思わなかったですか。
「打撃で行っても良かったかもしれませんが、でもそれでPANCRASEで自分は久米さんに負けてるし、ONEでもクリスチャン・リーに負けている。それでチェンジしてONEで2戦して、スタイルをチェンジして2連勝しているので、今回もしっかり打撃を振って組み付いて倒す──そういう練習をずっとしてきたので、そのやってきたことは出せたんで、(一本)取られたけどすっきりはしています」