2021年3月21日(日)名古屋・日本ガイシホール『RIZIN.27』に出場する全選手の個別インタビューが、19日(金)にオンラインで行われた。
第5試合の57.0kg契約5分3R(※ヒジあり)で村元友太郎(ALIVE)と対戦する山本聖悟(フリー)がインタビューに答えた。
初参戦の山本は9歳の頃より空手を学び心身を鍛えるも、中学3年で暴走族に入り、17歳では総長になるなど、地元では喧嘩に明け暮れた。その結果少年院に入ることに。退所後は格闘技に打ち込み、2016年3月のDEEP名古屋大会でプロデビュー。以降は、GRACHAN、HEAT、PXCで経験を積み、現在は韓国のROAD FCを拠点に活躍。GRACHANフライ級ランキング1位に付け、プロ戦績は4勝5敗1分。2019年にはROAD FC 2019 KO AWARDに選ばれるなど、強打を武器にする好戦的なファイターだ。
以下、記者との質疑応答。
――対戦相手の印象は?
「印象は特になくて、ボコボコにしてやろうかなと思っています」
――どういう試合展開になると予想していますか?
「1Rから早い段階で、僕の打撃で一方的な展開になるんじゃないかなと思っています」
――今回地元でのRIZIN出場。決まった時の反響はいかがでしたか?
「中学校の時の友だちとか、ヤンチャしていた時の友だちや先輩から連絡が来ました。地元の誇りになれるように頑張ろうという決意が固まりましたね。周囲からは“凄いね、頑張ってね”との声が一番多かったですけれども、一緒に戦ってくれている仲間たちも何人かいるので、そういう人たちは熱いメッセージを送ってくれました」
――出場が決定した時にどう思いましたか?
「僕はROAD FCで試合をしてきて、日本だとやはりRIZIN。そこに出られるのが嬉しかったのと、ROADの看板を背負ってRIZINに来ている形なので、嬉しさとROADの強さを証明するという責任感が大きいです」
――ROAD FCでの試合は2019年11月が最後で、試合をしない期間が約1年半ですね。この期間はどのように過ごしてきましたか?
「去年の夏に日本に帰って来たんですが、コロナが日本も韓国もひどかったので、そういう期間は対人練習が難しい中でも練習をしていて、いつ試合のオファーが来てもできるように準備は整えていたんですが、帰国してまた新たな拠点として東京に住むということで、引っ越しとかいろいろなことがあって大変な生活をしていましたね。国境も跨いでコロナもあってみたいな感じだったので苦労しましたね」
――この1年半の経験はプラスになりましたか?
「なったと思います。人生って何事も経験だと思っているので。僕だけじゃなくみんなもそうだと思いますが、苦しいことに耐えて今生きていることが大事なので。僕も明後日に試合を迎える心境で、いま生きているからRIIZNがあるし、いい経験になった年でしたね」
――その大変な想いをどのようにぶつけますか?
「1Rからしっかり僕の全身を使って全力で出したいと思います。本当に大変な思いをしたので、国を跨いでビザの関係とかもいろいろあったので。普通に日本にいるとか韓国にいるだけじゃなかったので、両国を跨いできたのでそういう苦労した部分を明後日の試合で存分に出したいと思います」
――日本に拠点を移したのは向こうでの試合機会が少なくなったのも大きかったのでしょうか?
「それもありますし、コロナの関係でビザが延長できなかったのでどうしても帰国するしか手段がなかったんです。国籍を変えるという手段もあるんですけれど、それは簡単にいくことではなく、変えたら変えたで徴兵もありますし、変える事自体が難しい問題だったので帰るしかありませんでした。それと韓国も今は開催されてきたんですが当時はされていなかったのでそこが大きいです」
――練習は釜山でやっていたのですか?
「はい、そうです」
――どんな選手とやっていましたか?
「僕は2つのチームに行っていたんですが、ひとつはチームモイラという道場に行っていて、中東のUAE Warriorsのフェザー級王者のイ・ドギョム選手が筆頭にいて。そこで主に練習していました。そして週末はハム・ソヒ選手が所属している名門のチームMADに出稽古へ行かせてもらっていました。そこではいろいろなUFCの選手とかと同じ道場で練習していました」
――いま日本ではどこを拠点に?
「CARPE DIEM三田で練習して、僕が仕事もしているSTELLA KICKBOXING GYMという打撃の選手が集まった道場でしっかり打撃の練習をさせてもらっています」
――三田ではどんなMMAファイターと?
「濱岸(正幸=元ZSTウェルター級王者)さんがいますね」
――以前、朝倉未来選手に声を懸けられたそうですが、それはどういう形だったのですか?
「10代の頃に名古屋で地下格闘技に出ていて、そこで朝倉未来選手も一緒に出場していたんですよ。僕が15歳の頃でした。そこで出会って、その後に僕が非行を繰り返してしまい施設に入ったんですけれど、施設から出た時に朝倉未来選手からメッセージが来て『まだ若いから俺たちまた格闘技頑張ろうよ』って。僕が施設から出た時は18歳だったんですけれど、周りは免許を取ったり大学進学があったり就職していて、劣等感があったんですよ。そこで朝倉選手からメッセージをいただいて、格闘技を真剣にやろうと導いてもらいました」
――村元選手とはALIVEで練習したことがあるんじゃないですか?
「ALIVEで練習させていただいたことはあるんですが、村元さんとはないです。今回楽しみです」
――村元選手はいろいろなことを混ぜてやってくる選手じゃないですか。山本選手は打撃が強い中で、どのように戦おうと思っていますか?
「向こうは打撃もグラウンドもテイクダウンも混ぜてやってくると思いますが、突出した武器がある方が絶対に強いし、試合も面白いと思う。バランスがとれているよりも突出した何かがある方が、見ているみんなも期待できると思うので、僕は打撃でしっかりと1Rから攻めようかなと思っています」
――空手のバックボーンがあるとのことですが、どの流派ですか?
「僕は極真会館の岐阜支部でやっていました」
――その割には、MMAでは遠い距離で戦いますよね。
「僕は手足が長いのでそれを活かして戦おうと思って調整しました」
――流行りのカーフキックをけっこう前から使っているようですね。
「僕は4~5年前から使っています。相手が肉離れしたこともあったと思います。でも技術って盗まれるものだし、いい選手から盗むものだと思うので、僕もいい選手からいい技術を盗んで強くなりたいと思います」
――カーフキックも進化を加えて出す可能性もある?
「僕は秋山成勲選手を一番尊敬していて、今回の試合前に練習する機会があり、お食事もご一緒させていただいたんですけれども、秋山さんからも気持ちとかを伝授されたので、しっかり勝っていい報告が出来るように頑張りたいです。新しい技術がもしかしたら出るかもしれません」