上久保「間違いなく厳しい試合になるがサバイブする」
一方、ONEバンタム級5位の上久保は、MMA7勝1敗のトロイ・ウォーセン(米国)と対戦する。
ウォーセンは、レスリングベースで柔術茶帯。セントラルフロリダ大学に在学中、全米大学レスリング協会(NCWA)の王者にも輝いている。2005年にMMAデビューし4連勝後、2018年に「Evolve MMA」のトライアウトに合格。シンガポールに移り、フルタイムファイターとなり、ONEで3連勝。
2020年2月にはマーク・アベラルドにも判定勝ちでMMA7連勝をマークしたが、2020年12月の前戦では、ユサップ・サーデュラエフの後半の打撃に苦しみ、判定負けで、初黒星を喫した。組み技を得意とするが、サウスポー構えから繰り出す左の蹴りは軌道が分かりにくく、注意が必要だ。
MMA11勝1敗1分けの上久保は、2018年7月のONE初参戦から4勝負け無し。前戦は2019年11月にブルーノ・プッチに判定勝ちを収めており、今回は1年4カ月ぶりの試合となる。
その間、TRIBE TOKYO M.M.Aやロータス世田谷でもグラップリングの猛者たちと練習を積んできた上久保は、グラップリング大会「FINISH」で寒河江寿泰とドロー、柔術でデラヒーバ杯の紫帯フェザー級で優勝するなど、積極的に試合機会を得てきた。2018年11月のムハマド・アイマン戦以来となる2年5カ月振りのケージ使用のONEで、ウォーセンをも「永久寝技地獄」に巻き込むか。
ONEバンタム級の王者はビビアーノ・フェルナンデス。1位の元UFCジョン・リネカーは、4月28日大会でMMA14勝2敗のスティーブン・ローマン(チームラカイ)と対戦し、2位はファブリシオ・アンドラジに敗れた佐藤将光、3位にケビン・ベリンゴン、4位には2019年8月に上久保との試合が組まれるも、上久保が直前で現地のメディカルチェックが通らずキャンセルとなったユーサップ・サーデュラエフがランクされている。
3戦連続で判定で白星を掴んでいる上久保にとって、勝利こそが上位進出の絶対条件。強豪相手にどんな試合を見せるか。
1年4カ月ぶりの試合に向けた日々を、上久保は「コロナ禍が始まり、世界の人々が危険に晒され、多くの国でロックダウンが行われ、日本も緊急事態宣言や外出自粛などをせざるを得ない状況が今も続いています。 僕はそういった状況にありながらも格闘技のトレーニングは可能な限り続けてきました。
それは格闘技が好きで、自身が成長できている実感こそが生きている楽しさの一つだったからです。ただ、それは実際には世間からすれば大変に我儘な事である事も承知していて、家族や友人などにも負わせるリスクを考えると“すぐにでも試合がしたい”という気持ちにはなりませんでした。格闘技のトレーニングを続ける事は正しくないと自覚しながらも家族や友人との接触を断ち、自身の我儘を押し通す日々でした」と吐露。
続けて、「世界の現状とそれに伴う人々の動きを見守りながら自分の中にある『正しさ』と『欲求』の矛盾との葛藤をする日々でした。ただ、松嶋こよみvs.ゲイリー・トノンを見て熱くなる自分がいましたし、自分の中で折り合いを付けて納得できるタイミングがくればベストを尽くす試合がしたいと思うようになりました。そのために一定の期間、様子を見てきて、万が一自分がコロナの陽性になってしまった場合の対応も確認しつつ強くなるための時間を過ごしてきました。」と、心と身体の準備を進めてきたことを語っている。
対戦相手のウォーセンについては、「今回の相手は強いです。前戦(サーデュラエフ戦)は判定負けながら、勝っていてもおかしくない試合だったと思いますし、(今回は)間違いなく厳しい試合になると思います。 オファーが来た時は、“僕が乗り越えていかなければならない壁になる素晴らしい選手が来た”と思いました。自分が弱い事は誰よりも知っているので、一生懸命に頑張る事しか手段は残されていません。ベストを尽くしてサバイブします!」と意気込みを発表している。
ほか、4週にわたる「ONE On TNT」シリーズの対戦カードは以下の通り。ヘビー級でマーカス・“ブシェシャ”・アルメイダがMMAデビューするほか、ライト級で連勝しながらも前戦でマラット・ガフロフにスプリット判定負けし、今回が再起戦となるローウェン・タイナネス(米国)が、同じく連勝からティモフィ・ナシューヒンに判定負けし再起を目指すピーター・バウシュト(オランダ)と対戦するなど、好カードが並んだリードカードにも注目だ。