ONE Championshipが米国のTNT(ターナー・ネットワーク・テレビジョン)とジョイントして、2021年4月7日から4週連続で毎週、米国時間の水曜日の夜(※日本では木曜朝・午前9時30分~ABAME放送)に、試合を放送する「ONE on TNT」シリーズのリードカード(プレリミナリーファイト)が発表された。
第3週の「ONE on TNT 3」(4月22日午前9時30分)で、若松佑弥(TRIBE TOKYO M.M.A)がリース・マクラーレン(豪州)と、上久保周哉(TRI.H studio/頂柔術)がトロイ・ウォーセン(米国)と対戦する。
ONEフライ級4位の若松は、2019年3月の両国大会でデメトリアス・ジョンソンに2Rギロチンチョークで敗れたが、同年8月のマニラ大会でジェヘ・ユスタキオに1R、右ストレートでKO勝利。続く10月の試合でも韓国のキム・デファンを相手に1Rに右手を骨折しながらも判定勝利。2020年11月に約1年ぶりの試合で韓国のキム・キュソンと対戦し、右ストレートで1R KO勝ちを収めている。現在3連勝中で、今回は半年ぶりの試合となる。
対するフライ級5位のマクラーレンは、元世界タイトルマッチ挑戦者。2016年12月にONEバンタム級(※65.8kg)で王者ビビアーノ・フェルナンデスに挑戦し、スプリット判定で敗れ王座戴冠はならなかった。その後、ケビン・ベリンゴンにも敗れるも、ONEフライ級(※61.2kg)でアナトポン・ブンラッドにダースチョークで一本勝ち。その後もジアニ・スッバを肩固めで極め、和田竜光に判定勝ちと3連勝。カイラット・アクメトフとダニー・キンガドには判定で敗れたが、2019年12月にゲイリー・マンガットにリアネイキドチョークで一本勝ちし、再起を遂げると、2020年10月にはMMA7勝無敗だったアレクシ・トイヴォネンを1R、強烈な右ヒザ蹴りでKOに沈めている。
ランクでは若松より下位ながら、上位陣と遜色ない強さを見せているマクラーレン。豪州クリスマス島でムエタイやボクシングを習い、17歳でクィーンズランド州カチMMAでジョン・ウィル&マチャド柔術の黒帯ジェフ・ペリーから柔術も修得。ゴールドコーストのPUMMAでMMAファイターのキャリアを積んできた。
グラップリングベースながら、近年の打撃の進化は目覚ましく、トイヴォネン戦では、強いカーフキック、サウスポー構えにスイッチしての左ミドル、さらにオーソドックス構えに戻して左レバーブロー、左から右のワンツー、首相撲からのヒザ蹴りでのフィニッシュと、強い組みの圧力を活かした打撃が大きな武器となっている。2020年11月には豪州「The ETU Cup」でボクシングルールにも挑戦し、3R KO負けもコンスタントに試合をこなしている。
フライ級王座挑戦権を獲得したい若松にとっては、避けて通れず、そして落とすことができないカードだ(※2021年4月7日に王者アドリアンーノ・モラエスとGP覇者デメトリアス・ジョンソンが対戦)。
4月22日大会出場が決定した若松は、「マクラーレン選手は、この間のKOも良かったし、ダニー・キンガッド戦でも劣らない試合(スプリット判定)だと思っていて、ONEフライ級のトップ3には入っているような、レベルが高い相手だと思います。王者になるまでに必ず倒さないといけない相手だと思っていたので、意識して練習していました。 試合のオファーを聞いた時は、以前からずっと『マクラーレンと戦いたい』と言っていたので絶対来ると思っていたから、“ほら来たか。準備は出来ているぞ!”と言う気持ちでした」と、マクラーレンを上位陣に引けを取らない実力者と評価し、対戦を想定して準備を進めていたことを語っている。
現在のコンディションは、「満遍なく色々な練習が出来ていて怪我もなく良い調子です。これからも追い込みですが、基本的に普段から追い込んでいるようなものなので、試合まで大きな怪我をしないでベストコンディションでいこうと思っています」と語り、試合に向け、「もっと知らない若松佑弥を魅せたいと思っています。ただ、今回もすぐに相手を沈めて終わるかもしれないです。相手はきっと必死で組んでくると思いますが、何も通用しないところを見せて勝ちますので、楽しみにしていて下さい。日本にはこんな強い奴がいるんだと世界に知らしめるような闘いをします!」と、マクラーレンの組みを断ち切ってKOすることを宣言した。
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上久保「間違いなく厳しい試合になるがサバイブする」
一方、ONEバンタム級5位の上久保は、MMA7勝1敗のトロイ・ウォーセン(米国)と対戦する。
ウォーセンは、レスリングベースで柔術茶帯。セントラルフロリダ大学に在学中、全米大学レスリング協会(NCWA)の王者にも輝いている。2005年にMMAデビューし4連勝後、2018年に「Evolve MMA」のトライアウトに合格。シンガポールに移り、フルタイムファイターとなり、ONEで3連勝。
2020年2月にはマーク・アベラルドにも判定勝ちでMMA7連勝をマークしたが、2020年12月の前戦では、ユサップ・サーデュラエフの後半の打撃に苦しみ、判定負けで、初黒星を喫した。組み技を得意とするが、サウスポー構えから繰り出す左の蹴りは軌道が分かりにくく、注意が必要だ。
MMA11勝1敗1分けの上久保は、2018年7月のONE初参戦から4勝負け無し。前戦は2019年11月にブルーノ・プッチに判定勝ちを収めており、今回は1年4カ月ぶりの試合となる。
その間、TRIBE TOKYO M.M.Aやロータス世田谷でもグラップリングの猛者たちと練習を積んできた上久保は、グラップリング大会「FINISH」で寒河江寿泰とドロー、柔術でデラヒーバ杯の紫帯フェザー級で優勝するなど、積極的に試合機会を得てきた。2018年11月のムハマド・アイマン戦以来となる2年5カ月振りのケージ使用のONEで、ウォーセンをも「永久寝技地獄」に巻き込むか。
ONEバンタム級の王者はビビアーノ・フェルナンデス。1位の元UFCジョン・リネカーは、4月28日大会でMMA14勝2敗のスティーブン・ローマン(チームラカイ)と対戦し、2位はファブリシオ・アンドラジに敗れた佐藤将光、3位にケビン・ベリンゴン、4位には2019年8月に上久保との試合が組まれるも、上久保が直前で現地のメディカルチェックが通らずキャンセルとなったユーサップ・サーデュラエフがランクされている。
3戦連続で判定で白星を掴んでいる上久保にとって、勝利こそが上位進出の絶対条件。強豪相手にどんな試合を見せるか。
1年4カ月ぶりの試合に向けた日々を、上久保は「コロナ禍が始まり、世界の人々が危険に晒され、多くの国でロックダウンが行われ、日本も緊急事態宣言や外出自粛などをせざるを得ない状況が今も続いています。 僕はそういった状況にありながらも格闘技のトレーニングは可能な限り続けてきました。
それは格闘技が好きで、自身が成長できている実感こそが生きている楽しさの一つだったからです。ただ、それは実際には世間からすれば大変に我儘な事である事も承知していて、家族や友人などにも負わせるリスクを考えると“すぐにでも試合がしたい”という気持ちにはなりませんでした。格闘技のトレーニングを続ける事は正しくないと自覚しながらも家族や友人との接触を断ち、自身の我儘を押し通す日々でした」と吐露。
続けて、「世界の現状とそれに伴う人々の動きを見守りながら自分の中にある『正しさ』と『欲求』の矛盾との葛藤をする日々でした。ただ、松嶋こよみvs.ゲイリー・トノンを見て熱くなる自分がいましたし、自分の中で折り合いを付けて納得できるタイミングがくればベストを尽くす試合がしたいと思うようになりました。そのために一定の期間、様子を見てきて、万が一自分がコロナの陽性になってしまった場合の対応も確認しつつ強くなるための時間を過ごしてきました。」と、心と身体の準備を進めてきたことを語っている。
対戦相手のウォーセンについては、「今回の相手は強いです。前戦(サーデュラエフ戦)は判定負けながら、勝っていてもおかしくない試合だったと思いますし、(今回は)間違いなく厳しい試合になると思います。 オファーが来た時は、“僕が乗り越えていかなければならない壁になる素晴らしい選手が来た”と思いました。自分が弱い事は誰よりも知っているので、一生懸命に頑張る事しか手段は残されていません。ベストを尽くしてサバイブします!」と意気込みを発表している。
ほか、4週にわたる「ONE On TNT」シリーズの対戦カードは以下の通り。ヘビー級でマーカス・“ブシェシャ”・アルメイダがMMAデビューするほか、ライト級で連勝しながらも前戦でマラット・ガフロフにスプリット判定負けし、今回が再起戦となるローウェン・タイナネス(米国)が、同じく連勝からティモフィ・ナシューヒンに判定負けし再起を目指すピーター・バウシュト(オランダ)と対戦するなど、好カードが並んだリードカードにも注目だ。
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ONE on TNT 1
4月8日(木)午前9時30分(日本時間)
▼ウェルター級 5分3Rタイラー・マグワイア(米国)レイモンド・マゴメダリエフ(ロシア)
▼キックボクシング ヘビー級 3分3Rラーデ・オパチッチ(セルビア)パトリック・シミッド(スイス)
▼ヘビー級 5分3Rメフディー・バルギ(イラン)オマール・ケイン(セネガル)
【既報カード】
▼ONE世界フライ級選手権試合 5分5Rアドリアーノ・モライシュ(ブラジル)デメトリウス・ジョンソン(米国)
▼ライト級 5分3Rエディ・アルバレス(米国)ユーリ・ラピクス(モルドバ)
▼ムエタイ フライ級 3分3Rロッタン・ジットムアンノン(タイ)ジェイコブ・スミス(英国)
ONE on TNT 2
4月15日(木)午前9時30分(日本時間)
▼ヘビー級 5分3Rダスティン・ジョインソン(カナダ)イスラム・アバソフ(ロシア)
▼ムエタイ バンタム級 3分3Rポンシリ・PK・センチャイムエタイジム(タイ)リアム・ハリソン(英国)
▼ヘビー級 5分3Rマーカス・“ブシェシャ”・アルメイダ(ブラジル)カン・ジウォン(韓国)
【既報カード】
▼ONE世界ライト級選手権試合 5分5Rクリスチャン・リー(米国)ティモフィ・ナシューヒン(ロシア)
▼フェザー級 5分3Rマーティン・ニューイェン(豪州)キム・ジェウォン(韓国)
▼女子ムエタイ 3分3Rワンダーガール・フェアテックス(タイ)アンバー・キッチン(英国)
ONE on TNT 3
2021年4月22日(木)午前9時30分(日本時間)
▼フライ級 5分3Rリース・マクラーレン(豪州)若松佑弥(日本)
▼キックボクシング フェザー級 3分3Rチンギス・アラゾフ(ベラルーシ)エンリコ・ケール (ドイツ)
▼バンタム級 5分3Rトロイ・ウォーゼン(米国)上久保周哉(日本)
【既報カード】
▼ヘビー級 5分3Rアミル・アリアックバリ(イラン)アナトリー・マリキン(ロシア)
ONE on TNT 4
2021年4月29日(木)午前9時30分(日本時間)
▼ライト級 5分3Rローウェン・タイナネス(米国)ピーター・バウシュト(オランダ)
▼ムエタイ フライ級 3分3Rジョナサン・ハガティー(英国)エリアス・マムーディ(フランス)
▼女子フライ級 5分3Rコルビー・ノースカット(米国)ソヴァナリィ・エム(カンボジア)
【既報カード】
▼ミドル級 5分3Rアウンラ・ンサン(米国)ヴィタリー・ビグダッシュ(ロシア)
▼ライト級 5分3R青木真也(日本)セージ・ノースカット(米国)
▼バンタム級 5分3Rジョン・リネカー(ブラジル)スティーブン・ローマン(フィリピン)