ニュージャパンキックボクシング連盟「NJKF 2021 1st」2021年2月12日(金)東京・後楽園ホール
▼ダブルメインII スーパーファイト 61.3kg契約 3分5R〇健太 (E.S.G/元WBCムエタイ日本統一ウェルター級王者)判定2-0 ※49-49、49-48×2×高橋一眞 (真門ジム/NKBライト級王者)
NJKFを代表する選手として『ONE Championship』など世界を舞台に戦った健太だが、現在は1年半に渡って勝ち星から遠ざかっており、白星は2019年6月のNJKF後楽園大会、ジョー・セイシカイ戦までさかのぼる。2020年10月にはキャリア最軽量となる62kg契約戦(元々は67~70kg)を戦ったが高橋亨汰に判定負け。12月27日にはホーストカップ日本スーパーライト級タイトルマッチで小川翔1に敗れた。96戦目となる今回はそれをさらに下回りほぼライト級となる61.3kg契約。
高橋は日本キックボクシング連盟の看板・高橋三兄弟の長兄で、“怒突き合いお兄ちゃん”の異名通り常にド突き合いのファイトを展開。16勝のうち13勝がKOという倒し屋だ。前戦は2020年9月、『KNOCK OUT』でスアレックを相手に延長戦までもつれ込むもTKO負けしているが、2019年5月には健太に勝利した小川翔からもTKO勝利を上げている。
1R、インローの蹴り合い。健太は変則的なハイキックを放つ。高橋はカーフキックを織り交ぜる。健太は左右ミドルを蹴ってローにつないでいく。
2R、健太も負けじと右カーフキック、高橋は前足を内外から蹴り、カーフも蹴る。右足がすでに真っ赤な健太は時折構えをスイッチ。健太は右ストレートをヒットさせるが、かなり強いローを前足にもらった。
3Rはローの蹴り合いの中で両者とも強いパンチを増やす。互いに右ストレートを繰り出すが、両者とも空を切る。ロー、ミドルを散らしてパンチを当てようとする両者の駆け引き。カーフキックは両者とも基本的に後ろ足重心であるためと、カットもするため致命傷には至らない。
4R、健太はパンチをガードさせての縦ヒジ。後ろ蹴りも繰り出すがこれはローブローに。高橋は強いローを蹴り続け、健太のバランスを崩す。健太の右ストレートがヒット、高橋も左フックを返す。蹴り足をキャッチした健太が右ヒジを当てると、高橋も右ヒジを返した。
5R、高橋は右ローを連打。健太はパンチで対抗する。左右フックとヒジで打ち合いを挑む健太だが、高橋は打ち合わずに右ローを蹴る。猛攻を見せる健太に高橋はガードを固めてヒジを打つ。健太のフック&アッパー、高橋のヒザ。健太は右アッパーを連打する。最終ラウンドは健太が怒涛の攻めを見せた。
判定は2-0で健太が辛勝。1年半ぶりの勝利を喜び「2021年一発目のメインで、つまらない試合にしてしまいましたが、キックボクシング界、格闘技界、コロナに負けずにいい年にしていきたいと思います。これから一緒に盛り上げていきます」と、ここからがスタートだと語った。
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▼ダブルメインI NJKF 60kg契約 3分3R×国崇 (拳之会/WKAムエタイ世界フェザー級王者)KO 2R 2分53秒 ※右ストレート〇琢磨 (東京町田金子ジム/元WBCムエタイ日本統一スーパーフェザー級王者)
40歳の国崇はこれが99戦目(55勝36KO40敗3分)となる大ベテラン。2019年中に目標でもある大台の100戦到達が期待されたが、コロナ禍のため2020年3月のジョナサン・セライ戦(判定勝ち)以来の試合となり、仕切り直して2021年の100戦到達を目指す。
対する琢磨はパンチが武器で、2017年2月にNJKFフェザー級王座を獲得。同年11月にはWBCムエタイ日本王座にも就いたが、2019年2月に葵拳士郎に敗れて王座を失った。『ONE Championship』で活躍するMOMOTAROに通算2勝1敗と勝ち越しているが、11月に新鋭・羅向にダウンを奪われ判定負けを喫しており、名誉挽回と復活を懸ける。
1R、琢磨はローとボディを当てていき、国崇は左フックを狙う。琢磨のワンツー、右ストレートがヒットするが、国崇は右ローを蹴っていく。琢磨のパンチの連打から右ローで大きくバランスを崩す国崇。ロープを背にして右ストレートを返す。
2R、琢磨のワンツー&右ローに押されながらも、ヒジ、右ストレート、左フックを返す国崇。ジャブをまともにもらい、下がると右ストレートも喰らう。顔面を打たれる国崇は必死の形相で反撃に転じるが、右ストレートを直撃されてダウン。その直後にも右ストレートでダウンを喫し、立ち上がれる様子ではなくレフェリーはストップ。琢磨のKO勝ちとなった。
琢磨はマイクを持つと「レジェンドの国崇選手、ありがとうございました。戦えて嬉しいです。どんどんチャレンジして、こういう状況を受け入れるしかないので、受け入れて前に進んでいかないといけないと思います」と語った。
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▼第7試合 セミファイナルⅡ NJKFスーパーフェザー級王者決定戦 3分5R×HIRO YAMATO (大和ジム/NJKFスーパーフェザー級1位)延長R 判定0-3 ※9-10×3〇梅沢武彦 (東京町田金子ジム/NJKFスーパーフェザー級2位)※梅沢が新王座に就く。本戦の判定は48-49、49-49、49-49。王座決定戦のため延長戦、公式記録は本戦ドロー。
HIROは小学生でキックボクシングを始め、高校生でプロデビュー。蹴りを中心としたムエタイスタイルで、MAX MUAY THAI GLOBAL FIGHT 62kg級王座を獲得。戦績は11勝5敗2分。前戦は12月の『ホーストカップ』で元NJKFスーパーフェザー級王者・大輔に左ハイキックからの右フックで初回TKO勝ちを収めている。
梅沢は2019年12月の『BOM』でリク・シッソーに挑戦し、2Rに右ハイでダウンを奪うとその後は左ミドルで圧倒、4Rには飛びヒザ蹴りをさく裂させてKO勝ち。WMC日本スーパーフェザー級王座を奪取したが、12月の『BOM』で優吾・FLYSKYGYMに判定負け。王座を失ってからの再起戦となる。
1R、ローとミドルを蹴り合って首相撲でのヒザ合戦となる両者。左ボディを空振りしたHIROに梅沢が右フックを打ち込む。
2R、梅沢の蹴りにジャブ、左フックを合わせにいくHIRO。前に出るHIROを梅沢は左右フックで迎え撃つ。前に詰めたいHIROとそれをさせない梅沢。HIROが飛び込んでの左縦ヒジを繰り出す。
3R、互いに右のパンチとローを当て合い、相手をコーナーへ詰めるとヒジを打つ。譲らない展開。
4R、前へ出てくるHIROに右をヒットさせる梅沢だが、HIROは組み付いてヒジ、ヒザ。組み際に梅沢の右フックがヒットし、腰を落としたHIROだがこれはノーカウント。
5R、勝負を懸けるHIROは梅沢にロープを背負わせての打ち合いを挑む。梅沢もこれに応えて打ち合いに。しかしその後は組み合いが多くなり、組んでのブレイクが続く。判定はドローで延長戦へ。
ミドルの蹴り合いから組んでのヒザ、そして足を止めてのパンチと互角。梅沢がセコンドの声に応えるように手数を出す。判定は3-0で梅沢の勝利。新王座に就いた。
梅沢はマイクを持つと「皆さんの応援があって僕らはリングに立っています。HIRO選手には2年前に戦ってボコボコにやられて怖かったんですけれど、HIRO選手を倒さないとこのベルトは巻けないと思っていたので今日は良かったです」と喜びを語った。
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▼第6試合 セミファイナルⅠ 交流戦 57kg契約 3分3R〇日下滉大 (OGUNI-GYM/NJKFスーパーバンタム級3位)判定3-0 ※30-29×2、30-28×リョウ太郎 (=リョウは獣へんに尞/DTS KICKBOXING GYM)
日下は175cmとこの階級では長身のサウスポーで、2015年4月のプロデビューから7連勝。2017年6月には玖村修平とNJKFバンタム級王座決定戦を争ったこともあり、その後も同タイトルに挑むも王座獲得に至らず足踏み状態が続いている。左ミドルキックが得意。リョウ太郎とは2015年7月の2戦目で対戦しており、2Rと3Rに左ストレートでダウンを奪った日下が判定勝ち。約6年ぶりの再戦となった。
1R、勢いよくローを蹴るリョウ太郎に日下はワンツーからのヒザ蹴り連打。リョウ太郎が右ストレートをヒットさせていくが、日下もすぐに反撃。リーチで優る日下はワンツー、左ミドル。リョウ太郎は左フックも繰り出すが、射程距離の長い日下のストレートとミドルをもらう。
2R、日下は左ミドルと左右ストレートの連打でリョウ太郎を入らせず、近付くと組み付いてのヒザ蹴り。左ストレートをもらって仰け反るリョウ太郎。離れてストレートとミドル、近付くと組んでのヒザと日下のペースで試合は進む。
3Rも同様の展開。日下の長い手足を利した戦い方にリョウ太郎はペースをつかめず、ヒジ、右ストレートを単発で当てるも思うような攻めを出せないまま試合終了。日下の判定勝ちとなった。
日下は「自分は6月タイトルマッチが決まっていて、今まで3回失敗していますが、こういう状況で戦っている人たちに見てもらいたい」とメッセージを送った。
▼第5試合 ミネルヴァ スーパーバンタム級 2分3R〇KAEDE (LEGEND/ミネルヴァ スーパーバンタム級2位)判定3-0 ※29-27、29-28、29-27×櫻井梨華子 (優弥道場/第3回・第5回K-1マチュア女子55Kg全日本優勝)
KAEDEはアマチュアで6つのタイトルを獲得してプロ入り。2020年10月の新日本キックでは七美にワンツー、鋭いヒザ蹴りを駆使して好試合を制している。戦績は3勝1敗。前日計量で250グラムオーバーしたため減点1からのスタート。
櫻井は元全日本キックボクシング連盟ウェルター王者にして、K-1 WORLD MAX 2009世界トーナメント第3位の実績を持つ山本優弥率いる優弥道場に所属し、第3回・第5回K-1アマチュア全日本大会チャレンジ女子Bクラスにて2回優勝しプロデビュー。2020年11月の『BOUT』でKINGレイナとの因縁の再戦を制した熊谷麻理奈から勝利を奪っている。プロ戦績は2勝2敗。
1R、KAEDEは手を合わせると同時にインロー。ローを蹴っていくKAEDEに櫻井はパンチ主体の攻撃。KAEDEが左ミドルからのバックハンドブロー、櫻井は軽快なステップを踏んで入り込んでくる所に右ストレートを合わせに行くが、KAEDEに組まれてコカされる。
2R、出会い頭の右フックをヒットさせる櫻井。ステップを踏みながら左右に構えをスイッチさせて右ストレートを打つ。KAEDEは組み付いてのヒザ蹴り。KAEDEのバックハンドブローが奇麗にヒット。櫻井も負けじとジャンプして飛び込んでの右フック。
3R、飛び込んでの右をヒットさせる櫻井にKAEDEは蹴りから組み付いてのヒザ蹴り。一発目はもらうKAEDEだが、すぐにワンツー、右ミドルで反撃。最後は突進する櫻井にKAEDEがバランスを崩して倒れたが、減点を挽回して判定3-0でKAEDEが勝利した。
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▼第4試合 NJKFバンタム級王者決定戦トーナメント1回戦 3分3R×鰤鰤左衛門 (CORE/NJKFバンタム級5位)TKO 3R 2分09秒 ※セコンドからのタオル投入〇池上侑李 (岩崎道場/NJKFバンタム級6位)※池上が決勝戦に進出。
鰤鰤は奇抜な入場シーンからトリッキーな戦法で相手を翻弄するNJKFの名物選手。38歳。池上は高校生でプロデビュー、2019年12月にはNJKFフライ級王者・松谷桐に挑戦したが判定負けで王座奪取ならず。まだ20歳の新鋭だ。
1R、勢いよく飛び出した鰤鰤は前蹴り。回り込んで動き、池上に追い詰められると組み付いてヒザに持ち込む。池上は左フックから右ストレート、右ローと攻めるが組み付かれる。リングを大きく使う鰤鰤も大きなパンチで対抗するが、池上のコンパクトなパンチをもらう。
2Rも動き回る鰤鰤を追いかける池上。鰤鰤の大きな右フックをもらうが、右ミドルや右ストレートを命中させる。下がりながらも右ストレートを打つ鰤鰤に池上は右ヒジを繰り出すがヒットは奪えず。
3R、両手を広げて“来い”と誘う池上。右ストレート、テンカオ、左右フックで一気に攻め込んでいくが、鰤鰤はリングいっぱい回り込む動きを止めない。池上の左ヒザがアゴに決まり、鰤鰤はダウン。立ち上がろうとするも足がもつれ、セコンドからタオルが投入された。
▼第3試合 NJKF 65kg契約 3分3R×JUN DA LION (E.S.G/NJKFウェルター級3位)判定0-2 ※29-30、29-29、28-30〇マリモー (キングジム/NJKFスーパーライト級4位) 1Rから前に出るマリモーがローから左右フックで前進。JUNはノーガードで挑発しながら右ジャブ、左ストレート、前蹴りで距離を取る。2Rも手数の落ちないマリモー。JUNはジャブ、ストレートで突き放すが、マリモーの前進は止まらない。3Rも手数で上回るマリモー。JUNはカウンターのヒジを決めてカットに成功したが、マリモーの勢いは止まらない。判定でマリモーが勝利した。
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▼第2試合 ミネルヴァ ライトフライ級 2分3R〇真美 (Team Immortal/ミネルヴァ ライトフライ級3位)判定3-0 ※29-28×3×ERIKO (ファイティングラボ高田馬場/ミネルヴァ ライトフライ級6位)
真美はミネルヴァとJ-GIRLSで活躍し、強い右のパンチを武器にガンガン前へ出てプレッシャーをかけるパンチ主体の女子ファイターだ。2020年6月の『Krush』では高梨knuckle美穂にダウンを奪われて敗れたが、相打ち上等のスタイルで前に出続けた。12月の『Girls Bravo』では女子プロレスラーのデボラKを2RでKOしている。6勝(3KO)3敗の選手。
ERIKOは、普段は派遣OLでダイエット目的で3年前からキックボクシングを始めた。2019年9月の『RISE』でプロデビュー。同じくプロデビューのAKARIに序盤からパンチでの打ち合いを仕掛け、判定3-0で敗れたものの激しいファイトを展開。2020年12月の『REBELS』では2戦2勝とホープの女子大生キックボクサー・山上都乃を3R57秒、ヒザ蹴りでKOした5勝(3KO)1敗の戦績を持つアグレッシブスタイルの女子だ。 1Rから接近戦でガンガン打ち合う両者。ERIKOはボディブローから左右フックを交ぜ、真美はパンチの打ち終わりに右ミドルを入れていく。2Rも足を止めての打ち合いを見せる中、真美は組んでのヒザ蹴りで徐々に優勢を印象付ける。3Rも接近戦で激しくパンチを交錯させる展開となり、僅差の判定で真美が勝利。
▼第1試合 ミネルヴァ スーパーフライ級 2分3R×佐藤”魔王”応紀 (PCK連闘会/NJKFウェルター級3位)判定0-2 ※29-30×2、29-29〇ルイ (クラミツムエタイジム)
佐藤は東北の格闘技イベント『聖域』(サンクチュアリ)で、アマチュアの聖域チャレンジ女子フライ級王者となり、2019年11月には芳美(OGUNI-GYM)からダウンを奪ってプロの聖域東北女子フライ級王者となった。2019年6月には祥子・JSKをKOしたこともある。前戦は2020年12月の『REBELS』でIMARIに判定で敗れ、再起戦となる。
ルイはこれまで『MuayThaiOpen』や『スックワンキントーン』などムエタイルールの試合を行ってきた選手で、戦績はなんと4勝(3KO)無敗。前戦は2020年9月の『スックワンキントーン』でヒジでカットしてのTKO勝ちを収めている。ヒジ打ち禁止のミネルヴァルールでも無敗記録を守れるか。 1Rから接近戦でガンガン打ち合う両者。ERIKOはボディブローから左右フックを交ぜ、真美はパンチの打ち終わりに右ミドルを入れていく。2Rも足を止めての打ち合いを見せる中、真美は組んでのヒザ蹴りで徐々に優勢を印象付ける。3Rも接近戦で激しくパンチを交錯させる展開となり、僅差の判定で真美が勝利。