2021年1月31日(日)、竹芝ニューピアホールにて「PROFESSIONAL SHOOTO 2021開幕戦 Supported by ONE Championship」が開催された。
第2部、夜大会では、メインでSASUKE(王者・初防衛戦/マスタージャパン)が内藤太尊(同級5位/roots)を2R リアネイキドチョークで極め、環太平洋フェザー級王座初防衛に成功。「修斗の王者は1人だけじゃない。あっちが下りて来ないならこっちから行く。(修斗世界フェザー級王者の)斎藤裕を最初から狙っていたのは俺。世界に行くには日本一を倒せばいい」と、RIZIN参戦をアピールした。
また、第1試合では、UFCから修斗に復帰を果たした石原夜叉坊(KING OF FREE)が、元環太平洋王者の祖根寿麻(ZOOMER)と対戦。試合勘に分のある祖根が打撃戦を制し、判定勝ちしている。
▼メインイベント 第5試合 環太平洋フェザー級チャンピオンシップ 5分3R
○SASUKE(王者・初防衛戦/マスタージャパン)
[2R 2分34秒 リアネイキドチョーク]
×内藤太尊(同級5位/roots)
※SASUKEが初防衛に成功
環太平洋フェザー級新王者のSASUKEが早くも初防衛戦に臨む。怪我により3年を越えるブランクを経て、2019年12月に復帰すると破竹の四連勝を飾り、2020年9月に仲山貴志との激戦を制し、悲願のタイトルを奪取したSASUKE。
試合後には空白の期間を思い返し「格闘技を嫌いになってしまえばどんなに楽だったか」と思いの丈を吐露。修斗フェザー級世界王者にして、RIZIN同級王者にも輝いた斎藤裕に対し、宣戦布告もしている。西浦ウィッキー聡生をドミネートした組み技、仲山貴志を下した打撃の圧力を発揮し、15分間攻め続けることができるか。
【写真】大外刈でテイクダウンを奪うSAUSKE。柔道の足技に加え、ダブルレッグなど上下で組んで倒せる強みを持つ。
そのSASUKEに挑戦するのが、同級5位の内藤太尊だ。極真カラテ全米選手権を制したフルコンタクト空手仕込みの打撃を武器に、師匠佐藤ルミナ譲りのアグレッシブなファイトスタイルを信条としている。2019年3月に工藤諒司に判定0-2で敗れたものの、2019年7月の前戦ではRIZINに参戦した青井人に2R KO勝ちで再起。今回の環太平洋フェザー級チャンピオンシップに漕ぎつけた。
空手仕込みの離れ際のハイキック、工藤をダウンさせた歩いて突く左右の連打。何より最後まで勝負を諦めない心のスタミナに長けている。
今回のタイトル戦には受け継がれるべき系譜がある。遡ること15年前。2005年に制定された環太平洋タイトルの初代王者となったのがroots代表“修斗のカリスマ”佐藤ルミナだった。そして、その意思を引き継ぎ、第4代王者としてこのベルトを巻いたのが、2020年に惜しまれながらも現役を退いた土屋大喜だ。
毎年ニューカマーが誕生し、歴史が紡がれてゆく修斗。受け継がれていくレガシーを継ぐのは内藤太尊か? それともSASUKEが更なる一歩を踏み出すのか? この戦いこそがまさに修斗の“ルーツ”だ。
1R、ともにオーソドックス構え。右のカーフキックはSASUKE。内藤はオーソから左ミドルを返す。スタンスを狭くした内藤に再びカーフキックはSASUKE。続けて今度は右フックと上下に散らす。内藤も右を入れ、左ミドルも自らバランスを崩して尻餅。すぐに立ち上がる。
速い右ローはSASUKE。内藤も中間距離から左フックの飛び込み! いったん下がったSASUKEは距離を作り直し、3度目のカーフキック。上体を立てた内藤は右ジャブを返す。
左ミドルを腹に当てる内藤。その蹴り足を掴むSASUKEに右フックを入れて足を抜いて離れる。右ローのSASUKEに、同じく右ローを返してすぐに右を打つ内藤。左ミドルの打ち終わりに互いの右が交錯する。そこで回転を速めたのは内藤。3連打で前に出るも、近づいて大外刈はSASUKE! サイドを奪うが、すぐに立ち上がる内藤の片足を掴んで、その放し際を詰めて行く。
金網際で今度は大内刈テイクダウンはSASUKE! ガードの中に入れる内藤は細かいパンチを入れて立ち上がるが、その立ち際に左で差して左のヒザを連打するSASUKE。右で小手に巻き半身の内藤にヒザ蹴り。内藤は払い腰で崩すとSASUKEは離れる。
スタンド再開。左から右を振り右ストレートを当てる内藤! そのまま歩いて左の蹴りまで繋ぎ、前に出るが、そこにカウンターのシングルレッグテイクダウンはSASUKE。上でも下でも組めるのがSASUKEの強み。金網まで這う内藤は上体を立てるが、その立ち際をSASUKEがバックに回りブザー。
2R、SASUKEの右ローに合わせて左で飛び込む内藤。しかし下がりながらSASUKEは左フック! 後退する内藤にさらに左を当て、もう1発左フックで内藤がヒザをマットに着く。左右を振って組んで小外がけテイクダウンはSASUKE! ニーシールドから金網背に立ち上がる内藤だが、そこにバックを狙いつつ左ヒザを突き上げるSASUKE。正対した内藤は突き放す。
スタンド。右をスイングするSASUKE! さらに左前蹴りでバランスを崩すと内藤に入りに右ストレート! 内藤が下がると左ミドルハイまで繋ぐ。金網に詰まり左ミドルを打つ内藤だが、その蹴り足を掴んだSASUKEが押し込みテイクダウン! 内藤の立ち際に左ヒジを突く。
今度は内藤が右ロー。しかしそこに左ジャブを合わせるSASUKE。またも内藤はローを当てるが、しっかり左ジャブを合わせるSASUKE。鼻血は内藤。ワンツーで前に出た内藤を首相撲にとらえたSASUKEは右ヒザ! ダウンした内藤にSASUKEはパウンドラッシュ。亀になる内藤のバックに回り、ハーフバックからリアネイキドチョークを極めてタップを奪った。勝利にケージを駆け上がったSASUKEは「俺が修斗のチャンピオンだ! 見たか、コラッ」と絶叫。
初防衛に成功し、腰に環太平洋のベルトを戻したSASUKEは、ケージの中で「第11代環太平洋王者のSASUKEです。内藤選手、向かい合ったときからスゲーいい男でした。怪我して試合が出来なかったときに、内藤選手の試合見ていて、すごいファンだったんですよ、大好きです。内藤選手に大きな拍手をしてください」と挑戦者の健闘を讃えた。
続けて、「僕も27歳になってしまうので、世界を見据えて戦う残された時間は短いでしょう。令和の修斗伝承者は、修斗の世界王者は1人だけじゃないです。チャンピオンが降りてこないなら俺がそっちに行きます」と、世界王者が参戦中のRIZIN出場をアピール。「路上の伝説? K-1の申し子? 全部眼中にねえよ。斎藤裕を最初から狙っていたのはこの俺だ。世界に行くには日本で一番強いフェザー級を倒せばいい。そういうことでしょ。その腰に輝く金の(RIZINの)ベルトが世界への手土産に必要だから、四角いリングで日本国民を巻き込んで“修斗伝承”マッチやりましょう。俺は絶対そこまでいくんで待っててください」と、朝倉未来や平本蓮を牽制しながら、斎藤裕チャンプへの挑戦を訴えた。
最後に「日本のフェザー級、修斗のフェザー級、みんな俺には勝てないよ。なぜなら俺は修斗を愛しているから」と、修斗世界バンタム級王者の岡田遼の決め台詞をフェザー級で復唱したSASUKE。果たして、RIZIN参戦は実現するか。