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レポート

【Krush】加藤虎於奈が王座奪取、レオナ・ペタスと初の兄弟同時王者に

2021/01/23 22:01
「Krush.121」2021年1月23日(土)東京・後楽園ホール ▼メインイベント(第7試合)Krushウェルター級タイトルマッチ 3分3R延長1R×山際和希(谷山ジム/王者)判定0-3 ※26-30×2、27-30〇加藤虎於奈(TEAM TOP ZEROS/挑戦者)※加藤が第8代王座に就く。山際は初防衛に失敗。  山際は2009年に全日本学生キックボクシング連盟ウェルター級王者となり、プロデビュー後も順調に勝ち星を積み重ね、2015年6月にBigbangウェルター級王座を獲得。2017年2月まで11連勝を記録した。K-1 JAPAN GROUPには2013年から参戦し、2020年8月の第7代Krushウェルター級王座決定トーナメントで連続KO勝ちして悲願だったKrush王座に就いた。しかし、王者として臨んだ11月の『Bigbang』でFUMIYAにKO負け。戦績は31勝(13KO)15敗4分。  加藤はレオナ・ペタスの弟で、2017年12月にKrushでプロデビュー。左右どちらにも構え、豊富な運動量で動き回る独特な戦い方で戦績は5勝(3KO)2敗。前回11月には松岡力に反則勝ちもダウンを奪うなど押していた。その松岡戦後、タイトル挑戦をアピールしており、今回念願叶った形だ。  1Rは両者ほぼ蹴りのみの攻防に。加藤は強い左右ローを蹴りつつ、右カーフキックを狙い撃ち。このカーフキックが終盤、効果を発揮し始める。山際も右ロー、右ミドルを蹴る。  2R、加藤のワンツーに大きくバランスを崩して後方へ吹っ飛ぶ山際。加藤の右カーフキックにも足が流れて大きくバランスを崩し、加藤は左ハイから右ストレート。加藤がカーフキックを軸にパンチも当てに行った。  3Rは山際が打ち合いを挑み、前に出て右ミドルとワンツーで仕掛ける。これに加藤はクリンチが増えてバテ気味に。流れが山際に傾いてきたかと思われたが、残り1分を過ぎたところで加藤が前蹴りと飛びヒザ蹴りで山際を下がらせ、コーナーに詰めたところで連打を浴びせての右フックでダウンさせ、加藤が大差をつけての判定勝ちで王座を奪取した。  喜びに号泣する加藤は「12月末に兄とスパーして肩を脱臼したりして、めちゃくちゃ不安で。それでも俺は出来ると自分に言い聞かせてここまできて、本当に良かったです。空手の時から支えてくれたお父さん、亡くなっちゃったけれどお母さんにベルト姿を見せられてめちゃくちゃ嬉しいです。兄弟で同時王者は初めてですが、K-1でも王者を目指していきます。たくさん応援してくれる友だちや家族がいて、やっていて本当に良かったと思います。前回変な勝ち方したんですが、タイトルマッチでもう一回松岡(力)選手とやりたいです」と、泣きながらのマイクアピール。  しかし最後は「今日はチャンピオンになったことに浸って、明日からは女の子のために頑張ります」と、しっかりオチをつけた。 [nextpage] ▼セミファイナル(第6試合)Krushバンタム級 3分3R延長1R×松本日向(K-1ジム三軒茶屋シルバーウルフ)判定0-2 ※30-30、29-30、27-30〇壬生狼一輝(力道場静岡)  松本は「格闘代理戦争4thシーズン」(ABEMA)の卒業生でK-1カレッジ2018 -55kg王者。2019年9月のプロデビュー戦と11月の2戦目で共に橋本実生を破り、今年3月には多久田和馬に初KO勝ちして3戦全勝と勢いに乗っていたが、練習後に頭痛を訴え、検査した結果、脳内出血が見られると診断されたためドクターストップ。7月大会を欠場していた。  壬生狼は8月の『Krush-EX 2020 vol.1』でK-1 JAPAN GROUP初参戦。出場選手の負傷欠場を受けた大会直前のオファーながらKRESTの新鋭・倉田永輝から左ボディ、左フック、右ローを中心としたアグレッシブな手数で判定勝利を収めた。その勢いで11月のK-1福岡大会に参戦、7月に松本と対戦予定だった第4代Krushバンタム級王者・晃貴を破る金星を得た。戦績は8勝(2KO)無敗。  1R、お互いにスピードのあるローを蹴り合う展開で松本が右ローをヒットさせていく。松本は左ボディを多用するが壬生狼はそのリターンに連打を返す。蹴りから間合いが詰まると両者フックを繰り出し、どちらのパンチが当たってもおかしくない展開。松本はハイキックやヒザ蹴りを交えていく。  2R、お互いに蹴りからパンチにつなぐ。松本は左ボディと左フックを打ち分けてヒットを奪い、ハイキックも蹴る。壬生狼も負けじとワンツー、左フック。松本は壬生狼のパンチをもらうとクリンチ。松本に先に手を出させてカウンターを打つ壬生狼。  3R、松本がステップインしてのジャブ、打ち終わりの左フックとヒットを奪うが、終盤には前へ出て打ち合いを挑んだ壬生狼のパンチが松本を捉えた。壬生狼の右ストレート、左フックをもらってクリンチする松本。勝負を懸けた壬生狼が打ち勝ったか。  判定はジャッジ1名が30-30でドロー、1名が30-29、そしてもう1名が30-27と大きくバラつき、判定2-0で壬生狼が無敗対決を制した。 ▼第5試合 Krushライト級 3分3R延長1R〇大月晴明(NEXT LEVEL渋谷)KO 3R 1分53秒 ※右フック×明戸仁志(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)  大月は1999年10月デビュー、46歳(試合時には47歳)の大ベテラン。これまでWPKC世界ムエタイライト級王座、第3代Krushスーパー・フェザー級王座、全日本ライト級王座、ISKAムエタイ・インター コンチネンタル・スーパーライト級王座などを獲得し、戦績は42勝(29KO)13敗。“爆腕”と呼ばれる強打を武器に、14連続KO勝ちを飾ったこともある。Krushには2009年3月の『Krush.2』から参戦していたが、2015年1月のレオナ・ペタス戦を最後に離れていた。  明戸は空手仕込みのハイキックや後ろ廻し蹴りを武器に、平塚大士、剣闘士“俊”、島野浩太朗に勝利するも、その後はまさかの5連敗。2018年8月に剣闘士“俊”との再戦に延長戦で勝利したが、2018年11月に“バズーカ”巧樹に敗れ、2019年5月の林将多戦では延長戦の末に判定勝ち。11月のBigbangでは谷山俊樹に判定2-0で惜敗している。戦績は10勝(4KO)12敗。  1R、大月は左右に構えを変えつつロー、ミドルを蹴って誘い、右フックを打ちこんでいく。明戸は蹴りを多用して左ハイを狙う。明戸の左フックを空振りさせた大月は右フックを打ちこみ、明戸はバランスを失うようにして倒れダウンとなる。  2Rは明戸がパンチで前へ出る。大月も迎え撃つが、フックをもらってグラつく場面も。打ち合いになっても明戸は負けておらず、逆に大月をコーナーやロープ際に詰める場面も。明戸のパンチをもらう大月は蹴りで対抗。  3R、前に出てくる明戸にジャブと前蹴り、そして右ローで対抗する大月。明戸の右に右のカウンターをドンピシャで合わせてダウンを奪う。大月はノーガードになって声を上げ、パンチを打ってこいと誘う。執拗に右ローを蹴り、最後はガードを固めた明戸が前へ出てきたところで身体を入れ替えざまに右フックを振り抜き、大月がKO勝ちを飾った。  マイクを持った大月は「久しぶりの試合で1R、だらしないところを見せましたが、47歳ですけれど昭和40年代生まれの人間も練習してやる気さえあれば若いヤツに絶対に負けないので、そういう人たちに夢を与えられればと思っています。おっさんと言われるおっちゃんに…何も考えてない(笑)。今日はありがとうございます」と、最後はグダグダになりながらもメッセージを送った。 [nextpage] ▼第4試合 第5代Krush女子フライ級王座決定トーナメント準決勝(1) 3分3R・延長1R〇壽美(NEXT LEVEL渋谷)判定3-0 ※30-27×3×芳美(OGUNI-GYM)  壽美はKHAOSとKrushで3連勝をあげて2019年8月にヨセフィン・ノットソンと対戦したが、判定で敗れている。12月のK-1初代女子フライ級王座決定トーナメントのリザーブマッチでは真優に判定勝ち、2020年6月のKrushでNA☆NAに判定勝ち。11月のK-1では女王KANAを破る大番狂わせを演じ、今回の優勝候補だ。戦績は9勝(2KO)4敗。  芳美は2005年3月にラスベガスでプロデビュー。J-GIRLSやNJKFでキャリアを積んできたベテランで、近年は黒星が続いていたが2020年1月にエミNFCからダウンを奪って勝利。また、人気番組だった『恋のから騒ぎ』にも出演していた経歴を持つ。  1R、サウスポーの壽美に対して芳美は左右に頻繁に構えをスイッチ。壽美は歩くようにして前へ出て同時に放つ左ストレートを多用。コーナーへ詰めると連打からの左フックで芳美に腰を落とさせる。  2R、左ミドル&左ストレートを巧みに当てていく壽美は、連打で芳美をコーナーへ追い詰める場面が目立つ。パンチを浴びた芳美は消耗が見える。  3Rも左ミドル、左ストレート、右前蹴りで畳みかける壽美。芳美は右ストレート放つが壽美の圧力に下がらされ、壽美の左の攻撃をもらってしまう。  判定はジャッジ三者とも30-27のフルマークで壽美が圧倒的勝利を収めた。これにより、決勝戦は壽美vs真優に決定。両者がリングに上がり、コメントした。 真優「やっぱりプロって試合で魅せなあかんと思うけれど、今日のKOもイマイチやったと反省していて。壽美選手は圧倒的な強さを見せてKANA選手にも勝っているので華が付いていると思いますが、華だけは誰にも負けない自信があります。あと自分に足りないのは試合で魅せることだけなので、リベンジする気持ちより王者になりたいので、そこを目標に4月へ向けて練習します」 壽美「なかなかいい試合が出来なくてやってきたことを出すせなくて悔しいですが、私はここで宣言します。4月、必ずここで王者になります。宣言したからには、そうなるためには練習して必ずベルトを獲ります。よろしくお願いします」 ▼第3試合 第5代Krush女子フライ級王座決定トーナメント準決勝(2) 3分3R・延長1R〇真優(月心会チーム侍)KO 2R 1分15秒 ※顔面前蹴り×NA☆NA(エスジム)  真優は大阪出身の20歳。空手仕込みの蹴り技を武器に、高校生時代の2016年8月には「J-GIRLSフライ級ニューヒロイントーナメント」で優勝を飾った。KANAと壽美に連敗を喫したが、2020年10月に小澤聡子に判定勝ちして連敗から脱出。  NA☆NAは2020年6月にK-1 JAPAN GROUP初参戦。2019年6月にプロデビューし、J-NETWORKで試合経験を積んできた。小柄な体型ながら果敢な打ち合いを挑むタイプ。  1R、真優は前蹴りで距離をとりつつジャブを当てていく。NA☆NAは距離を詰めると回転の速い左右フック。この手数に手が出なくなった真優だが、すぐに立て直して左ミドルと右ストレートで逆襲。  2R、左ミドルを蹴る真優にNA☆NAは回転の速い左右フックで何度もアタックを仕掛ける。真優も負けじと打ち合うが、手数ではNA☆NAが優る。さらにボディへのパンチで真優が下がり、NA☆NAはボディ狙いへ。NA☆NAの連打にクリンチした真優だが、ブレイク後に豪快な左顔面前蹴り、これが見事に顔面へクリーンヒットし、フラフラとするNA☆NAにパンチで追い打ちをかけてダウンを奪う。  そのままカウントアウト、真優が鮮やかなKO勝ちでトーナメント決勝へ駒を進めた。 [nextpage] ▼第2試合 Krushスーパー・フェザー級 3分3R・延長1R〇小倉尚也(スクランブル渋谷)判定3-0 ※30-28×2、30-27×黒田勇斗(K-1ジム心斎橋チームレパード)  1R、序盤は蹴りからパンチに繋ぐ黒田の様子を見ていた感のある小倉。右クロスを狙い撃ちし、左フックにつなげる。黒田のヒザ蹴りもブロックしつつ、圧力をかけてパンチを当てに行く。  2R、前に出て右から左を放つ小倉をワンツー、左ボディ、蹴りで迎え撃つ黒田。小倉の右ボディからのパンチ連打にロープを背負う場面が多く、小倉が右ボディからの左フックでダウンを奪う。  3Rも前に出て左右フックで詰める小倉だが、黒田はヒザ蹴りと左ミドルで迎え撃ち、ワンツー&左ボディも当てていく。小倉が左右フックでアタックを続ける形で試合終了。  攻め続けた小倉が相手に1ポイントも与えずに判定勝ちした。 ▼第1試合 Krushフェザー級 3分3R延長1R〇龍斗(K-1 GYM横浜infinity)延長R 判定3-0 ※10-8×3×圀枝悠太(二刃会)※本戦の判定は29-30、29-29×2  1R、両者ローを蹴る中、龍斗は右カーフキックを狙い撃ち。ワンツーを繰り出す國枝に龍斗は左右ミドル、右ストレートと技を多く繰り出す。  2R,國枝はより前に出てパンチ主体の攻撃を繰り出すが、龍斗はカーフキックを軸に三日月蹴り、右ハイ、前蹴りと多彩な蹴り技を見せる。右ストレートも打ち抜く。  3R、國枝はワンツー、左フック、左ボディとパンチの手数を増やしてヒットを奪う。蹴りで対抗する龍斗だが、國枝のパワーと勢いに下がらされる。本戦の判定はドロー。  延長R、パンチからのローで軽快に攻めていた國枝だが、龍斗の三日月蹴り、前蹴り、ヒザ蹴りによるボディ攻撃で失速。下がる國枝の顔面に龍斗のパンチがヒットし始め、さらにボディを狙った蹴り、バックキックも繰り出して畳みかける。そしてラウンド終了間際に左ハイでダウンを奪い、龍斗が勝利を奪った。 [nextpage] ▼プレリミナリーファイト Krush女子アトム級 2分3R×AIKO(FREEDOM@OZ)判定0-3 ※27-30×3〇紗依茄(=らいか/月心会チーム侍)  紗依茄は大阪府出身の高校1年生で、9月に16歳になったばかり。8月に開催された『K-1甲子園』に出場し、女子ワンマッチで関係者から高い評価を受け、今回のプロデビュー戦が決まった期待のルーキーだ。『K-1甲子園』では前蹴りと右ストレートを伸ばしてクリンチ。ステップで距離を取っての長い攻撃で相手に手を出させず、判定3-0で勝利している。  同じ学校の同級生、『K-1甲子園』に2人揃って出場し勝利を収めているNOZOMIは一足先に10月の『Krush-EX 2020 vol.2』でプロデビューしており、軽快なフットワークから飛び込んでの高速ワンツー、圧倒的なスピードと出入りの速さ、そしてカウンターの技術を存分に発揮してダウンを奪っての判定勝ちを収めている。  AIKOは33歳でプロ戦績は1勝2敗1分。10月の『Krush-EX 2020 vol.2』で、そのNOZOMIのデビュー戦の相手でもあった。  1R、入り込もうとするAIKOにリーチで優る紗依茄は右ストレートと前蹴りで入らせない。カウンターの顔面前蹴りが2度鮮やかにヒットする。  2Rも前蹴りを駆使し、軽快なステップとスイッチでAIKOの突進をかわし続ける紗依茄だが、徐々にAIKOが詰める場面が目立ち始める。左右フックの連打を打つAIKOに紗依茄も打ち合う。  3R、さらに突進を強めるAIKOに追い詰められる場面も多い紗依茄だが、ジャブのカウンターと前蹴りで迎え撃つ。そして前蹴りで突き放したAIKOが再び前へ出てきたところに右ストレートを打ち込み、ダウンを奪った。  判定3-0で紗依茄が勝利。幼少時代からのライバルで、同じ学校の同級生であるNOZOMIに続いてデビュー戦勝利を飾った。
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