MMA
インタビュー

【ONE】DEEP佐伯繁代表から送り出された川原波輝「『行ってこい、頑張ってこいよ』と言ってくれました」&猿田洋祐「日本でストロー級Tやリーグ戦をやっても面白い」

2021/01/21 16:01
 2021年1月22日(金)21時30分から、シンガポール・インドアスタジアムにて開催されるONE Championship「ONE: UNBREAKABLE」で、リト・アディワン(フィリピン)と対戦するDEEPストロー級王者の川原波輝(日本)。  強豪アディワンとの対戦に向け、川原はDEEPの佐伯繁代表と話し合ったこと、盟友・石原夜叉坊とのやりとり、エアリアルヨガやBudokonなどのトレーニング、アディワン戦、そしてONEフライ級戦線等について語った。 「アイツとがっちり打ち合ってKO出来るのは、僕しかいけない」 ──初めてONEでのファイトウィークを過ごしていますが、環境はいかがですか。 「スタッフもホスピタリティも含めて、待遇を良くしてもらって、楽しんでいます!」 ──緊急参戦でのONEデビュー。相手は前戦でスプリット判定で敗れるまで7連勝中だった危険なリト・アディワンとなりました。 「世界チャンピオンになるためにここ(ONE)に来たので相手が誰であろうが問題ないのですが、リト・アディワンを(対戦相手に)当てられて、とてもありがたいです」 ──試合9日前の急なオファーであったかと思います。その中でアディワンとの試合を受けようと思った理由は? 「オファーが来たとき、10秒だけ、ONEの水抜き禁止の計量をやったことが無かったんで悩んでいたら、横にいた石原夜叉坊から『断る理由あんの? 体重だけやろ? いけるっしょ』と言われて、すぐに決めました。9日しかないけど、やることをまず決めた。PCRとかメディカルとか、やることは多かったけど、誰が相手だろうと準備はできています。普段から体重は60kg以上いかないようにしてましたし、越智戦後もすぐに合宿に行きました。いつ(ONEに)出られるか分からないと聞いていたので、カーディオ・スタミナとしては仕上がっていました。  オファーを受けたのは、世界チャンピオンへの道のりが開かれそうだと感じたから。自分がやっている競技で、自分の階級で世界一になりたい。それがUFCだったらUFCだけど、UFCは自分の階級が無いんで、ストロー級が一番集まっているのはONEなので、ONEで世界一を獲りたいです。それと、リト・アディワンも危険ですが、自分も危険だと思っています」 ──アディワンは、自ら詰める攻撃的な打撃と、思い切りのいいサブミッションを仕掛ける選手です。過去の試合を見た印象を教えてください。 「とても良いファイターだと思います。振り回して。KOか一本を狙うスタイルは完全に自分と同じスタイルで。ONEに行ったらリト・アディワンと戦うことがあるのかな、と意識していたので”いきなり来たな”という感じです。ONEで同じ階級でこいつらだったらどう戦うかなと何人かピックしていて、そのうちの1人でした。  とても良いファイターですけど、(彼が)今まで戦って来た相手は自分ではないので、(彼の)今までの話とは関係ないと思います。僕対リト・アディワンの戦績は、0勝0敗なので、過去の戦績とか、誰と戦って来たかとかは自分には関係ないと思っています」 ──アディワンは、北米MMAのセオリーに無い動きを得意としています。連勝してきた強さもある相手に、今回のスクランブル参戦は「賭け」になる部分もありますか。 「そうはなるでしょうね……想定練習に関しては、越智戦のときと比べれば、作戦ばっちりでそいつを倒すための動きばかりをしてきたかというとそうではないですけど、MMAなので、総合的な動きでやれば倒せると思います。今回は急ですけど、これまでチーム・アルファメールで身につけてきた、ハメれるかなという作戦もあります」 ──一発で倒すパンチを振って、投げてはアメリカーナ。相手がバックに回ってくるとキムラを仕掛けてくる。キムラクラッチを取られると厄介です。 「やってくることワンパターンでしょう(笑)。そこは正直、ラカイだからそうなのか、自分の強さでひたすら勝負してくる感じですよね。3カ月前に箕輪選手とやって、そんなに動きややってくることも変わらないと思います。またナメた感じで同じ技をやってくると思っています。そこにしっかりハメます」 ──アディワンとの打撃の相性はどう考えていますか。 「打撃は噛み合うんじゃないですか。倒し合いですよね。絶対に退かないです。日本人のストライカーとして送り出されている以上、絶対に退かずにブッ倒します」 ──アディワン選手の前回の試合、箕輪ひろば戦を見てどう思いましたか? 「(箕輪ひろば戦までは)未知数だったのですが、箕輪選手が修斗のチャンピオンというレベルで“あんな風な戦いになるんだ、いけるな”と思いました」 ──前戦は、箕輪選手のテイクダウンでグラウンドでの戦いになりました。川原選手との試合ではどうなるでしょうか。 「フェイス・トゥ・フェイスで会ったときに決めます。お互い向き合ったときに分かるんで。ただ、完全フィニッシュ、ギブアップをさせます。グラウンドに来たらグラウンドで仕留めます。自分から仕掛けるかもしれないし、とにかくKOか一本、フィニッシュを狙います」 ──川原選手が9日前のオファーで試合に向けての準備が大変だったように、アディワン選手も対戦相手が変わって苦労する部分はあると思います。 「はい、そう思います。お互い条件が一緒だから、頑張ろうぜ、みたいな感じです」 ──今回、セコンドは誰がつくのですか。 「夜叉坊をつけたかったんですけど、夜叉坊も1週間後に試合(1月31日、修斗で祖根寿麻と対戦)で、柴田“MONKEY”有哉も1週間(の隔離で日本を離れる事)は無理と。今回は、PANCRASEに出ている秋葉太樹選手がついてくれます。ふだんは柴田“MONKEY”有哉、金太郎、修斗世界フライ級暫定王者の福田龍彌らと練習しています」 ──盟友の石原夜叉坊選手が同時期に試合になったことについては、どう感じていますか。 「まさか自分が先になるとはホンマに思っていなかったので、夜叉坊のサポートで追い込みに付き合っていて、僕としてはそれが準備という意味でとらえられたから、ちょうどよかったですけど、付き合いつつ、チャンスがあればと追い込み練習の準備をしていて、そこでいきなり先に決まっちゃって。『ゴメン』と言って『どうしよ?』と言ったら、『行けよ』と言ってくれて。  僕もセコンドの重要性をそこで感じて、“あーどうしよう? 誰おるっけ?”と思って。でも、それって夜叉坊も一緒なんですよ。僕とずっと一緒にやってきたから。でも彼はそんなこと一言も言わんと、『GO』としか言わなかったから、そのとき一瞬考えさせられましたね。“絶対、繋ぐからな”って」 ──ONEのストロー級でほかに気にしていた選手はいましたか。 「ボカン・マスンヤネとは、4、5年前に米国に行っていたときに『ストロー級にヤバいヤツがおんぞ』って言っていて、どこかで当たるかなと思っていたらONEに出てきて、コイツとはやる運命なのかなと思います」 ──ONEのストロー級には、1位の猿田洋祐、2位の内藤禎貴、さらに仙三、澤田龍人、箕輪ひろばと日本人選手も多いです。 「強い選手は多いですけど、なんか……外国人選手には心構えというか、理解できないことの方が多くて、日本人がやってこないことをやってくる選手が多いので、マスンヤネもアディワンもそうです。でも日本人にはその怖さは無いんですよね。その意味でアディワンの方が怖さはありますね」 ──上位陣との距離がどのくらいあると考えていますか。 「そんなに変わらないんじゃないですか。猿田さんと越智(晴雄・DEEP同級前王者)さんがやってもそんなに変わらないと思っています。ただ相性的にパシオと猿田さんがやったら猿田さんかなと。パシオは負けると思います。ここから勝っていけるとは思っていないです。猿田さんが強いんで。僕もやるんだったらやるし。一番強いやつがジョシュ・パシオとは思っていないです。この間はたまたま右ハイが──ラカイがやってくるヒザ蹴り軌道の右ミドル──が入って。あれさえ防げば、勝つんじゃないですか」 ──ところで、川原選手が取り組んでいるヨガとブドコンというのは? 「エアリアルヨガは布に乗って股を割かれたりするヨガで、目的は軟体になったり、バランスを取るためのもの。もうひとつのヨガは20年前(2002年)にアメリカの人(キャメロン・シェイン=ヒクソン・グレーシーに柔術、琉球空手、テコンドーなども学ぶ)が作ったbudokon(武道魂)というやつで、ヨガと武道を融合したもの。動きが武道なんです。戦うためのヨガ。戦うためにどうやって身体を繋ぐか、教えてくれます」 ──ONEストロー級世界王者のジョシュア・パシオについてどんな印象をお持ちですか? 「いい選手だなという印象ですが、負ける気なんか1ミリもないです。チャンスがあるんだったら、ぶっ倒します」 ──アディワンに勝って、一気にONEストロー級のトップ5に入りたいと考えますか。 「もちろんです。やらせてもらえるならチャンピオンともやりたいし、自信もあります。ただ、勝ち方によると思っています。前回日本人ファイターがあのような試合をして、ギリギリで勝ちましたが、自分は日本一のストライカーだと思っているので、ぶっ倒してランキングに入ろうと思います。僕にとっては、チャンスです。僕しかいけない、アイツとがっちり打ち合ってKO出来るのは。なんで楽しみです。ぶっ倒して入って、一気にチャンピオンになるつもりです」 ──今回のONE出場の決定に、DEEPの佐伯繁代表はどんな反応でしたか。 「越智さんとの戦いの後に『もう(海外へ)行ってきていいよ』と言われていて、『決まり次第、連絡だけ頂戴』と。それで今回、試合を決まって連絡したら快く『行ってこい、頑張ってこいよ』と言ってくれました」 ──最後にファンへメッセージをお願いします! 「KOか、極め。判定は狙わないです。向こうもそのつもりの選手だし、もう思いっ切りぶつけます。自分が日本で一番、強いストライカーやと思ってるんで、向こうも相当強いストライカーなんで、退かないです。打ち合います。面白いものを見せられると思います。日本人でもいい選手多いですが、僕はスタイルが一味違います。だから僕の試合は面白いと思います。見てください」 猿田洋祐「日本でONEストロー級トーナメントやリーグ戦をやっても面白い」 「川原選手は、DEEPストロー級王者で日本のストロー級トップ選手の1人だと思います。リーチが長くアグレッシブなファイトスタイルの選手。 (ONEストロー級に新たな日本人選手が加わることで)日本のストロー級の強さが世界でも認められているのが嬉しいです。今後のONEで日本人対決も増えてくるかもしれませんね。日本でONEストロー級トーナメントやリーグ戦をやっても面白いと思います。川原選手は他団体で今まで自分とは交わらなかった選手です。今後戦うチャンスがあれば、凄く楽しみです。  この数年で海外や日本のストロー級トップ選手が集まって来てより層が厚くなったと感じます。ONEが世界のストロー級ナンバーワンを決める舞台だと思います。 (川原vsアディワンは)お互い、打撃もグラウンドもアグレッシブに攻め合う激しい戦いになるかと思いますが、川原選手がフィニッシュして勝つと予想します。川原選手は自分にはない魅力を持っている選手ですので、ONEストロー級を一緒に盛り上げて欲しいです」
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