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【RIZIN】朝倉海、ケイプの合同練習呼びかけに「練習してみたい」。“日本版メガジム”構想も

2021/01/11 19:01
 2020年12月31日(木)さいたまスーパーアリーナにて開催された『Yogibo presents RIZIN.26』のメインイベントで、堀口恭司(アメリカン・トップチーム=ATT)に1R TKOで敗れ、RIZINバンタム級王座から陥落した朝倉海(トライフォース赤坂)が10日、YouTube LIVEを行い、カーフキック対策、海外練習の是非、堀口との再戦等について語った。 足に負担をかけないパーソナルトレーニングから再開  試合は、堀口の4発のカーフキックを効かされた朝倉海が、起死回生の跳びヒザ蹴りに出たところを、堀口の右ストレート、さらに右フック連打をもらいTKO負け。試合後、左足のふくらはぎ部分の「筋断裂」で全治1カ月半の診断が下された。 「足はだいぶいいです。腫れも引いた。痛くて走ったりはまだ出来ないけど、いろいろ調べて酸素カプセルに行ったり、1日でも早く復帰できるようにいろいろな医療を試しています」と怪我の報告をした海。  続けて、「たくさんの人が『焦らず治してほしい』と言ってくれているので、ほんとうにここは焦っちゃいけないなと思って。まだ格闘技人生は長いんで、まずは怪我を完全に治したいと思います」と完治するまで無理をしないとした。  本格的な練習再開は、「来月(2月)くらいからはガッツリ練習に行けると思っています」と言いながらも、すでに怪我をしていない部分のフィジカル強化は再開しており、「いまでも出来ることはたくさんあって、さっそく上半身を鍛えてきました。足に負担をかけないパーソナルトレーニングです」と、2021年の練習はじめに入っていることを明かした。 [nextpage] 動きに硬さは無くコンディションも良かった「ただただ、足をやられた」  2017年から2019年にかけて堀口恭司が、団体を背負い11試合を戦った上で負傷。そして2020年、朝倉海はコロナ禍のなか8月、9月、12月と5カ月で3試合を戦い、最後に敗れた。  連戦となり、肉体のみならず精神的な疲労も懸念され、試合後には兄の未来が「海の身体も硬かった。動きがどうしてあんなに硬かったのか謎なんです。堀口選手がそうさせたのか。力みが凄かったので、いつもの力が出し切れていない感じがありました」と気遣ったが、海は、「精神的なプレッシャーはよく言われるんですけど、プレッシャーとかは全然感じていなくて、精神面は強いので試合で緊張もしないし、正直、動きが硬いとかも無かったんです。コンディションも良かったんで、ただただ、足をやられたというだけですね、(相手の)作戦で」と、連戦のプレッシャーやコンディションが問題ではなく、堀口の作戦に負けたことが敗因とした。 「ただただ、足をやられた」のはなぜか。「1日4時間の練習をいまは研究に充てています」という海は、その対策を徹底的に練っていると語る。 [nextpage] カーフキックの映像を死ぬほど見た  まずは、堀口戦でのカーフキック。 「1発目(を受けたときは連続でカーフを蹴ってくるとは)そんなに思って無かった。2発目以降、狙ってるなと感じて、3発目から効きました。思ったより踏み込んできたり、俺のパンチのカウンターに合わせて蹴ってきたから、そのタイミングで来ることは読めてなかった」と、堀口が試合の入りにカーフを蹴ってくることを想定しながらも、そのタイミングと勢いが読めなかったと告白。  また、カーフをカットできず、前足重心の構えで効かされたことについても、「今回は、堀口選手のパンチとタックルを警戒していたので、ああいうスタンスになったのが(カーフキックを受けた)原因だった。そこもしっかり考えています」と分析し、改善点を洗い出していると語った。  さらに「海外の映像もめっちゃ見て、カーフキックの映像とか死ぬほど見た。いいデフェンスをしている人も見つけて、すごい勉強になります。(堀口のカーフキックは伝統派空手の足払いの応用?)たしかにほかの選手のカーフキックとは違いますね。ありとあらゆるカーフキックを調べて、チームでも自分でも対策をすごく考えました。そこは大丈夫です。(自分も)蹴りはもっと上手く使っていきたい」と、世界中のカーフキックの映像を調べ、対策をシミュレーションしているとした。 [nextpage] 日本版メガジムに「日本のなかで出来ることがたくさんある」 【写真】赤坂の新ジムに設置されたフルサイズのケージ  現代MMAがチームスポーツ的な要素を多分に含んでいることは間違いなく、今回のRIZIN史上最大のリマッチは、メガジム「アメリカントップチーム(ATT)」に所属する堀口と、朝倉未来兄弟のチームとの戦いでもあった。  1勝1敗となった堀口戦後、海には、MMAの本場である米国など海外での練習を求める声が高まっているという。 「『海外に絶対に行った方がいい』という声が多くて、たぶん堀口選手を見ているからか、『日本じゃ勝てないよ』と。その意見も正しいと思うけど、何が正解かはやってみないと分からない。たくさん選手やコーチがいるのはいいと思うけど、いいことだけじゃない。すぐにその環境に慣れるわけじゃないし、全部が全部いいかと言ったらそうじゃない」と、海外に行けば必ず強くなれるわけではないと、海は主張。  続けて、「まだ日本のなかで出来ることがたくさんあると思っていて、学べることも。こうして堀(鉄平)さんが新しくジムを作ってくれて、いろんな競技のトップ選手にも声をかけてくれていて、僕のためにやってくれています。そこでもうちょっと頑張りたいなという気持ちはあります」と、朝倉兄弟をサポートする元THE OUTSIDERファイターの“闘う弁護士”堀鉄平氏が“日本版メガジム”の環境を整えていることを語った。  すでに、朝倉チームは赤坂見附にフルサイズのケージを入れたジムでの練習を開始しており、最新鋭のマシンも導入。今後、各ジャンルのトップトレーナーが集まる環境が整備されつつある。  堀トライフォース赤坂代表は、SNSで「海君が海外で練習したいと言えば、快く送り出します。コロナ終焉後に、1カ月単位のキャンプで行くもよし、拠点を移すもよし。トライフォース赤坂に、専門トレーナー+スパーリングパートナーを招聘して、今のままでもよし。私は、息子がどういう進路に進むかについて、本人に決めさせる派です」とツイート。  さらに「朝倉兄弟がアウトサイダーで戦っていた頃、プロじゃ通用しないし、ましてRIZINで活躍するのは無理と言われていた。そして今、このままでは海外では通用しないし、ましてUFC王者は絶対無理と言われている。以上」と、これまでも不可能と言われてきたことを、努力と工夫で実現させてきたことを語っている。 [nextpage] ケイプから「一番いいのは一緒に練習すること」  その上で、海は、「でも近々、海外の練習に1回触れてみたい。海外に住むとかどうかはそれから考えたいけど、とにかく海外の練習に、1カ月か2カ月行ってやってみたいなと思っています。この(コロナの状況で)いますぐにははなかなか行けないけど、近いうちに行ってみたい。絶対に練習方法を盗めるし、ほんとうにトップの選手に触れて自分がどうなのか、実際に気になるし」と、海外出稽古の可能性も示唆。 「マネル・ケイプがいつもインスタで連絡をくれて、今回も試合が終わった後に、『残念だった。勝つと信じていた。一番いいのは一緒に練習すること。よかったら(AKAタイランド)来てくれ』って。  めちゃくちゃ嬉しかったし、ケイプにはリヴェンジをしたいと思っているけど、状況的にすぐに対戦は出来ないと思うし、俺も一緒に練習することは絶対にベストだと思っているから、短期間で練習するならタイに行ってみたいなと思っている。いいヤツで、ほんとうに練習してみたい。たしかに一緒に練習したら強くなれるだろうなとは感じている。いろいろ吸収できることはある」と、2019年の大晦日にベルトを争ったライバルで、現在はUFCフライ級でオクタゴンデビュー(2021年2月6日フライ級5位のアレッシャンドリ・パントージャと対戦)を控える盟友との共闘に興味を示した。 [nextpage] 堀口恭司は「短い期間で海外へ行くんだったら意味はない」  今回、右ヒザ前十字靭帯断裂と半月板損傷の大怪我を克服し、朝倉海から王座を奪還した堀口恭司が、日本のKRAZY BEEからアメリカントップチームに移籍したのは、UFC3年目の1月11日。その10カ月後に堀口は、ダゲスタン共和国のゴリゴリのレスラーであるアリ・バガウティノフに組み勝っている。  長年、ATTで「HORIGUCHI HALL」と名付けられた寮生活を続けて来た堀口は、本誌『ゴング格闘技』2019年7月号で、米国での練習について「アメリカでトレーニングをするようになって、寝技とかの技術がすごい上がったので、自分のできる幅が広がりました。どこのジムかにもよりますけど、米国での練習は絶対した方がいいです。幅が広がります。向こうは1つのジムで全部練習できる」と、UFCで勝つために、自身に足りなかったものを補えたと証言。  同時に、「短い期間で行くんだったら意味はないですよね。やっぱりある程度の期間一緒に練習をしないとコーチも選手の動きって分からないし、良さも悪さも分からない。だからキャンプだけ行ったって意味がないなと自分は思います」と、腰かけのキャンプで海外練習に臨んでも、「チーム」の一員にならない限り、効果は薄いことを語っている。  いまも進化を続けるMMAで、日米の練習環境の差は、具体的にどんなところにあるのか。 [nextpage] 唯一のUFC日本人男子ファイター・佐藤天「竹槍を持って戦闘機に挑むのは嫌だった」  現在、日本男子選手で唯一のUFCファイターである佐藤天(サンフォードMMA)は、ATTでの練習経験を持つ修斗世界バンタム級暫定王者の岡田遼とのYouTube対談で、日米の練習環境の違いについて、次のように語っている。 「初めて行ったときに、施設の大きさと器具の豊かさに驚き、さらに知らないことが多すぎてついていくのも精一杯で、日本では普通に毎日練習しているはずなのに、相手が強いというのもあると思うんですけど、全身がつるし、“あれ? ヤバイな”みたいなのはありました。技術的なことも分からないことが多くて、この状態でUFCで戦ったら怖いなと。竹槍を持って戦闘機に挑むみたいで、それは嫌だなと。勝てるものをしっかり準備してUFCに挑まないと、先が無いと思った」と、初の渡米出稽古で危機感を抱いたことを吐露。  練習内容については、「すごい反復練習が多い。ただ打ち込みだけじゃなく、掘り下げてシチュエーションを噛み砕いて、1個1個、すごく時間をかけてドリル練習をやって形を作り、週に2回くらいスパーリングで試す。日本と比べると技術練習・ドリル練習が多い。そのドリルも詰めてやるとキツい」と、回答に向かって、反復する練習が多いことを指摘している。  さらに「ドリルで問題点に焦点を当てて、答えを出してからスパーリングで試すというところまでやるから(試合に)繋がりやすい。コーチもすごく細かいところまで研究している。各コーチ間も意思の疎通が出来ているので、チーム全体としてまとまりがある。全体ミーティングもあって、ほんとうに“プロチーム”という感じがします」と、選手と各ジャンルのコーチ陣の連携が必須と、北米MMAの最前線の練習環境を語った。  その上で、佐藤は記す。 「合う合わない・良い悪いは人それぞれなので、それを知るためにも行って確かめてみるのは良いと思います。結局、すべて自分次第。自分はすべて自分のせいに出来る環境に身を置けていることには満足しています」と、米国屈指のトップジム・サンフォードMMAでの練習のアドバンテージを十分に理解しながらも、ただ米国のジムにいるだけで強くなれるわけではなく、高みを目指す選手の取り組む姿勢や意識のなかにこそ差があるとした。 [nextpage] 早期リヴェンジを狙うも「『もう1回やってもいいよ』と言ってもらえるまで強い選手を倒す」  ベルトを失った朝倉海は、Bellatorの王座戦、そしてUFC挑戦のプランが、一歩後退したことになる。  それでも、貪欲にボクシングやレスリング、フィジカルの強化に取り組んできたことは無駄にはなっていない。MMAの頂きを本気で目指すのであれば、堀口同様に「自分に足りないもの」を補うしかない。  そして、再び世界の扉を開くためには、世界に繋がる結果を残す必要がある。  海は、「復帰戦は堀口選手と戦いたい。いち早くリヴェンジしたい。なんか記事出てたよね。めちゃくちゃ言われてる記事、俺も読んだけど、あれは実際、インタビュアーが誇張していて、あんな言い方はたぶんしていないと思うんだけど、それに近いことはたぶん言っていると思う。  それで言うと『3回目はもういい』と。俺は負けた側だから何も言う権利は無いと思ってるけど、実質1勝1敗。俺が勝っているときに対戦を受けてくれた堀口選手にすごく感謝の気持ちもあったし、もう1回やるのが筋だと思ったから今回、対戦を受けたけど、今回(堀口が)勝ったから『圧倒的差があったでしょ』と言われるのはちょっとズルいなというのを俺は感じた。  俺が1回勝ったときもほぼノーダメージで勝ったわけで、そのときに『差があるからもうやらなくてもいいでしょ』と言ったらそれで最後、終わったから。今回の(もういい)は違うかなと。ああいう負け方で終わったから圧倒的な差があるとは正直、思ってないから。(世間から)『差があるから(3度目対戦を)やる価値が無い』とか言われるけど、紙一重だと思う。絶対にリヴェンジしたい」と、3度目の決着戦を熱望する。  同時に、「でも結構、周りも(3戦目を)すぐには求めてないなというのも感じていて、だったら、ほかの強い選手を何人か倒して『もう1回やってもいいよ』と言ってもらえるまで、周りも『もう1回、観たいな』と思ってもらえる状況まで、アピールするしかないかな、引きずり出すしかないかなと思っています」と、価値のある勝ち星を積み上げて、3戦目の機運を高めたい、とした。 [nextpage] Bellatorでパトリック・ミックスと、日本では井上直樹、石渡伸太郎との対戦を示唆  その価値のある白星のひとつは、海外強豪との対戦になる。 「もしやれるなら、Bellatorの選手とやってみたい。海外のトップ選手と。来てもらえるのか、行けるならBellatorのケージでやってみたい。Bellatorにもめちゃくちゃ強い選手いる。パトリック・ミックスとか、チャンピオン以外にも強い選手はいる。燃えてるよ」と、元谷友貴に一本勝ちしている前王座挑戦者の名前を挙げた。 「堀口選手以外にほかに日本人選手でやりたい日本人選手はいない」と語る海だが、ミックス同様に元谷に一本勝ちした井上直樹の名前には反応している。 「日本人では、井上直樹選手、強いですね。打撃も綺麗で上手いし、寝技の極めも強い。打撃の殺傷能力はあまり無いと思うけど、リーチもあり、テクニカルで上手い。若いし、強くなっているなと今回の試合で感じました。今後、戦うことになるかもしれない」と、対戦の可能性を示唆するともう1人、「あとは石渡(伸太郎)選手もそろそろ怪我から復帰して出来る頃じゃないかな。全然、やりたいですね」と、2選手の名前を挙げた。  果たして、朝倉海の海外挑戦はあるのか。 [nextpage] シバターの提言には──  そんなライブ配信のなか、“RIZIN無敗”を掲げるシバターから、スーパーチャットで「一緒にアメリカ行こ」との呼びかけが。シバターは、自身のYouTube「朝倉海に教えたい」で「試合をしたい気持ちは分かる。勝って自信を取り戻したいという気持ちは分かる。だけど、それでは今より上に行けない。怪我はきちんと治して、練習環境を変えたほうがいい」と提言している。  コメントを見た海は、「シバターさん、一緒に行きますか、アメリカ」と苦笑しながらも、「いつも負けると嬉しそうにザマーミロと動画を出してきて、そういうのを期待していたけど、なんか怪我の心配とかしてきてくれて、熱い感じで言っていることも的を射ているというか、優しいですよね。なんかズルいよね。ちょっと。あのキャラでいい人な感じを出してくるのはズルい(笑)」と一瞬、絆されそうになるも、「クソ野郎的な動画を待ってます。そんくらいしてくれないと僕も言い返せないんで。足治したらやっつけますんで」と、上から目線のシバターに先に“再戦”でけじめをつけるとした。
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