2Rに喫したダウンのロストポイントを取り戻すべくハイキックを放つ大石(右) (C)HOOSTCUP
グループエスカラデーPRESENTS「HOOST CUP KINGS NAGOYA8~ナゴヤチャンピオンカーニバル~」
2020年12月27日(日)愛知・名古屋国際会議場イベントホール
▼トリプルメインイベント3 ISKA認定試合ISKAムエタイルール 63.5kg契約 3分3R延長1R
△大石駿介(OISHI GYM/ISKAムエタイ世界スーパーライト級王者)
ドロー 判定0-1 ※46-48、47-47、47-47
△マキ・チャーチャイ(真樹ジムAICHI/元ルンピニースタジアム認定スーパーバンタム級3位)
昼夜2部制で開催された夜の部では昼の部と同じくトリプルメインイベントが組まれ、2試合でHOOST CUPのベルトが争われた。大トリには地元名古屋の雄・大石駿介が登場、ノンタイトル戦ながら元ルンピニースタジアムランカーの在日タイ人、マキ・チャーチャイと国際戦を行った。
今大会もHOOST CUP名古屋大会のメインを締めるのは、地元名古屋の大石駿介。強烈なパンチを武器に、2018年から3大会連続でメインイベントで外国人選手と対戦し勝利を挙げてきた。今やHOOST CUPを背負う存在となった大石に立ち向かうのは、同じく名古屋を拠点とする在日タイ人選手で、ムエタイの殿堂ルンピニースタジアムの元ランカー、マキ・チャーチャイ。
本来は大石の保持するISKA王座を懸けた試合を組むはずだったが、コロナの影響もありマッチメイクが難航。ISKAとの協議の結果、認定試合を行うこととなり対戦相手に手を挙げたチャーチャイとの一戦が決定した。
1R、いきなり手を伸ばし組んで行くチャーチャイ、声を上げながらボディへヒザを打っていく。距離を測るように軽い前蹴りを飛ばすチャーチャイ。大石はそこにジャブ、ストレートを合わせる。チャーチャイの蹴り足を大石がキャッチしてこかす場面も。大石はじりじりとプレッシャーをかけてロー、右ストレートを飛ばす。
2R、ミドル、ハイと蹴り中心のチャーチャイに大石はボディ、アッパーとパンチも織り交ぜて返す。チャーチャイの蹴りがローブローとなり一時中断。口頭で注意が与えられる。再開後、チャーチャイが首相撲から右ヒジを当てると大石は顔をしかめる。ブレイクとなるもチャーチャイはさらに組み付きロープ際でテンカオ、ヒジを乱れ打ち。すると左ヒジが顔面にヒットし大石がダウン。立ち上がった後、下がる大石をチャーチャイは詰めてなおもヒザ、ヒジ。大石は詰められながらも左ボディ、右ストレートで応戦する。
3R、左ボディを当てる大石、しかしチャーチャイは効いてないというように首を振りヒジを返す。大石のボディが音を立てて何度も当たるがチャーチャイの前進は止まらない。大石も首相撲ではヒザを返すが常に押し込むのはチャーチャイ。右フック左ボディの大石にチャーチャイはニヤリと笑う。大石はハイキックや縦ヒジで前に出るがチャーチャイもミドルを返す。
4R、右フックから左ボディの大石、チャーチャイは首相撲からヒザ、そして離れ際にヒジ、徹底してボディ狙いの大石は、パンチでロープに詰めるもチャーチャイは決定打を許さない。チャーチャイは前蹴りも大石はそれをキャッチしてストレート。ラウンドが終わると笑顔のチャーチャイは応援団に両手を挙げて勝利をアピール。
最終5Rも大石がロープに詰めて強烈なボディを当てる、チャーチャイはやや流しに入ったか組み付きを多用、ガッチリと腕をロックして追撃を許さない。組みにくるチャーチャイを振りほどこうとする大石。縦ヒジや跳びヒザも見せる。終盤、右ストレートを狙う大石だがチャーチャイは上手く距離を取り当てさせない。決定打を許さないまま試合終了となった。
判定はジャッジ1人がチャーチャイにつけたが残り2人はドロー。まさかのダウンを奪われた大石だったが後半挽回して何とか王者の面目を保った。終始笑顔だったチャーチャイの明るさもあってか、試合は真剣勝負ながら楽しさもある雰囲気に。試合後、両者は笑顔で抱き合った。
▼トリプルメインイベント2 HOOST CUP日本ライト級王座決定戦 60kg契約 3分3R延長2R
〇マキ・ピンサヤーム(真樹ジムAICHI/元ルンピニースタジアム2冠王、元MA日本フェザー級王者)
判定3-0 ※30-26×2、30-25
●久井淳平(多田ジム/JAPAN KICK INNOVATIONスーパーフェザー級王者)
2カ月前に激闘を繰り広げたばかりの両者がタイトルを懸けて再戦。前王者、中嶋平八の長期間の怪我によるタイトル返上に伴い、実現した今回の一戦。マキ・ピンサヤームはムエタイの殿堂ルンピニーで2階級制覇を達成し、日本では数々の選手を破ってきた“日本人キラー”としても知られる。
久井淳平はJAPAN KICK INNOVATIONスーパーフェザー級王者を持ち、10月大会でピンサヤームと対戦した際は圧倒的不利な下馬評ながら、ジャブやふくらはぎを蹴るカーフキックなどでピンサヤームを苦しめ、判定で敗れながら大きな印象を残した。
ヒジありだった前回のEXルールとは異なり、今回はヒジなしで、クリンチからの攻撃も一回のみのワンキャッチ・ワンアタックルール。ベルトを懸けての再戦は、果たしてどのような展開となるのか。
1R、互いにゆったりとしたリズムから久井は前蹴り、ロー。ピンサヤームはじっくりと見ながら、強いミドル、ハイ、ストレートを飛ばす。ピンサヤームはローからボディ、フックを当てる、久井は得意のカーフキックを飛ばしつつ、ボディストレートも当てる。
2R、久井は右ボディや左ストレートを強振。対するピンサヤームは右ロー。久井はスイッチを繰り返しながら左右のストレートやカーフキックを当てるが、ピンサヤームはプレッシャーを強めて久井をロープに詰めインロー、さらに右フック、左ストレートとパンチもヒットさせる。
3R、互いにインローから、近い距離でフックの打ち合いになる。するとピンサヤームの左フックで久井がダウン。立ち上がった久井にピンサヤームは右ハイ、さらに右フックでぐらつかせて連打を浴びせる。久井もなんとか踏ん張りミドルを放つがピンサヤームは蹴り足をつかんで右ストレートで2度目のダウンを奪う。再び久井が立つとピンサヤームはもう無理に攻め込まない。久井は組みになると簡単に振りほどかれ体に力が入っていない様子。逆転を狙い打ち合いに出た久井にピンサヤームはパンチ、ハイキックを返す。
試合は判定となり、2度のダウンを奪ったピンサヤームが大差で勝利。“日本人キラー”の実力を見せつけHOOST CUPのベルトを手にした。
▼トリプルメインイベント1 日本スーパーライト級タイトルマッチ 3分3R延長2R
〇小川 翔(OISHI GYM/王者/WBCムエタイ日本統一ライト級王者)
判定3-0 ※30-29、30-28、30-27
●健太(E.S.G/WBCムエタイ日本統一ウェルター級王者/元NJKFウェルター級王者)
※小川が防衛に成功
国内中量級屈指の好カードが実現。日本スーパーライト級のベルトを懸けて戦う両者はどちらも鋼の肉体を持つ強豪だ。王者・小川は2018年5月大会で麻原将平を破りベルトを獲得。強烈なローキックと、打たれても揺るがない体幹の強さとタフさで国内トップ選手と渡り合ってきた。
対する健太はボディビルダーのような筋肉がトレードマーク。ハイペースで試合をこなし、94戦のキャリアを誇るベテランだ。これまでNJKFウェルター級王者、WBCムエタイ日本統一ウェルター級王者、Krush70Kg王者を獲得し、HOOST CUPでは4冠王、ダニロ・ザノリニに勝利している実力者。
王者・小川は地元でのタイトルマッチで難敵・健太相手にベルトを守れるか。
1R、インローで先制は小川。健太もワンツーから右ローを当てる。インローに合わせて右を振る健太に小川も右を返す。健太は蹴りをキャッチしてボディへパンチ。小川のローをカットしつつ、ヒザを内側にひねるようにして受ける場面も。だが小川は構わずローを蹴り続ける。インローを受けて健太の内ももは早くも赤く腫れあがっている。
2R、小川の蹴りに合わせて健太は左フック、左ボディ。小川はガードを固めてフック、そして健太の打ち終わりにロー、強いミドルを放つ。健太はジャブを突き、アッパーなども混ぜ様々なパターンで攻めていく。健太のボディ、左フックが快音を響かせるが小川は効いたそぶりをみせず前に出ると、健太の軸足を刈るように蹴って転倒させる。
3R、変わらずローの小川に、健太は3発、4発とパンチのコンビネーション。小川の右ストレートで健太の顔が跳ね上がる場面も。近い距離で押し合うようにしながら打ち合う場面が増える。ウィービングしながら細かく連打を放つ健太に対し、小川は一発一発を強打、さらにローへつなぐ。互いに手数が一切減らないままゴング。両者とも両手を挙げてアピールした。
判定は3-0で小川。健太のテクニックをローキックと強靭なフィジカルで押し切り王座防衛を果たした。
マイクを持った小川は「何とか防衛することができました。でも本当に健太選手は強くて、どんどん前に来てやりづらい感じだったので微妙な試合になってしまったんですけど、会長たちと健太選手の対策を一緒にやって来たので自信を持って戦うことができました」とコメント。
そして試合後、かつて小川に敗れベルトを失った初代王者・麻原将平がリングへ。小川の防衛成功を祝いつつ、「次の防衛戦の相手、是非自分も候補に入れてください、押忍」と挑戦者に名乗りを上げた。
▼セミファイナル EXルール 63.5kg契約 3分3R延長1R
〇真吾YAMATO(大和ジム/NJKFスーパーライト級1位)
判定3-0 ※30-27、30-27、29-28
●増井侑輝(真樹ジムAICHI/シュートボクシングライト級3位)
▼第2試合 EXルール 55kg契約 3分3R
〇HΛL(OISHI GYM)
TKO 2R3分00秒 ※右フック
●甲斐元太郎(NJKF理心塾/NJKFSバンタム級3位)
▼第1試合 55kg契約 3分3R
●浅岡竜大(BFA SEED)
判定2-0 ※30-29、30-29、29-29
〇大久保峻(修徳会)
▼オープニングアマチュア Sクラス60kg契約 2分3R(延長なし)
〇松井大樹(MEIBUKAI)
判定3-0
●橋本 雷汰(BFA SEED)航空)