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2020年12月31日(木)、さいたまスーパーアリーナで開催される「Yogibo presents RIZIN.26」にて、61kg契約(ヒジ無し)で所英男(リバーサルジム所プラス)とMMA(総合格闘技)ルールで対戦する太田忍(フリー)が14日、練習を公開。その後、囲みリモート取材に応じた。
2分1Rのボクシングのミット打ちを公開した太田は、力強いワンツーを披露。2016年リオ五輪レスリング男子グレコローマン59kg級銀メダリストのMMA転向として注目されているが、「MMAに関して僕のレスリングの実績は何もモノを言わない」と言いながらも、「がぶりの体勢になれば、強さを発揮できている」と手ごたえも感じていることを明かした。
また、今回の所戦が「ヒジ無し」になったことについては、「いろいろ思う部分はあったんですけど、やっぱり僕がテイクダウンをしてからのヒジが嫌なのかなと。そこからの展開をいろいろと用意していたのですが」と不満もあったが、「それ(ヒジ)が無くなった以上は、そのルールに適応した戦い方をするだけです」と切り替えている。
青木真也からも指導を受け、“回転体”と呼ばれる所の関節技対策にも取り組んでおり、「極めまでがすごい速いなという印象があって、そこをしっかり対処しないと皆さんが思っている通り、一本負けがあるなと思っています。その対処の練習をしっかり続ければいいんじゃないかなと思っています」と、所の寝技潰しを徹底するとした。
「MMAファイターとしては初心者。レスリングでやってきたプライドというのは全く無い」とオリンピアンながら、MMAにいちから取り組んでいる。同時に「でもレスリングの強さを見せたいというのはあります」という太田。果たして大晦日デビューでどんな試合を見せるか。
がぶりの体勢になれば、強さを発揮できている
──大晦日に試合に向け、現在の状況を教えてください。
「いよいよあと3週間くらいですか。まだまだですけど、この3週間で少しでも仕上げられればいいかなと思っています」
──今日のミットは何%くらいで打っていましたか。
「3割くらいの力でした。練習は打撃の日と寝技の日を分けていて、1週間トータルの割合だと40~50%くらい(が打撃練習)だと思います」
──MMAで打撃への恐怖感は?
「実際、恐怖感が無いと言ったら嘘になりますが、それよりも自分がやってやろうという気持ちの方が強いので、そこまでの恐怖感は無いですね。(スパーリングで)当たってしまうことはあるんですけど、負けん気が強い方なので、逆に悪い方向になってしまうこともあるんですけど、殴られて怖いとか痛いとかはないです」
──打撃決着も?
「試合の流れなので実際どうなるか分からないですけど、打撃で倒すとしたらこういうパターン、というのも準備していますし、チャンスが出来たら、もしくは自分でそのチャンスを作ることが出来たら、打撃で決めることも可能ではないかなと思っています」
──大晦日に見せることと勝負へのこだわりをどのように考えていますか。
「見ている方々は派手な試合や勝ち方を見たいかと思いますが、僕は負けたくはないので判定でもいいので、しっかり勝ちにこだわっていきたいと思います」
──オリンピックのメダリストのプライドはリングに持ち込みますか。
「レスリングでやってきたプライドというのは全く無くて、MMAファイターとしては初心者、初めて間もないので、チャレンジャーの気持ちでやっていきたいなと思います。MMAに関して僕のレスリングの実績は何もモノを言わないので」
──メダリストとしてのプレッシャーはない?
「それに関しては全く無いですね。でもレスリングの強さを見せたいというのはあります」
──『ゴング格闘技』です。太田選手に質問です。レスリングでは60kg、63kg、67kgというカテゴリーで戦ってきました。今回61kgで戦うことについてはどう感じていますか。
「その契約なのでそれに合わせるだけ、という感じです。今からしっかり仕上げていければいいなという感じです」
──ベストウェイトは何kgと考えていますか。
「実際、身体がしっかり一番調子がいいなというのは62~63kgなんですけど、61kgに落としてもしっかりリカバリーさえできれば問題無いなと思っています」
──今回の試合が「ヒジ無し」ルールになったことは、レスラーである太田選手にとってはどのように感じていますか。
「そこは僕がいろいろ思う部分はあったんですけど、やっぱり僕がテイクダウンをしてからのヒジが嫌なのかなと思っていて、そこからの展開をいろいろと用意していたのですが、それ(ヒジ)が無くなった以上は、また違う戦い方を考えながらやっています。ヒジ無しのルールに適応した戦い方をするだけです」
──今日のミット打ちの構えはオーソドックス構えでした。それは右手をフィニッシュブローに使いたい、ということでしょうか。
「そうですね。レスリングだと左構えですけど、格闘技だと右構えになる。自然とオーソドックス構えになりました。僕はもともと右利きなので、オーソドックス構えでも大丈夫かなと」
──グラップリングも含めてこれまでの練習で抑え込まれたことはありますか。
「下から極められるというのは何度かあります。テイクダウンされるというのはあまりないかなという風に感じます」
──動画を見ると、太田選手を抑え込むのは至難の技のように感じました。これまでのMMAの練習で抑え込まれたことは?
「何回か自分の攻撃からバランスを崩したことはありますけど、もつれたところなどではあまりないと思います」
──得意のがぶり返しは、MMAの練習のなかでも使っていますか。
「がぶり返し、と言うよりも“返し”てもポイントにはならないので(笑)、がぶりの体勢になれば、強さを発揮できているかなと思います」
──抑え込みに使ったり、アナコンダチョークやダースチョークに変化したり……。
「まあ、そのへんはあまり……(笑)。コントロールには自信があります」
──「RIZIN.24」を生観戦し、同じグレコローマンレスリング出身の武田光司選手の試合(川名雄生戦)をご覧になってどのように感じましたか。
「チャンピオン同士の戦いで、互いに探り合って行き切れなかったんだなと感じました。何と言うか、見ている方にはあまり面白い試合では無かったかもれませんが、僕としてはレベルの高い試合をしているんじゃないかなと思いました」
──その時から、自分がMMAをやったらという想像はしていましたか。
「いえ、経験も打撃のレベルも僕とは全く違うので、あまり比較にはならないかなと思いました」
──フリースタイルレスリングの経験もお持ちですが、MMAではグレコを活かす場面が多くなりそうでしょうか。
「うーん、まあ、レスリング全般の強さを活かした試合が出来ればいいなと思います」
──川名戦での武田選手は胴クラッチでのテイクダウンがいつものようには出来ずに苦しみました。シングルレッグ、ダブルレッグなどの足へのタックルも問題ないでしょうか。
「そうですね、自分では上手い方だと思っているので」
──所英男選手の試合は、最近はグラップリングの試合が多いですが、動画などもご覧になっていますか。手足を絡められると危険な選手です。
「極めまでがすごい速いなという印象があって、そこをしっかり対処しないと皆さんが思っている通り、一本負けがあるなと思っています。その対処の練習をしっかり続ければいいんじゃないかなと思っています」
──『ゴング格闘技』からは以上です。ありがとうございました。
【写真】浜崎朱加とともに公開練習に臨んだ太田。浜崎のインタビューはこちら
──(地方紙記者から)青森出身(三戸郡五戸町出身)の太田選手ですが、RIZINでは秋田出身の斎藤裕選手、岩手出身の扇久保博正選手らが東北勢が活躍していることについてどのように感じていますか。
「そのことはいま知ったのですが、東北の選手が活躍しているんだなと。僕の試合で少しでも東北を盛り上げられたらいいんじゃないかなと思っています」
──ご自身の試合でどこに注目してもらいたいですか。
「皆さんが期待してくれているレスリング力を見せられればいいなと思っていますが、それよりも太田忍がしっかり順応出来ているかを見ていただけらばいいんじゃないかなと思っています」
──最後にファンにメッセージを。
「初出場ですけど、こういう(コロナの)状況のなかで戦わせていただけることに感謝の気持ちでいっぱいです。皆さんに楽しんでいただけるような試合が出来たらと思います。応援よろしくお願いします」