空手
レポート

【極真会館】34年ぶり総本部から王者が誕生コバレンコ初優勝、女子は佐藤七海が初優勝

2020/11/29 17:11
国際空手道連盟 極真会館「第52回オープントーナメント全日本空手道選手権大会2020全日本女子空手道選手権大会」2020年11月29日(日)東京・武蔵野の森総合スポーツプラザ=無観客開催 ▼男子決勝戦×西村界人(東京城北支部)判定5-0〇コンスタンディ・コバレンコ(ロシア/総本部道場)※コバレンコが初優勝。  例年は2日間にわたって開催される全日本大会だが、今回は新型コロナウイルスの影響などにより、男子は48名・女子は12名出場で1日での開催。また、新型コロナウイルス感染予防のため、大会は無観客で実施された。  男子決勝戦に勝ち上がったのは、西村とコバレンコ。西村は2019年第12回全世界大会ベスト16の実績を持ち、身長168㎝、体重110kgの26歳。世界大会では優勝候補の一人、ゴテルジ・カパナーゼを破って注目された。全日本の決勝戦にはこれが初進出。  対するコバレンコは2016年第48回全日本大会6位、2017・2018年ヨーロッパウェイト制重量級優勝、2019年第12回全世界大会5位の実績を持つ。身長182㎝、体重98kgの25歳。なんと決勝戦まで全ての試合を一本・合わせ一本で勝ち上がってきた。現在は過去に内弟子として修行に励んだ日本の総本部道場で指導員を務めている。  西村はステップと前蹴り、インローでコバレンコを近付けさせない。さらに後ろ蹴り。コバレンコは下突きを繰り出すが、西村は左中段廻し蹴り、後ろ蹴りと体格差を活かして近付けさせない。コバレンコは突いてプッシュしてまた突く。西村が膝蹴り、コバレンコは下突き。ラスト30秒でコバレンコが下突きのラッシュを仕掛け、西村はやや慌てる。  コバレンコに旗が1本上がったが引き分け。延長戦、コバレンコは右下段廻し蹴りと下突きで前へ出る。遠間から飛び込んでの左の突き。西村は膝蹴りで迎え撃つ。西村の前足を内外から蹴るコバレンコ。そしてプッシュと突きの連続技。西村も打ち合うがプッシュで体勢を崩される。  判定は5-0でコバレンコが勝利。総本部所属選手としては1986年の第18回全日本大会で優勝した(世界大会は除く)松井章圭(=現・松井章奎館長)以来の全日本王者誕生となった。  勝利者インタビューでは「まず参加した選手たちにありがとうございます。一緒に稽古していただいた人たちにありがとうございます。先生にありがとうございます。総本部で指導員になって、スタッフの方々、指導員の方々いろいろ教えていただきありがとうございます」とお礼を述べ、「日本に来てから2週間隔離された時が一番キツかったです。あまり練習できなくて。スタミナが心配だったんですが、スタミナの稽古をやって、ロシアからもアドバイスをもらってこの結果が出ました。ロシアの人たちもオンライン配信で私の試合を見て応援してくれて、本部の方々も応援してくれていたので重い責任を感じていました」と、応援してくれた人たちに報いたかったという。  決勝戦については「西村選手がどういう選手かは分かっていました。強い技をまずもらわないのが第一。第二は彼の技をさばいて自分から攻撃を出すようにしていました。上手にできたかどうかは分かりませんが」と言い、「去年の世界大会の時に結果は5位だったんですが、自分の足りないところを埋めて今回の結果が出ました。優勝できましたがこれをステップの一つとして、来年また近い大会に参加していい試合を見せて、3年後の全世界大会を目標にして技術と体力を磨いていきます」と、次の全世界大会を目標にしていきたいと語った。 ▼男子3位決定戦〇清水祐貴(東京城北支部)判定5-0×石崎恋之介(東京城西支部)※清水が3位に。 軽快なステップを踏む清水が右下段を狙い撃ち。石崎は前へ出るが清水が膝蹴りで迎え撃っての右下段。明らかに効いた様子でも石崎は耐え、前へ出て突きを出す。清水は左下段廻し蹴りも蹴って技ありを奪い、判定5-0で3位となった。 [nextpage] ▼女子決勝戦〇佐藤七海(東京城西国分寺支部)判定4-0×鵜沢菜南(千葉下総支部)※佐藤が初優勝。  12名によって争われた女子のトーナメント。決勝戦に勝ち上がったのは優勝候補の佐藤と新鋭の鵜沢だった。  佐藤は国際親善大会で11歳から高校3年まで史上最多の7連覇を達成した空手天才少女。一般部に進出後も2017・2018年全日本女子ウェイト制軽量級優勝、2018年世界女子ウェイト制軽量級優勝、2019年世界女子大会準優勝と数々の実績を持つ22歳。身長156㎝、体重55kgの小さな身体で世界の強豪たちと渡り合ってきたが、全日本無差別のタイトルは過去3度挑戦していずれも逃している。  対する鵜沢は今大会で優勝候補には名前があげられていなかった新鋭で、身長163㎝、体重65kgの17歳。かつて日本代表として活躍した門井敦嗣支部長が手塩にかけて育てた選手だという。  鵜沢が入ってくると横蹴りで止めてからの打ち合い。鵜沢の一発の重さに対して佐藤は回転力で勝負する。突きと下段の打ち合いとなり、佐藤は一度離れようとするが鵜沢が追っていき打ち合いに持ち込む。鵜沢がややスローダウンするが佐藤の動きは止まらない。左右への動きや膝蹴り、下段も交えて佐藤が最後まで止まらずに攻め、最後は鵜沢も息を吹き返して打ち合ったが判定4-0で佐藤の勝利。優勝を飾り、笑顔で壇上から降りた。 勝利者インタビューでは「感謝の気持ちでいっぱいです。普段から指導してくださる師範、道場の皆様、家族に感謝の気持ちでいっぱいです。(コロナ禍の中)できることは何かを考えて毎日少しでも稽古していました。対人稽古は思うようにはできなかったんですが、その分何ができるかを考えて稽古していました。(今大会には)絶対に勝ちたいという気持ちで臨みました。(鵜沢は)一発一発にパワーがある選手だなと感じていたので、そこを自分の良さでカバーできるように動くことを意識してやりました。ずっと目指していた優勝が達成できてほっとしました。この結果に甘んじることなく稽古を重ねてもっともっと強くなりたいです」と語った。 ▼女子3位決定戦〇遠藤ひとみ(神奈川横浜北支部)判定5-0×山崎乙乃(東京城西世田谷東支部)※遠藤が3位に。 開始25秒、遠藤が右上段廻し蹴りを決めて技ありを奪う。山崎は下段から突いていくが、遠藤の突きと前蹴りの圧力でバランスを崩して離れる。突きで勝負を懸ける山崎だが遠藤の下段でバランスを崩し、前蹴りで押される。最後は遠藤が突き合って判定5-0で3位の座を勝ち取った。 [nextpage] ▼男子準決勝第1試合〇西村界人(東京城北支部)判定3-0×清水祐貴(東京城北支部) 体格で優る西村は距離を取って左中段廻し蹴り、横蹴り、近づくと膝蹴り。西村の後ろ廻し蹴りは清水がかわす。清水は突きから右下段を蹴るが、西村の上段が襲う。さらに西村は両手プッシュを多用しながら突きと膝蹴りのラッシュ。判定3-0で西村が同門対決を制して決勝進出を決めた。 ▼男子準決勝第2試合×石崎恋之介(東京城西支部)一本 ※右下段廻し蹴り〇コンスタンディ・コバレンコ(ロシア/総本部道場) コバレンコは下突きから近付いての足掛け、または両手でプッシュしての突きの連打と石崎を惑わせる。突きを放つ石崎だがコバレンコはプッシュを多用して連打を寸断、右下段廻し蹴りを放つと石崎が崩れ落ち、3連続一本勝ちという圧倒的な強さでコバレンコが決勝へコマを進めた。 ▼女子準決勝第1試合〇佐藤七海(東京城西国分寺支部)判定4-0×山崎乙乃(東京城西世田谷東支部) 佐藤は距離を取り、前蹴りから入って突きの連打、そして上段への蹴りを狙う。山崎も同じくステップを使い突きで応戦する。打ち合いがたびたび見られるが、佐藤は突きだけにならず左右の膝蹴りも使って打ち合い、判定4-0で佐藤が勝利した。 ▼女子準決勝第2試合〇鵜沢菜南(千葉下総支部)判定5-0×遠藤ひとみ(神奈川横浜北支部) 遠藤は突きと下段、膝蹴りで打ち合う。体格で劣る鵜沢は左右に回り込みながらの下突きで応戦する。さらに左内股蹴り。激しく左右の胸を突く鵜沢に、遠藤が一瞬“うっ”という反応を見せる。その後は遠藤も打ち合ったが、判定5-0で鵜沢が決勝進出を決めた。
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