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【Krush】“エンドレスラッシュ”で新美貴士が王座に就く、女子は菅原美優が新王者に

2020/11/27 20:11
「Krush.119」2020年11月27日(金)東京・後楽園ホール ▼ダブルメインイベント第2試合(第8試合)第5代Krushフェザー級王座決定トーナメント決勝戦 3分3R延長1R×森坂 陸(エスジム)延長R 判定0-3 ※9-10×3〇新美貴士(名古屋JKファクトリー)※新美が第5代王座に就く。本戦の判定は29-30、30-30、29-29。  9月大会で開幕した「第5代Krushフェザー級王座決定トーナメント」は、8名の出場選手の中から勝ち上がった4名が今大会で準決勝・決勝戦を争うワンデートーナメントで行われた。  決勝戦は準決勝で岡嶋形徒をKOした森坂と、優勝候補と目されていた玖村修平を破った新美で争われた。  1R、ガードを固めた新美は準決勝同様に前へ前へと出ていってショートのパンチでアグレッシブに攻める。森坂はフットワークで下がりながら回り込み、新美をパンチと蹴りで迎え撃つ。新美は左ローも蹴る。  2Rも前へ出て攻めまくる新美。左右のショートパンチ、ロー、ヒザ蹴り。森坂も蹴りを飛ばし、バックハンドブローを放つ。お互いにショートの蹴りでパンチを当て合う展開となり甲乙つけがたい。  3Rは両者ほぼ足を止めての打ち合い。意地の張り合いのような打って打たれての展開が続く。両者パンチだけでなく、前蹴り、ヒザ蹴りも織り交ぜる。終盤、森坂がボディ打ちでやや押したかに見えたが、判定はドロー。延長戦へ突入する。  延長戦も両者足を止めて打ち合う。片方が連打を見舞えば相手が連打を返す、連打からヒザを蹴れば相手も連打からヒザ、連打からミドルを蹴れば相手も連打からミドルを蹴るという技の交換がたびたび行われる。延長Rも甲乙つけがたかったが、前に出た姿勢が評価されたか新美の判定3-0で死闘に終止符が打たれた。  新美は「判定まで行って、森坂選手が強くtえ倒そうと思っていたんですけれど倒せなくて。何とかチャンピオンになることができました。小森会長の作戦通りにやっただけなので、まだまだ僕は弱いので強い人たちがいっぱいいるのでもっと上の人たちを倒して上にいきます。今日ABEMAで観戦している妻と子供にいつも支えてもらって、今日もヤバかった時に顔が出てきたのでいつもありがとう。これからもっと強くなって金持ちになってK-1チャンピオンになるのでこれからもよろしくお願いします」とマイクで話した。 [nextpage] ▼ダブルメインイベント第1試合(第7試合)第3代Krush女子アトム級王座決定トーナメント決勝戦 3分3R延長1R〇菅原美優(K-1ジム三軒茶屋シルバーウルフ)[判定3-0] ※30-29、30-29、30-28×MOE(若獅子会館)※菅原が第3代王座に就く  菅原は第5回K-1アマチュア全日本大会チャレンジBクラス女子-50kg優勝、第6回・第7回K-1アマチュア全日本大会チャレンジBクラス女子-45kg優勝の実績を引っ提げて2019年1月にプロデビュー。トーナメント初戦(準決勝)では優に判定3-0で勝利を収め、戦績を4勝1敗とした。今年3月に美容技術専門学校を卒業し、春から“戦う美容師”として活動している。  MOEは第19回K-1チャレンジ女子Bクラス -45kg優勝。現役JKファイターとして2018年12月にKrush初参戦。強豪を相手に連敗を喫したが、トーナメント初戦ではチャン・リーに判定3-0で勝利を収め、決勝へコマを進めた。戦績は3勝3敗。  1R、菅原は前蹴りと横蹴りをタイミングよく蹴ってMOEを押し戻す。MOEは右ロー狙い。菅原は右のパンチを時折出して、単発ながらヒットを奪った。 2R、菅原は前蹴りを駆使するが、MOEも顔面前蹴りをヒットさせる。菅原は前蹴りから右のパンチ、そのまま組み付くを繰り返すが、どうしてもバッティングになりがち。MOEは転倒した菅原を蹴ってしまい警告が与えられた。菅原にもバッティングの警告が与えられる。  3R、ガムシャラにパンチを打ってきたMOEに菅原も応える。菅原はパンチ、前蹴り、パンチ前蹴りと前蹴りを巧みに使ってMOEを押し戻す。MOEは打ち合いに行くが菅原の右フック、前蹴りをもらってしまう。  判定は3-0で菅原が勝利。新王座に就いた。菅原はセコンドのKANAと笑顔でハイタッチ。  マイクを持つと「今日はコロナで大変な中、応援に来てくださってありがとうございました。いろんな人に迷惑かけたり、たくさんの人に支えされて、ジムの人たちにも支えてもらって、お母さんにもご飯を作ってもらってここまでこれました。これからも頑張りますので応援してください」と嬉し泣きしながら語った。 [nextpage] ▼第6試合 Krushウェルター級 3分3R延長1R×松岡 力(K-1ジム五反田チームキングス)反則勝ち 2R 2分42秒 〇加藤虎於奈(TEAM TOP ZEROS)  このカードは8月大会で行われた「第7代Krushウェルター級王座決定トーナメント」の準決勝で組まれていたが、加藤が練習中に右足首を負傷、松岡が感染症拡大防止のため一定の待機期間を設ける必要のある選手に該当したため、両者とも欠場して対戦が流れていた。  1R、松岡は右ローと左ミドル、加藤も右ローを蹴る。加藤は右ストレートを思い切り伸ばして松岡を下がらせるとハイキックをかすめる。互いに様子見のラウンドとなった。  2R開始早々、左ミドルを蹴った松岡に加藤が左フックで崩しての右ストレートでダウンを奪う。続いて右のパンチを連続ヒットさせて松岡の身体が泳いだところで2度目のダウンが宣告される。  松岡は左右フックで反撃し、加藤も右のパンチと右ハイで応戦。松岡はアッパー&フックでグラついた加藤をアゴへのヒザ蹴りでダウンさせるが、松岡が両手でつかんでいたためノーカウント。しばらく加藤の様子が見られたが、試合続行不可能と判断されて加藤の反則勝ちとなった。  マイクを持った加藤は「パンチもらったのかなと思ってヤバいと思ったんですが、左目が見づらくなっちゃって。松岡選手はパンチが強いのでこのまま続けても倒されてしまうかもしれないので、こんな反則勝ちになって申し訳ないです。松岡選手への応援、自分の応援もありがとうございます。母親が亡くなって、母親もそうですが、お父さんがずっと面倒を見てくれていてベルトをプレゼントしたいので俺とタイトルマッチしてください。1月にお兄ちゃんが、その前の日に、兄弟でタイトルマッチできたらと思います」と、2021年1月23日に後楽園ホールで開催される『Krush』、翌日の24日に国立代々木競技場第一体育館で開催される『K-1』の2DAYSのメインを虎於奈・レオナ兄弟で務めたいとアピールした。 ▼第5試合 Krushライト級 3分3R延長1R〇龍華(TANG TANG FIGHT CLUB/team JOKER)KO 1R 2分02秒 ※左フック×志村力輝(兼清流総本部)  龍華は2018年11月にプロデビュー。K-1甲子園では2018年こそ準優勝に終わったものの、2019・2020と-65kg級で史上2人目の連覇を達成した。プロでは現在5連勝中で戦績は5勝(2KO)1敗。多彩な蹴り技を持つ。  志村は第25回K-1アマチュアチャレンジAクラス-65kg優勝を果たし、2019年7月にプロデビュー。その試合ではKO負けを喫したものの、その後は2連続KO勝ちで戦績は2勝(2KO)1敗。鋭利なヒザ蹴りを得意とする。  1R、サウスポーの龍華が鋭い左ミドル、左ローを見せる。志村が右ハイからのプッシュで龍華のバランスを崩すが、そこから龍華が一気にパンチでラッシュ。右フックでダウンを奪う。  立ち上がった志村へ襲い掛かる龍華に志村の左フックが炸裂。今度は龍華がダウンとなり、盛り上がる場内。最後は打ち合いとなり、志村のローブローで一時中断することもあったが、左右フックの応酬でヒットを奪ったのは龍華の方。最後は左フックで龍華がダウンさせ、KO勝ちとなった。  龍華はマイクを持つと「昨日の計量で1回失敗して再計量でクリアーして謝りたいと思います。久々のKOで勝ててほっとしています。1月のK'FESTAに、6連勝目、甲子園も2連覇したので声をお待ちしております」とアピールした。 [nextpage] ▼第4試合 Krushスーパー・フェザー級 3分3R延長1R〇提髪和希(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST/K-1カレッジ2018 -60kg優勝)判定2-0 ※30-29、29-29、30-28×目黒翔大(優弥道場/第7回K-1アマチュア全日本大会 チャレンジAクラス -60kg優勝)  1R、サウスポーの目黒に右インローを蹴っていく提髪。目黒はどんどん前へ出てパンチを打って行くが、提髪はフットワークを使ってかわしていく。提髪の右飛びヒザがヒットし、グラついた目黒を提髪がコーナーへ詰めて連打を見舞った。  2R、提髪は右ストレートを何度もヒットさせるが、目黒はパンチを出しながら前へ出る。目黒の止まらない手数に提髪はフットワークでかわし、右ミドル&ローを蹴る。  3Rは提髪が前へ出て左右フック、そしてヒットはなかったが飛びヒザ蹴りを放つ。目黒も手数を出して必死の反撃。最後は提髪が目黒をコーナーへ追い詰め右フック、右ストレート、右ヒザと右の攻撃を多く叩き込んで判定2-0で提髪が勝利した。 [nextpage] ▼第3試合 第5代Krushフェザー級王座決定トーナメント準決勝(2) 3分3R延長1R×玖村修平(K-1ジム五反田チームキングス)判定0-3 ※29-30、29-30、28-29〇新美貴士(名古屋JKファクトリー)※新美が決勝戦へ進出。  玖村は空手を学び、キックボクシング転向後は2017年6月にNJKFバンタム級王座を獲得。2018年6月からK-1 JAPAN GROUPに参戦し、2019年6月には「K-1スーパー・バンタム級世界最強決定トーナメント」に出場。同年10月の試合を最後に網膜剥離(全治3カ月)で戦線離脱していたが、階級を上げて復帰。1回戦では秀樹にKO勝ちした。戦績は14勝(7KO)7敗1無効試合。  新美は2018年8月からK-1 JAPAN GROUPに参戦し、連勝したが斗麗に敗れた。その後は佐野天馬、高橋直輝に連勝も前戦は7月に岡嶋形徒に判定で敗れている。1回戦では知良と対戦するはずだったが、知良が体調不良のため欠場となり、不戦勝で勝ち上がった。戦績は9勝(4KO)3敗のサウスポー。  1R開始と同時に一気に攻め、意表を突いたサウスポーの新美。玖村はコーナーを背負うが、右ストレートで脱出。その後も新美が前へ出て積極的に左右フックを打ちに行くが、玖村は下がりながらも右フック、右ストレートを当てていく。  2Eも前に出るのは新美。玖村はコーナーへ詰められるが、打ち合って脱出。前へ出てくる新美に右フック。さらに左ボディをクリーンヒットさせると、左右ボディとヒザでボディを攻めていく玖村。  3Rも前に出る新美に玖村は打ち合いに応じる。ボディを織り交ぜて優勢かと思われたが、新美の左ストレートをもらって後退。コーナーに詰まる場面が目立ち、判定3-0で新美が優勝候補と目されていた玖村を降した。 ▼第2試合 第5代Krushフェザー級王座決定トーナメント準決勝(1) 3分3R延長1R×岡嶋形徒(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)KO 3R 2分58秒 ※バックハンドブロー〇森坂 陸(エスジム)※森坂が決勝戦へ進出。  岡嶋は『格闘代理戦争』の卒業生でプロ転向後は5連勝を飾っているホープ。1回戦ではBigbangライト級王者・林京平にKO勝ち。「結局、俺が一番強いんで」の決めセリフを持つ。  森坂は2017年5月からK-1 JAPAN GROUPに参戦し、2019年3月にはK-1出場も果たしている。2017年7月には現K-1フェザー級王者・江川優生から勝利を収めた戦績が光る。1回戦では山浦力也の強打に押されながらも3R終了直前にバックハンドブローでダウンを奪い、劇的な勝利を飾った。戦績は11勝(2KO)9敗2分。  1R、森坂は右ローと左ミドルを主体とした蹴り、岡嶋はパンチを狙いつつもヒザ蹴りを突き刺していく。森坂の前蹴りや横蹴りで岡嶋はなかなか入ることができない。  2R、右ローの蹴り合いから、岡嶋が飛びヒザを繰り出せば森坂はジャンプしてのパンチからバックハンドブロー。森坂の右ストレートがクリーンヒットすると岡嶋は前へ出て打ち合いに行くが、森坂はステップを駆使して岡嶋の攻撃をかわしていく。  3Rも右ローの蹴り合い。森坂は左ミドルも蹴り、左フックを狙い撃ち。岡嶋の右ショートがヒットし、前へ出たところで森坂得意のバックハンドブローが炸裂。ダウンを奪われた岡嶋はワンツー、右ローでダウンを奪い返そうとするが、残り10秒で勢いよく前へ出たところに再びバックハンドブローを浴びダウン(トーナメントは2のダックダウン制)。森坂が得意技を駆使してKO勝ちで決勝進出を決めた。 [nextpage] ▼第1試合 第5代Krushフェザー級王座決定トーナメント・リザーブファイト 3分3R延長1R×山浦力也(北斗会館浅科道場)判定0-2 ※28-29、29-29、28-29〇水津空良(優弥道場)  1R、右インローをしつこく蹴る山浦にサウスポーの水津はジャブをしっかり当ててからの右ストレート。至近距離でフックを打ちあうが、水津の左ストレートからの返しの右フックを喰らった山浦はコーナーに詰まる。  2Rもしつこく右インローを蹴る山浦に水津の足が流れ始める。山浦のパンチもヒットが多くなり、右フックで水津が大きくバランスを崩す場面も。  3R、意地の張り合いのように足を止めて左右フック&アッパーで打ち合う両者。水津はインローを蹴られないように接近してヒザもボディへ突き刺す。最後は水津が連打で山浦にロープを背負わせ、判定2-0で勝利した。 ▼プレリミナリーファイト第2試合 Krushスーパー・フェザー級 3分3R×古宮 晴(昇龍會)判定0-3 ※28-30、27-30、26-30〇児玉兼慎(K-1ジム三軒茶屋シルバーウルフ)  1R、ジャブを突く古宮に児玉は強い左ローを蹴り、真っ直ぐに伸びる右ストレート。いい距離でパンチを当てていく児玉は古宮のジャブの返しに右ストレートを叩き込んでダウンを奪う。  2R開始早々、児玉がパンチの連打で古宮をコーナーへ詰める。脱出した古宮は前蹴り&ハイキック、そしてアッパーを交えたコンビネーションで応戦。ジャブの相打ちが見られる、児玉は顔面、ボディ、足と攻撃を散らして古宮を揺さぶる。  3R、右ストレートとハイキックで反撃する古宮だが、児玉は強烈な左ボディを何度も叩きつける。さらにワンツー。古宮もパンチを打ち返すが児玉のアグレッシブさに押される形となり、判定3-0で児玉の勝利となった。 ▼プレリミナリーファイト第1試合 Krushフェザー級 3分3R〇立基(K-1ジム目黒TEAM TIGER/第30回K-1アマチュア チャレンジAクラス -60kg優勝)判定3-0 ※30-28、30-27、30-26×神田賢吾(WSRフェアテックス幕張)  1Rからジャブ、右ストレートとパンチ主体の攻撃で主導権を握る立基。2Rには神田の右ストレートを逆に被弾する場面もあったがボディを攻める。3R、右フック&左ローで粘る神田。立基は左フックにカウンターの右フックでダウンを奪い、大差の判定勝ちを飾った。
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