「NO KICK NO LIFE~新章~」2020年10月29日(木)会場非公開(ダイヤモンドフェスでライブ配信)
▼メインイベント 53kg契約 3分5R〇石井一成(ウォーワンチャイ・プロモーション/初代KING OF KNOCK OUTフライ級王者)TKO 2R 2分09秒 ※セコンドからのタオル投入×岩浪悠弥(橋本道場/WBCムエタイ日本同級2位、元WBCムエタイ日本統一フライ級王者、INNOVATIONバンタム級&スーパーバンタム級王者)
イッセイ・ウォー・ワンチャイこと石井一成はジュニアキック出身で、アマチュアでは14冠王を達成。タイを主戦場に6連続KO勝利を飾り、2017年2月にはTrue4Uフライ級タイトルを高校生で獲得。2017年6月からは『KNOCK OUT』に参戦し、2018年12月、トーナメントを制してKING OF KNOCK OUT初代フライ級王座に就いた。那須川天心に対して“西の神童”と呼ばれている。
岩浪はINNOVATIONフライ・バンタム・スーパーバンタム級王座の三階級を制覇、WBCムエタイ日本フライ級王座も獲得。ヒットアンドアウェイを得意とし、高い防御力を誇る。9月12日の『NJKF』ではWBCムエタイ日本統一バンタム級王座決定戦をNJKFバンタム級王者・一航(新興ムエタイジム)と争ったが、判定1-1でドローも規定によるチェアマン判定で王座獲得はならなかった。
1R、右ローを蹴っていく石井に岩浪は左三日月蹴り。この蹴り合いが続く。石井は右へ回り込みながら右フックを狙う。時折、石井が打ち合いを仕掛けるが岩浪は乗らず三日月とローを蹴り続ける。
2R、岩浪は徹底して左ミドルと左三日月蹴り。石井は左ボディと左右フックで勝負を仕掛けるが、岩浪は打ち合わずに離れてまたも三日月。しかし、石井は積極的にヒジとパンチでアタックを仕掛けていく。
石井は岩浪にロープを背負わせると左縦ヒジ。続いても左ヒジ、そして右ヒジをフォローしてダウンを奪う。うつろな目をして頭を起こす岩浪を見て、セコンドがタオル投入。石井が爆発力を発揮し、見事なTKO勝ちを飾った。
「このNO KICK NO LIFEを僕が背負っていくという想いで試合をしました。また見に来てください」と、石井は宣言した。
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▼セミファイナル 55kg契約 3分5R〇福田海斗(ウォーワンチャイ・プロモーション/キング・ムエ)判定3-0 ※50-45、50-44、49-44×馬渡亮太(治政館/元チェンマイスタジアム認定バンタム級王者&前ジャパンキック バンタム級王者)
馬渡は長身から繰り出すしなやかなミドルキック、切るだけでなく倒すヒジ、首相撲からヒザと、ジャパンキック屈指のテクニックを有する。昨年5月12日のプレ興行でチェンマイスタジアム王座の初防衛戦、8月4日の旗揚げ戦でジャパンキックバンタム級初代王座に就くも、さらなる高みを目指すべく、両王座を返上。8月のジャパンキックではダウサコンと引き分けている。
福田はタイで活躍を続ける日本人選手。中学1年生でタイにてプロデビューし、タイで試合を重ねてルンピニーとラジャダムナンのランキングに何度も名を連ねる。2015年3月、WPMF世界フライ級王座獲得。同年11月には藤原敏男以来となる、日本人2人目のルンピニー&ラジャダムナン2大殿堂同時ランクインを果たし、12月にはタイ国プロムエタイ協会フライ級王座も獲得。同年の最優秀外国人選手に選ばれた。
2018年9月にTrue4Uスーパーフライ級王座を獲得、2019年10月には日本の『Suk Wanchai MuayThai Super Fight vol.6』でルンピニースタジアム認定スーパーフライ級王者ルンナライをKO撃破し、True4Uバンタム級王座を奪取するなど、本場タイのムエタイで最も活躍する日本人選手として知られる。10月の『BOM』ではユットを圧倒KOした。
この試合は今大会唯一のつかみ(首相撲やキャッチ、引っ掛けなど)無制限で行われる(他の試合はワンキャッチワンアタック)。
1R序盤は互いにローと前蹴りで様子見。中盤を過ぎると福田が圧力をかけ始め、パンチをまとめて右ローを蹴る。馬渡が蹴りをキャッチしてコカそうとするも、福田はバランスを保って“どうだ”と言わんばかりの表情。
2Rも圧力をかけるのは福田。単発ではあるが一発一発パンチを顔面とボディへ当てていく。顔を抑えながらのヒザ蹴り、コーナーへ詰めての右ストレートもヒット。ヒジの打ち合いも見せる。飛びヒザでコーナーへ詰めた福田が右の縦ヒジをアゴにヒットさせてダウンを奪う。
3R、前に出てくる福田に馬渡が右ストレートを当てると福田は不敵な微笑み。カウンターのテンカオを突き刺すとヒジで攻めていく。さらにヒジ、フックを叩きつけていく福田。首相撲に持ち込むとヒザ蹴りの連打。左ボディも打って行く。馬渡もヒジで応戦し、ボディを打つ福田をヒジで流血させるが、福田はパンチとヒザでボディを攻めてすぐにヒジ打ち。福田が攻めに攻めたラウンドに。
4R、下がりながらパンチとヒジを打つ馬渡に福田は前へ出続けてヒジ、組んでのヒザ蹴り。馬渡は右ストレートをヒットさせるが福田は下がらずヒジを打ち、組んでのヒザ蹴りに持ち込む。このラウンドは徹底的に削りにいった福田。
5Rは徹底して組みにいく福田。ヒザ蹴りだけでなく、相手の腕を抱えてのヒジも繰り出す。馬渡がヒジを打つと福田が右ヒジを返し、馬渡がフラフラとダウン。馬渡は最後の力を振り絞ってパンチ、ヒジでの逆転を狙うが、服だがヒジ、首相撲からのヒザで主導権を握り続けての判定勝ち。福田が本場のテクニックを存分に発揮しての圧勝を見せつけた。
▼第4試合 52.16kg契約 3分3R△HIROYUKI(RIKIX/前・新日本キックボクシング協会バンタム級王者&元フライ級王者)ドロー 判定1-1 ※30-29、28-29、29-29△花岡 竜(橋本道場/INNOVATIONフライ級王者)
HIROYUKIは目の良さと身体能力の高さを活かし、打たせずに打つ試合を持ち味とする。時折、派手な蹴り技も見せるが、得意技はヒジ打ち。新日本キックボクシング協会の第6代日本フライ級王者&第12代日本バンタム級王者で、近年では他団体選手との試合を望んで実現させてきた。8月のジャパンキックボクシング協会主催大会ではジャパンキック フライ級王者・石川直樹にカーフキックでKO勝ち。
花岡はアマチュアで28冠王を達成し、122勝20敗15分という驚異的な戦績を引っ提げて2019年春に中学卒業後すぐにプロデビュー。8月のINNOVATION主催興行で王座認定戦を行い、勝利して5勝(2KO)無敗で王座に就いた16歳(高校2年生)。関係者からの評価も高く“平成最後の怪物”と呼ばれている。紹介VTRでは“打倒・那須川天心”を口にした。
1R、花岡はロー、前蹴り、ボディブローと攻撃を散らして顔面へパンチを当てに行く。特に前蹴りが効果的にHIROYUKIを崩す。HIROYUKIのパンチをかわして自分の右を入れる場面も何度か見られた。HIROYUKIは右ローを蹴ってまずは動きを止めにいく。
2R、後ろ蹴りやバックハンドブローなど回転系の技を見せる花岡。HIROYUKIも負けじと胴廻し回転蹴りを放つ。なかなかパンチを当てることができなかったHIROYUKIだが、右フックをヒットさせるとそこから左フック、右ストレートも当てに行く。今度は花岡のパンチを空振りさせ、HIROYUKIが右ロー、右フックで攻めていく。
3R、花岡が左ミドルを蹴って左フックで攻めれば、HIROYUKIの左ミドルを返す。お互いに蹴りをキャッチして攻撃につなぐ。花岡は後ろ蹴りを繰り出す。花岡が前蹴りをキャッチして流すと、HIROYUKIはその勢いで回転しての後ろ廻し蹴りで軽く花岡を捉える。さらに後ろ蹴りも放つHIROYUKI。
お互いにテクニックを見せつけた試合は三者三様のドローとなった。
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▼第3試合 51.0kg契約 3分3R ※ヒジ打ちなし〇小林愛三(NEXT LEVEL渋谷/WPMF女子世界フライ級王者、ムエタイオープン女子フライ級王者)判定3-0 ※30-29、30-28、30-28×後藤まき(RIKIX/ミネルヴァ ライトフライ級2位)
小林は2015年2月にプロデビューすると、2018年7月にシュートボクシングの試合でイリアーナ・ヴァレンティーノに敗れるまで13戦無敗を誇った。KNOCK OUTでは女子部のエースとして活躍。2018年12月には伊藤紗弥との国内頂上対決を制し、翌年4月にはイリアーナとKNOCK OUTで再戦してリベンジに成功。11月にWPMF世界女子フライ級王座を奪取。今年からRISEに参戦して「初代RISE QUEENフライ級(-52kg)王座決定トーナメント」では決勝へ駒を進めている。
後藤はRIKIXの紅一点。寺山日葵や聖愛らチャンピオンクラスとの対戦経験も豊富で、佐藤レイナから勝利を収めたことがある。黒星が続いているが「負けっぱなしの人生を変えるのはここしかない」と自身のSNSに燃える投稿をしていた。
1R、右ローを蹴る小林に後藤はワンツーを連打していく。小林はジャブ、右フックを打ちながら右ローを狙い撃ち。後藤は明らかに倒しに行っている渾身の右ストレートを何度も繰り出す。さらに組むとヒザ蹴り。小林はパンチをもらいながらもしつこく右ローを蹴る。
2Rも開始と同時にワンツーで攻め込む後藤。小林は右ローを蹴りつつ左右フックを打ち返していく。小林のジャブと右ロー、右ストレートをもらう場面が増え、前に出てくる力も衰えてきたように見える小林だが、ラウンド終盤にはパンチを出して前へ出る。
3R、左右フックを連打する小林にアゴが跳ね上がる後藤だが、強い右ストレートを単発で打ち返す。足を止めての打ち合いで何度もクリーンヒットを奪う小林だが、後藤は立ち向かってくる。後藤の右フックがヒットも、小林のパンチの回転力が上。左右のパンチを休むことなく出し続ける小林。後藤も右の一発に懸けるが、小林が圧倒的な手数で上回り、小林が判定勝ちした。
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▼第2試合 55.5kg契約 3分5R〇加藤有吾(RIKIX/WMC日本スーパーバンタム級王者)KO 1R 1分28秒 ※左フック×MASAKING(岡山ジム/J-NETWORKスーパーバンタム級1位、INNOVATION同級8位)
同級生対決。加藤は元ラジャダムナンスタジアム認定スーパーライト級王者・石井宏樹が手塩にかけて育てた愛弟子で、現在6連勝と波に乗っている。戦績は13勝3敗。
MASAKINGは2018年INNOVATIONフライ級新人王で、2019年10月にはJ-NETWORKスーパーバンタム級王座決定戦に臨むも惜敗。RISEでの前戦では田丸辰に敗れ、戦績を4勝(2KO)4敗3分とした。
1R、加藤は右ローを蹴りつつ左ボディで攻めていく。MASAKINGは右ミドルを蹴りつつ打ち下ろすようなワンツーを放つが、加藤はかわす。ジャブに下がったMASAKINGが左フックを打ってきたところへ加藤が左フックを合わせ、この一撃でKO勝ち。MASAKINGは担架で運ばれるほどのダメージを負った。
「最初は堅くなってしまったんですが、最後はフェイントを使って当てられたので作戦通り。これからNO KICK NO LIFE盛り上げていくのでよろしくお願いします」と、冷静に勝利を喜んだ。
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▼第1試合 61.5kg契約 3分3R〇森井洋介(野良犬道場/初代KING OF KNOCK OUTライト級王者)KO 3R 0分43秒 ※左ストレート×翔貴(岡山ジム/元ルンピニージャパン認定フェザー級王者)
森井は国内ライト級屈指のハードパンチャーで、近年はKNOCK OUTのエースとして活躍。2016年9月の旗揚げ会見スペシャルマッチから2019年2月までに11勝(9KO)2敗1分という戦績を残した。2017年に開催された「KING OF KNOCK OUT初代ライト級王座決定トーナメント」では3試合全てKOで制し、初代王座に就いている。しかし、現在はチャンヒョン・リー、原口健飛に連敗中。今回再起を懸ける。戦績は44勝(29KO)9敗4分。
翔貴はRISEやKNOCK OUTにも出場。栗秋祥梧を相手にドローに持ち込んだ戦績が光るが、その引き分けを挟んで現在6連敗中。今回から心機一転、ライト級に転向して連敗脱出を目指す。
1R、まずはローの交換。続いて左フックも交換する。森井の強い右ローに翔貴は左ハイを顔面にかすめる。翔貴の右フックをもらった森井だが、すかさず左フックを返す。しかし、翔貴のワンツーの右ストレートで森井がダウン。倒しに行く翔貴に森井も応戦。右ローを蹴る森井。
2R、右ローを蹴って左フックにつなぐ森井に翔貴は3連打を返す。翔貴は翔貴の前蹴り、ジャブに近付けない。打ち合いになると右の攻撃がよく見えてないのか被弾する森井。左右フック、右ローで応戦する森井はラウンド最後に打ち合いを仕掛け、ここでは翔貴のパンチをダッキングでかわしながら左右フックを打ち込む。
3R、森井は右ローと左フックで勝負をかける。これに翔貴も打ち合うが、右ストレートを打った直後に森井の左フックでダウン。続く森井が踏み込んだと同時に放った左ストレートで崩れ落ちる翔貴。森井が逆転KO勝利を飾った。
勝利者インタビューに答える森井は「1Rダウン取られて焦ったんですが逆転できてよかったです。またこのリングに帰ってこれたのは応援してくれるファンのみなさんやサポートしてくれる後援会の方、それに家族や友だち、そして…居場所を作ってくれた小林さんのおかげです。また応援お願いします」と森井は男泣きしながらお礼を述べた。