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【Bellator】UFC世界王者ピョートル・ヤンに唯一の黒星をつけたマゴメドフがBellator入り!“黄金のバンタム”で堀口恭司、朝倉海に強力なライバル現る

2020/10/21 20:10
 現UFC世界バンタム級王者ピョートル・ヤン(ロシア)に唯一の黒星をつけた選手、マゴメド・マゴメドフ(ダゲスタン共和国)が、Bellator MMAと複数試合契約を結んだことをスコット・コーカー代表がCBSスポーツで発表した。 “タイガー”の異名を持つ、28歳のマゴメドフ(MMA16勝1敗)は、ACB時代にピョートル・ヤンと2度対戦。2016年3月にマゴメドフがスプリット判定勝ちで空位だったACBバンタム級王座を獲得すると、同12月に初防衛に成功。2017年4月にヤンとの再戦に臨み、判定0-3で今度はヤンが王座を奪取している。  1回目の対戦では、3Rにヤンが後ろ廻し蹴りからそのまま回転しての左フックでダウンを奪取。続くバッティング&ヒザ蹴りでマゴメドフが出血しながらも、レスリング&バックテイクでドミネートし勝利。  再戦では、圧力をかけるヤンに、マゴメドフがサークリングしながらもカウンターをしかけるなど再び大熱戦となり、判定はヤンに軍配が上がっている。2戦ともに必見の内容だ。  散打をベースに、打撃はオーソドックス構えから後ろ廻し蹴り、胴廻し回転蹴りも見せるなど回転系のほかに、カーフキック、左ボディ・左ヒザ、右フックの対角コンビネーション、そして強烈な右ミドルを武器に持つなど多彩だ。  組みでも引手を脇に挟んでの首相撲&ヒジ、何より粘り強いケージレスリングが持ち味で、特に左腕の差しが強く、ハイクラッチのシングルレッグやボディロックで再三ヤンのバランスを崩している。  また、スクランブルにも強く、ヤンが得意とする足払いテイクダウンからのバックテイクに、前転してすぐに腰をずらして正対して立ち上がり、逆にボディロックからバックテイク。あるいはダブルレッグから肩に乗せてのテイクダウンにもすぐに立ち上がるなど、抑え込まれることが少ない。  2戦目の4Rには、ヤンのダブルレッグにギロチンチョークを極め、ニアフィニッシュの場面を作っており、どちらが勝ってもおかしくないタフファイトを繰り広げている。 “異次元の強さを持つ”を言われる現UFC世界バンタム級王者ピョートル・ヤンにとって唯一の敗戦がマゴメドフで、元ACBバンタム級王者のマゴメド・マゴメドフにとっても唯一の敗戦がヤンということになる。ヤン戦以降、マゴメドフは3連勝中で、直近では2018年11月の「ACB 90: Moscow」で、ブラジルのウォルター・ペレイラJr.を1R ギロチンチョークで極めている。 [nextpage] コーカー代表「バンタム級は最も手強い階級の一つになった」  Bellatorのスコット・コーカー代表は、CBSスポーツに「マゴメドフとの契約を非常に楽しみにしている。私のチームと私はトップの新進気鋭のファイターを探し続けており、マゴメドフはこのスポーツの世界チャンピオンになる可能性を秘めている。バンタム級は最も手強い階級の一つになった。マゴメドフは最近、バンタム級で新たに契約したブレット・ジョンーズ(元UFC)、ジャレッド・スコギンズ(元LFA)、ジェイロン・ベイツ(9戦無敗)らとともに、今後何年にもわたって非常に素晴らしい試合をするだろう」と期待を語っている。  Bellatorバンタム級は、堀口恭司(ATT)が返上したベルトを巡り、9月の王座決定戦でパトリック・ミックスに判定勝利したフアン・アーチュレッタ(米国)が新王者となり、リッキー・バンデハスを下したセルジオ・ペティスが次期挑戦権を得ている。さらにジェームズ・ギャラガー、レアンドロ・イーゴ、エドゥアウド・ダンタスら強豪がひしめいている。  また、新王者を巡り、大晦日に対戦予定の堀口と朝倉海(トライフォース赤坂)がともに対戦を呼び掛け、アーチュレッタもそれに応じるなど、日本勢にとっても「世界」と繋がる階級だ。海外報道では、コーカー代表は、「堀口もしくは朝倉海と戦わせるために、日本にファン・アーチュレッタを送り込んでもいい」と発言しているという。 (C)Jeff Bottari/ZUFFA LLC  群雄割拠のバンタム級で、UFCでは10月に当時1位のマルロン・モラエスと、4位のコリー・サンドヘイゲンが対戦し、サンドヘイゲンが右後ろ廻し蹴りでモラエスを2R TKOに下すなど、苛烈な戦いが繰り広げられており、コーディ・ガーブラント、ショーン・オマリーといったタレントも揃っている。  そして、現在の1位には佐々木憂流迦と同門のアルジャメイン・スターリングがランクし、12月12日の「UFC 256」でピョートル・ヤンとのタイトルマッチが決定している。 [nextpage] UFC3位のザビットとダゲスタンの武術寄宿学校でともに学び、米国ではアルメイダ&ヘンリーに師事   この年末に向け、ますます加熱する“黄金のバンタム級”に参戦するマゴメド・マゴメドフとはどんなバックボーンを持っているのか。  ダゲスタン戦士が集まるダグファイタージム所属のマゴメドフは、13歳からダゲスタンの山々に囲まれた武術寄宿学校「パエ・ストロン・スヴェタ(世界の五方位)」に住み込み、同学年のザビット・マゴメドシャリポフ(UFCフェザー級3位)らとともに散打の鍛錬を積んできた。  その後、ダゲスタン共和国の首都マハチカラの「Polar Bear」で前ONE世界フェザー級王者のマラット・ガフロフのもと、“ノールール”のトレーニングを始めたという。無理なく相手をコントロールする“柔”のザビットに対し、タイミングと距離は抜群なものの、時に“剛”の戦いも見せるマゴメド。同い年の2人は常に行動を共にしてきた。  ザビット、ハッサンらダグファイターとともに、米国ではヒカルド・アルメイダ&マーク・ヘンリーの指導のもと、フランキー・エドガー、マルロン・モラエスらともスパーリングを行い、現代MMAのテクニックを採り入れてきた。  UFCファイターとのからみでは、ヤンのほか、2012年8月にサイード・ヌルマゴメドフ(2020年10月にマーク・ストリーグルに1R KO勝ち)に判定勝ち、2013年2月には、後にUFC入りしマイク・グランディに一本勝ちするダミアン・スタシアクにも判定勝ちを収めている。プロMMA16勝のうち、7勝がサブミッションで、うち4つのギロチンチョークによる一本勝ちを誇る。  2018年11月の「ACB 90」以来、試合から遠ざかっている、このダゲスタンファイターのBellatorデビュー戦の日程は現在のところ発表されていないが、マゴメドフは「長いこと試合してなかったけど、ずっと練習して準備してきたからすぐ試合ができるよ!」と記している。  マゴメド・マゴメドフはサークルケージですぐに王座に手をかけてくるだろう。果たして王者アーチュレッタ、そして日本の堀口恭司、朝倉海は、このコーカサスの“虎”とどこまで戦えるのか。いま、世界のバンタム級戦線に注目しない手はない!
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