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2020年10月17日(日本時間18日)、アラブ首長国連邦・アブダビにて「UFC Fight Night: Ortega vs. Korean Zombie」が開催される。
ファイトアイランドで6回目となる同大会では、UFCでメインイベントを張ることができる数少ないアジア人ファイターの1人であるジョン・チャンソン(韓国)が登場。MMA14勝1敗のブライアン・オルテガ(米国)と対戦する。
因縁のビッグマッチに向け、試合前のバーチャル・メディアデーに参加したチャンソンは、コロナ禍での練習について、「社会性を求められることなく、自分のトレーニングに集中できたって点ではよい事づくめだったかな」と笑顔を見せた。
今回、名将エリック・アルバラシン(ヘンリー・セフードやピッチブル・ブラザースのコーチ)からは、スカイプによりアドバイスを仰ぎ、ファイトキャンプでは、米国からジョニー・ケースとボビー・モフェットをトレーニングパートナーとして呼び寄せ練習を行って来た。両者はMMA LABのチームメイトのために、米国から韓国入りし、2週間の隔離生活を経てキャンプに合流したことになる。
UFCで4勝2敗、RIZINで3勝1敗のケースは身長175cmのオーソドックス構え。同じオーソで173cm、懐も深いオルテガを想定し、ケースは“仮想”オルテガとして主に打撃部門でチャンソンをバックアップ。LFAからUFC入りしたブラボーチョークの使い手モフェットは、グラウンド面をサポートしたという。
「ケースはストライカーとしてオルテガより優れていて、身長的にもオルテガを想定するのに適していたし、モフェットとは寝技対策が出来た」とチャンソンは語る。
日本の戦極等で活躍し、小見川道大、石渡伸太郎にも勝利しているチャンソンはMMA16勝5敗。キックボクシングでも15勝6敗の戦績を誇るストライカーで、MMAではオルテガより3年長いキャリアを持つが、UFC参戦中に兵役で2年間ファイターを休業していたこともあり、2011年からの9年間でまだ8試合。打ち合い上等のスタイルと見られがちだが、戦いに幅の広さがあり、息の長さも見せている。
14日に行われたバーチャル・メディアデーでは、オルテガが前戦でマックス・ホロウェイを相手に初黒星を喫したことを引き合いに出され、「ストライカーにとって有利な相手か」と問われ、「打撃だけで勝負しようとは思ってない」と、かつてダースチョークやツイスターでの一本勝ちもマークしているチャンソンは答えている。
ともにボディ打ちも得意とするなど、ホロウェイと異なり、チャンソンの打撃はよりアグレッシブで距離が近く、テイクダウンの展開でも、一方的にオルテガから逃げる必要が無く組むことが可能だ。
2018年11月に1年9カ月ぶりの復帰戦でヤイール・ロドリゲスに敗れるも、2019年にはヘナート・モイカノ、フランキー・エドガーの両者を1R TKOに下しているチャンソンは、「ランキングシステム的に自分が2位で、彼が4位になるべきだよね」と気負うことなく語る。
16日のオッズでは2.6倍のオルテガに対し、1.54倍のチャンソンが有利と見られているが、「彼が2年試合をしてないからってパフォーマンスが落ちているとは思わない。むしろハングリーだろうし、事実、ケージで結果出さなきゃいけないのはあっちの方だ」と、3試合連続のパフォーマンス・オブ・ザ・ナイト受賞者は、油断することも無い。
29歳のオルテガに対し、キックも含むプロキャリア15年のチャンソンはまだ33歳ともいえる。「まあとにかく、自分がチャンピオンになるためには、目の前の敵を倒すしかない、それだけのことだ」──“コリアンゾンビ”はアブダビのメインでトップファイター相手に健在ぶりを証明し、頂点にたどり着くことが出来るか。