キックボクシング
インタビュー

【ONE】シンガポールに移住、同地で復帰戦の秋元皓貴「タイトル戦線に食い込むチャンス。思い切って倒しに行きたい」

2020/10/15 11:10
【ONE】シンガポールに移住、同地で復帰戦の秋元皓貴「タイトル戦線に食い込むチャンス。思い切って倒しに行きたい」

(C)ONE Championship

 ONE Championshipは10月16日(金)に配信する『ONE: REIGN OF DYNASTIES II』の全カードを発表。メインイベントで、日本の秋元皓貴が中国のジャン・チェンロンと対戦することを発表した。

 秋元は、小学2年時に空手を始め、2007年10月に15歳でプロデビュー。2008年8月の「K-1 甲子園 KING OF UNDER 18~FINAL16~」で江幡睦に判定勝ち。2011年7月に、19歳にして元ルンピニースタジアム認定二階級王者で現役ランカーのピンサヤーム・ソー.アムヌアイシリチョークに2RにKO勝ちを収めた。

 2012年10月の森井洋介戦では、5R判定勝ちでデビュー以来無敗のままWBCムエタイ日本フェザー級タイトルを獲得。2014年からフルコンタクト空手に復帰し、2017年のJFKO第4回全日本フルコンタクト空手選手権軽量級で優勝を果たしている。

 2018年8月にシンガポールのメガジム「Evolve MMA」のトライアウトを受けて合格。10月には日本から拠点を移した。同年5月に長女を授かるも当時は単身でシンガポール入り。「生後半年くらいで離れてしまったので、結構寂しかった」という。

 しかし、現在は家族3人とジャーマンシェパードのケリーとシンガポールで暮らしている。

 2019年1月のフィリピン大会でONEデビュー。フライ級で豪州のジョシュ・トナーを相手に金網&オープンフィンガーグローブ着用で、6年ぶりのキックボクシングルールで対戦。序盤から左ミドルを軸にダウンを奪うなどリードするも、トナーの右フックを被弾しダウンを奪い返されてしまう。その後は距離を作り直し、終わってみれば3度のダウンを奪い判定勝ち。

  2019年3月には日本に凱旋し、両国国技館で元WBCムエタイ世界スーパーバンタム級暫定王者のジョセフ・ラシリ(イタリア)と対戦するも、1Rに左フックでダウンを奪われ判定負け(0-2)。プロ21戦目にして初黒星を喫し、無敗記録がストップした。

 2019年7月のマレーシア大会で再起。リングでのボクシンググローブ戦で、ケニー・ズィー(豪州)を相手に判定勝利し、ONE2勝目を挙げた。

 しかし、ズィー戦で左拳を骨折。新型コロナウイルスの感染拡大もあり大会がストップし、長いロックダウンのなか、秋元一家もシンガポールでステイホームし、いちから身体を作り直し、新たな練習方法も模索してきたという。コロナ禍、今回はフライ級からバンタム級に階級を上げて戦う。

 対するチェンロンは祖父、父、兄弟の家族3世代がプロの格闘家という格闘技一家に生まれ、WPFM世界王者のジャン・チャンユを兄に持つ。散打とムエタイをベースに、サウスポー構えから強い左ストレートと右フック、さらに右の長いアッパーも武器とするなどハードパンチャーながら上手さも見せる。

 49勝13敗1分。ONEで3連勝後、2019年12月に現王者のアラヴァディ・ラマザノフ(ロシア)と初代ONEバンタム級キックボクシング世界王座戦を争い、判定負けで王座は逃したものの、接戦に持ち込んだ実力は高く評価されている。

◆ONEバンタム級 キックボクシング
世界王者|アラヴァディ・ラマザノフ
1位 ノンオー・ガイヤーンハーダオ
2位 センマニー・サティアンムエタイ
3位 ジャン・チェンロン
4位 リアム・ハリソン
5位 ロドレックP.K.センチャイムエタイジム

 現在、ONEバンタム級キックボクシングランキングでチェンロンは3位。秋元が勝利すれば、王者ラマザノフとのタイトル戦も見えてくる。

 シンガポールに移り住み、コロナウイルスと怪我の治療のなか、ONEが本拠地で再開した大会で、1年3カ月ぶりの復帰戦に臨む秋元に聞いた。

やっと試合の場に戻れる事が嬉しい

──2019年7月の前回の試合から長い期間が空きました。再び戦いの場に戻れることについてどのように感じていますか。

「やっと試合の場に戻れる事をとても嬉しく思っています」

──新型コロナウイルスの影響で、拠点とするシンガポールもロックダウンしました。SNSでも対人でのミット打ちが9月に入ってからで、それまではサンドバッグ打ちしか出来ない状況だったと聞いています。トレーニングにどんな影響がありましたか。

「世界的にはとてもダメージが大きい事だとは思いますが、僕個人のトレーニングには特に影響はありませんでした。対人練習が出来なくなってから、前半は身体作り、とくに体幹や下半身をメインでトレーニングを行い、次に身体の動きの連動を意識してトレーニングしてきました」

──サンドバッグ打ちでも、バッグと自身をゴムで結び付けて打ったり、蹴り足にゴムを結び付けて負荷をつけて打ち込むなど、空手の稽古を応用したような自主練習を見ました。あれは……。

「ONEに参戦してからダウンを取ったり、KOがまだ少ないので、これからはもっと狙っていきたいと思い、取り組んできました」

──今回はコロナ禍もあり、バンタム級での試合に臨みます。

「ズィー戦で左拳を骨折したんです。コロナに関係無く1年ぐらい試合ができない感じだったので、その間に身体を作って上の階級にできたらと思っていました。過去3試合は減量がキツかったというのもあり、64kgを下回ると動きが悪くなっているのを感じていました。いまはコーチたちから『パンチも蹴りも重くなった』と言われています」

──コロナウイルスの影響下でも出来る事を積み上げてきたと。

「シンガポールに来てから、ムエタイを学びながらキックボクシングをやってきましたが、立ち技のパートナーがいないときは、MMAの選手(澤田龍人)とトレーニングする機会が増えて、キックボクシングや空手やムエタイにない動きを学びました。MMAは足の運び方や技の繋ぎ方が全く違うと感じて、それを自分の中で噛み砕いて、キックで使えるところを吸収するようにしました」

──なるほど。秋元選手が得意とする様々な種類の空手の下段蹴りにもさらにバリエーションが増えたのではないかと想像します。しかし、今回、対戦するジャン・チェンロン選手はサウスポー構え。どのような印象を持っていますか。

「サウスポーの選手との試合は今まで少なかったので……相手がサウスポーかつハードパンチャーということは、とても意識して練習してきましたね。階級は下ですが、サウスポーのサムエーとは結構頻繁にスパーリングをしてきました。サムエーは反応が速く、格闘技IQが高いので、本当に為になっています」

──チェンロン選手のストロングポイントをどのようにとらえていますか。

「強みはそのサウスポーからの左ストレートと、スタミナ、気持ちの強さだと思います。本当にパンチが強い選手だなと思いますし、スタミナとか気迫だったりとか、そういった部分でこの階級で飛び抜けて目立つ選手だと感じています」

──「スタミナや気迫が飛び抜けて強い」というのは?

「アラヴァディ・ラマザノフとの試合(初代ONEバンタム級キックボクシング世界王座戦)ですね。ダウンを奪われてからの戦い方が普通の選手とは違うなと思いました。ダウンして、ある程度効いていたと思いますが、そこで多少時間を稼いだりとかという選手もいるなか、チェンロン選手はしっかり倒しに行って、その中でもカウンターを狙いに行っているのが見ていて伝わりました 。そういうところが嫌なタイプだな、と思います」

──たしかにダウン後に詰められたのを詰め返し、強振しながらも闇雲ではなかった。国際戦経験が豊富で、左の攻撃が強く、スタミナもハートも強いと。つけ入る隙があるとしたら……。

「特に目立つのは、左ストレートと右フック。そこはしっかりとチェックしていけたらと思います。一方で、弱みはハードパンチャーに多い、ディフェンスの穴だと思います」

──オープンフィンガーではあの長い右のアッパーも脅威に感じましたが、今回は小さなMMAグローブと違ってボクシンググローブかと思います。思い切り振ってくるチェンロン選手の詰めは真ん中が空くことがある、そこにパンチやヒザを合わせることが出来たら……。

「そうですね。パンチはすごく強いと思いますが、蹴りや遠い間合いは僕の方が有利だと思います。その蹴りの距離を潰してくるとは思うので、潰してきた時にパンチのカウンターや蹴りを合わせていきたい。これまでの試合を見ると、序盤は様子を見ながら一発を狙うという感じなので、そのタイミングで逆に僕がガンガン攻撃を当てて、攻撃を散らしながら、倒せる技を探していきたいと思います。詰めてきたらカウンターも狙えるように。そう簡単に倒れてくれる相手ではないと思っていますが、しっかりと1R目からノックアウトを狙っていこうと思っています。対戦がすごく楽しみです」

──WLF、EM Legend、GLORYで活躍し、ONEで王座戦も経験し、3勝1敗のジャン・チェンロン選手に勝利することは、秋元選手にどんな意味を持ちますか。

「この試合に勝利すればランキング入りして一気にタイトル戦線に食い込んで行けると思います。でも、負ければ当分チャンスは回って来ないと思うので、思い切って倒しに行きたいと思います」

──今回の試合でファンに期待して欲しいことは?

「長い期間試合が出来なくて、待ってくれていた方もいらっしゃると思うので、その分成長した姿を見せられたらと思っています。日々のトレーニングで少しずつではありますが、毎日毎日進化して来ています。今までONEの試合で蹴りを中心に戦ってきましたが、今回はパンチの選手に対して、パンチも当てていきたいと思っていますので、そこは注目してもらえたら。しっかり身体を作って、パワーも上がってきているので、ダウンをとってKOする。どのくらい進化しているかを期待して見ていただければと思います」

16 October 2020 – Singapore: The largest global sports media property in Asian history, ONE Championship™ (ONE), today released the official ONE: REIGN OF DYNASTIES II Final Weight and Hydration Results.

◆Complete ONE: REIGN OF DYNASTIES II Final Weight and Hydration Results

Kickboxing - Bantamweight (61.3 KG – 65.8 KG)
Hiroki Akimoto (65.35 KG, 1.0099) vs Zhang Chenglong (65.55 KG, 1.0087)

Muay Thai - Featherweight (65.9 KG – 70.3 KG)
Sagetdao Petpayathai (69.05 KG, 1.0053) vs Zhang Chunyu (69.9 KG, 1.0061)

Mixed Martial Arts - Featherweight (65.9 KG – 70.3 KG)
Keanu Subba (69.9 KG, 1.0061) vs Tang Kai (69.85 KG, 1.0061)

Muay Thai - Flyweight (56.8 KG – 61.2 KG)
Azwan Che Wil (61.0 KG, 1.0036) vs Wang Wenfeng (61.0 KG, 1.0070)

Mixed Martial Arts - Strawweight (52.3 KG – 56.7 KG)
Ryuto Sawada (56.4 KG, 1.0061) vs Miao Li Tao (56.6 KG, 1.0116)

Muay Thai - Bantamweight (61.3 KG – 65.8 KG)
Mohammed Bin Mahmoud (65.8 KG, 1.0229) vs Han Zi Hao (65.6 KG, 1.0099)

*Hydration values less than or equal to 1.0250 earn a passing mark, while values greater than or equal to 1.0251 earn a failing mark. Athletes who failed weight and hydration tests on Day 1 or Day 2 are given another chance to clear tests on the morning of the event.

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