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【ONE】チャトリCEO兼会長「我々の先行テストが成功すれば、シンガポールの他のエンターテイメントイベントが国際的にスタートするための青写真が出来上がる」「10.30にフォラヤンvs.カルーゾ」「女子アトム級GPは2021年1月開幕」も発表

2020/10/09 13:10
【ONE】チャトリCEO兼会長「我々の先行テストが成功すれば、シンガポールの他のエンターテイメントイベントが国際的にスタートするための青写真が出来上がる」「10.30にフォラヤンvs.カルーゾ」「女子アトム級GPは2021年1月開幕」も発表

(C)ONE Championship

 2020年10月9日(金)のシンガポール大会再開、そして10月30日(金)に4大世界戦が行われるビッグマッチに向け、10月6日、ONE Championshipのチャトリ・シットヨートンCEO兼会長がネット会見を行った。

 30日大会でエドゥアルド・フォラヤンvs.アントニオ・カルーゾの追加、2021年1月から女子アトム級グランプリをスタートさせることなどを語ったチャトリCEO兼会長は、シンガポールでの大会再開を「シンガポールでスポーツ、音楽、エンターテインメントを問わず、外国人の参加が認められた初の国際的なイベントとなる。我々が先行テストで成功すれば、シンガポールの他の音楽やエンターテイメントイベントが国際的にスタートするための青写真が出来上がる」と、政府の支援・協力を経て、今後の同国の国際的なイベントのモデルケースになることを明かした。

 ONEはこのコロナ禍とどのように向き合っているのか。本拠地で大会を再開するとは何を意味するのか。チャトリ・シットヨートンCEO兼会長の発言全文を掲載したい。

我々はイベント会社ではない。スポーツメディアのプロパティだ

チャトリCEO兼会長「電話会議に参加していただき、ありがとうございます。10月9日の『ONE:REIGN OF DYNASTIES』のビッグニュースは今週まで場所の公表を延期していましたが、シンガポールで開催することになりました。シンガポール政府と密接に協力しています。アジアの国境はまだ閉鎖されていますが、これは私たちの国際イベントのスタートとなります。

 カード自体も、特にアジアにとって非常にエキサイティングなものです。ONEムエタイ世界ストロー級タイトルマッチでは、プロとして400戦近く戦い、世界のあらゆるメジャータイトルを獲得している伝説的なタイの王者サムエー・ガイヤーンハーダオに、『ロッキー』の物語に出てくるような豪州のアンダードッグ、ジョシュ・トナーが挑戦します。

 アジアのファンは打撃が大好きで、サムエーはタイの“パウンド・フォー・パウンド”最も偉大なレジェンドの1人です。しかし、同時に、彼はベテランのライオンであり、アンダードッグのジョシュ・トナーが逆転劇を成功させるれば、豪州格闘技にとって大きな意味を持つことになるでしょう。サムエーはスピードと経験において優位性を持っているし、ジョシュはノックアウト・パワーを持っている。サムエーはキャリアの黄昏期にあり、ジョシュはキャリアの全盛期にあるとも言える。“負け犬の若いライオン”が“老練のライオン”を倒すことができるのか?

 また、コ・メインイベントでは、無敗のアレクシ・トイヴォネン(フィンランド)が、5位のリース・マクラーレン(豪州)を相手に、ランキングを突破しようと試みます。その他の試合も非常にエキサイティングなものになっています。そして、10月30日のイベントは、場所はまだ明らかにしていませんが、国際的なイベントになり、そのトップ4試合を発表しました」

──シンガポールの人たちが普通の生活を始めるということは、どういうことだと思いますか?

「COVID-19(新型コロナウイルス)は世界中のスポーツメディアに明らかにマイナスの影響を与えましたが、みんなが元気になってきているのを見るのは良いことです。ONE Championshipは、3月、4月、5月とダウンしていましたが、6月の中国での最初のライブイベントのために戻ってきて、7月、8月、9月のタイでのライブイベント、そして今回(10月9日)がシンガポールでの最初の大きな国際的なイベントになります。

 とてもエキサイティングです。COVID-19はスポーツ業界を様々な意味で変えてきたと思います。まず第一に、今ではデジタルで利用可能なコンテンツを制作することが最優先されています。それは常にONE Championshipの戦略の一部でした。しかし、大規模なデジタルプレゼンス、大規模なソーシャルメディアのプレゼンス(存在感)を考えた場合、膨大な数のビデオやコンテンツを出力できる大規模なコンテンツのファクトリーを持つことは非常に重要です。

 ONE Championshipのesports部門は、今回のパンデミックの間、アジア全域でオンライントーナメントを実施し、視聴者数や収益の面で非常に有意義な数字を生み出しました。Covidを天啓としてとらえれば、世界中の多くの企業が優先順位の見直しとビジネスモデルの簡素化を余儀なくされました。このパンデミックの中でもイベントを次々と成功させることができたのは、ONE Championshipのチームの信じられないほどの創造性、回復力、卓越性にあり、そのことに感謝しています。

 もちろん、誰もいないスタジアムでの試合となると、また違ったダイナミックさがあります。家の中にいる観客にとっては、それと同じくらいエキサイティングで、それが私たちにとって最も重要なことだと思います。私たちはスポーツメディアのプロパティです。私たちはイベント会社ではないので、150カ国で放送されていることや視聴者数、コアマーケットをより重視しています。必ずしもスタジアムに何人の人がいるかということが重要ではありません。もちろん、スタジアムを満員にしたいとは思っていますが、このような環境では、少なくとも今後12カ月月間は世界中のスタジアムが空になることも予想されます」

──ONEは10月30日に大会を発表していますよね。現在、4つの世界戦が発表(ミドル級アウンラ・ンサンvs.ライニア・デ・リダー、ライト級クリスチャン・リーvs.ユーリ・ラピクス、フェザー級マーティン・ニューイェンvs.タン・リー、女子ストロー級ション・ジンナンvs.ティファニー・テオ)されていますが、そのほかのカードを話せますか。

「10月30日のカードについては来週詳しくお話します。現時点では残りのカードは明かせません」

──チームラカイとフィリピン人ファイターたちの予定は?

「10月30日にはチームラカイのフィリピン人ファイターが何人か出場します。そうですね……エドゥアルド・フォラヤンと豪州のアントニオ・カルーゾが対戦します。これもメインカードになります」

【写真】フォラヤンとカルーゾは前戦でいずれも長身のピーター・バウシュト(オランダ)に判定で敗れている。

──米国から参戦中のデメトリアス・ジョンソンやエディ・アルバレスのようなファイターについては、どのような計画があるのでしょうか?

「冒頭にも述べましたが、シンガポールと同じ状況を作れるように、国際的に複数の政府と協力しています。DJとエディを一刻も早く戦線に復帰させたいと思っています」

──シンガポール大会で行われるCOVID-19対策の手順について教えていただけますか?

「目的地に向かう前のフライト前の検査から、到着後のテスト、1週間を通してのテストまで、すべてが行われます。ホテルと空港からの交通機関を使ってバブル(隔離空間)を作りました。すべてのセキュリティをすべてのフロアーで維持し、選手はすべての階で自分の部屋に残っているようにしています。それはイベント後にも、選手が家に戻る前により多くの検査があります」

──2021年に開催されるという女子アトム級グランプリについてはいつどのように行われますか?

「アトム級グランプリは1月に始まる予定です。グランプリの優勝者はアンジェラ・リーが(出産から)戻ってきたときに対戦することになります」

──ONEはパンデミックの影響でタイ以外の国でライブイベントを開催するのにも時間がかかりました。舞台裏ではどのような計画を立てていたのでしょうか?

「もちろん、パンデミックが最初に発生し、最後のイベントが2月28日に(無観客で)行われたとき、シンガポールでは国が完全にロックダウンされ、45日間は家から出ることが許されない状態になりました。シンガポールだけでなく、世界にとっても大変な時期だったと思います。私たちは、オンラインで何ができるか、デジタルで何ができるかということに重点を置きました。

 esports部門では、オンライントーナメントを実施し、視聴者数と収益が非常に好調に推移しました。また、新しいコンテンツの開発にも力を入れました。例えば『アプレンティス』(リアリティ番組)やONE Championshipの関連コンテンツです。我々は単なるスポーツ・メディア以上の進化を遂げました。多様なコンテンツを持つメディア企業になったわけです。これはCOVID-19が我々にもたらしたものだと思います パンデミックが始まったばかりの頃、私は会社のミーティングでチームにこう言いました。

『この環境での成功の鍵は2つある。1つは創造性。そのため、私たちが発売するソリューションや製品については、さらに創造的でなければならない。もう1つはレジリエンス(適応力)。これまで以上に多くの拒絶や失敗、障害、挫折、失敗を経験することになるだろう。そして、それらすべてを乗り越えるためのレジリエンスと根性を持つことが必要だ』

 こうして6月までに、私たちは中国で最初のイベントを開催しました。そして7月、8月、9月にはタイでのイベントがあり、今はシンガポールにいます。全体的に見て、チームをとても誇りに思います。ほぼ隔週で活動を続けているということは、ONE Championshipのチームがどれだけ素晴らしいかを証明していると思います」

──10月9日からシンガポールでの大会が再開されます。ONE Championshipは年内にいくつのイベントを予定していますか?

「2021年のカレンダーも含めて、すべて準備中です。曖昧な言い方で申し訳ありませんが、複数の国、複数の政府が絡んでいます。状況がどのように変化するか見てみましょう。近いうちに、2021年の最初のカレンダーを発表できればと思います。現実には、アジアのどの国もそれぞれのサイクルを経験しています。ある国ではCOVID-19感染者が大幅に減少し、ある国では急増し、大陸全体では国境が閉鎖されたままです。各国は国際的な旅行を許可していません。今は非常に厄介な時代ですが、シンガポール政府がONE Championshipをパートナーとしてだけではなく、本当に支援してくれていることに感謝しています。

 ONE Championshipは、シンガポールで初めての国際的なイベントであり、スポーツ、音楽、エンターテインメントを問わず、外国人の参加が認められた国際的な制作です。もちろん、COVID-19のプロトコルは非常に厳しく、空港、交通機関、ホテル、各階に警備員を配置し、選手との連絡係を常に配置しています。これらが予防措置となります。スタジアム内でも部署ごとにゾーンを決めています。スタジアム全体で50人以上が集まることを避けたいと考えています。外にはテントを張ります。誰がケージサイドにいられるかは厳密に決められています。そして、残念ながら10月9日と10月30日は私もケージの中に入ることが出来ません。10月9日には3つのイベントがあります。そして10月26日に『アプレンティス』の製作が始まります。私はバブル(隔離空間)の中にいることになります」

──10月9日のシンガポール大会では、ONEがどのようにしてライブスポーツイベントの復活を先行する政府のパートナーに選ばれたのでしょうか。

「ONE Championshipのグループプレジデントである(Teh Hua Fungフアン・フン・タイ)氏と彼のチームに敬意を表したいと思います。彼らはシンガポール政府の様々な機関や大臣と協力して、私たちへの支援を集めてくれました。多くの意味で、私たちは国際的なパイロットテストです。成功すれば、シンガポールの国際的なイベントとして、他の音楽やエンターテイメントイベントが国際的にスタートするための青写真が出来上がります。何もかもが新しいもので、文字通り毎日、様々な機関やシンガポール政府と会議をしたり、電話をしたりして、非常に緊密に仕事をしています。多くの機関が協力してくれています」

──パンデミック以前に、ONEは米国でのイベントを計画していました。その計画はまだあるのでしょうか?

「パンデミックが無かったら、すでに米国で最初のイベントを開催していたと思いますが、残念なことに、再編成しなければなりません。米国はCOVID-19の件だけでなく、政治的な状況や人種関係も含めて大変な時期を迎えています。だから時間がかかると思います。いつ米国に行くかは明言したくありませんが、計画には間違いなくあります。しかし、我々には米国でまだ十分な知名度がありません」

──シンガポールのONE Championshipにとって、このイベントは何を意味しているのでしょうか? NBAがオーランドでやった(NBAがディズニー・ワールドに150億円以上を費やして作り上げた“バブル”=巨大な隔離空間)ような「シンガポール・バブル」の始まりでしょうか?

「繰り返しになりますが、私たちは複数の政府や複数の国際的な地域と協力しています。今は他にもいろいろなことを並行して進めていて、近いうちに発表できるようにしたいと思っています。私が発表した『ONE:REIGN OF DYNASTIES』は、多くの国際的なイベントの第一弾となるという意味です。シンガポールだけとは限りません。10月30日ですが、場所はまだ明らかにしていません」

──最近契約したヘビー級選手の試合の予定はありますか? アルジャン・シン・ブラー(UFCからONEに移籍)のような。

「そうですね、ブランドン・ヴェラとアルジャン・ブラーは戦うことに合意しました。彼らはすでに対戦契約にサインしていると思います。だから、彼らは(ヘビー級GPに)参戦することになるでしょう。最近ヘビー級の選手たちと契約(アミール・アリアックバリ)しましたが、ヘビー級は他の階級と比較しても、そこまで充実していないと言っていいと思います。ヘビー級とライトヘビー級を強化して、他の階級と同等にするように考えています」

──最後の質問は、ここ数カ月のパンデミックの間に、あなたとチームは何を学んだと考えますか。

「陳腐に聞こえるかもしれませんが、ショーは続けなければなりません。個人的に学んだことは、ONE Championshipのチームの回復力、情熱、卓越性が、私の予想をはるかに超えていたということです。信じられないほどの努力です。ONE Championshipの内部の士気は最高潮に達しています。みんな気合が入っています。

 私はいつも言っていますが、危機の中で、人としての自分、個人としての自分、チームとしての自分を見極めることができます。いつも心に浮かぶ名言があります。

“船は港の穏やかな海のために作られたのではない。船は新しい地平線を求める荒海のために作られている” そして“偉大な船長は荒海で作られ、決して港の穏やかな海では作られない”

 だから言ったんです。世界最高の企業は生き残るだけでなく、ONE Championshipがこの環境で繁栄しているのと同じように、ショーは続けなければなりません。ONE Championshipのショーはどんどん増えていきますし、コンテンツもどんどん増えていきます。

 前述した通り、『アプレンティス』(見習い)は10月26日に制作が開始されますが、これは我々のテレビ・映画部門であるONEスタジオが最初のコンテンツ・スタックとなり、一般的なエンターテインメント・コンテンツを開始することになります。

 番組には多くの世界チャンピオンやゲストの有名人が登場します。とても楽しいショーになるでしょう。この番組は、アメリカで知られている『アプレンティス』のようなものではありません。今回の『アプレンティス』はビジネスだけでなく冒険や世界チャンピオンとの肉体的な挑戦もあります。文字通り、世界で最もタフな“見習い”になると思います。

 勝つためには、鋭いビジネスセンスだけでなく、肉体的にも精神的にも健康であることを証明しなければなりません。だから、米国の古いバージョンの『アプレンティス』と似ている唯一のものは、『アプレンティス』という名前と、勝者が私の弟子として働くために受け取る25万ドル(USD)の給料だけです。共通点はそれだけ。それ以外は全く別のショーです。世界的な放送パートナーとの世界的な配信があり、誰もが楽しめるエンターテインメント性のある番組になります。

 ただのビジネスではありません。明らかにビジネスの要素はありますが、多くはスーパー楽しいゲームになるでしょう。『アプレンティス』は『アメージング・レース』と『シャーク・タンク』(米国版『\マネーの虎』)を掛け合わせたような作品になると思います。ONE Championshipのゲストの有名人やCEOが参加します」

 

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