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【Bellator】4団体制覇王者クリス・サイボーグ「スコット・コーカーが11年前に女子フェザー級でジーナ・カラノと私の試合をテレビで放送したときから続いていること」

2020/10/07 13:10
 2020年10月16日(日本時間17日))米国コネチカット州アンカスビルのモヒガンサン・アリーナにて「Bellator 249: Cyborg vs. Blencowe」が行われる。  メインイベントを戦うクリス・サイボーグ(ブラジル)は、MMAのグランドスラム王者。初代Strikeforce女子フェザー級王座(2009年)、初代Invicta FC世界フェザー級王座(2013年)、第2代UFC世界女子フェザー級王座(2017年)、Bellator世界女子フェザー級王座(2020年)の4つのメジャータイトルを同階級で獲得した初の女性ファイターだ。  今回、対戦するアーリーン・ブレンコウ(豪州)は、元プロボクシングのWIBA(Women's International Boxing Association)王者で、Belltorでも3連勝中。2017年12月には元挑戦者のジュリア・バッドと対戦しスプリット判定で惜敗している。  そんな強豪との試合に向け、サイボーグは日本のファンにメッセージを送りたいと言う。4団体制覇女王クリス・サイボーグが日本のファンに語ったこととは? ──今回、なぜ日本のインタビューを受けたいとリクエストされたのですか。 「日本のファンにメッセージを送りたかったんです。それにゴングマガジンは格闘技界で長い歴史を持ち、多くのファンがいます。日本のメディアとお話できるのはいつでも光栄なことですし、定期的にゴングマガジンや新サイトを読んでくださるファンの方が多いことも知っています」 ──8月には「RIZIN」が再開しました。誰の試合が一番印象に残っていますか? 「浜崎朱加選手がハム・ソヒ選手にスプリットデシジョンで敗れた後の試合で、見事に勝利した試合が良かったですね。彼女が38歳になっても、世界のトップ女子ファイターの1人であること、そしてその年齢が彼女を何も変えていないことを見ているのが好きです。それに、浅倉カンナ選手は、これからキャリアのピークを迎える若い才能がいることを示してくれました。  特にRIZINはBellator MMAといい関係を持っているので、ファイターが両プロモーションで試合に出ることができる。いつか私がBellatorを代表して、RIZINの選手と対戦する日が来るかもしれませんね。KINGレイナはRIZINで友人のクリスタル・ストークスを倒しているし、もしBellatorから日本のビッグイベントで彼女と戦ってくれと頼まれたら、155ポンドまで上げてもいいわ。もちろん体重オーバーは無しよ(笑)」 ──サイボーグ選手はUFCとの契約を更新せずに、Bellatorと契約してチャンピオンになりました。Bellatorを選んだ理由は? 「新天地を探すときに、どこを“ホーム”と呼ぶかを決めるときにはいろいろな要素がありますよね。スコット・コーカーは、私をStrikeforceのジーナ・カラノ戦(2009年8月にサイボーグが1R TKO勝ち)に出場させたときに、テレビで最初の女性のファイトのプロモーターを務めてくれた人です。それ以前にも一緒に仕事をしたことがありましたし、Bellatorがメジャーテレビ局(現在はCBS)と提携していることも、私がレガシーを築き続けるための素晴らしいプラットフォームになるという思いもありました。  それに、UFCは145ポンド(女子フェザー級)には投資をしませんでした。誰もランキングにいないでしょ? Bellatorは世界トップ10にランキングされる女子ファイターの多くと契約していたから、フリーエージェントになった時に、コーカーと再会するのはシンプルなことでした」 ──スコット・コーカー代表との関係性、そしてUFCとのフェザー級の状況の違いがあったのですね。ようやくBellatorも無観客で大会を再開させています。世界は新型コロナウイルスの影響を受けていますが、どこで練習していますか? 「過去2回のトレーニングキャンプは南アフリカでリッチー・クアンコーチと一緒に行いましたが、COVIDの影響で二人とも渡航できなかったので、今回の試合のためのトレーニングは過去2回とは少し違ったものになってしまいました。いまはキングスMMAで元シュートボクセのハファエル・コルデイロコーチのもとでトレーニングをしていて、コブリンヤ(フーベンス・シャーレス)とBJJを続けています。この時期に戦っている人は皆、トレーニングキャンプの一部を犠牲にしていますが、私はBellatorでグランドスラム王座を防衛することにモチベーションを持っていますし、カリフォルニア州ハンティントンビーチのキングスMMAでトレーニングをすることに興奮しています」 ──ギャビ・ガルシア選手とはまだトレーニングを続けているのでしょうか。 「ギャビが新しいトレーニング施設をオープンして、彼女はグラップリングの試合にも積極的に参加しているので、いまは一緒にトレーニングをしていません」 ──Bellatorで最強挑戦者と思われたジュリア・バッド選手を4R TKOに下し、サイボーグ選手にライバルはいなくなりつつあると思いました。この状況をどう考えていますか? 「実際に女子145ポンドを機能させているプロモーションはBellatorだけだと思います。アマンダ・ヌネスがフェリシア・スペンサーと戦ったのは、ミーガン・アンダーソン以外に145ポンド級の選手がいないから(2020年12月12日の「UFC256」でヌネスvs.アンダーソン)。Bellatorには145ポンド級の実戦部門があり、エキサイティングな試合が多いと思います。  今回、対戦するアーリーン・ブレンコウ(10月16日)はナンバーワンコンテンダーで、WIBA(Women's International Boxing Association)など2度のボクシングチャンピオンだし、キャット・ジンガーノはアマンダ・ヌネスを破った最後の選手(2014年9月に3R TKO勝ち)で、Bellator145ポンド級で戦うことになった。UFCで戦ったレスリー・スミスもいる。あのときは140ポンドでの試合だったし、多くのファンはレフェリーがすぐに試合を止めた(サイボーグが81秒 TKO勝ち)と思っているでしょうから、再戦すればファンにとっては楽しい試合になるでしょう。リア・マコート、オルガ・ルービン、どれも素晴らしい試合だし、ジュリア・バッドと対戦したジェシー・ミーレもいる。今後もバッドが何度か勝てば、再戦を望んで来ると思う。Bellatorのファンは女子145ポンド級が常に存在していたことを知る機会を得られると思うし、それはスコット・コーカーが11年前にフェザー級でジーナ・カラノと私の試合をテレビで放送した理由でもあります」 ──なるほど。たしかにサイボーグ選手の王座を狙う選手は多いです。そんななか、ケイティ・テイラー(アイルランドの女子プロボクサー&元サッカー選手。ボクシングで現4団体統一女子世界ライト級王者。現WBO女子世界スーパーライト級級王者。世界2階級制覇王者)とのクロスオーバー戦のニュースを見ました。興味はありますか? 「彼女は素晴らしいファイターで、とてもアグレッシブで見ていてワクワクします。『女子ボクシングを見たい』と思わせるようなファイターです。世界中には素晴らしい女子ファイターがたくさんいる。ファンが見たいと思うような素晴らしいファイトをしたいし、私自身も挑戦したいと思っている。彼女のプロモーターが許してくれるかどうか分からないけど、日本でサイボーグ対テイラー戦をやってみたいし、イノキさんがモハメド・アリと戦ったときのように、彼女はボクシンググローブでもオープンフィンガーグローブを着用しても構わない。そうなったら、私はPANCRASEブーツ(レガース)を履くことになるかもしれないですね。たとえば、ボクシングを1ラウンド、ムエタイを1ラウンド、MMAを1ラウンドやるようなことが出来れば面白いと思います。でも、私は本物のファイターだから、最終的にはルールがどうであろうとあまり関係ありません」 ──異なるルールといえば、UFCにいたペイジ・ヴァンザント(PVZ)はベアナックル・ファイティング・チャンピオンシップと新たに複数試合の独占契約を結びましたね。 「PVZがベアナックルと契約したというニュースを見て、とても驚きましたが、彼女が金銭的に安定した契約を得られたと聞いて嬉しく思いますし、デビュー戦を見て彼女がどうなるか見届けたいと思っています。でも彼女が、UFCを離脱し、高額な報酬を得ていることが分かって嬉しいです」 ──サイボーグ選手もUFCを離れましたが、いつかアマンダ・ヌネスにリベンジしたいという思いはありますか。 「そうね……ヌネスに負けた直後、まだUFCとの契約が1試合残っていた時に、実は私はヌネスとの再戦を望んでいました。でも、プロモーションは代わりにフェリシア・スペンサーと戦わせると決めました(サイボーグが判定勝ち)。ヌネスと再戦する準備は出来ていますが、現実にはUFCにはフェザー級は存在しない。たった1人のファイターが階級を作ることは出来ない。もし、第三者の舞台……たとえば、RIZINでヌネスとの試合を組んでもらうことができたら……そんなことを考えるくらいです」 ──まずは10月16日の試合を楽しみにしています。ところで、RENA選手とはSNSで交流があるようですが、彼女のファイトスタイルをどう思っていますか。 「RENAの試合は見ていてとてもエキサイティングです。観客を楽しませる方法を本当によく知っているし、非常に高いレベルのスタンドスキルを見せてくれます。彼女がアジアの女性キックボクサー、MMAファイター、コンバットスポーツ選手のために、他の女性ファイターのお手本となるように、チャンスを作ってきたのを見るのが大好きでした。もっとアメリカのファンが彼女の姿を見る機会が増えればと思っています。彼女がBellatorで別の戦いをするのを見てみたいといまでも思っています」 ──2005年のプロデビューから15年のキャリアを戦っています。このコロナ禍の中で、あらためてサイボーグ選手にとっての格闘技とは? 「日々、1パーセントでもマーシャルアーティストとして良くなることを重視してきました。コロナウイルスの流行で世界が減速している中でも、私はマインド、ボディ、スピリットに焦点を当て続けて練習を続けてきました。どの世界チャンピオンも、スポーツで長いキャリアを築くためには、心技体が必要なことを理解しています。それを格闘技は私に与えてくれました。そんなマーシャルアーツをぜひ、いつか日本のファンの前で披露したいと思っています。会える日を楽しみにしています!」
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