「REBELS.65」2020年8月30日(日)東京・後楽園ホール
▼ダブルメインイベント 第7試合【無法島 presents】REBELS-BLACK 63kg級タイトルマッチ 3分3R・延長1R BLACKルール×丹羽圭介(TEAM KSK/王者)判定0-3 ※29-30×3〇バズーカ巧樹(菅原道場/第10代MA日本スーパーライト級王者/挑戦者)※バズーカが新王座に就く。
王者・丹羽は日本拳法を経てキックボクシングに転向し、2010年2月にプロデビュー。RISEで11連勝を飾るなど活躍後、フリーとなって様々なリングに参戦。2018年10月からはREBELSを主戦場にして、2019年4月に王座決定トーナメントを制してREBELS 63kg王者となった。8月のKNOCK OUTでは大月晴明を降したが、12月には勝次に敗れた。無法島GPでは古村匡平(FURUMURA-GYM)に判定で敗れ、まさかの1回戦敗退。
挑戦者のバズーカはMA日本キックボクシング連盟をホームリングに様々な団体で活躍。特にKrushやK-1では6勝(4KO)1敗という好成績を残した。無法島GPでは1回戦で二冠王・橋本悟(橋本道場)からダウンを奪い判定勝ち。準決勝では丹羽に勝った古村から2度のダウンを奪い判定勝ち。決勝では西岡蓮太(龍生塾)に判定負けを喫するも大きなインパクトを残して“覚醒”した感があった。
両者入場すると、なんとバズーカは丹羽のコーナーまで歩み寄って丹羽に額を押し付ける。これには丹羽も怒りの形相で睨み合い、両陣営が両者を引き離した。
1R、ミドルとローの蹴り合い。相手が蹴ればすぐに蹴り返すという展開が続き、カウンターも奪い合う。互いに一歩も譲らず。フックの相打ちも見られた。
2R、足止めての打ち合いも見られるが、バズーカの方が回転が速く一発多い。打ち終わりを狙われる形となった丹羽だが、バズーカがバックハンドブローを空振りしたところで右フックをヒット。
3R、右ローを蹴りつつ右ストレート&フックを思い切り放つバズーカ。丹羽は打たれながらもパンチを返していく。足を止めての打ち合いが何度もあり、丹羽の右フックもヒット。打ち合いの中でやはり回転速く一発多く当てに行くバズーカ。お互いのパンチがギリギリのところで交錯するスリリングな展開は最後まで続き、勝敗は判定に持ち込まれ判定3-0でバズーカが新王座に就いた。
バズーカは「押忍。今日はつまらない試合をしてすいませんでした。次は鍛えなおして次の試合までに火薬を用意します。押忍」と、最後まで笑顔を見せず表情を変えなかった。
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▼ダブルメインイベント 第6試合【創世のタイガ presents】]REBELS-BLACK 女子46kg級初代王座決定戦 3分3R+延長1R BLACKルール〇ぱんちゃん璃奈(STRUGGLE)判定3-0 ※30-29、30-28×2×MISAKI(TEAM FOREST/元J-GIRLSミニフライ級王者)※ぱんちゃんが初代王座に就く。
ぱんちゃんは昨年2月のプロデビュー以来7戦7勝と無敗。2月11日の『KNOCK OUT』では祥子との再戦を制した。メディアへの露出も増えており、人気急上昇中だ。今回初のタイトルマッチを迎えることとなった。
対するMISAKIはシュートボクシングの女子トップ選手で、2016年3月にプロデビュー、“猪突猛進女子”の異名通り、最初から最後までガムシャラに攻め続ける驚異のスタミナを武器に勝ち続け、2017年12月に無敗の女子高生・寺山日葵を破ってJ-GIRLSミニフライ級王座に就いた。同年7月のGirls S-cup -48kg世界トーナメントでは3位に。同年12月に寺山とのリマッチでJ-GIRLS王座を失い、2019年2月にMARIを破って再起するも7月のSB日本女子ミニマム級王座決定トーナメント決勝戦で、女神にまさかのTKO負けを喫した。今回が約1年ぶりの再起戦となる。
同カードは2月18日の記者会見で発表され4月24日の後楽園ホール大会で行われる予定だったが、新型コロナウイルスの影響で5月10日の後楽園ホール大会に延期。その5月大会も延期となり、今回ようやく実現することに。この試合はREBELS初の女子タイトルマッチでREBELS-BLACK(ヒジ打ちなし)ルールで行われる。
1R、ぱんちゃんは向かってくるMISAKIに前蹴り、ミドル、ジャブを一発当て、MISAKIのパンチの距離になると組み付いてのヒザ蹴り。これを徹底的に繰り返し、MISAKIに接近戦でのパンチを出す隙を与えない。ラウンド終了間際には顔面前蹴りでMISAKIをのけ反らす。
2Rも同じ戦法のぱんちゃん。MISAKIは組まれ際にフックを放つが、ぱんちゃんが組み際で先に当てる場面が目立つ。インターバル中には手を上げてファンに笑顔を向けるぱんちゃん。
3Rも徹底して作戦を遂行するぱんちゃん。MISAKIは何とかパンチを当てようとするが、リーチの差はいかんともしがたく、先にぱんちゃんが当ててすぐに組まれる展開。ぱんちゃんは顔面前蹴りもヒットさせる。それでもMISAKIは前へ出てパンチを当てに行く。ぱんちゃんも必死に組み付いてヒザ蹴りを打つ。最後まで乱戦は続き、勝敗は判定へ。
判定は最初のジャッジがぱんちゃん。飛び上がって喜ぶぱんちゃんに、2人目のジャッジもぱんちゃんを指示したことが告げられるとぱんちゃんは歓喜の雄叫びをあげる。最後のジャッジもぱんちゃんで判定は3-0。ぱんちゃんが作戦勝ちで不利の予想を覆して初代王座に就いた。
顔をくしゃくしゃにし、涙を流して喜ぶぱんちゃん。一方、MISAKIは涙をぬぐいながらリングを降りて行った。
ベルトを巻いたぱんちゃんは涙が止まらず、「タイトルマッチなので凄い試合をしないといけないのかもしれませんが、でも私はまだ実力がないのでワンパターンで盛り上げられなかったかもしれませんが、これからもっと技を覚えて面白い試合ができるかもしれません。MISAKI選手がいてくれたおかげで弱かったんですが、強くなれたと思います。MISAKI選手、ありがとうございました」と、一気に言葉を続けた。
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▼第5試合 52kg級 3分3R REDルール×濱田 巧(team AKATSUKI)判定0-3 ※29-30×2、28-30〇白幡裕星(橋本道場/MuaythaiOpenスーパーフライ級王者)
濱田はREBELS軽量級のトップ戦線で活躍し、2019年8月の『K.O CLIMAX 2019』では蓮沼拓矢からバックハンドブローでダウンを奪って勝利。ひとつの引き分けを挟んで6戦負けなしと絶好調だったが、10月の『KNOCK OUT×REBELS』で国内トップクラスの実力者・大崎孔稀に惜敗して連勝がストップ。2019年12月にはREBELS-MUAYTHAIスーパーフライ級王者・老沼隆斗のタイトルに挑戦して善戦したが判定で敗れた。
白幡はアマチュアで多数の経験を積み、2018年10月にプロデビュー。同年11月にはキック界のレジェンド・立嶋篤史の息子である立嶋挑己からも勝利を収めた。2019年12月1日にはMuayThaiOpenスーパーフライ級王座決定戦に臨み、判定勝ちで見事王座に就いた。今年2月のREBELSでは老沼との王者対決を行い、延長戦にもつれ込む接戦の末に惜敗。
1R、サウスポーの白幡は左ミドルと左ローで前に出て、濱田は右ローを蹴り返す。濱田は徹底的にローを返す戦法。白幡は飛び込んでのワンツーも繰り出す。
2R、前へ出るのは濱田だが、白幡はパワフルな左ミドルで迎え撃つ。左ミドルからの左ストレートも。右ローを蹴る濱田はワンツー、左フックも放つが、白幡の左ミドルでペースを握られた印象。
3R、左右ローから組み付いてねじ伏せるように倒す濱田。試合は乱戦模様となり、白幡は濱田の入り際に左ストレートを合わせてヒットを奪い、左ミドルも蹴る。逆に組んで濱田を浴びせ倒す場面も、
判定は3-0で白幡が勝利。熱戦を制すると「今回勝てたのも師範や道場の皆さんのおかげです。ありがとうございます。僕も言いたいことがあったんですが、この試合じゃダメかもしれませんが、老沼選手が望んでいるタイ人や外国人との試合は難しい状況なので、僕はもっと強くなって(安本)晴人君が巻いていたREBELSのベルトを獲りにいきます」と、老沼の首を狙うと宣言した。
▼第4試合 57.5kg級 3分3R BLACKルール×千羽裕樹(スクランブル渋谷)KO 1R 59秒 ※3ノックダウン〇龍聖(TRY HARD GYM)
龍聖は小学1年生でキックボクシングを始め、HIROYAの指導を受けアマチュアで多くの経験を積んで2019年4月にプロデビュー(KO勝ち)。“HIROYAが送り込む刺客”として同年8月のREBELSに初参戦し、強打で2R53秒、渉生にTKO勝ち。2020年1月のジャパンキックでは相手選手の失格により不戦勝、今年2月の『KNOCK OUT』では3戦目にして元J-NETWORKバンタム級王者・浦林幹にTKO勝ちし、7月には『「SUK WAN KINGTHONG』でもKO勝ちと無敗の快進撃。
対する千羽は2015年にプロデビューし、キャリアは20戦を超える。右ストレートを得意とし、ハマれば無類の強さを発揮するタイプ。2019年6月のREBELSでは瀬川琉(伊原道場稲城支部)に2RでTKO勝ち、今年2月のKNOCK OUTでは渉生に同じ2RでTKO勝ちを収めている。
1R開始早々、右ストレートを打った龍聖に千羽が右ローを返そうとしたところで龍聖が左ハイキック。これが見事にクリーンヒットし、ダウンを奪う。かなりダメージが見える千羽だったが立ち上がると、龍聖は飛びヒザ蹴り、今度は右ハイ、そしてワンツーでダウンを追加。
再度立ち上がった千羽に龍聖は一気に襲い掛かり、左ボディを叩き込んで左右の連打でめった打ち。最後は右ストレートが炸裂し、千羽が吹っ飛んだところでレフェリーがストップ。龍聖が強烈なインパクトを残してまたもKO勝ちを飾った。
龍聖はマイクを持つと「名前覚えてくれたでしょうか? 千羽選手には試合前からいろいろ言ったんですが、盛り上げてくれて感謝しています」と言うと、コーチとジムで揉めていたと告白。「ぶつかったりもしたんですが、結果がこうなりました。コップンカップ」とタイ語でお礼を言い、「次の試合ですが、そろそろ他団体の王者とかベルトを持っている選手とやりたいのでよろしくお願いします」と、次は大物を用意して欲しいとアピールした。
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▼第3試合 46.5kg契約 3分3R BLACKルール×平岡 琴(TRY HARD GYM)判定0-3 ※28-29×3〇erika(=erikaの後にハートマーク/SHINE那覇)
平岡は極真会館の全日本女子ウェイト制空手道選手権軽量級優勝の実績を持ち、多彩な蹴り技が持ち味の選手。Krushでプロデビューし、近年はRISEで活躍。今年2月の『RISE GIRLS POWER 2』では3連勝でRISE QUEENアトム級王者・紅絹(NEXT LEVEL渋谷)に挑んだが、ダウンの応酬の末に判定で敗れた。
erikaは沖縄在住の選手で、戦績は4勝(2KO)無敗。ぱんちゃん璃奈とは練習仲間でもある。今年3月に沖縄で開催された『TENKAICHI 96』ではボディへのヒザ蹴りで初回KO勝ちを飾った。両選手とも倒せる武器を持っており、今回は46.5kg契約での試合となるが、平岡はRISEアトム級(-46kg)、erikaはミネルヴァ・アトム級(-46.26kg)4位であるため、同日に王者が決まるREBELS-BLACK女子46kg級戦線に絡んできそうだ。
1R開始と同時にサウスポーからの左ミドルを連打して突進するerikaは平岡を首相撲に捕まえてのヒザ蹴り。これを繰り返す。首相撲に不慣れな平岡は捕まってしまうが、離れると左右フックの連打を見せ、ハイキックを軽くヒットさせた。
2Rも同じ戦法でいくerikaに、平岡は入り際を狙っての右フック、前蹴り。これでerikaを止めに行き、同じく入り際にバックハンドブローや右ハイも合わせに行く。erikaは焦りからかパンチが雑になり、平岡の攻撃をもらうことに。
3R、左ストレートから組みに行って崩し、平岡の体力を奪いにいくerika。平岡は入り際へのパンチ、蹴りを見せるがerikaの突進は全く勢い衰えず首相撲で組み付いて崩していく。
判定は3-0でerika。RISEルールとREBELSルールの違いを活かした戦い方で、格上の平岡を破る番狂わせを演じた。▼第2試合 46kg級 3分3R BLACKルール〇山上都乃(WSRフェアテックス湖北)判定2-0 ※30-29、29-29、30-28×木幡紀帆(BELIEF/KROSS×OVER)
山上はアマチュア戦績7勝1敗6分で、KNOCK OUTのTRYOUT生として2019年11月大会のオープニングファイトに出場。チエミから勝利を奪うと今年2月の『KNOCK OUT CHAMPIONSHIP.1』でプロデビュー。左右ミドルキックからパンチで前へ出るアグレッシブファイトで荒井穂乃香(DRAGON GYM)から勝利。今春高校を卒業し、女子大生になった。
初参戦の木幡はアマチュアで20戦以上を経験し、『KROSS×OVER』で2戦2勝の現役女子高生ファイター。ジムのYouTubeで「ぱんちゃん璃奈選手とやりたい!」と発言している。山口元気REBELS代表の「大会を見に行って、アグレッシブな選手だな、ぜひ出てくれないかと許可をいただきました。高3になったばかりで、若くて期待できる選手です」とのお墨付き。
1R、ジャブと左ミドルで山上が先制。木幡は鋭い右ストレートを繰り出すが手数が少なめで、前蹴りの蹴り合いでも山上がパワフルな蹴りを見せる。しかし終盤、木幡が顔面前蹴りをクリーンヒット。
2R、山上がジャブを的確に当ててからの左ミドル、右ローで攻勢。木幡は顔面前蹴りと右ローを放っていくが手数が少なく、木幡のジャブで仰け反らされる。
3R、右で打ち合いも見せる両者だが、やはり山上のジャブ、左ミドル、右ローが上回る。木幡は山上の蹴りに左右のストレートを合わせに行き、前蹴りも繰り出すが、最後まで山上のアグレッシブな攻勢が続き、判定2-0で山上が次世代対決を制した。
▼第1試合 60kg級 3分3R BLACKルール×井樋大介(クロスポイント吉祥寺)KO 1R 2分51秒 ※右フック〇斧田雅寛(KIBAマーシャルアーツクラブ)
井樋は2試合連続で飛びヒザ蹴りでのKO勝利を飾っている“吉祥寺のレミー・ボンヤスキー”。対戦相手の斧田はタイでの試合経験がある。
1R、序盤からパンチで距離を詰めて連打する斧田。井樋は下がって得意の飛びヒザ蹴りを狙うが、斧田のラッシュでコーナーへ詰められる。井樋が飛び蹴りを出した直後、斧田が右ストレートを打ち抜いてダウンを奪った。
立ち上がった井樋はコーナーへ詰められながらも右フックで斧田をグラつかせる。それでも斧田の突進は止まらず、徹底したラッシュで井樋をコーナーへ追い詰め、最後は右フックの連打でダウンさせたところでレフェリーが試合を止めた。