2020年8月7日(日本時間8日)、米国コネチカット州アンカスビルのモヒガンサン・アリーナにて「Bellator 243: Chandler vs. Henderson 2」が開催された。
プレリミナリーファイトの女子フライ級では、注目の女子テコンドーファイターのヴァレリー・ルレーダ(米国)が登場。タラ・グラフ(米国)を2R KOに下し、ケージの中で艶やかなダンスを披露した。
前日計量から華やかなスパンコールのマクスを着用し、注目を集めていたルレーダは、もともとトップアスリート。両親がテコンドーの先生で、自身もテコンドーの米国代表として活躍し、その美貌から姉妹ともにモデルやタレントとしても活動を行ってきた。
アマチュアMMAを経て、Bellatorで2連勝を飾っているルレーダは、「Bellator 243」で3連勝を目指してケージイン。
オーソドックスの構えから器用にスナップを利かせた左ハイキックを当て、接近戦でも左右を強振して前に出てくるグラフに真っ向から応戦。2Rに右ローからワンツーを外から振ってきたグラフに対し、ヴァレリーはカウンターの右フック一閃! ヒザから崩れダウンしたグラフにパウンドを連打し、ゴングと当時にレフェリーを呼び込んだ。
妹を招き、マット上で勝利のダンスを披露したヴァレリーは、試合後、「落ち着いて冷静に試合ができた。今日のパフォーマンスを誇りに思うし、自分の実力を証明できるものだったと思う」と語った。
インタビュアーから「テコンドーを赤ん坊の頃からやってきてるけど、こうしてケージで戦うのは違う?」と問われると、「ぶっちゃけ、ウチのパパはクレイジーで、水曜の放課後は男の子たちを相手に6時間ガチスパーみたいな感じだったから、感覚的には変わらないけど、楽しかった!」と、天真爛漫な笑顔で答えた。
この22歳の新星ルレーダについては、ソーシャルメディアでの積極的な露出の仕方が、試合前から、米国メディアや選手、ファンの間で多くの物議を醸してきた。
しかし、大会前のバーチャル・メディア・デイでヴァレリーは、ビキニを着ていても、動画で踊っていても、「自分のためだけにやっている」と堂々と語っていたのだ。
「私はソーシャルメディアのために何もしない。自分のためにやっているの。例えば、私はケージの外では極端にガーリーな女の子。自分を売り込む方法は、ソーシャルメディアや男性向けじゃなく、これが私の姿なの。私はこの身体を手に入れるために生涯をかけて働いてきたのよ。どういう恰好をしていようが、私はファイターで、その一つのことが他のことと何の関係があるの?」と、女子ファイターの規範となるよう求める声に対し、反論していた。
また、本業のファイターについても、「私の最優先はマーシャルアーツ。ケージの外とは異なる情熱を持っているし、前戦(2019年6月)以来、ケージで試合をしていないけど、家では狂ったようにスパーリングをしてきたわ。3月にジェン・ウェイリーと対戦するヨアナ・イェンジェイチックとATTでずっとファイトキャンプしていたから、前回の試合から3カ月くらいしか経っていない気がして、新鮮に感じているの」と、その真摯な取り組みを語っている。
劇的なKO勝利を収めたバックステージでのインタビューで、ヴァレリーは、最後にきちんと整えられた小さな爪がピンク色になっているところを見せながら、カメラに向かって、こんなメッセージを発している。
「ファンや、若い女性に向けて私が言いたいのは、誰にも自分の可能性について、とやかく言わせるな、ってこと。女の子はきれいにだって、ガーリーにだっていくらでもなれる。こうやってネイルをしたり、まつげをくるんとしたり、高いヒールを履いて、タイトなドレスを着て出かけたりするのと同じように、朝からハードなスパーリング、練習することでプロのファイターにだってなれるの。だから誰にも、同性からも余計なことは言わせないことよ」。