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インタビュー

【ONE】デメトリアス・ジョンソン「レッドロブスターのアルバイトで調理をしていて、妻がウエイトレスだった。格闘技を続ける理由は、家族の存在。それしかない」=3月31日(日)「ONE:A NEW ERA」両国大会で若松佑弥と対戦

2019/03/13 09:03
【ONE】デメトリアス・ジョンソン「レッドロブスターのアルバイトで調理をしていて、妻がウエイトレスだった。格闘技を続ける理由は、家族の存在。それしかない」=3月31日(日)「ONE:A NEW ERA」両国大会で若松佑弥と対戦

(C)ONE Championship

3月31日(日)、東京・両国国技館でONE Championshipが、初の日本大会「ONE:A NEW ERA -新時代- 」を開催する。

同大会の第12試合では「ONEフライ級(※61.2kg)GP一回戦」として、元UFC世界フライ級王者の“DJ”ことデメトリアス・ジョンソンが、日本の若松佑弥(TRIBE TOKYO M.M.A)と対戦する。

長くUFCで“パウンド・フォー・パウンド”と呼ばれたジョンソンは、2014年から年に多くて2回というスパンで王座を防衛し続けてきた。UFCフライ級戦線が縮小方向にあるなか、“DJ”が今回、選択したのはONE Championshipだった。

「グランドでのヒザ蹴りが認められるのはONEのルールと北米ユニファイドルールとの大きな違いだ。MMAとして正しいと思う。バックを取られたり、がぶられた選手がマットに手をついて(ルールを利用して)、頭を守るなんてテクニックじゃないし、ジムで教わるものでもない。それに(計量で)ハイドレーション(水分補給)があるのも違う」

日本での公開ワークアウトでONEについて、こう語っていたジョンソン。

1994年から日本のPANCRASEに参戦していた智将マット・ヒュームのもと、AMCパンクレイションでMMAを始めたDJにとって、日本とは浅からぬ縁がある。

これまで2011年2月の「UFC 126」で山本“KID”徳郁に判定勝利し、2015年4月の「UFC 186」では堀口恭司に一本勝ちしているDJの、その流れるようなMMAの源流には、レスリング・ベースで打撃、柔術を使いこなすのみならず、師匠ヒュームが日本で吸収した総合格闘技のエッセンスも含まれている。

初めての日本での試合で、師匠と同じPANCRASEでキャリアを積み重ねてきた若松佑弥と対戦するデメトリアス・ジョンソンとは、どんな人物なのか。その人間像に迫る。

格闘技は誰が一番かを決めるもので、相手より優れていることを証明すればいい

耳の聞こえない母親と暴虐的な継父の間に育ったデメトリアス・ジョンソンは、幼少時には小柄な体と大きな耳の為に「マイティマウス」とからかわれたという。

「MMAは僕に、努力をすれば報われることを教えてくれた」──フライ級歴代最強と謳われるDJは、UFCで史上最多の11度の防衛を誇る元フライ級世界王者だ。

32歳になるDJは、MMAによって、辛い人生を脱却し、普通ではできないことを数多く経験できたこと、そして支えてくれた家族に感謝している、と話す。

「18歳でMMAを始めて、想像すらできなかったような人生を歩むことができた。僕は世界を旅することができたし、家族と出会い、幸せに暮らすことができた。子どもたちを大学にやれたのが、特に嬉しかった」

妻デステニー・バーテルズとは、共に勤務していたレストランで出会い、つきあいを重ね結婚。現在は3人の子どもにも恵まれている。なんといっても彼は家族のことを語る時、とても幸せそうに目を輝やかせる。MMAでスーパースターになった今も、DJにとって最も大切なものは家族なのだ。

「レッドロブスターで知り合ったんだ。僕は当時まだアルバイトで厨房で調理をしていて、妻がウエイトレスだった。そこから知り合った」と DJは教えてくれた。

「僕たちには3人の子どもたちがいて、彼らが僕のすべてだよ」

既に頂点を極め、何度も防衛を果たしたデメトリアス・ジョンソン。そのプレッシャーに耐えられたのは家族のおかげだという。

「僕が現役を続ける理由は、家族の存在。それしかない」

北米で人気を博した彼が、ついにONEに参戦する。「ONE:A NEW ERA -新時代-」日本大会では、若松佑弥と対戦する。

「僕がやることはシンプルだ。格闘技は誰が一番かを決めるもので、相手より優れていることを証明すればいい。家族のために、常にベストを尽くして戦うのみさ」

デメトリアス・ジョンソンと若松佑弥のマッチアップにおいて、大きな違いは実績だ。若松の10勝3敗という戦績に対し、DJは27勝3敗1分の戦績を誇る。

しかし、DJは2018年8月4日「UFC 227」でヘンリー・セフードに敗れてから、8カ月間試合をしていないというハンディもある。なぜ、ジョンソンは試合間隔を空けたのか。

「休養も戦略の一つ。年齢を重ねれば、体の回復は遅くなるし、今と昔では試合のペースを変えなければならない。それに、次の試合のために備える準備というものも必要だった」と、ジョンソンは語る。

若松の印象を「ダニー・キンガトとの試合を見たけど、若いアスリートだ。ハイレベルの試合になることを期待しているよ」と語るDJだが、コーチであるマット・ヒュームからは「『絶対に油断しないように』と何度も言われている」と語る通り、デメトリアス・ジョンソンに死角はない。

「僕は常に謙虚なままでいるように心掛けている。それが、僕の戦い方だ」と、過去に1ラウンドKOを5回も記録している若松に対して、最大限の注意を払っている。

その謙虚さこそがデメトリアス・ジョンソンの強みだ。彼は、27勝3敗1分という輝かしい戦績を持ちながらも、若松と同じ目線で試合に臨む。セフード戦こそ、際どい判定の末に敗れたものの、それまでは6年間負け無しの13連勝。32歳になった デメトリアス・ジョンソン が、若松佑弥を相手にどんな試合をONEで見せてくれるのか、注目だ。


Demetrious Johnson

UFC史上最多となる11回に渡って同世界フライ級王者のタイトルを守り続けたデメトリアス・ジョンソンは、この階級における史上最強の男と目されている。2018年まで“DJ”は、UFCを主戦場にしていたが、既に制した北米を離れ、ついにアジアに進出するためONEと電撃契約を果たした。米国で耳の不自由な母親と、子どもを虐待する父親によって、不遇な幼少期を過ごしたジョンソンは、なんとかこの状況から抜け出すべく、学生時代にレスリングに打ち込み、高校時代にはワシントン州のレスリング選手権で2位になるなど、実績を残した。レスリングでの経験を生かして、2007年に総合格闘技の世界に入ると、当初バンダム級だった階級を2012年にフライ級に落とすと、これをきっかけに才能が開花。世界最高峰の舞台であるUFCで数々のライバルを撃破し、フライ級転向1年目にして王座を獲得。そこから史上最多となる11度の防衛を果たし、その名を歴史に刻んた。この階級で世界最高レベルの選手となったデメトリアス・ジョンソンは3月31日、ONE初の日本大会「ONE:A NEW ERA-新時代-」で、23歳の新鋭・若松佑弥と対戦する。世界最強の男が、日本格闘技界のホープとどのような試合をするのか。

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