「Krush.115」2020年7月21日(火)東京・後楽園ホール
▼メインイベント(第9試合)Krushスーパー・フェザー級タイトルマッチ 3分3R延長1R〇レオナ・ペタス(THE SPIRIT GYM TEAM TOP ZEROS/王者)判定3-0 ※30-29×2、30-28×大岩龍矢(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST/挑戦者)※レオナが2度目の防衛に成功。
レオナは“石の拳”と称される強打を武器に、大雅、山本真弘、朝久泰央らを撃破。2019年6月のK-1ではK-1 WORLD GP第4代スーパー・フェザー級王座決定トーナメント準優勝(優勝は武尊)の実績を持つ小宮山工介をもKOした。9月には西京佑馬を下して第9代Krushスーパー・フェザー級王座に就き、12月には山本直樹をKOして初防衛に成功。
さらに2020年3月、武尊を苦しめた第2代K-1 WORLD GPフェザー級王者・村越優汰をも3Rにマットに沈めてKO勝ち。「武尊と戦うのはもう僕しかいないんじゃないですか」と武尊への挑戦をアピールし続けている。戦績は27勝(12KO)5敗1分。
そのレオナに挑戦する大岩は武尊の盟友としても知られる。幼少期に空手を学び、中学・高校時代はラグビーで活躍して愛知県代表にも選ばれたアスリート。大学在学中にキックボクシングを始め、卒業後にプロデビュー。
重いパンチを武器に、2016年8月にKrushフェザー級王座、2018年12月にKrushスーパー・フェザー級王座に挑戦しているが、いずれも延長戦で惜敗してタイトル獲得ならず。しかし、スタウロス・エグザコスティディスと芦澤竜誠に勝利、武尊のライバルである小澤海斗と皇治には判定で敗れているも苦しめた。戦績は18勝(6KO)6敗。
大岩のセコンドには武尊が就き、レオナは大岩に拳を伸ばした後、武尊にも鋭い視線を投げかけた。
1R、お互いジャブを突き、レオナが右フックを入れると大岩もすかさず右フックをお返し。レオナは右ロー、顔面前蹴り、そしてジャブを突き続ける。大岩も前へ出てジャブから右ストレート。レオナはカーフキック2連打から右を打ち込み、連打へつないでいく。
2R、レオナはジャブを突きながらテンカオ。大岩は飛び込んでの右フックを狙うがレオナクリンチ。レオナはジャブからカーフキック、そして連打へつないでいく。大岩は距離を詰めての右を放つがレオナはクリンチ。いいタイミングでテンカオも突き刺した。
3R、ジャブを突くレオナに大岩は構わず突進。強引に詰めてパンチを繰り出すが、レオナはすぐにジャブで突き放す。徹底したジャブ、カーフキック、時折右ストレート。大岩が入ってくるとクリンチ。徹底して自分のペースで戦い続けるレオナに大岩は打ち合いを挑み、左フックをヒットさせるもレオナは再びジャブを突く。最後はレオナが右ストレート、テンカオを打って終了。
徹底して自分のペースを守って勝利したレオナは、マイクを持つと「このベルトは僕が一番似合っていると思うし、僕が一番強いと思います。Krushにはもう相手がいないので武尊選手、僕とやりませんか?」とアピール。すると武尊がリングに姿を現し「やろうぜ」と言ってマイクをリングに叩きつけた。
武尊はすぐに控室へ戻ってしまったが、レオナは「僕がK-1チャンピオンになるので応援よろしくお願いします」と打倒・武尊を高らかに宣言した。
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▼セミファイナル(第8試合)Krushスーパー・ライト級 3分3R・延長1R〇中野滉太(POWER OF DREAM)KO 1R 2分20秒 ※左フック×瑠久(K-1 GYM横浜infinity/K-1甲子園2017 -65kg準優勝)
中野は2019年3月の『K'FESTA.2』プレリミナリーファイトでFUMIYAをKOで下し、7月のKrush後楽園大会では中国のトップファイターと互角に渡り合い一旦は勝者として名乗りを上げたものの、ローブローを巡って裁定が覆った。しかし、12月のK-1では平山迅を左フックでマットに沈め、実力を証明。戦績は6勝(5KO)2敗。
瑠久はフルコンタクト空手出身で、2017年のK-1甲子園準優勝。ウェルター級からスーパー・ライト級に転向すると堀井翼、松岡翔大を破り2連勝を飾ったが、2019年11月の山崎秀晃戦では初回KO負けを喫し、下克上を阻止された。中野と同じ21歳。戦績は7勝(3KO)2敗。
1R、右ローの蹴り合いからスタート。中野はジャブを突きつつ、左ボディ、矢のようなワンツーを来り出す。中野の左フックにグラついた瑠久に中野はもう一度左フック。瑠久は強気に打ち合うが、右フックでダウン。
瑠久は打ち合いに活路を見出そうとするが、ロープに詰めた中野は左ストレートをフェイントしてガードを反応させての左フック。この一発が見事に決まり、瑠久が崩れる。レフェリーが試合をストップし、中野が圧巻のKO勝ちを飾った。
マイクを持った中野は「そろそろタイトルマッチかなと思っています」と控えめにタイトル挑戦をアピールした。
▼第7試合 Krushライト級 3分3R・延長1R×里見柚己(K-1 GYM横浜infinity)判定0-3 ※28-30×3〇瓦田脩二(K-1ジム総本部チームペガサス/第4回K-1アマチュア全日本大会 チャレンジAクラス -65kg優勝)
里見は13勝(7KO)8敗1分の戦績を持つ22歳。昨年8月の再起戦で、ベテランの山本真弘から得意の左ストレートでKO勝ちして名を上げた。スーパー・フェザー級からライト級に階級を上げて臨んだ2019年6月のK-1 WORLD GPでは大沢文也にワンマッチで判定負け。9月のKrushでは横山巧に1RでKO負けで連敗を喫したが、今年1月の金子大輝戦では得意の右のパンチを炸裂させてKO勝ちした。
瓦田はアグレッシブなファイトスタイルでデビューから5連勝。その後は東本央貴、川崎真一朗、ワン・ジーウェイに敗れたが、蓮實光と前戦の稲垣柊にはKO勝ちしてる。K-1ジム総本部の若手リーダー格。戦績は7勝(5KO)3敗。
1R、先に仕掛けたのは里見だが瓦田の右ストレートがヒット。瓦田はガードをしっかり固めてワンツー、里見は右ローを蹴るが瓦田がストレートとロングフックの右を使い分けてヒットを奪っていく。スイッチを多用する里見だが瓦田のよく伸びるワンツーを浴び、接近戦でもフックをもらう。
2R、里見はサウスポーから左三日月蹴り。瓦田は右ストレートから右ハイキックを軽く当てる。サウスポーに構えながらも左回りを繰り返す里見を瓦田の右ストレート、右ローが襲う。
3R、瓦田は右ストレート、右フックで里見の顔面を捉え、右ミドルからの右ハイで脅かす。里見も接近しての連打を繰り出すが、瓦田の右をもらって大きく仰け反る。瓦田の右ミドルが快音を発する。残り40秒、里見は勝負に出ての打ち合いを挑むが、瓦田の右ストレートがヒット。出入りを繰り返す瓦田が上手くパンチを当てていき、K-1ジム総本部のリーダー・瓦田が勝利を収めた。
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▼第6試合 第3代Krush女子アトム級王座決定トーナメント・準決勝 3分3R・延長1R×優(北斗会館押上道場)判定0-3 ※28-30、28-30、27-30〇菅原美優(K-1ジム三軒茶屋シルバーウルフ/第5回K-1アマチュア全日本大会チャレンジBクラス女子-50kg優勝、第6回・第7回K-1アマチュア全日本大会チャレンジBクラス女子-45kg優勝)※菅原が決勝へ進出。
第2代Krush女子アトム級王者・高梨knuckle美穂の返上で空位となった王座を争う第3代Krush女子アトム級王座決定トーナメントが今大会からスタートする。4名とも10戦未満で同じような戦績。実力伯仲のトーナメントとなりそうだ。
優は中学・高校と陸上部に所属し、インターハイで4位の実績を持つ。30歳を過ぎてからキックボクシングを始め、現在は代官山にある美容室のオーナーでありアイリスト(アイメイクアーティスト)。2017年5月にKrushでプロデビューし、テキサス・アユミに判定負けも8月の豊嶋里美戦で初勝利。2018年4月のアユミとの再戦はドロー、9月は高梨にKO負け、12月はC-ZUKAに判定負けと連敗したが、約1年ぶりの試合になった2019年11月のチャン・リー戦で判定勝ちした。戦績は2勝3敗1分。
菅原は第5回K-1アマチュア全日本大会チャレンジBクラス女子-50kg優勝、第6回・第7回K-1アマチュア全日本大会チャレンジBクラス女子-45kg優勝の実績を引っ提げて2019年1月にプロデビュー。豊嶋里美から左フックでダウンを奪ってKO勝ち、4月は延谷美智子にKO負けを喫するが、7月はチャン・リーに判定勝ち、12月もC-ZUKAに判定勝ちして戦績を3勝1敗とした。今年3月に美容技術専門学校を卒業し、美容師の国家試験に合格して春から“戦う美容師”として活動している。
1R、優の出鼻を前蹴りで挫き、パンチを連打する菅原。パンチから顔面へのサイドキックに上手くつないでいく。フック主体の優に対し、手足の長さを活かした攻撃を繰り出す菅原がペースを握った。
2R、菅原の右ストレートをもらった優は右フックを返す。菅原は前蹴りとワンツーで引き離そうとし、優はフックを放ちながら前へ出る。
3R、前に出る優に菅原は前蹴り、右ロー。優は一発入っても菅原が組み付くため連打が出来ない。菅原にはバッティングの警告。残り1分でバッティングのため試合中断。左右フックで前に出る優に菅原もワンツーと右ロー。前蹴り、サイドキックを駆使して優を近付けさせず、判定3-0で決勝へコマを進めた。
▼第5試合 第3代Krush女子アトム級王座決定トーナメント・準決勝 3分3R・延長1R〇MOE(若獅子会館/第19回K-1チャレンジ女子Bクラス -45kg優勝)判定3-0 ※30-29×2、30-28×チャン・リー(K-1ジム五反田チームキングス)※MOEが決勝戦へ進出。
第2代Krush女子アトム級王者・高梨knuckle美穂の返上で空位となった王座を争う第3代Krush女子アトム級王座決定トーナメントが今大会からスタートする。4名とも10戦未満で同じような戦績。実力伯仲のトーナメントとなりそうだ。
MOEは現役JKファイターとして2018年12月にKrush初参戦、高梨と対戦して判定負けを喫したが、2019年5月の2戦目では豊嶋里美から勝利を収めている。11月には元J-GIRLSアトム級&元WBO女子世界ミニフライ級王者でプロ無敗の山田真子と対戦して、延長Rまでもつれ込む接戦の末に判定2-1で惜敗。今年2月には高梨とタイトルマッチを行ったパヤーフォン・アユタヤファイトジムにも敗れ、強豪相手に連敗中。戦績は2勝3敗。
リーは“戦う幼稚園の先生”だったが、今年3月に6年間務めていた幼稚園を辞めて格闘技一本の生活にしたという。2018年9月の『KHAOS.6』でK-1 JAPAN GROUPの大会に初参戦し、テキサス・アユミに勝利するも菅原と優に敗れ、今年3月には森川侑凜から勝利した。戦績は3勝4敗1分。
1R、序盤は静かな立ち上がり。リーは待ちの体勢で右ロー中心、MOEは左ミドルを蹴るがリーが右ストレートを狙っているのを警戒してか手数は少なめ。
2Rもリーは前蹴りでMOEを近付けさせんとするが、MOEはワンツーを伸ばしてからのフックを当てに行く。MOEは右ローを3連打、そして左フック。細かくパンチを当てていく。MOEの右ストレート、左フックがリーを捉える。
3R、右の蹴りを出すリーだが手数は少なく、MOEが右ロー連打とパンチで前へ出る。手数の少ないリーにMOEは左ミドル連打。リーが蹴りを出すと右ストレートをヒットさせる。ラスト10秒でパンチを出していったリーだが時すでに遅くMOEの判定勝ちとなった。MOEは決勝戦へ進出。
MOEは「内容的にはよくない試合をしてしまったので、もっと練習して決勝でいい試合ができるように頑張ります」と話した。
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▼第4試合 Krushバンタム級 3分3R・延長1R〇晃貴(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST/第4代Krushバンタム級王者)延長R 判定3-0 ※10-8×3×黒田斗真(K-1ジム心斎橋チームレパード)※本戦の判定は28-29、29-28、28-28
晃貴は現K-1 WORLD GPスーパー・フェザー級王者・武尊と同じ鳥取県出身で、鳥取時代も同じジムにいた弟分。2019年1月の王座決定戦で萩原秀斗を延長戦の末に下し、第4代Krushバンタム級王座に就いた。4月には初防衛戦を行い、隼也ウィラサクレックからダウンを奪って大差の判定勝ちを収めたが、6月のK-1でサンベル・ババヤンに敗れ、2019年11月の2度目の防衛戦では佐々木洵樹に敗れて王座を失った。さらに今年3月に新鋭の吉岡ビギンにも敗れて3連敗と崖っぷち状態。
当初は松本日向(K-1ジム三軒茶屋シルバーウルフ)との対戦が決まっていたが怪我で欠場。代わって3勝(2KO)1分けでキャリアは浅いが無敗のサウスポーである黒田と対戦する。黒田はK-1 JAPAN GROUPには2017年10月の『KHAOS』で初参戦してTKO勝ち、2019年8月のK-1では引き分け、同年11月のKrushでKO勝ちを飾っている。
1R、前に出る晃貴だが黒田の左ストレート、左ミドルを浴び、左テンカオを突き刺されて動きが鈍る。
2R、晃貴の出鼻を左ストレート、左ミドルで捉える黒田。左三日月で後退した晃貴へ黒田が連打。思い切って打ち合いにいく晃貴に黒田は左ストレートを打ってはクリンチして晃貴の連打を許さない。
3Rも前へ出て打ち合いにいく晃貴に、黒田は前蹴りや左ストレートを打ってはクリンチ。レフェリーは黒田のクリンチに減点を課す。なおも前へ出てパンチを打つ晃貴に黒田は組み付いてしまう。
本戦の判定は1-1でドローとなり延長戦。黒田は突進する晃貴を右フック、左ストレート、左ミドルで迎え撃ち、回り込んでいくがやはりクリンチを多用してしまう。残り30秒で黒田に減点1。晃貴は最後まで倒しに行く姿勢を見せて判定勝ちした。
▼第3試合 Krushスーパー・フェザー級 3分3R・延長1R×西元也史(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)判定0-3 ※29-30×2、28-29〇松本涼雅(team ALL-WIN)
1R、西元は左ボディを上手く命中させていき、左右フックにつなげる。松本はパンチで押されながらも右ミドル、右ロー。2Rは松本もパンチを繰り出していくが、西元が右ストレートの連打でコーナーへ追い詰める。やや手数の減った西元に松本のパンチも当たり始めた。
3R、前に出るのは西元だが松本のパンチをもらう場面が多い。パンチと蹴りを上下に打ち分けた松本が判定3-0で勝利を得た。
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▼第2試合 Krushスーパー・フェザー級 3分3R・延長1R×三輪裕樹(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)判定0-3 ※27-29×3〇斎藤祐斗(JK TRIBE)
1Rはローの蹴り合い。ラウンド終了間際に斎藤の左三日月蹴りからの左ハイ、右フックで三輪が膝をつくがこれはゴング後。
2Rが始まってすぐにサウスポーに構えた斎藤が左ストレートでダウンを奪う。三輪は右ミドルで前へ出ての左フックで流れを取り戻す。3Rは三輪がダウンを奪い返すべくローと左右フックで前へ出る。斎藤は前蹴りで逃げ切り体勢に。足がもつれながらも斎藤は三輪の攻撃をかわして一発攻撃することを繰り返し、判定勝利を収めた。
▼第1試合 Krushバンタム級 3分3R・延長1R×池田幸司(ReBORN経堂/K-1カレッジ2019 -55kg優勝)判定0-3 ※27-30×2、29-27〇橋本実生(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST/第7回K-1アマチュア全日本大会チャレンジAクラス -55kg優勝)
サウスポーの橋本に右ミドル&ローを矢継ぎ早に放っていく池田。橋本は蹴りを腕で受けて左ボディ、右フックを思い切り叩きつける。2Rは右の蹴りから右ストレートにつなぐ池田だが、橋本は下がらず打ち合いに持ち込んでの強打。ラウンド終了間際、テンカオを蹴った池田に右フックを叩き込んで橋本がダウンを奪う。
3Rは橋本が左右フック&ボディで追い込んだが、池田がフラフラになりながらも耐えて判定に。3-0で橋本が連勝を飾った。