キックボクシング
インタビュー

【RISE】吉鷹弘が笠原友希に策を授ける「那須川選手を攻略できる素質は間違いなくある」

2020/07/09 13:07
【RISE】吉鷹弘が笠原友希に策を授ける「那須川選手を攻略できる素質は間違いなくある」

那須川天心と戦う笠原(左)に「日本の格闘技界を背負って立つ」素質があると太鼓判を押す吉鷹弘(右)

 2020年7月12日(日)にABEMAにて独占生中継される、RISE初のテレビマッチ(無観客試合)『Cygames presents RISE on ABEMA』で、RISE世界フェザー級王者・那須川天心(TARGET/Cygames)と対戦するシュートボクシング日本フェザー級1位・笠原友希(シーザージム)。

 今回の那須川の対戦相手は6月中旬に公募を行い、“ガチ応募”100通超の中から笠原が選ばれた。その応募に背中を押したのが、シュートボクシングのエースとして世界の強豪と戦った“SBレジェンド”S-cup初代世界トーナメント王者・吉鷹弘だった。

「那須川選手の挑戦者募集の話があることを聞いて、ぜひともやるべきだな、と。当然キャリアや実績で言えば国内外を問わずトップ選手ですから、その選手にキャリアの浅い笠原がどう挑むのか、試合して潰されないかとか心配もあると思いますが、僕は絶対にやるべきだと思って背中を押しました」


 背中を押したのは勝算があってのことか。吉鷹は「大雑把に見ても2割あったらいい方ですね」と答える。しかし、「勝負は100回やったとすれば5回くらいは勝つチャンスがあると思うんですね。那須川選手と笠原だったら、那須川選手が90数回以上は勝つと思いますが、2~3回は笠原が勝つと思います。その2~3回を最初に持ってきたい。そんな戦い方ができればと思っています」と、ワンチャンスに懸ける。

 笠原については「日本人とタイ人の間に生まれたハーフで、日本人にはない手足の長さや柔らかさを持ち合わせています。キックボクシングにも向いているし、一番注目しているのは長身のサウスポーだということですね。2019年4月に後楽園ホールで試合を生で見て、彼は今後SBと言わず日本の頂きに行けるだけの素材であると感じました」と、その素質に太鼓判を押す。

「那須川選手を攻略できる素質は間違いなくあります。相手は横綱、トップ級のトップ。僕がもし那須川サイドだったら“なんだ笠原って”という感じになりますが、笠原がこれから日本の格闘技界を背負って立つならここで何かを見せないとダメ。そういう期待感も込めて推薦したのもありますけれど、今の打撃系格闘技で全団体を見渡してみてもトップ3に入れるだけの素材はある。そこに期待したい。かつ、これだけの選手と試合ができるのは、彼のこれからの格闘技人生でもなかなかないかも分からない」

 吉鷹は以前から、那須川はサウスポーの相手が苦手と指摘している。

「同じ身長とかリーチとか背格好が似ているタイ人とやっている試合は見ていますが、サウスポーの長身選手とは練習ではあると思いますが試合経験はほぼない。基本的にほとんどがオーソドックス。那須川選手の場合はオーソドックスの右ストレートが来た時にアウトサイドにヘッドスリップしてから打ってくるんですけれど、相手の右ストレートをよけてから返すのが、相手が右を打って戻すスピードよりも速いんですね。ボクシングにはいますが、キックボクシング系ではこれまで見たことがなかったです。


 そこで笠原の場合はサウスポーだから前手が右ジャブなので、そこから展開を作れれば面白いんじゃないかな。もし那須川選手を倒す日本人がいるとすれば、そういう戦法ができる選手じゃないと無理だなと思ったんです。それを何で感じたかと言うと村越(優汰)戦ですね。1戦目は圧勝でしたが、2戦目は村越選手もだいぶ工夫していろいろ考えていたと思います。もし彼が負けるとしたら、あの試合にヒントがあるんじゃないか、と。いろいろ研究していて、長身でリーチがあってパンチのある選手、かつ右利きサウスポーがいいと思ったので、そこでいくと日本のトップどころで言うと2人くらいしかいません。そのうちの1人が笠原だったので何とか頑張って欲しいとなと思いました」

 吉鷹は現在発売中の格闘技雑誌『ゴング格闘技』にて、もし自分が現役時代に那須川天心と戦わば、どのように戦うかを語っている。しかし、「あれは自分の体型や体力からの作戦なので半分以上変わります」という。

 これまで多くの選手を勝利に導いた戦術・策はすでに笠原に伝えてあるのかと聞くと「もちろん伝えてあります」との答え。

「作戦は裏・表で行きます。2~3つで通じる相手ではないですし、20通り伝えたところでこの短期間で消化できるだけの力や能力は笠原にはないので、私が与えたのは8パターンです。それがハマるかどうかは別ですが、何とか試合までに少しでもそれを練って活かしてもらえればと思っています。

 僕は自分の試合の時もそうですが40~50パターンは考えますね。類似的なこともありますがちょっと違うだけでまた変わります。笠原にとっての那須川選手は世界を相手にするのと同じですからね。それくらいの力の差はあるので、そこで自分なりにいろいろなことを考えて、彼にとってこれが最適かどうかを考えながら8つに絞りました。それが吉と出るか凶と出るかはやってみないと分かりません」

 最後に、笠原への期待の言葉を聞いた。

「体の素質、小さい頃からシーザージムで鍛えてきた積み重ね、タイ人トレーナーもいますし、ジムの先輩たちもいろいろと教えていたと思います。そういう意味では僕がたどってきた道とは違って全てが揃っています。戦うための血もある、肉体もある。そんなにたくさん会話したことはないですが、非常に真面目て純真、人の言うことをよく聞く子なのでその純粋な気持ちをぶつけて頑張って欲しい。彼がこれから日本を背負って立つ選手、シュートボクシングだけでなく日本の格闘技界を背負って立つ選手かどうかが証明される試合だと思います。勝敗は別として。それを分からせるような試合をやって欲しい、逃げも隠れもせず、しっかりやって欲しいと期待しています」とメッセージを送った。

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