キックボクシング
コラム

【1987年7月の格闘技】全日本キックが復活、ムエタイ重量級最強の男が全日本王者を一蹴

2020/07/05 10:07
 1986年10月に創刊され、30年以上の歴史を誇る格闘技雑誌『ゴング格闘技』が、秘蔵写真と共に過去7月にあった歴史的な試合や出来事を振り返る。3回目は1987年7月に東京・後楽園ホールで開催された全日本キックボクシング連盟の再旗揚げ戦興行。 (写真)盛大な声援の中、全日本キックの歴代王者たちがリングに登場 全日本キックボクシング連盟は1971年に結成され、日本テレビと東京12チャンネル(現在のテレビ東京)の2局でゴールデンタイムで中継されるという隆盛を誇った。1981年に一度解散したが、1987年に復活。7月15日に東京・後楽園ホールで再旗揚げ戦興行を行った。このため、当時は新生・全日本キックと呼ばれていた。  余談ではあるが、全日本キックボクシングコミッションは旧が石原慎太郎、新生は小沢一郎がコミッショナーを務めた。  トリプルメインイベント前の旗揚げセレモニーでは、かつての全日本歴代王者が次々にリング上で紹介された。猪狩元秀、田畑靖男、島三雄(以上の3名はK-1初期のジャッジ・レフェリーでも知られる)、長江国政、藤原敏男とそうそうたる顔ぶれがオールドファンを喜ばせる。  トリプルメインの第1試合と第2試合では、プロ空手からの刺客としてロッド・キー(カナダ)とロニー・グリーン(イギリス)が参戦。青山隆(小国ジム)と甲斐栄二(ニシカワジム)が迎え撃ち、甲斐はグリーンに初回2分53秒でKO負け、青山はキーに判定で辛勝。  そしてトリプルメインのトリを飾るのは、全日本ウェルター級王者に認定された向山鉄也(ニシカワジム)vsラジャダムナンスタジアム認定ウェルター級王者ラクチャート・ソーパサドポン(タイ)の日・タイのウェルター級王者対決。ラクチャートは当時ムエタイ重量級最強の男で、日本には1987年4月に大道塾の長田賢一を体格差がありながらもヒジ打ちでKOしたことで知られるようになった。  前年にも向山は同じラジャの王者であるパーヤップ・プレムチャイと対戦し、善戦虚しく敗退している。ラジャ王者に一矢を…との向山ファンと、ムエタイ王者目当てのファンで会場は超満員。静寂の中でゴングが鳴った。  序盤、お互いジリジリと相手の様子をうかがう。が、ラクチャートの方が先に間合いを見切った。次々と伸びのあるハイキックを繰り出すラクチャート。向山も負けじと右ハイ、右フックなどで応戦する。しかし3Rからサウスポーのラクチャートは右ジャブを多発。向山の頭が小刻みに揺れる。  ラクチャートはヒザ蹴りで向山をKOせんとたたみかける。この猛攻により、向山はジリジリと後退。しかし、下がれば下がるほどヒザ蹴りの罠にはまり、ラクチャートの格好の餌食となってしまった。絶妙な左ヒザ蹴りが決まった時、向山はコーナーを背にダウン寸前。  ついに4R1分58秒、向山は手も足も出ないまま、ラクチャートの右フックでマットに沈んだ。ムエタイ現役王者の強さをまざまざと見せつけられた一戦だった。
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