C)Chris Unger/Zuffa LLC
2020年6月27日(日本時間28日・日曜)米国ネヴァダ州ラスベガス「UFC APEX」にて『UFCファイトナイト・ラスベガス 4』が開催された。
メインイベントはライト級の5分5R。3位のポイエーと5位のフッカーが対戦した。
2019年4月13日の「UFC 236」で、UFC世界ライト級暫定王座決定戦として、フェザー級王者マックス・ホロウェイと5年ぶりに再戦し、判定勝利で暫定王座を獲得したポイエー。
同年9月7日の「UFC 242」で、正規王者ハビブ・ヌルマゴメドフを相手にUFC世界ライト級王座統一戦に臨み、3Rにリアネイキドチョークで一本負けを喫した。ヌルマゴメドフ戦の敗戦までは5連勝を飾っており、現暫定王者のジャスティン・ゲイジーにも4R TKOで勝利するなど、5R戦の後半でも切れないスタミナを誇る。
対するフッカーはニュージーランドのシティ・キックボクシング所属。GLORYで活躍し、現UFC世界ミドル級王者のイスラエル・アデサニヤと同門で、フッカーもプロキックボクシングで9勝1敗3分の戦績を持つ。
2017年6月にライト級に転向し、ロス・ピアソン、マルク・ディアケイジー、ジム・ミラー、ギルバート・バーンズ相手に4連勝。2018年12月にエジソン・バルボーザに3R KO負けも、2019年は7月にジェームス・ヴィックを1R KOに下すと、10月にアル・アイアキンタ、2020年2月にポール・フェルダーに判定勝利と3連勝をマークしている。
▼ライト級 5分5R
○ダスティン・ポイエー(米国)156lbs/70.76kg
[判定3-0] ※48-47×2, 48-46
×ダン・フッカー(ニュージーランド)155.5lbs/70.53kg
Chasing lightweight immortality. 🏆
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Poirier & Hooker are ready to unleash all they have. #UFCVegas4 pic.twitter.com/Z41X7mMHSf
1R、ポイエーはサウスポー構え。そこにオーソドックス構えのフッカーは右ロー、右ハイを突く。ジャブから右インローはフッカー。ワンツーの入りにボディロックから金網まで押し込むポイエーだが深追いせず離れる。
左ミドルから右ストレートを当てるポイエー! 詰めての首相撲ヒザはフッカー。しかしポイエーも左ストレートを当てる。左ジャブから右アッパーを狙うフッカー。胸で受けるポイエー。フッカーは序盤にカーフキックを打っていく。
2R、ジャブ&ローから入るフッカー。さらに左でポイエーのアゴを上げさせると打点の高いヒザも! 組みにいくポイエーを切るフッカー。金網に釘付けにして左から右アッパー、左右ボディも突くが、ポイエーも金網背に打ち合いで強振。かわすフッカーにシングルレッグにも入るが、フッカーは断ち切る。
ポイエーの左に右目周辺から出血するフッカー。ポイエーも右目下をカットする。左ストレートをクリーンヒットさせるポイエーに、上下に散らしたフッカーは金網で猛ラッシュ! 金網背に大振りのフックで反撃するポイエーだが、かわすフッカーのアッパー、ボディの上下攻撃に首相撲ヒザももらい、ポイエーはブザーに思わず両ヒザに手を置いてダメージを見せる。
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3R、詰めるフッカー。ポイエーは右ストレートもかわすフッカーが前へ。しかし左ミドルから左ストレートに力はあるポイエー。フッカーはダブルレッグテイクダウンもそこにギロチンを合わせるポイエー! 深めに入るが頭を抜くフッカーに下からヒジを打つポイエー。スクランブルより腕十字など寝技を仕掛ける。察知するフッカーに金網まで這い立つポイエーは右ストレート! フッカーは下がる。ポイエーのラウンドに。
4R、左の前蹴りを腹に突くポイエー。前に詰めて右ジャブをダブルで当てる。アゴが上がるフッカー。しかしダブルレッグテイクダウン。背中を見せて立ち上がるポイエーのバックに回るもポイエーは抜けて正対。立ち上がると追いかけてきたフッカーに左ストレートを当ててダブルレッグテイクダウン! 両足を束ねると亀になるフッカーに背後から左のパウンド! バックから腕十字に。これを落としたフッカーにオモプラッタへ。腕を外したフッカーが上になりブザー。互いに息使いが荒い。
5R、死闘の最終Rはグローブタッチから。右ジャブを突き前に出るポイエーに右の前蹴りで距離を取るフッカー。最後の力をどこで使うか。左ミドルで追うポイエー。さらに右ジャブも慎重。左ストレートにアゴを上げさせられたフッカーはダブルレッグも切るポイエー。離れる両者。
ポイエーのジャブにダブルレッグでテイクダウンしたフッカー。バックテイクも突き放すポイエーは続く2度のダブルレッグを切り、差し上げて体を入れ替える。首相撲ヒザを狙うフッカーを突き放し、ダブルレッグに入るフッカーにギロチンでドミネートし、上からパウンドしたポイエー。ブザーに右手で胸を叩いた。疲労困憊のフッカーは金網背に座ったまま。
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そこにポイエーは歩み寄ると、フッカーも立ち上がり、互いの健闘を讃えた。観客がいれば沸きに沸いたであろう死闘を無観客のなかで繰り広げた両者。序盤の1、2Rはフッカー、後半はスタミナ落ちたフッカーにポイエーが反撃した。判定は……3-0。48-47×2, 48-46でポイエーが勝利。カーフキックを受けた勝者は右足を引いてオクタゴンを後にした。
No one can question @DustinPoirier's heart. #UFCVegas4 pic.twitter.com/s7C9XIAuME
— UFC (@ufc) June 28, 2020
試合後バックステージでポイエーはオフィシャルのインタビューに、「今回の試合で唯一、ダメージを受けたのはダンにフェンスに押し込まれてヒザ蹴りをもらったとき。高さも速さも凄かった」と、フッカーの打点の高いヒザ蹴りを評価しながらも「最終的には自分のレンジで戦えたし、相手の雑な打撃にカウンターを食らわすこともできた。何発か良いのが当たったし、向こうはふらついていた」と、後半に巻き返したことを振り返った。
と同時に、「そういう打撃でラウンドを取っていったつもりだけど、もっとうまくやれたとは思っている」と反省も見せたポイエーは、次戦について問われ、「もしかしたら、今年の年末にもう一度戦うかも。来年になるかもしれない。とりあえず家に帰って娘に会いたい。俺が勝者だ。長い休みだったな。キャリアの中で一番長い休みだった。9カ月も休んでずっと戦線に立てなかった。いくつか乗り越えないといけないことがあったんだ。今日また勝者になれたし、これから戻ってイチから考えたい」と、返答を保留。
最後に、「もっとうまくなりたいし、大好きなこのスポーツを続けていきたい。嫌いになるくらい焦りたくない。もう長いことやっているし、毎日、限界まで自分をプッシュしているから、とにかく、しっかり考えてやっていきたいんだ」と、2009年5月のMMAデビューから11年間、コロナ禍も含めコンディションを作り続けて戦う厳しさも吐露した。