2月23日(土)東京・K-1ジム五反田にて、3月10日(日)さいたまスーパーアリーナ・メインアリーナで開催される「K-1 WORLD GP 2019 JAPAN ~K'FESTA.2~」の[【DIVINER Presents】 K-1 WORLD GPウェルター級タイトルマッチ/3分3R・延長1R]で挑戦者・城戸康裕と対戦する王者・久保優太が公開練習を行った。
昨年3月の「K'FESTA.1」での初防衛戦でメルシック・バダザリアンに判定勝利して以来、約1年ぶりの試合となった久保。公開練習では矢口哲雄トレーナーの監督のもと、黙々とサンドバックにワンツー、左右のミドルキックを打ち込んでいった。
もともと対戦相手には興味がないし、正直、相手に対してのモチベーションはゼロです(苦笑)。ベルトを守ることに重点に置いているし、選手として落ちているか落ちていないかの挑戦です
公開練習後のインタビューで久保は「試合前のこの時期はいつもコンディションが悪いので辛いです」と苦笑い。今回がプロキャリア60戦目となるが「最近は試合の一カ月前から本格的に練習するようになったので、練習も減量も普段やらないことを急にやるので大変です」と“久保流”の調整を続けている。
対戦相手の城戸対策についても、試合3週間前の時点で「ちょっと映像を見ただけど本格的に研究はしていない。今はデジタル社会で、いつでも映像が見られるので、もうちょっとしたら見ようと思います」。
これまで記者会見やインタビューで「僕と城戸選手の試合は面白い試合にならない」と公言してきた久保は、この日も「この試合は2000%塩試合(つまらない試合)になる」と塩試合予告。「ずっとそれを言ってきてスッキリしてたのに、発表された試合順を見たら第2部の最終試合に組まれていて『えっ!? 中村プロデューサー!!』とスマホにツッコミました」と複雑な表情を浮かべていた。
なかなか試合モードの言葉が出てこない久保。では今回の試合にはどんなモチベーションを持っているのか? 久保は対戦相手に対してではなく、ベルトを守ることやさいたまスーパーアリーナ・メインアリーナの大舞台で戦えることにモチベーションを感じていると持論を展開した。
「僕はもともと対戦相手には興味がないし、正直、相手に対してのモチベーションはゼロです(苦笑)。今回はベルトを守ることに重点に置いているし、自分自身が選手として落ちているか落ちていないかの挑戦です。
今回は約1年ぶりの試合で、やっぱり僕も年齢と共に衰えていると思うんですよね。でも相手や周りにそう思わせないように強がって頑張ろうかなと思っています。だからベルトを守ること、さいたまのリングに立てること、たくさんのお客さんの前で試合できることがモチベーションです。
僕は小学生の時にK-1の華やかな舞台に憧れて、ピーター・アーツや魔裟斗さんに憧れてK-1ファイターになることが出来ました。だからさいたまスーパーアリーナのような大きい会場で試合ができるのはうれしくてたまらないし“テンションあげ”です」
以前はジョーダン・ピケオーとの対戦に興味を示していた久保だが「あれは目の前でピケオーが(木村"フィリップ")ミノルくんにああいう形で勝って、リング上から『やろうぜ!』と言われて僕もテンションが上がったから。だから今回の大会でピケオーと野杁正明選手がどういう試合をするかによって気持ちは変わる」と現在は流動的。
現役をいつまで続けられるか分からないし『昔は強かったよね?』とも言われたくない引き際のことはいつも考えている
あくまで王座を防衛することが第一優先で「勝たないと発言権はないし、先のことは僕がベルトを防衛してからのお楽しみ。これから僕もあと何試合できるか分からないし、現役を続けるうえでのモチベーションとして新しいチャレンジを考えている」と城戸戦の結果で今後の進路が分かるとした。
いずれにしても久保がファイターとしての集大成を意識していることは事実だ。インタビューの後半には「どう現役生活を締めくくるか?」についても語った。
「(いつまで現役を続けるか?)本当はすぐにでも引退したいくらいです(笑)。2年前の初代K-1ウェルター級王座決定トーナメントの時に負けたら引退しようと思って頑張ったら優勝できちゃって。あの時はめっちゃうれしくて泣きました。正直あそこで優勝できるとは思っていなくて、あの時はまだまだいけると思いました。でもバダザリアンと防衛戦をやったら練習がつらいし、身体の色んなところも痛くなる。燃え尽き症候群ではないですけど、そんな感じになっていました。
でも僕にもごくごく一部にファンの方がいて、僕の試合やテクニックを楽しみにしてくれている人たちが少しはいます(苦笑)。ほとんどのお客さんは派手なKOが見たいと思うのですが、1割くらいは僕のテクニックを見たいという需要がある。僕はそういう方のために頑張りたいし、K-1の隙間産業を狙っていきます。
本当に現役をいつまで続けられるか分からないし『昔は強かったよね?』とも言われたくない。引き際のことはいつも考えているので、将来のことも考えて良い時に引退したいです」
最初から最後まで自分のペースで言葉を続けた久保。城戸を下してベルトを防衛し、新たな挑戦に突き進むことはできるか?
城戸康裕、将棋特訓と秘技“三日月殺し”で王者・久保優太を完全攻略!?
3月1日(金)東京・K-1ジム三軒茶屋シルバーウルフにて、3月10日(日)さいたまスーパーアリーナ・メインアリーナで開催される「K-1 WORLD GP 2019 JAPAN ~K'FESTA.2~」の[【DIVINER Presents】 K-1 WORLD GPウェルター級タイトルマッチ/3分3R・延長1R]で王者・久保優太と対戦する挑戦者・城戸康裕が公開練習を行った。
悲願のベルト奪取に向けてキングオブエンターテイナー・城戸が行った公開練習はまさかの将棋だった。何やら本を読みながら仮想・久保を相手に将棋を打つ城戸だが、どうやら苦戦を強いられている模様。その本の表紙を見てみると、久保が出版した著書「K-1チャンピオンの億を稼ぐ株式投資術」。城戸が本を投げ捨てると途端に戦況は城戸有利に変わり、最後は城戸が完全に仮想・久保を八方塞がりに追い込んで対局を終えた。
もし久保くんが三日月蹴りを蹴ってきたら指がボキッっていきますから。ジムにも三日月蹴りが得意な選手いますけど、僕には蹴ってこない
公開練習後のインタビューも「最後に攻めたあの形みたいな試合をしたいですね。もう久保くんが八方ふさがりみたいな。あれをちょっと狙ってます」と将棋の話題から切り出した城戸。「久保くんはテクニシャンだから、僕が上手いこと攻めようとしても、それを防ぐテクニックは使ってきますよね。だから八方ふさがりには難しいと思う」とする一方で、久保が得意とする三日月蹴りに対しては「今回“三日月殺し”って技を作ったんですよ」と秘策があるという。
「もし久保くんが三日月蹴りを蹴ってきたら指がボキッっていきますから。ジムにも三日月蹴りが得意な選手いますけど、基本的に僕には蹴ってこない」という城戸は「昔から“三日月殺し”が得意で、実際に三日月蹴りを一発ももらったことがない。そういうことを言うと、多分久保くんは三日月蹴りを蹴ってくると思うんで“三日月殺し”で捕まえてやります」と不敵に笑った。
また久保が自身の公開練習で「2000%塩試合になる」と発言していたが、これには城戸も「二人ともアウトボクサーなんで、そうなるでしょうね」とまさかの呼応。「久保くんも言ってたと思うんですけど、派手な熱い試合は武尊とかに任せておいて、僕らは昭和の試合をします」と趣のある試合を見せると続けた。
チンギス・アラゾフの王座返上でスーパー・ウェルター級でトーナメントがあったら二階級制覇を目指して元の階級に戻るのもあり
同日に行われ次期挑戦者決定戦とも見られている野杁vsピケオーに話題が及ぶと、城戸は「あの二人の試合は面白い試合ですよね。すげえ見たいっす。僕より後なんでめっちゃ見れますね!」と完全に観客目線。以前、城戸は「俺がチャンピオンになって野杁くんが勝ったらすぐにベルトを返上する」と語っていたが「あれは本心です(笑)。野杁くん強いですからね。俺はあんま野杁くんとやりたくないですね」と野杁との対戦には消極的のようだ。
現在元の階級だったスーパー・ウェルター級はチンギス・アラゾフが負傷による王座返上で空位のまま。城戸は「そうだとしたらスーパー・ウェルター級のトーナメントやるんですかね? とりあえず今回勝って、スーパー・ウェルター級でトーナメントがあったら二階級制覇を目指して元の階級に戻るのもありですよね」とウェルター級&スーパー・ウェルター級の二階級制覇も視野に入れている。
お馴染みの煽り映像について城戸は「今回はもう撮りましたけど、めちゃくちゃ良いですね。今回は小学生は笑うでしょうね。大人ももちろん面白いとは思うんですけど、子供は相当面白いと思います。さいたまスーパーアリーナがドーンといってくれるでしょう! アレで滑ることはないでしょうね」と試合よりも自信満々。
最後にファンへのメッセージを求めると「今回もかなり気合の入った煽り映像作ったんで、3月10日、さいたまスーパーアリーナ、マジでお楽しみに!」と試合には一切触れることなく煽り映像をアピールしていた。
挑戦者・城戸康裕が、王座戦決定時に語っていたこと「K-1チャンピオンになれなかったら『城戸って面白いヤツがいたなぁ』ぐらいで終わる。K-1のベルトを獲って、もっと笑いを増やしたい」
3月10日(日)さいたまスーパーアリーナ・メインアリーナで開催される「K-1 WORLD GP 2019 JAPAN ~K'FESTA.2~」の[【DIVINER Presents】 K-1 WORLD GPウェルター級タイトルマッチ/3分3R・延長1R]で王者・久保優太に挑戦する城戸康裕。王座戦決定後のインタビューでは、公開練習時とは異なるベルトへの思いを語っていた。ここに併せて紹介する。
──城戸選手にとって念願のタイトルマッチが決定しました。
「本当に時間かかり過ぎですよ!」
――最初にタイトル挑戦をアピールしたには去年3月の「K'FESTA.1」でイッサム・チャディッドに勝ったあとでしたよね?
「はい。ただ正直3月の『K'FESTA.1』で1回勝っただけで、6月に(タイトルマッチを)やるのは他の選手に悪いなっていうのもあって、最終的にマサロ・グランダーとスーパーファイトで対戦することになったんですけど、それはしょうがないと思っていました。で、6月にマサロに勝ったんで、次はタイトルマッチで決定だろう、と。それで試合スケジュールを調整して11月に挑戦することになったんですけど、なんとチャンピオンの久保くんが交通事故で試合ができなくなるという(苦笑)」
――結果的に11月のタイトルマッチは見送られて、スーパーファイトでジョナサン・トゥフと対戦することになりました。あの時は城戸選手も試合前に左足が蜂窩織炎になるというアクシデントの中、タフなトゥフから判定勝利をもぎとりました。
「あの時はここで負けたら今までやってきたことがすべて台なしになると思って、むちゃくちゃプレッシャーがありましたよ。それでなんとか勝つことが出来て、こうして無事にタイトルマッチが決まってよかったです」
──城戸選手も久保選手もプロキャリアが長いファイターですが、以前は階級も違っていましたし、対戦相手として見ることもなかったと思います。
「俺が2008年に『K-1 WORLD MAX』で日本チャンピオン(-70kg)になった時に、久保くんは(同門の)駿太とフェザー級(-57.15kg)でやってるんですよ。それだけ階級差があったんで、当時は戦うことになるなんて一切思ってなかったです」
――ではどちらかと言うと同じ「K-1 WORLD MAX」で同じ時代を戦ってきた仲間というイメージですか?
「そうですね。それこそ10年前の久保くんは20歳ぐらいで若い世代の象徴だったけど、今となってはこっち側の人間(ベテラン)じゃないですか。今は若い子たちが物凄い頑張っていて、武居(由樹)くんみたいに20代前半でにスーパーチャンピオンみたいになる選手もいる。こっちは36歳(城戸)と31歳(久保)ですよ? 自分でも良く頑張ってるなと思いますけど(笑)」
──若い選手の活躍が目立つK-1で30代の2人がベルトを争うというのも興味深いです。
「この階級でガツガツやってる先輩はほとんどいないですし、むしろ後輩ですら引退していきますからね。でも個人的に身体は全く衰えてないし、まだまだ全然やれますね」
――城戸選手がK-1でタイトルマッチとしてベルトに挑むのは今回が初めてなんですよね?
「トーナメントの決勝まで勝ち残ったことはありましたけど、ワンマッチ形式のタイトルマッチは初めてですね」
──城戸選手にとってK-1のベルトやK-1チャンピオンという称号はどういうものですか?
「僕は昔から言ってるんですけど、世界一になりたいわけじゃないんです。世界一になったと証明できるものが欲しいだけで。で、それが何かを考えたらK-1のベルトなんですよね」
――なるほど。
「あとはやっぱりベルトを持ってないとバラエティーに行きにくい(笑)。例えばオリンピックでもメダルを獲ってないとバラエティーには呼ばれないじゃないですか。日本人やアジア人が活躍できない競技だったら銀メダルや銅メダルでもテレビに出れますけど、柔道やレスリングだったら金メダルを獲らないと呼ばれないですよね? そこはバラエティーマニアとしては百も承知です」
──このままベルトを巻けないと“ちょっと面白い格闘家”で終わってしまう、と。
「いや、ホントに。このままだったら『城戸って面白いヤツいたなぁ』ぐらいで終わりですよ。僕が目指してるのはそこじゃないし、『アスリートの中で面白いヤツは誰だ?』となった時に『城戸だ!』と言われるようになることだから。そのためにはK-1チャンピオンという肩書は必要ですよね。僕はどれだけ若くてすげえ強いヤツが出てきても、別に何とも思わないです。ただめちゃくちゃ面白いヤツが出てきたら焦りまくりますね(笑)」
──ベルトを獲ってどうしたいかは人それぞれにあって当然です。と同時に誰もが簡単に挑戦して獲れるものでもありません。
「ベルトを持ってると、これはマジで言ってるんですけど、笑いが増えると思うんですよ。『こいつ、チャンピオンなのに何やってんの?』みたいな感じで。客観的に見ても俺がベルトを持っていたら面白いと思うんだよなぁ」
──K-1のベルトを獲ることで最後のピースが埋まるといった感じでしょうか?
「本当そんな感じです。もし神様が僕にもっと笑いを与えたいと思っているなら、K-1のベルトを獲らせてくれると思います」