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コラム

【2002年6月の格闘技】蹴ったニコラス・ペタスのスネが「折れた!」

2020/06/15 10:06
【2002年6月の格闘技】蹴ったニコラス・ペタスのスネが「折れた!」

蹴ったニコラスが倒れ、レフェリーに「折れた!」と叫んだ

 1986年10月に創刊され、30年以上の歴史を誇る格闘技雑誌『ゴング格闘技』が、秘蔵写真と共に過去6月にあった歴史的な試合や様々な出来事を振り返る。第29回目は2002年6月2日、富山市総合体育館で開催された『K-1 SURVIVAL』より、ニコラス・ペタス(デンマーク/極真会館)がセルゲイ・グール(ベラルーシ)に衝撃的なTKO負けを喫した一戦。


 ニコラスはデンマークから17歳で単身海を渡り、1991年に極真会館総本部の内弟子に。極真空手では1995年ヨーロッパ選手権重量級優勝、1995年第6回全世界空手道選手権大会5位 1997年全世界ウェイト制空手道選手権大会重量級3位、1999年第7回全世界空手道選手権大会5位などの成績を収めた。K-1には1998年7月から参戦し、当初は黒星が先行していたが、2001年のK-1 JAPAN GRANDPRIXで優勝して頭角を現した。


 対するグールはK-1 WORLD GP 2001イタリア大会優勝の実績も持つが、佐山聡が創始した掣圏道でヘビー級王者となっており、K-1には“掣圏道からの刺客”としてSWA掣圏道協会所属選手としての出場。


 1R、まずはニコラスが右ローで先制。ニコラスが右ストレートを放つと、すかさず左右フックを連打するグール。一度離れたニコラスは左ハイから右のカカト落としを放って場内を沸かせる。グールはサウスポーに構えを変えるが、ニコラスは右ローを狙い撃ち。さらにもう一度カカト落とし。上下に攻撃を散らして右ローで確実にダメージを与えていく。グールは左右フックで打ち合いを挑んでいくが、ニコラスは打ち返してすぐに離れる。


 2R、前に出て左右フックを荒々しく放っていくグールにニコラスは右ローとカカト落とし。しかし、ニコラスが右ローを蹴ったところでセルゲイが左足を上げ、スネがセルゲイのヒザを直撃したニコラスは仰向けに倒れる。


 場内にはパーンと乾いた音が響き渡り、倒れたニコラスは「折れた!」とレフェリーに告げる。ダウンカウントは進み、途中でレフェリーがカウントをストップ。2R1分00秒、グールのTKO勝ちとなった。ニコラスは担架に乗せられて退場。


 グールは「ニコラスのローにヒザをぶつける練習をしていた」と、アクシデントではなく狙っていた技だったと話した。一方、ニコラスは右下肢骨骨折で全治3カ月と診断されたが、完治するまで時間がかかり、2005年10月に復帰している。

 当時について、ニコラスは、本誌2011年11月号の取材にて「僕、巻藁突き稽古を反対してたことがあるんです。なんで反対してたかって言うと、正確に当てないと駄目じゃないか、って。正確に当たってる時は、筋肉に当たってるから怪我するはずがないんです。どれぐらいそれが上手くなったかって言うと、最後に世界大会に出た時に、5位で終わったんですけど、そこまで無傷だったんです。脛に青たんもない。拳も痛めてるところが一つもないんですよ。次の日はもう普通に元気です。世界大会で5位になって痛い所が一つもない。正確さは僕がすごく勝負をかけてた部分だったんですよ。ところが結局、僕が一番高い代償を払ったのは、体を鍛えてないと、骨と骨が思いっきりぶつかった時に、折れるんですよ。だから僕、脛折れたんですよ、試合で」と、K-1でのセルゲイ・グール戦を振り返り、「しばらくあれだけで有名になったんで(笑)。今だに足大丈夫ですか? って言われます。あのとき、体を鍛え上げることの重要性、富や名声のためじゃなく、ただ強くなるために努力することについて、あらためて考えましたね」と身体を正しく鍛える重要性を語っている。

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