MMA
コラム

【2000年6月の格闘技】39歳のヴォルク・ハンがついにKOKルール参戦、鮮やかな関節技で一本勝ち

2020/06/11 03:06
 1986年10月に創刊され、30年以上の歴史を誇る格闘技雑誌『ゴング格闘技』が、秘蔵写真と共に過去6月にあった歴史的な試合や様々な出来事を振り返る。第23回目は2000年6月15日、東京・国立代々木競技場第二体育館で開催されたリングス『Millenium Combine II』より、ヴォルク・ハン(ロシア)が初のKOKルールに挑んだ一戦。 (写真)打撃戦はヒンクル有利だったが、ハンもフックで対抗する ヴォルク・ハンがついにKOKルールでの試合に臨んだ。前年に初開催された『ワールド・メガバトル・トーナメント King of Kings』から採用されたKOKルールとは、オープンフィンガーグローブを着用し、通常の総合格闘技ルールから寝技での顔面への打撃を排除し、膠着状態でのブレイクを早めることによってスピーディーな試合展開を促すルールである。  リングス初期から前田日明のライバルとして活躍し、リングスでも一、二を争うほどの人気外国人選手だったハンもすでに39歳。KOKルール導入後は試合のキャンセルが続き、「逃げているんじゃないか」とまで噂されることもあったが、5月の米『WEF』で山本宜久を失神させたばかりのブランドン・リー・ヒンクル(アメリカ)に約1年ぶりの日本マットで堂々挑んだのだ。  試合はハンが果敢に打撃戦を挑み、大振りのフックを狙っていく。「このルールで勝つためにはパンチが強くなければいけない。今日はパンチを試したかった」というハンは、ヒンクルもそう打撃は得意ではないこともあって、ほぼ互角の展開。だが、接近戦になると、ヒンクルがクリンチしてのアッパーを突き上げ、ボディにヒザを入れる。 (写真)組み付いたハンは得意のアームロックを仕掛けていった「ハン、手首を取れ!」と客席からいら立ちの声も飛ぶ中、ヒンクルが胴タックルでテイクダウンし、グラウンドへ。ハンは下からアームロックを仕掛けていくが、防がれてブレイクとなる。再びスタンドでアッパー、ヒザをもらいながらも、腕を捕えたハンは引き込んでアームロック。しかし、これも極められない。  するとハンはタックルに入り、切られるとガードに引き込んだ。そして上にのしかかるヒンクルに三角絞め。かなり入りは浅いように見えたが、ハンの狙いはヒジ関節だった。腕ひしぎ三角固めを極めて、見事なフィニッシュを奪った。1R8分11秒だった(試合時間は1R10分・2R5分)。  試合中は声援に混じって、以前のように華麗な関節技を見せられないハンへのいら立ちの声も多く飛んでいた。しかし、一本勝ちを奪った瞬間、場内のボルテージは最高潮に達し、歓声が爆発した。40歳にもうすぐ手が届くハンが、過去の名声に留まらずチャレンジした姿は美しかった。
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