MMA
ニュース

【UFC】二階級で王座防衛に成功・女王アマンダ・ヌネス、パートナーの出産控え「もうすぐ子供が生まれる。世界を変えるとき」

2020/06/07 12:06
【UFC】二階級で王座防衛に成功・女王アマンダ・ヌネス、パートナーの出産控え「もうすぐ子供が生まれる。世界を変えるとき」

堀口恭司のコーチでもあるATTのマイク・ブラウン(後方)、パートナーのニーナ・アンサロフ(右から2人目)らと、王座防衛を喜ぶヌネス(中央)。(アンサロフのinstagramより)

 2020年6月6日(日本時間7日)、米国ネバダ州ラスベガスの「UFC APEX」にて「UFC 250」が無観客で開催された。

 メインイベントでは、女子フェザー級&バンタム級の二階級同時制覇王者アマンダ・ヌネス(ブラジル)がフェリシア・スペンサー(カナダ)を5R圧倒の末、大差判定3-0(50-45,50-44×2)で勝利。フェザー級王座初防衛に成功した。

▼UFC女子世界フェザー級選手権試合 5分5R
〇アマンダ・ヌネス(ブラジル)145lbs/65.77kg
[判定3-0] ※50-45,50-44×2
×フェリシア・スペンサー(カナダ)144.5lbs/65.54kg
※ヌネスはフェザー級初防衛に成功

 2018年12月にフェザー級でクリス・サイボーグを1R、右フックでKOに下して戴冠したヌネスは、2019年にはホリー・ホルムとジャーメイン・デ・ランダミーを下し、女子バンタム級王座も防衛するなど二階級王者として君臨している。フェザー級でも王座防衛なるか。

 対する柔術&テコンドー黒帯のスペンサーはMMA8勝1敗。唯一の黒星は2019年7月のクリス・サイボーグ戦での判定負けだ。粘り強い組みのスペンサーとスタンドの遠い間合いで勝負できるヌネスの戦いとなるか。

 1R、ともにオーソドックス構え。左を突きながら組みに行くスペンサーだが、切るヌネスは右オーバーハンドフック! しかしスペンサーもタフ。左ジャブ、右ストレートのヌネスに右カウンターを狙い前に出る。

 ヌネスの右の蹴り終わりを掴んでシングルレッグはスペンサーも四つからヌネスは右で差して払い腰! テイクダウンを奪いそのままサイド奪うと、スペンサーの立ち際をバック狙い。正対しフックガードに持ち込もうとするスペンサーの脇を差して寝かせるヌネスは左ヒジを打ち込む。ハーフガードから腰を切りフルガードに戻すスペンサー。ハイガードからラバーガード狙いもホーン。

 2R、細かく頭を振り右スーパーマンパンチを狙うスペンサーの打ち終わりに右を狙うヌネス。しかしスペンサーも左ジャブでアゴを上げさせる。右ローを当てるヌネス! サウスポー構えに変えるスペンサー。オーソドックス構えに変えると、ニータップから前足にシングルレッグへ。それを切るヌネスが頭を下げたところにギロチンチョーク狙い! しかし、サイドに回りながらすぐに外したヌネス。

 スペンサーはシングルレッグから立ち上がり外足をかけてバックを狙うが、ここの際も強いヌネスは正対して立つ。左ジャブをボディに突くヌネス。さらに右バックフィスト。ブロックキングで防ぐスペンサー。ヌネスの右ローに右ハイを返すスペンサー。

 3R、前に詰めてワンツーを打ち込むヌネス。しかしスペンサーも果敢に打ち返しに。遠間からダブルレッグもすぐにすぐに差し上げて切るヌネス。ワンツーの打ち合いはヌネス。スペンサーのマウスピースが外れる。グローブタッチし再開。ヌネスのワンツーに下がるスペンサー。しかしスペンサーも左ジャブを返す。

 スペンサーの接近に足を取り組み崩すヌネスだは深追いはせず。スペンサーを立たせると、金網詰めてワンツー&右ハイ! ブロックするスペンサーは距離を詰めてテイクダウン狙いもヌネスは金網際に回り切る。左ジャブ、ワンツーのヌネス。さらにバックヒジも見せたところでホーン。この回までヌネスが制したラウンドに。

 4R、ジャブを突いて前に出るスペンサー。後半戦もスタミナは落ちない。しかしヌネスも右ローを当て、右ストレートでスペンサーのアゴを上げさせる。スペンサーの右をかわしてローシングルレッグで簡単に倒すヌネスも深追いせず。立つスペンサー。ヌネスのジャブをアゴを引いて受け、カウンターを狙う。しかしヌネスは縦ヒジ狙い。さらに右の後ろ蹴り! 金網まで詰まるスペンサー。足を上げるとシングルレッグで倒される。

 頭を下げて足を掴みに行くスペンサーに、ワンツーの右を打ち下ろすヌネス。右ローを警戒しサウスポー構えに変えるスペンサー。しかしヌネスは金網に詰めて右オーバーハンド、さらに右アッパーを織り交ぜて右ストレート! たまらず足を手繰りに行くスペンサーを切ってバックに回りリアネイキドチョーク狙いは手の平を合わせたパームトゥパーム。その組手をスペンサーは掴んで防ぎホーン。ここもヌネスのラウンドに。

 5R、前に詰めるスペンサーだが、いなして右を打ち込むヌネス。金網に詰まりダブルレッグに入るスペンサーだが、両足を後方に飛ばすヌネス。片足首を掴むスペンサーだが、切るヌネスがバック狙い。正対しガードを取るスペンサーはハーフに。肩固め狙いのヌネスに下からキムラクラッチを狙うスペンサー。外すヌネス。フルガードに戻したスペンサーは額から出血。クローズドガードを解くと、両手首を掴み腕十字を狙うが、察知したヌネスは体を離す。

 立つヌネスにシッティングガードで近づくスペンサー。ドクターチェック。再開。残り50秒。サウスポー構えから右ハイ狙うスペンサーに強い右で差していとも簡単に後方にテイクダウンするヌネス。立つスペンサーに右を打ち込みホーン。全ラウンドを制したと思われるヌネス。判定へ。

 判定は50-44が2者、50-45が1者の大差3-0でヌネスがフェザー級初防衛に成功。試合後、ヌネスは「スペンサーが強い選手とは知っていたから驚くことはなかったです。もし5R戦うなら圧倒しないといけないと思っていました。5R中にフィニッシュしたかったです。でも5R戦い抜く覚悟は出来ていました。彼女はほんとうにタフでした。私にもまだ戦える力が残っています」と、傷あとの無い顔で語ると、女子バンタム級とフェザー級の両階級で敵無しの状態について、「今後は分からない。2つのベルトを同時制覇すること、防衛することが夢でした」と、二階級で王座を守っていくつもりであることを語った。

 さらに、コーナーに就いたマイク・ブラウンら、アメリカン・トップチームの面々に向け、「チームとの日々に感謝し、幸せを感じています。子供がもうすぐ生まれます。彼女たちがいるから私は戦えます。まずは家に帰り、この2つのベルトを喜びたい」と、チームと、パートナーであるニーナ・アンサロフと妊娠中の子供ら家族の存在が支えとなっていることを語った。

 5月6日にSNSでアンサロフが妊娠していることを明かしていたヌネス。小さな洋服と靴の写真とともに「この星の一人ひとりに、レイガン・アン・ヌネスが9月中旬にやって来ることを伝えたい! 彼女に会えるのが待ちきれません」と記し、誕生を心待ちにしていることを伝えていた。

 アンサロフが出産後、試合に復帰するまで1年ほど休むことをヌネスは望んでいるが、現UFC女子ストロー級5位のアンサロフは、妊娠25週目にも関わらずトレーニングを続け、「UFC 250」でヌネスのコーナーに就くなど精力的に活動しており、出産後、半年でオクタゴンに戻りたいと動画で語っている。

 UFC解説のジョー・ローガンが向けたマイクに、ヌネスは「最後にもうひとつ」と付け加えると、「みんな世界を変えるときです。みんなでよりよい場所にしていきましょう」と、コロナ禍や人種・性差別で揺れる世界の、変革と協調を呼びかけた。ヌネスは大会4日前に、自身のinstagramに、反差別への連帯を示すものとされる黒いタイルを投稿している。

MAGAZINE

ゴング格闘技 NO.335
2024年11月22日発売
年末年始の主役たちを特集。UFC世界王座に挑む朝倉海、パントージャ独占インタビュー、大晦日・鈴木千裕vs.クレベル、井上直樹、久保優太。武尊、KANA。「武の世界」でプロハースカ、石井慧も
ブラジリアン柔術&総合格闘技専門店 ブルテリアブラジリアン柔術&総合格闘技専門店 ブルテリア