山田敏代は75kg級で優勝。安堵の表情を見せる。豊田真奈美、三田英津子、下田美馬らと同期で2004年まで現役を続けた
1986年10月に創刊され、30年以上の歴史を誇る格闘技雑誌『ゴング格闘技』が、秘蔵写真と共に過去6月にあった歴史的な試合や様々な出来事を振り返る。第4回目は全日本女子プロレスの新人レスラーが大挙出場した1987年6月21日、東京・スポーツ会館で開催された『第1回女子レスリング・オープントーナメント』。
(写真)気迫満面の長谷川弘美は61kg級で優勝。「とにかく力いっぱいやりました」
女子レスリングの第1回公式大会として行われた『第1回女子レスリング・オープントーナメント』は、オープントーナメントと銘打っているだけあって全日本女子プロレス(以下、全女)の新人レスラーが16名も参加して話題を呼び、多くの報道陣が詰めかけた。全参加選手が76名だったことを考えるとかなり多い人数だ。
(写真)市川千秋は力強い攻めで相手を圧倒。終始パワフルな試合展開で75kg以上級を制した
プロの2文字を背負っての参戦となった全女勢は、参加5階級中、3階級を制覇。プレッシャーに耐え、プロの意地を見せつけた。
1年2カ月のレスリング歴を持つ長谷川弘美(18歳)とて、その例外ではない。相手は「アマレスでいつも戦っていた子たち」でも、今の自分はあくまでもプロ。それも61kg級参加選手の内、ただ一人のプロレスラーであったため、内心「絶対に負けられない」という覚悟があったことは必須。見事、61kg級で優勝を飾った。
(写真)各階級の優勝・準優勝者たち。全女勢は5階級中3階級を制覇した
「アマレスの経験はありません」という山田敏代(17歳)も「同じ格闘技ですから、寝技とか、いい勉強になりました」と、75kg級で優勝を果たし、試合後ようやく緊張から解放されて笑顔を見せた。
75kg以上級では参加選手6人中5人が全女のプロレスラー。同門同士の火花を散らす対決となったが、ここは前年の世界選手権優勝の実績を持つ市川千秋(16歳・全女)が差を見せつけた。
(写真)会場には先輩プロレスラーである大森ゆかり、クラッシュギャルズのライオネス飛鳥&長与千種の姿も。開会式では挨拶した
同年9月に初開催される『第1回全日本女子選手権』へ向けて、優勝した女子プロレスラーたちは「ぜひ全日本選手権大会にも出場したい」と声をそろえた。