MMA
ニュース

【ONE】トノンの師匠デブラス、総合格闘技復帰の理由を語る「コロナ禍の中で心の火がついた」

2020/05/21 20:05
【ONE】トノンの師匠デブラス、総合格闘技復帰の理由を語る「コロナ禍の中で心の火がついた」

(C)ONE Championship

 ゲイリー・トノンの師匠で、グラップリング界では“ハーフガードの名手”としても知られるトム・デブラスが5月18日、ONE Championshipと契約を交わし、MMA(総合格闘技)に復帰することが明らかとなった。

 新型コロナウィルスの混乱が収まりを見せ始めたこの時期の大物の現役復帰とONE電撃参戦のニュース。ONEフェザー級5位で、世界トップクラスの寝業師と評されるトノンの師匠でもあるデブラスは、なぜ今、復帰を決意したのか。

 コロナ禍で悩んでいたデブラスは今回の復帰のキッカケをこう話す。

「今回のパンデミックの影響で、私の考えや考え方は大きく変わった。家に居続けるのは本当に辛いことだった。でも、それがきっかけとなり、私の心に火がつき、何かをやりたいと願う気持ちやモチベーションが湧いてきた。神様への強い信仰は変わらないが、これ程の気持ちは昔にはなかった。神に祈りを捧げる日々、チャトリ(シットヨートン)からメッセージが届いたんだ。私に試合に対する考えを尋ねた内容だった。もしメッセージを送ってくれた人が彼でなければ、(現役復帰は)考えもしなかったはずだ。私は、彼がONEで成し遂げていること、何より彼自身のことを、心底尊敬している。これは“神の思し召し(おぼしめし)”なんだ」

チャトリCEOの大きな期待「台風の目になる存在」

 ONE Championship会長兼CEOのチャトリ・シットヨートンは5月18日、自身のFacebookアカウントにて、デブラスのONE参戦について以下の様に述べた。

「ブラジリアン柔術のレジェンド、トム・デブラスがONE Championshipに参戦します! ヴァイキング戦士の血が流れる真のチャンピオンは、MMAのヘビー級で戦いますが、ライトヘビー級での出場の可能性もあります。トムは優れた運動能力と極めの強さを持っており、2階級に出場しながらタイトル戦線の“台風の目”になるポテンシャルを秘めています。もちろん、その為には、幾つもの大きな挑戦を乗り越えなければいけません。彼は私にこう言いました。『世界は“トム・デブリス”最強バージョンを目撃することになる』」と。

 さらに、チャトリ代表は「トムはグラップリングの世界王者であり、激しい戦い方をする競技者。その一方で、黄金の心を持つ人々の手本になるような人格者です。きっかけは定かではありませんが、トムと私はFacebookのやり取りを通し、友情を積み上げてきました。人生哲学において賛同することが多く、お互いのことを心の底から尊敬し合う仲です」と、ONEアスリートの“あるべき姿”を体現しているとして、デブラスに大きな期待を寄せた。

ただ戦うだけでなく生き様を見せる

 デブラスは19歳でブラジリアン柔術を始めると、ヘンゾ・グレイシーの黒帯であるヒカルド・アルメイダに師事する様になり、6年半後には自身も黒帯を取得。MMAでは、2010年の半ばから2013年の後半まで通算9勝2敗の戦績(9勝の内、4つのKO勝利、2つの一本勝利を含む)を残している。

 2012年2月に「Ring of Combat」でランディ・スミスをヒールフックで極めてヘビー級王座に就くと、2012年4月からUFCに参戦。シリル・ディアバテと福田力に判定負け後、2013年4月からBellatorでカルロス・ブルックス、ジェイソン・ランバートをいずれもKO・TKOで下している。

 以降は、グラップリングでKASAI等に出場。2019年2月にブルーノ・バストスにポイント負けも、2019年8月にニコラス・ケイジアにヒザ十字で一本勝ちするなど、ノーギ、BJJに専念していた。

 ゴードン・ライアンをして、「初めてトム・デブラスとトレーニングした時、1Rでハーフガードから12回もキムラを極められた」と言わしめるハーフガードの達人だが、MMAではストレートフットロック、ヒザ十字など足関節でのフィニッシュも目立つ。

 デブラスは復帰先をONEに選んだ理由として、「復帰するなら、その場所はONE以外にはない。私はONE Championshipが表現しているものが好きだ。イベントには(トノンのセコンドとして)何度も参加している。サムライ精神やアジアのカルチャーが大好きなんだ。開催地がアジアであっても米国であっても、ONEは総合格闘技という“競技”だけに留まらず、その“カルチャー”を表現している」

 さらに「ONE参戦は、ただ戦うというだけでなく、私の生き様だ。競技の場所という印象だけでONEを見ていない。ここでは、私のテクニックを再び披露するチャンスがあり、楽しみながら自分自身を追い込むことが出来る。私の姿を見て、人々が刺激を感じてくれれば嬉しい」と、ONEでの活動に大きな期待を寄せた。

ヘビー級はヴェラ、ライトヘビー級はンサンが王者だが…

 現在、デブラスのデビュー戦の日時は決定しておらず、階級もヘビー級かライトヘビー級かまだ決まっていない。しかし、この両階級にはヘビー級世界王者ブランドン・ベラや、ライトヘビー級世界王者のアウンラ・ンサンが君臨しており、元UFC&Bellatorのデブラスの挑戦を期待する声が聞こえ始めている。

 ONEでの将来を尋ねられたデブラスは、「先走った考え方はしたくない。ONEで戦っている選手や世界王者に失礼な態度を取りたくないんだ。どの試合でも、人々の心に響くようなものにするのが私のゴール。もちろん、全ての試合において、勝利は求める。神様がどんな道を与えたとしても、自分の運命を受け入れる。世界タイトルか、敗北か、何が起きるか、楽しみだ。ただ、驚くような素晴らしい未来であることは間違いない」と、答えている。

MAGAZINE

ゴング格闘技 NO.331
2024年3月22日発売
UFC参戦に向け、ラスベガス合宿の朝倉海。「プロフェッショナル・ファイターの育て方」でチームを特集。『RIZIN.46』鈴木千裕×金原正徳インタビュー、復活K-1 WGP、PFL特集も
ブラジリアン柔術&総合格闘技専門店 ブルテリアブラジリアン柔術&総合格闘技専門店 ブルテリア