空道
コラム

【1991年5月の格闘技】市原海樹が山田利一郎との頂上対決を制して世代交代、2連覇を達成

2020/05/02 23:05
 1986年10月に創刊され、30年以上の歴史を誇る格闘技雑誌『ゴング格闘技』が、秘蔵写真と共に過去5月にあった歴史的な試合や様々な出来事を振り返る。5回目は1991年5月26日、宮城県スポーツセンターで行われた『北斗旗空手道体力別選手権』より、重量級の決勝戦で行われた世代交代マッチ。 (写真)山田も得意の投げで突破口を開こうとする スーパーセーフという頭部の防具を着用することにより顔面パンチと頭突きを可能とし、さらに投げ、寝技も加えた大道塾の空手は格闘空手(2001年から空道に改名)と呼ばれ、修斗と共に日本における総合格闘技の先駆けとなった。「北斗旗」は北斗七星から名をとって作られた最優秀選手賞獲得者に与えられる旗のことであり、象徴として大会の名称となっている。  その北斗旗誕生から11年目に行われた1991北斗旗空手道体力別選手権。今大会から新たに関節・絞め技が延長戦に限り認められる新ルールが導入された。それまでは打撃と投げまでしか試合では解禁されておらず、寝技は道場内での練習のみだったが、「どんな相手にも対応できる技術を」とする東孝代表師範の理想が現実化、大道塾新時代の夜明けとなった記念すべき大会となった。  注目の重量級決勝戦は、圧倒的なパワーと投げ技で勝ち進んできた市原海樹(総本部)と、投げを連発し準決勝では膝十字固めを見事に極めるなど新ルールを活用してきた山田利一郎(新潟支部)で争われることに。 (写真)勝者・市原を称える山田。両者とも全力を出し切っての世代交代だった 山田は北斗旗全日本体力別重量級1987年準優勝、1988年優勝。全日本無差別1986年準優勝、1987年優勝、1988年優勝の実績を持ち、“新・北斗の覇王”と呼ばれ長田賢一と共に一時代を築いた選手である。約3年ぶりに復活を果たし、変わらぬ強さを見せつけての決勝進出。  迎え撃つ市原はボクシングでインターハイ入賞というテクニックに加え、パワーは大道塾随一。パンチはその破壊力から“ハンマーパンチ”と呼ばれていた。1988年の体力別で山田をあと一歩のところまで追い詰め、1989年の無差別では長田を苦戦させており、1990年の体力別重量級では初優勝を飾った。  新旧王者同士の激突。空手版の世代闘争はお互いの意地が激突した白熱の好勝負となった。試合開始と同時にパンチで切り込む市原。3年前の敗戦の雪辱を晴らそうという意気込みに、山田は終始押され気味に。投げでペースをつかもうとするも、ローからパンチのコンビネーションが冴える市原には通用しない。 (写真)堂々の2連覇を成し遂げた市原 延長戦、山田は関節技を狙うが市原の突進パワーをかわしきれず、判定5-0で敗れた。市原は「俺が後継者だ、という気持ちで戦いました。ナンバーワンは俺です」と、世代交代を宣言した。
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