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キックボクシング
コラム

【1989年5月の格闘技】ニールセンがスーパーヘビー級王座に挑むもローズイヤーに圧倒されKO負け

2020/05/02 03:05
 1986年10月に創刊され、30年以上の歴史を誇る格闘技雑誌『ゴング格闘技』が、秘蔵写真と共に過去5月にあった歴史的な試合や様々な出来事を振り返る。2回目は1989年5月14日、東京・後楽園ホールで行われたWKA世界タイトルマッチ、ドン・中矢・ニールセン(アメリカ)vsケビン・ローズイヤー(同)。  この当時、ニールセンの名前は格闘技とプロレスのファンの間に知れ渡っていた。なぜなら1986年10月に新日本プロレスで行われた異種格闘技戦で前田日明と名勝負を演じていたからである。ニールセンはその後も新日本プロレスに来日し、山田恵一や藤原喜明とも異種格闘技戦を行った。  そのニールセンが1989年1月から全日本キックボクシング連盟に参戦。本来のキックボクシングの試合を行うようになった。初参戦ではビクター・マングース・アグレをKOし、6月23日(その後延期となって9月5日に行われた)には日本武道館で“欧州の帝王”ロブ・カーマン(オランダ)との一騎打ちが決定。外国人ビッグネーム同士の対決とあって、大きな話題を呼んでいた。 ニールセンはカーマン戦の前哨戦として、5月14日の後楽園ホール大会でWKA世界スーパーヘビー級タイトルに挑戦。おそらく、WKA・USクルーザー級王者の肩書を持つニールセンに“世界”の箔を付けたかったのだろう。王者ケビン・ローズイヤーとの対戦となった。  ヒジ打ち、ヒザ蹴り、内股へのローキックは反則となるWKAルール、2分12Rでの試合。足には靴状のパット(テコンドー用)を着用する。現在ではほとんど見られない試合形式だ。  試合は1R開始早々から波乱含みだった。自分よりも約20kgも重い王者に、ニールセンが先制のミドルキックを放ってスタート。だが、ニールセンが自分のペースを保てたのはそこまでだった。次の瞬間、巨漢のケビンが突進するかのような勢いでパンチを叩き込む。ニールセンはその勢いをかわしきれず、吹っ飛んでしまうほど。 (写真)リングサイドには前田日明、高田延彦、山崎一夫のUWF勢が観戦に訪れていた 試合というよりはむしろ、喧嘩的にパンチを振るい続けるケビンの猛攻にニールセンはさっそく捕まってしまった。1分30秒過ぎ、右ストレートを喰ってダウン。  2R以降、ニールセンはヒザ蹴り、内股へのローキックなど反則技を連発するようになる。これに対し、再三抗議する王者。5Rにはコーナーでニールセンがヒザ蹴りを連発してしまい、これにケビンがダウン。1分間のインターバルが与えられるアクシデントもあった。  そして6R、ケビンは怒りの表情でニールセンをロープ際へ追い込んでの連打。ニールセンが背中を向けると左脇に抱え込みながらの右顔面連打を見舞い、レフェリーがダウンを宣告。ケビンはニュートラルコーナーへ移動するも、ニールセンはロープ沿いにもたれるように身体を折り曲げたまま動けず、10カウントを聞いた。6R1分5秒、ビッグマッチを前にしてのニールセンまさかのKO負け。  試合後、「ルールが難しかった。WKAルールであることは十分に分かっていたけれども、どうしても身体が動いてしまって内股を蹴ってしまった。20kg差は思っていた以上にハンディだった。カーマン戦が終わったら、今度はムエタイルールでケビンと再戦したい」とコメントした。  そのカーマン戦では惨敗を喫したニールセンだが、やはり前田戦で得た知名度は絶大で、佐竹雅昭とは2度対戦、藤原組ではウェイン・シャムロックと異種格闘技戦を行うなど日本のリングで活躍。前田率いるリングスにも参戦予定だったが、実現はしなかった。そして2017年8月15日、心臓発作で帰らぬ人となる。58歳だった。  ローズイヤーは日本でモーリス・スミスに敗れ、以後は来日していないが、66勝(66KO)8敗という驚異的な戦績をキックボクシングで残してMMAに転向。1993年11月に第1回大会が初開催された『UFC』に出場して無差別級トーナメントの準決勝(準決勝の相手はジェラルド・ゴルドー)まで勝ち上がり、日本にも久しぶりにその名を轟かせた。『UFC 4』にも出場し、その後もMMAで試合を行ってダン・スバーンとは2度戦って2度とも敗れている。そして2015年4月、心筋梗塞によりニールセンよりも2年早く旅立った。
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