左からRIZINアンバサダーのくるみと朝倉海、榊原信行CEO。(C)RIZIN FF
2020年4月29日19時より、RIZINの公式YouTubeチャンネルにて、『榊原社長に呼び出されました』の第2回が生配信された。
今回、榊原信行CEOに“呼び出された”のは朝倉海(トライフォース赤坂)。同番組を通じてファンは活動自粛を余儀なくされている選手に支援も行うことが出来る。
次戦について語る両者のなかで、RIZINの今後についてのプランも明かされた。榊原CEOは本誌既報通り、今夏のメガイベント前に、7月大阪での大会開催を予定しているものの、「緊急事態宣言」の延長により「難しいけど諦めてはいない」と見通しを語り、ソーシャルディスタンスを守った「100万円チケットで100人限定」の“シークレットRIZIN”構想もあらためて語った。
対談で榊原CEOは、「選手からしても、だんだん糞つまりというか、次の自分の試合がいつなの? と。4月に試合が決まっていた選手は、7月か8月に試合に出られると思うだろうけど、でもその(7月か8月に)予定していた選手もいるので、ダブルで選手たちが(待って)いる。5月に仙台(大会)も考えていたので、25試合分くらいの選手がそのまま今年の夏以降にスライドする」と、大会が開催できないことで選手の試合機会が失われていることを吐露。
海も、「いやー、2月の大会に出ておけばよかった(苦笑)。休んどる場合じゃなかった」と実戦を欲していることを語った。
その上で榊原CEOは、「非常事態宣言が夏まで伸びるとなると、この番組のなかだけで言うけど、7月の頭で大阪でやろうと思って準備をしていたわけ。でもそこもほぼ開催が不可能。だって7月5日だとすると、だいたい2カ月くらい前には発表して選手にも行くよと伝えておかないといけない。直前(オファー)もあるけどね。でも発表できない」と、公式に7月大阪大会のプランを明かした。
海が「ビッグマッチって大阪でやる予定だったんですか?」と聞くと、榊原CEOは、「いやそれ(大阪大会)はレギュラーで、今年は4月に横浜やって5月に仙台、7月に大阪行って、夏に東京に戻ってきて、9月と大晦日にさいたま。それをベースに福岡や名古屋でも会場が空いてきたら考えてもいいと。7、8大会の予定だったのが完全に狂っちゃった。非常事態宣言が伸びると、そのタイミングで大会をやりますとかチケット発売します、とはちょっと言い辛い、難しい」と、厳しい状況を語った。
しかし、7月の大阪については「まだ諦めてはいない」とも言う。
「(7月の大阪大会は)まだ諦めちゃいないけど。そこの準備だけして、世の中のコロナの状況がどうなっていくのか。夏のビッグイベントも準備はしていくけど、世の中が……海外選手が日本に入ってこれないから。日本人選手だけでやっていくのか。(コロナが)収束していく中で、格闘技は世界中からほかのスポーツに先駆けてでいいと思う。サッカーや野球のように、年間のスケジュールでやっていて全チームが同じタイミングでハマっていかないといけないスポーツは大変だと思うけど、その点、格闘技はフレシキブルでやるぞとなったら、1カ月、1カ月半あれば、ファンも集まってくれるし選手たちも準備が間に合う」と、今後の新型コロナウイルス感染の状況次第とした。
「緊急事態宣言」について政府は、5月6日までの対象地域は全国としたままで「1カ月程度延長する」方針を固め「再延長もありうる」としている。
そんななか、榊原CEOは、前回の同番組で「限られた人しか観られないイベントを考えている。クラウドファンディングで100人から100万円ずつで1億円集め、ソーシャルディスタンスを守って、来る人もスタッフもコロナに感染していないことを検査する“無感染者試合”なら、世の中的にも悪く言われないんじゃないか。試合映像は、数日遅れて一般の人も観てもらえる環境を作る」と“シークレットRIZIN”構想を発表している。
この“無感染者大会”について、海から「観客が少なければ出来る?」と問われた榊原CEOは、「Bellatorも新しいチャレンジをすると聞いている。RIZINの無観客試合も夏前にはチャレンジしたい。感染症の先生の監修のもと、来るときも車で来てもらい、ソーシャルディスタンスを守って、1メートルから2メートル空けて、100人の観客だけに見てもらう。こういう形だったら格闘技が出来るというチャレンジでやってみたら面白いんじゃないかと思う」と具体的なプランを明かした。
また榊原CEOは、「無観客でのスタジオマッチとか……野外とかでもやりたいですね」と発言。MMAではBodogをはじめ、主に南国での大会で屋外試合が行れているが、「天候にも左右されますね」と不安そうな海に対し、「風が吹いたり、雨が降ったりするのも含めて……ほかのスポーツはそうじゃないですか。それが何か試合に影響を及ぼすとか、野球とかも屋外で、自然の力に左右されるのも実は面白かったりする。甲子園でも浜風でホームランになったりならなかったり、宮本武蔵が小次郎と戦うときに遅れてきたり、太陽の角度が影響したり……これまでと違ったことをイメージして戦う姿も新しくて面白い」と榊原CEOは語った。海外ではUFCが5月9日から23日までフロリダで4大会を無観客で開催。ダナ・ホワイトUFC代表は、6月からファイトアイランドのビーチにオクタゴンを設置して大会を行うことをメディアに語っている。
「みんなの背中を押す力が最高の結果を引き出すと思う。だから無観客って辛いよね」と言う榊原CEOに、海も「無観客ってKOしてもシーンとなるじゃなですか、辛いですよね」と同意。
榊原CEOの「観客の中からひょっとしたら友達の声が聞こえてきたり。リングとケージでは聞こえ方も違う。ケージだとお客さんの声がそこまで聞こえない。そこの(観客との)エネルギーの交換は絶対にリングの方があるよ」と、ケージではなくリングにこだわり理由を語った。
ファンの歓声については海は、「聞こえてくるんですよ、僕。友達の声とか、誰々の声とかも分かります。無観客だとアグレッシブにならないかもしれないですね。僕も常に声とか聞いていて、盛り上がってないなと思うと、盛り上げたくなっちゃうんです。それがちょっと悪い癖でもあるんですけど(苦笑)。無観客はあんまりよくないです」と、観客がいることで試合に影響があるとした。
「アガらないでしょう。ただ、こんなタイミングじゃないとチャレンジ出来ない。チャレンジしないと」と、無観客あるいは限られた人数での無感染試合への意欲を示す榊原CEOに、海は「試合が出来ないよりはいいです。それ(100人限定)でも見たいという人はいると思う」と、あらためて試合を欲している気持ちを語った。
RIZINの再開、そして朝倉海の復帰戦はどんな形になるのか。動向が注目される。