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インタビュー

【RIZIN】朝倉未来が社会経済学者と語る「必死の生」。未来が選んだ3冊とは?

2020/03/26 15:03
 RIZINで7連勝中の朝倉未来が3月中旬、社会経済学者にして武道家の松原隆一郎教授が建てた「阿佐ヶ谷書庫」にて『ゴング格闘技』本誌の対談を行った。  建築家の堀部安嗣氏が設計した狭小住宅プロジェクトとなる同書庫には、8坪の小さな空間に1万冊の本と松原教授の祖父母を祀る仏壇が納められている。  対談は、未来が名古屋で型枠大工の仕事をしていたときのこと、そして書棚の本について両者が語るところから始まった。  未来は初の著書『強者の流儀』を2月末に上梓したばかり。松原教授は未来に自身の著作『頼介伝』を手渡した。企業家・頼介氏は教授の祖父。この書庫の要となる仏壇の主でもある。  次第に対談は、未来の戦いに影響を及ぼしている死生観について語られた。  ファイターとなる以前、「世の中のすべてを疑っていた」未来は、「多くの人が賛同する意見でも、自分で確かめない限りは信用しなかった」という。周囲との反発のなかで、「死と隣り合わせというか、死に直面したことが何度かあるので、死ぬことに対して普通の人よりはリアルに考えたことが多いかもしれない」と語っている。  その上で、“死とはご褒美”と著作に記したのはどんな意味なのか。  未来のファイトスタイルとそれを可能とするメンタル・能力については、本誌の対談のなかで語られている。  また、著作のなかで「本気でタイムマシンを作るために図書館で相対性理論について勉強した」ことも明かしている未来は、少年院時代にもたくさんの本を読み、多くの思考を重ねてきたという。  そんな未来が最近の読書で気になったのはどんな本なのか。対談後に聞いてみた。  未来が最初に挙げたのは、『百年法』(山田宗樹)。主な内容は、「不老不死が実現した日本。しかし、法律により百年後に死ななければならない――西暦2048年。百年の生と引き替えに、不老処置を受けた人々の百年目の死の強制が目前に迫っていた。その時、人々の選択は!?」というもの。 『百年法』のなかでは、死の期限が百年と決まっても、今度は生への執着が人間を狂わせていく。人や組織、社会が変化することで進歩へと繋がっていくこと、人間が死という期限を持って生きる意味・いつ死ぬか分からないことの意義を問う同書を、未来が「興味深い」と感じたのは、その死生観を聞けば納得のいくところだ。  そして、未来が2番目に挙げたのは、『人を動かす』(デール・カーネギー)。内容は「人が生きていく上で身につけるべき人間関係の原則を、長年にわたり丹念に集めた実話と実践で磨き上げた事例を交え、説得力豊かに説き起こす」というもの。  同書のタイトルから「人を動かす」ためのハウツー本と思われがちだが、実際には、人の心を突き動かすための行動と自己変革を促す書となっている。カーネギーの「人は誰でも、他人よりも何らかの点で優れていると考えていることを忘れてはならない」「非難は愚者でもできる。理解は賢者しかできない」といった言葉は、未来の「対戦相手を過少評価せず過大評価する」という考えに繋がっているのかもしれない。  また、カーネギーの「誰かに自分が望むことをさせるには、“状況を一度自分以外の視点に立って観察”し、“他人の中に強い欲望を喚起させる”ことで可能になる」という言葉は、未来が常日頃から大切にしている「客観視」や、カウンターを当てる際の戦い方に近い。  最後に未来が挙げた本は『ユダヤ人大富豪の教え』(本田健)。著者が学生時代、米国で出会ったという大金持ちの老人、ゲラー氏の教えを対話形式で綴ったもの。同書では、幸せなお金持ちになる3つの条件として、1つ目は「必ず幸せなお金持ちになること」。2つめは「自分の人生に100%責任をもつこと」。3つ目は、「成功したら他の人を助けること」を挙げている。  未来はいま、格闘技やYouTubeで得たお金で「いかに幸福度を上げるか」「責任を伴う自由を得るか」「格闘技における後進の育成」などのテーマに取り組んでいる。いまの朝倉未来の行動規範に近いようにも感じる『ユダヤ人大富豪の教え』では、「人生とは、いま現在、この瞬間において目の前で起きていること」とも書かれている。常に死を想う未来にとっての“未来”は、今を生きることなのかもしれない。  そんな未来のこれまで語られなかったライフストーリー、戦いの哲学が明かされる「朝倉未来×松原隆一郎」対談は発売中の『ゴング格闘技』5月号(NO.307)にて掲載されている。 【関連記事】青木真也と那須川天心がスパーリング対談で「思考の格闘技」を語る朝倉海のトレーニングにぱんちゃん璃奈が挑戦、見事完遂
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