お互いに得意なヒザ蹴りの攻防から福田(右)がヒジをさく裂させた
「True4U スックムエマンワンスック」
2020年2月28日(金・現地時間)タイ・ルンピニースタジアム
▼メインイベント(第4試合) 120ポンド契約 3分5R
◯カイト・ウォーワンチャイ(福田海斗/キンク・ムエ/True4Uバンタム級王者、元タイ国プロムエタイ協会フライ級王者、元WPMF世界フライ級王者)
TKO 4R
×ワッタナー・MTMアカデミー (タイ)
タイを主戦場に活躍を続ける福田海斗(タイでのリングネームはカイト・ウォーワンチャイ)はここまで3連敗中(12月2日ノンユット戦、12月25日チャンユット戦、1月15日ノンユット戦)。ノンユット(ラジャダムナンスタジアム認定バンタム級2位)もチャンユット(同3位)も現役ランカーであり強豪相手とはいえ、4連敗は避けたいところ。
しかしながら今回の対戦相手ワッタナーも過去に福田が敗れたケンペットやドードーに勝利しており、『スックムエマンワンスック』興行の常連選手。ライトフライ級時代にはエークモンコンやトンノイといったランカーにも勝利している。まだ20歳ながら長くトップ戦線で活躍しており経験豊富な選手だ。
福田もワッタナーもヒザを得意としており、激しく組み合う好試合が期待されていた。
試合は序盤、ゆっくりとしたリズムのワッタナーに比べ、福田はいつもより早く仕掛ける。ジャブからインローを素早く繋ぐがワッタナーはオーソドックスからサウスポーにスイッチし、狙い澄ました左ミドル。福田はそれに構わずフック・ローとコンビネーション。
2Rから福田は早くも首相撲勝負を仕掛ける。ゆっくり前進しワッタナーの左ミドルをカットすると深くロックしヒザ。ワッタナーも応戦するが福田の組みが強く、ワッタナーのアゴが上がるシーンが多くなる。2R終了時で賭け率2-1と福田がリード。
3Rも構わず組みにいく福田。ワッタナーは再度サウスポーに構えをチェンジし左ミドルを合わすが福田にことごとくカットされ、組んでも体勢を作れず苦しい展開。逆に福田はヒザのリズムを早めタイミングを読んでコカし技でワッタナーを転倒させる。3Rを終わって賭け率7-4と福田がリードを守った。
4R、後がないワッタナーが首相撲からのヒザで猛攻を仕掛ける。福田より早く組みに来てなりふり構わず押し込んでヒザ。福田は冷静にカウンターのヒジ。しかしワッタナーの出足が速くクリーンヒットせずにワッタナーに良い体勢を与えてしまう。それでも福田はコカし技でワッタナーを転倒させ、優位を印象付ける。
そして首相撲の体勢からワッタナーが左ヒザを蹴る隙を狙って、カウンターの左縦ヒジ一閃! 一瞬間を置いて崩れ落ちるワッタナー。しかしすぐ立ち上がったためレフェリーはダウンを宣告せず続行。それでもワッタナーの視線は定まっておらず、福田は素早くワンツーをクリーンヒットさせるとバッタリ倒れ、今度はレフェリーがカウントせず試合を止め、福田のTKO勝利となった。
金曜日平日興行のメインイベントをKO勝利で飾った福田。連敗を3で止め、ホッと胸を撫で下ろしたことだろう。冷静に相手の動きを読み勝負所でキッチリ決めたこの試合、関係者の間でも評価は高く、“サムライ ホート”(冷酷なサムライ)というニックネームがつけられるほどだ。
次回は3月26日(木・現地時間)のラジャダムナンスタジアム興行『スックワンギントーン』に出場予定とのことで、現役ランカーとの対戦が予定されているという。現在はラジャダムナンスタジアムバンタム級のランク外となっている福田だが、当然この勝利で再浮上することだろう。そして次戦もクリアすればまたビックチャンスも巡ってくるかもしれない。まだまだ福田の活躍から目が離せなさそうだ。
写真・記事提供=muayThai Super Fight