2019年12月24日(火)都内の所属ジムでKNOCK OUTスーパーバンタム級王者・江幡塁(伊原道場本部/新日本キックボクシング協会)が公開練習を行った。
12月31日(火)さいたまスーパーアリーナ『RIZIN.20』のセミファイナルでRISE世界フェザー級王者・那須川天心(TARGET/Cygames)とRIZINキックボクシング特別ルール3分3R延長1R(56.0kg)で対戦する江幡は、師匠の伊原信一・新日本キック代表の持つミットをめがけて、力強いミドル、ロー、そして強敵を仕留めてきた得意の右ストレートを打ち込み、好調ぶりをアピールした。
RIZINでの那須川戦が決まり、江幡のもとには大きな反響が寄せられたという。
「以前から『対戦してほしい』『(天心戦を)楽しみにしてるよ』という声があったんですけど、実際に決まってからは『勝ってほしい』『キックボクシング伝統のスタイルを証明してほしい』という声をたくさん聞きますね」
RIZIN出場については「予感」があったという。
「さいたまスーパーアリーナに井上尚弥君の試合を見に行ってて『次が年末のRIZIN』と聞いた時、なんとなく出るような気持ちがして(笑)。不思議なんですけど『ここでやるんだろうな』とイメージを描いていたので。(オファーが来て)ここか、と(笑)」
同階級の「神童」を意識したのは、意外にもここ数年だという。
「僕は遅くて、彼がKNOCK OUTに出てからですね。僕もキックボクサーとしてKNOCK OUTの舞台は意識していて、そこで彼の試合を見て『従来のキックボクシングのスタイルとは違うな、戦ってみたらどうなるんだろうな?』と思っていました」
那須川については「器用な選手」という印象。
「キックボクシングの中に空手が混ざっていたり、ボクシングが上手だったりするファイター。対戦するのが楽しみです」
那須川のスピーディー、かつトリッキーなスタイルについては「噛み合う」と断言した。
「僕は噛み合うと思ってます。これまでは『どんな戦いになるのかな?』と考えてて、彼もまだ若いので成長段階を見ながらだったんですけど、実際に試合が決まって、戦う戦略を考えた時に『やりやすいだろうな』と思ってます」
那須川は胴廻し回転蹴りやバックキック、飛び膝蹴りなど、大技一撃で劇的なKOをしてきたが「対応できます」ときっぱり。
「基礎ができていれば、大技の攻略は可能なので。珍しい技でも基本的な軸は全然変わらないので、僕ら基礎をしっかりとやってきた選手の強みはどんな大技にも対応できることなので。それを見て貰えばいいかな、と」
前日の公開練習で、那須川が「大みそかなので、多少リスクを負っても倒しに行く」と宣言したことを聞かされると「それなら、僕が有利になりますね」と江幡。
「僕も、ようやく大みそかにキックボクシングが見せられる、と思っているので最高の戦い方をしようと思ってます。(那須川が)KOを狙ってくるなら、KO決着になると思いますし、言い方はおかしいかもしれないですけど、僕にとって有利になると思います。大みそかの大舞台で彼はポイントを取って逃げるやり方はしないと思います。彼もまだ若いですし。そういう前に来る姿勢、勝ってやろうという姿勢は、僕にとっていい試合をする条件の1つでもあるので、そういうことを含めて楽しみです」 これまで江幡は「絶対に負けられない戦い」の連続だった。名門・伊原道場や老舗団体・新日本キックの看板、自身が保持するWKBA世界ベルト&KNOCK OUT 56.5kg王座を背負い、勝つことで自身の強さを証明し、団体やベルトの価値を守ってきた。
だが、今回は違う。
「もちろん、協会の看板やベルト、いろんな人の思いを背負っていますけど、大みそか、人の心を動かすっていうのは、自分自身の心で戦うことが多くの人の心を動かすんじゃないか、と思って。今後、僕がやっていきたいのは『たくさんの人の心を動かすこと』なので。今回は自分の心で戦いに行きたいと思ってます」
幼なじみの俳優、三浦春馬も忙しいスケジュールを縫って駆けつける予定だという。
「(那須川戦が決まって)喜んでくれてますね。『ようやく塁のキックボクシングがたくさんの人の目にとまるかと思うと興奮する』と、僕より相手の映像を見て研究してくれてて(笑)。春馬とは中学の頃から一緒に夢を語り合って、お互いに、アイツがチャンスを掴んだ時は僕も応援に駆けつけますし、僕が大舞台に出る時はアイツも応援に来てくれますし、兄の睦(むつき)と3人で頑張ってきたので。春馬も忙しいので、当日、間に合うかどうかも分からないんですけど、僕の希望としては3人で入場したり、一緒に大舞台に立てたら、と思ってます」 ちなみに、公開練習を終えた伊原代表を直撃するとひと言。
「選手が輝くことが一番。いい試合をやってくれると思う。自信? それはありますよ。天心は、実際に向かい合った時に塁の圧とパワーに驚くんじゃないかな」