モフサルのレスリングは素晴らしい。でも俺を倒すには足りない
──モフサルのレスリングをどう評価していますか? あなたはマハチェフとの初戦で素晴らしいテイクダウンディフェンスを見せましたが、モフサルはさらに積極的に、激しくレスリングを仕掛けてくると予想していますか?
「彼のレスリングは素晴らしいよ。UFCでも屈指のレスラーだし、俺たちの階級では間違いなく一番だ。でも、それでも俺を倒すには足りない。正直、打撃なしで、レスリングとグラップリングだけを5ラウンドやったとしても、俺が勝つと思ってる。本気でそう思うんだ。彼のレスリングは優れている。でも、MMAとして戦うとなれば、それだけでは足りない。それは試合で見せることになるよ。ただ、彼のことはすごく尊敬している。素晴らしいファイターだし、素晴らしいレスラーだ。
でも、俺にとっては、そうした攻めは問題にならない。たとえ不利なポジションに持ち込まれても、パニックにはならない。俺が立ち上がってくることは、みんな分かっているだろ。それに、彼がそういうポジションから俺にダメージを与えるのは無理だと思う。攻撃しようとした瞬間に、俺を逃がしてしまうからね。押さえ込もうとするだろうけど、それでも十分じゃない。繰り返すけど、彼を軽く見ているわけじゃない。すごく尊敬している。ただ、今回彼の前に立つのは俺なんだ。そして俺は、今話したような戦いをするつもりだ」
──ファイトIQについて話していましたが、それは自分の強みとして誇りを持っている部分ですか? 自分や対戦相手の試合を分析することも好きなのでしょうか? 長年の経験を積んできた中で、挑戦することが好きだとも話していました。そのあたりを、もう少し詳しく教えてください。
「ファイトIQは大いに役立っているよ。それに、自分に挑戦することが好きなんだ。毎日、ジムでもそうしている。本当は、今やっているほど厳しい練習をする必要はないのかもしれない。特にこの年齢ならね。でも、チームが認めてくれる範囲で、ちょうどいいバランスを見つけている。俺だけで決めていたら、きっと自分を潰すほど追い込んでしまうから。それくらい、自分に挑戦するのが好きなんだ。キャリアを通じて、いや、人生を通じて、ずっとそうしてきた。だからこそ、逆境にも対処できる。ケージの中で苦しい状況になっても、笑顔でいられるんだ。難しい課題にも笑顔で向き合える。
いや、いつも笑っているわけじゃないかもしれない。でも、その挑戦を受け入れる。疲労も痛みも受け入れて、そこを乗り越える方法を見つけるんだ。ずっと笑顔でいられるとは限らないけど、必ず乗り越えるよ」
一つひとつの動きを細かく分解して考える。俺が特に力を入れている部分だ
──あなたは多くの若いファイターに刺激を与える存在です。試合に向かうときや、結果にかかわらず試合を終えた後に、自分の技術や気持ちを整理し、集中するための方法はありますか? 練習の進め方も含めて、そうした部分には特に意識を向けていますか? あるいは、プレッシャーを感じることもあるのでしょうか?
「準備がすべてだよ。ゲームプランも含めて、練習には正しいやり方で取り組まなければいけない。相手が何を仕掛けてくるのか、どんな展開に持ち込みたいのかを理解してくれる、いいチームが必要なんだ。そこから細かく調整していく。そのポジションで俺が何をするのが得意なのか、何ができそうなのかを見て方法を探っていく。そして、相手にどんな選択肢があるのかも把握する。まだ試合で見せていない動きも含めてね。『俺がこうすれば、相手はこうしたくなるだろう』というところまで、深く掘り下げられるんだ。
普段から、相手がどの選択肢を取っても対応できるように準備している。一つの技を練習するときでも、そこにはいろいろな選択肢があるし、そこから派生する展開もたくさんある。そのすべてに備えるんだ。そういうところまで、深く突き詰めている。誰かに技を教わるときも、俺はただその技をやるだけじゃない。なぜその技が効くのか、それを止めるには何ができるのか、そこから何を付け加えられるのかまで、きちんと理解するようにしている。
どんな技にも、優れた工夫や重要な細部がたくさんある。俺はそこにかなり意識を向けているんだ。一つひとつを細かく分解して考える。それが、俺が特に力を入れている部分だよ」
──あなたはUFCフェザー級の最多防衛記録でジョゼ・アルドと並んでいます。その記録を更新することは、どれほど重要ですか? それとも、ただの数字なのでしょうか?
「さっきも言ったけど、本当にそこにはこだわっていないんだ。もちろん嬉しくはあるよ。気にしていないと言っても、すごいことだとは思う。でも、それが俺を突き動かしているわけじゃない。『タイトルマッチでの勝利数を一番多くしたい!』ということが、やる気の源ではないんだ。目の前の挑戦を乗り越えることの方が、ずっと大きな力になる。それが俺を笑顔にしてくれるんだよ。
ベルトを取り戻したときに、はっきり分かった。俺がそれ以上に大切にしていたのは、逆境を乗り越えることと、そこに至るまでの物語だったんだ。みんなに語ってほしいのも、覚えていてほしいのも、そこなんだよ。ベルトを取り戻すこと自体や、防衛回数にそこまでこだわっているわけじゃない。もちろん、みんなが数字を挙げてくれるのは嬉しい。でも、それ以上に大事なのは、その道のりと、どんな挑戦を乗り越えてきたかなんだ」
──ジョージアを訪れて、メラブ・ドバリシビリ(バンタム級1位)と、あなたのYouTubeの料理企画「Cooking with Volk」を撮影するのは、いつ頃になりそうですか?
「ぜひやりたいね。これから世界中を旅するつもりだよ。UFCのほぼすべてのファイターと一緒にいる俺を見られるんじゃないかな。それぞれの国を訪ねて、『Cooking with Volk』をやるんだ。でも、それはもう少し先だね。今はまだファイターだし、競技に専念している。そこに集中しているんだ。すべてをやり終えたら、世界中を旅して、みんなと料理をしよう」
──今は人生で最高のコンディションで、とても集中できていると話しています。一方で、ご自身の動画では、眠そうにしたり、眼鏡をかけたりして、歳を取った姿を演じていますよね。年齢をめぐる議論に、自分から拍車をかけている面もあるのではないでしょうか?
「その通りだよ。それも、この物語を面白くしてくれるだろ? みんなが『もう歳だ』と言うのを、俺は楽しんでいるんだ。『もう歳を取りすぎている』『さすがに衰えているはずだ』と思っていてほしい。そこで俺が乗り越えてみせれば、『どうしてまだこんなことができるんだ? すごいな』となる。そういう物語なんだよ。だから、そういう見方には、とことん乗っかるよ。
でも、いいのは、そこまで自分から仕掛ける必要もないことなんだ。君は俺がそういうイメージを自分で作っていると言ったけど、今はもう、そうしなくてもいい。俺は昔から、下馬評を覆す物語が好きだった。いつも挑戦者の気持ちを持って、自分をそういう立場に置こうとしてきたんだ。でも今は、その必要もない。ここ数試合前からそうだけど、これからはオクタゴンに入るたびに、みんなが俺を疑うだろう。それでいいんだ。わざわざ、俺を疑うように仕向けなくてもいい。普段なら自分でやろうとしていることだから、むしろありがたいよ。自分を疑ってもらおうとするのは、単に相手が間違っていたと証明したいからじゃない。勝利を、さらに大きなものにしたいからなんだ」
──今回は素晴らしいキャンプを過ごせたとのことですが、あなたを支えるチームについて教えてください。優れたメンバーが揃っていると思います。コーチ陣はどのような顔ぶれなのでしょうか?
「本当に素晴らしいチームなんだ。選手で言えば、今回はありがたいことに、コルビー・シックネスも同じイベントで戦う。これは俺たち2人にとって、ちょっとした夢だったんだ。それを海外の、ここアブダビで実現できるなんて最高だよ。普段から一年を通して一緒に練習している、中心となる練習仲間たちがいる。そこにレスリングコーチのフランク・ヒックマンが加わってくれるし、ヘッドコーチのジョー・ロペスもいる。理学療法士も、ストレングス&コンディショニングのコーチもいて、チーム全体で支えてくれるんだ。
みんな、外から見ていて、ときどき自分の役割だけを果たすような関わり方じゃない。一人ひとりが、本気で取り組んでくれている。俺が加わっていないところでも話し合って、どうすればもっと良くなるかを常に考えてくれる。すべてが正しい方向に進んで、俺たちが最高の力を発揮できるようにね。こんなチームに囲まれていることに、本当に感謝しているよ。カメラマンからマネジャーまで、全員だ。誰もが100%の力を注いでくれるから、俺はすごくやりやすい。本当にありがたいことだよ。俺やコルビーのような選手が、その感謝を伝える一番の方法は、試合に出て勝つことだ。俺たちは、そのつもりでいるよ」
──料理でも細部までこだわっていますね。料理の腕前も素晴らしいと思います。
「ありがとう。この間の夜は、バーガーだったんだ。ラクダ肉のバーガーだよ。その回も楽しみにしていてくれ。なかなか面白かったよ」
──もちろん、今回の相手であるモフサルを軽く見ているわけではないと思いますが、今のランキングには多くの有力選手がいます。その中で、対戦を考えると特に楽しみになるのは誰ですか?
「挑戦に手が届くところにいる選手が何人かいるよね。ジェアン・シウヴァ(フェザー級5位)や、アルジャメイン・スターリング(フェザー級4位)もいる。スターリングはケヴィン・ヴァシェホス(フェザー級9位)と戦う予定だろ(※11月21日のUFN)。そこで大きな勝利を挙げれば、ということだね。すぐ近くに、面白いファイターが何人もいるんだ。俺はそういう状況が好きなんだよ。同じ階級の挑戦者候補たちが試合をして、挑戦権を争える位置まで上がってくる。それが好きなんだ。これまでも言ってきたし、これからも変わらない。挑戦にふさわしくて、次は君だということなら、やろう。それだけの話だ。自分こそが挑戦者だと証明して、ナンバーワンの挑戦者になってくれ。そうすれば、俺から君の名前を挙げるよ。君の方から俺に対戦を要求する必要はない。それくらいシンプルなことなんだ」
──今、SNSでは「ヴォルク兄弟」という投稿を見かけます。あなたと、あなたの「兄弟」であるアレクサンドル・ヴォルコフ(ヘビー級2位)のことです。2人とも面白い動画を作っていますし、ファンは共演を待っています。いつ頃、2人の動画が見られそうですか?
「絶対にやるよ。今回の滞在中に撮ってもいいね。2人とも試合があるけど、ぜひやりたい。面白いのは、彼か俺のどちらかが試合をするたびに、2人ともタグ付けされることなんだ。みんな間違えるんだよ。UFCの人にまで間違えられたことがある。それに彼はいいやつなんだ。勝ってくれるといいな。そうしたら、『Cooking with Volk』か、面白いコント動画でも一緒に撮って、お祝いできるかもしれない。いいね」
──タイの格闘技ジム、タイガームエタイ時代からの仲間であるピョートル・ヤン(バンタム級王者)は、今回、息子をセコンドの一人にすると話していました。あなたには3人の娘さんがいますが、「パパのセコンドに入りたい」と言われたことはありますか? また、自分の子どもをセコンドに入れたり、試合に立ち会わせたりすることを、どう考えていますか?
「いや、考えたことはなかったね。娘たちからそう言ってくるとも思わないし、本当にやりたがるかどうかも分からない。正直、あの場は娘たちには刺激が強すぎるかもしれない。いや、でも長女のアリアナなら、やりたいと言うかもしれないな。注目されるのが好きだからね。俺の場合は、あまりうまくいかないと思う。でも、子どもが興味を持っていて、親もそうしたいなら、俺は大賛成だよ。ヤンの息子は、きっと今も練習しているか、これから始めるんだろう。そんな子があの場を経験できるのは、すごくいいことだと思う。普段とは違う経験は、誰にとってもいいものだ。慣れない環境に身を置く機会があれば、そこに飛び込んで、その中でも落ち着いていられるようにする。そういう経験は、自分を強くしてくれる。だから、息子をそばに置いて、自分にもプレッシャーをかけようとする彼の姿勢は立派だと思う。本人にもプレッシャーはかかるからね。でも、そういうことに取り組むことで、彼はさらに強くなると思うし、息子にとっても、あの場を経験できるのは素晴らしいことだと思うよ」
──モフサルは、今回初めて父親が試合を見に来ると話していました。あなたも、ご家族や親戚が応援に来るのでしょうか?
「そうだね。妻と父、それに伯父やいとこたちも来る。何人か来てくれるんだ。これまでも何度か俺の試合を見に来てくれているよ。モフサルにとって、今回はほとんど地元のようなものだろうし、彼のためにも良かったと思う。これまで海外で戦ったときには、あまり歓迎されないことも多かったからね。ブーイングを浴びたり、記者会見でもそういうことがあった。だから今回は、地元のような声援を受けられるのは良いと思うんだ。彼は悪いやつじゃない。ブーイングされるような人間じゃないからね。とはいえ、俺は勝たなければいけないし、必ず勝つ。彼のお祝いムードには、水を差すことになるよ。でも、そこまでは彼にとっていい経験になりそうで嬉しいよ」






