修斗修斗
MMA
インタビュー

【UFC】フェザー級王者ヴォルカノフスキー、無敗イヴロイエフ戦に向け「スタイル的に俺にはすごくいい組み合わせ」「『38歳で、どうしてこんなことができるんだ?』って試合になる」=10月24日(土)23時『UFC 333』

2026/10/22 10:10
 2026年10月24日(日本時間24日23時から)アラブ首長国連邦・アブダビのエティハド・アリーナにて『UFC 333: Volkanovski vs. Evloev』(U-NEXT配信/ UFC Fight Pass)が開催される。  メインイベントは「UFC世界フェザー級タイトルマッチ」(5分5R)で、38歳の王者アレクサンダー・ヴォルカノフスキー(豪州)に、MMA20勝0敗・UFC10連勝中の32歳モフサル・イヴロイエフ(ロシア)が挑戦。  コメインは「UFC世界バンタム級級タイトルマッチ」(5分R)で、王者ピョートル・ヤン(ロシア)に前王者メラブ・ドバリシビリ(ジョージア)が挑戦する。  また、注目のフライ級では、6位のロニー・カヴァナ(英国)と、10位(Meta7位)のラマザン・テミロフ(ウズベキスタン)が対戦する。 ▼UFC世界フェザー級選手権試合 5分5Rアレクサンダー・ヴォルカノフスキー(豪州)28勝4敗(UFC 15勝3敗)モフサル・イヴロイエフ(ロシア)20勝0敗(UFC 10勝0敗)※UFC10連勝中  ヴォルカノフスキーは、UFC15勝3敗。オクタゴンでの3つの黒星は、23年2月と10月のライト級でのイスラム・マハチェフ戦、24年2月のフェザー級でのイリア・トプリア戦。  そのトプリアのライト級転向に伴い、25年4月にディエゴ・ロペスとのフェザー級王座決定戦で判定勝ちで再戴冠。26年1月にロペスと再戦し、判定勝ちで防衛に成功している。9月29日に38歳になった。  イヴロイエフは、MMA20勝無敗でUFC10連勝中。20勝の内訳は3つのKO・TKOと4つの一本勝ち、13の判定勝ちで、UFCの10勝はすべて判定勝ち。   26年3月の前戦は、ストライカーのレローン・マーフィーとのアウェーの5R戦で、ローブローの減点1がありながらも組みに上下の打撃を織り交ぜて判定2-0で勝利。これまでニック・レンツのギロチン、ロペスに右を浴びてキムラからのヒザ十字などに苦戦したものの、いずれも冷静に対処し、終盤でも落ちないスタミナで上回るなど、相手にフィニッシュさせない上手さと強さがある。32歳。  身長170cm、リーチが184cmのイヴロイエフは、ヴォルカノフスキーの身長168cm、リーチ182cmを上回る。被弾が少なくオーソからの左の打撃は蹴りもあるが、スイッチを使うヴォルカノフスキーの卓越した距離の支配力をいかに崩して組むか。15分の平均テイクダウンは4.78回とヴォルカノフスキーの1.63回を上回り、4つの一本勝ちはいずれもリアネイキドチョークでバックからのもの。しかし、ヴォルカノフスキーのテイクダウンディフェンスは69%と高く、テイクダウンの精度でもイヴロイエフを上回る。  アブダビというイヴロイエフにとって地の利がある環境で、ATTのバックアップも受けるイヴロイエフエフは、ようやくつかんだチャンスをモノにできるか。対するヴォルカノフスキーは、35歳以上でフェザー級以下の階級でタイトルマッチに勝利した初のUFCファイター。今回のイヴロイエフ戦を「相性がいい」と言い、「たとえテイクダウンされても立ち上がるだけ」と自信を見せる。38歳、33戦目の経験豊富な王者としてこれまでの定説を覆す動きを見せるか。   メインイベントに向けた、メディアデーでのインタビューを紹介する。 ゲイジーとは「『これをお互い最後の試合にしよう。王者同士のスーパーファイトだ』という形なら俺も引退を決めるかもしれない ──今回も、若くてハングリーな挑戦者(モフサル・イヴロイエフ=32歳)を迎えての防衛戦です。試合を前に、どんな気持ちですか? 「いい感じだよ。リラックスしてる。もちろん、また戦えることにワクワクしてるよ。新しい挑戦だし、しばらく前から俺が望んでいた挑戦でもある。彼はタイトルマッチにふさわしいと、これまで何度も言ってきた。そして今、こうしてアブダビにいる。また戦えることが嬉しいよ」 ──今回の試合では、モフサル・イヴロイエフ(フェザー級1位)の実力は認められている一方で、「ヴォルカノフスキーは年齢(38歳)によって衰えているのか」という点に注目が集まっているように感じます。そのために、イヴロイエフの技術が十分に評価されていないと思いますか? 「そういう見方にも一理あると思う。でも、みんながそう言う理由も分かるんだ。俺がイスラム・マハチェフ(ウェルター級王者)に負けた試合も見ているし(※マハチェフ戦=2023年2月『UFC 284』でヴォルカノフスキーが判定負け、同年10月『UFC 294』で1R 3分06秒 KO負け)、一方でレスリングへの対応力やスタイルの相性を考えれば、俺が有利だと思うのも分かる。ただ、俺が試合をするたびに、みんな気になるだろうね。『衰えているんじゃないか』『今回はどんな姿を見せるんだろう』って。それは当然だし、そう考えるのも自由だ。  でも、何カ月も前から言っている通り、試合後には『ヴォルカノフスキーのキャリアでも屈指のパフォーマンスだった』という見出しが出ると思ってる。『38歳で、どうしてこんなことができるんだ?』ってね。俺はそういう試合をするつもりだ。モフサルを軽く見ているわけじゃない。スタイルの相性と、今の俺の状態を考えれば、そう思うんだよ。コンディションは抜群だし、戦う準備はできている。ただ勝つだけじゃなく、すごい勝ち方をするつもりだ」 ──アスリートはキャリアを重ねると、身体能力が落ちる一方で、経験や競技への理解が深まり、その間でバランスを取る時期が来ると思います。今のあなたは、どの段階にいると感じますか? 以前から優れたファイトIQを持っていますが、経験が身体能力を補うようになっているのでしょうか。それとも、今も高い身体能力を保つ規格外の存在なのでしょうか? 「分からないな。自分では何の問題も感じていないからね。だったら、規格外ってことになるのかな。でも、現実的に言えば、適切なやり方で練習することが大事なんだ。昔とまったく同じ練習ができるか? 一番変わったのはそこかもしれない。でも、それ以外は問題ない。今も瞬発力はあるし、ミット打ちを見ても動きはシャープだろ? スパーリングでも、いつも通り自分の動きができている。   ありがたいことに、周りには素晴らしいチームがいる。栄養面もリカバリーもきちんと管理して、練習の負荷が大きくなりすぎないようにしてくれる。練習の強度は必要だ。そこは5年前と同じでなければいけない。でも、練習量まで同じにする必要はないかもしれない。やるべきことをきちんとやれば、俺の身体能力なら問題なくこなせる。今回も素晴らしい動きを見せられると思ってるよ。本当に、20戦20勝の無敗の相手に、これまでで最高の部類に入るパフォーマンスを見せられると思ってる。それを見てもらえば、答えは出るだろう」 ──先週は、ジャスティン・ゲイジー(ライト級王者)とのスーパーファイトについての発言も話題になりました。まずは今回の試合に集中しなければいけませんが、ここで勝ってライト級に上げるというのが、今後の計画なのでしょうか? 「俺は、ただタイトルマッチをやらせてくれと要求するタイプじゃない。ライト級には挑戦にふさわしい選手がたくさんいるからね。ただ、俺がその階級の状況にうまく収まるとしたら、こういう形があるんじゃないかと考えたんだ。ジャスティンは、今後どうしたいのか、まだはっきり決めていないだろ。もう一度戦いたいのか。あと1試合なのか。今、どんな気持ちなのか。『再戦はしたくない』と言っている。そして、俺とはまだ戦っていない。俺に引退の予定はない。ただ、こういう試合をするなら話は別だ。『これをお互い最後の試合にしよう。王者同士のスーパーファイトだ』という形だね。2人ともそれで引退して、その後はそれぞれの階級が動いていけるようにする。それなら階級を停滞させることもない。そういう形なら実現するかもしれないと思ったから、提案したんだ。  もちろん、実現するにはいろいろな条件が揃わなければいけない。俺にもまず、やるべき仕事がある。そこに集中して、その後どうなるかを見よう。いつも言っている通り、俺は自分の階級を活発に動かしていきたい。王者なら、最も強い相手と戦わなければいけない。そういう王者でありたいんだ。まずはそこに集中して、自分の仕事をする。その先は、それからだよ」 ──まずは今回の試合がありますが、仮にUFCから「ライト級に上げてもいいが、フェザー級のベルトは返上してほしい」と言われたら、二階級目の王座を追いかけるために応じるつもりはありますか? 「俺が言っているのは、引退試合としてやるということなんだ。それ以外の話をしているわけじゃない。こういう試合なら、『これを最後に、2人で華々しく引退するのもいいんじゃないか』ということだよ。2人とも引退して、ベルトを返上する。その後は、別の選手たちがそれぞれの王座を争えばいい。言いたいことは分かるだろ? ライト級の動きを止めたくないし、誰かの挑戦の機会を奪う資格が俺にあるとも思っていない。ただ、2人とも引退する試合ならどうだろう、という話だ。彼が引退について話しているのは知っているからね。そういう試合のためなら、俺も引退を決めるかもしれない。それ以外なら、これからも目の前の相手と戦っていくよ」 ──マハチェフとイリア・トプリア(ライト級1位)に敗れた後は、あなたを疑う声もありました。それに対して、ディエゴ・ロペス(フェザー級2位)との2試合では完成度の高いパフォーマンスを見せ、見事に答えを出しました(※トプリア戦=2024年2月『UFC 298』で2R 2分32秒KO負け。ロペス戦=2025年4月『UFC 314』、2026年1月『UFC 325』でいずれも判定勝ち)。今回の試合では、これまでのキャリアで最高のあなたが見られるのでしょうか? 「パフォーマンスという意味なら、そうだね。さっきも言ったけど、22歳の頃とまったく同じだなんて、みんなに嘘をつくつもりはない。そういう話じゃないんだ。でも、今も抜群のコンディションで、瞬発力も十分にある。ファイトIQがあることも、みんな分かっているだろ。それなら、昔と同じかどうかは問題じゃない。これまでで一番いい姿を見せられると本気で思ってる。そこにはいろいろな要素がある。自分自身の状態もそうだし、キャンプがどう進んだかもそうだ。それだけじゃなく、対戦相手との相性もある。彼を悪く言っているわけじゃない。ただ、スタイル的に俺にはすごくいい組み合わせだと思うんだ。  彼には厄介なところがたくさんある。でも、俺なら対応できるものばかりだと思ってる。みんなも分かっていると思うけど、少なくとも俺自身とチームには、それが分かっている。他の多くのファイターなら苦労するだろう。でも、俺は違う。彼が仕掛けてくる厄介な攻めにも、俺は笑顔で対応するよ。そういうことなんだ。これまでのキャリアや、今回のキャンプで自分を追い込んできたことを考えれば、俺が崩れたり、パニックになったりすることはない。いくらでもテイクダウンを狙ってくれて構わない。たとえ倒されても、俺は笑顔で立ち上がる。そしてまた、相手の目の前に戻るんだ」 ──モフサルには、あなたのように、特に王座を懸けた試合で豊富な経験を持つ相手と戦うことについて聞きました。あなたは派手な決着をつけたいと話していましたが、一方で、あえて試合を長引かせて厳しい展開に持ち込み、彼が自分についてこられるか試してみたい気持ちはありますか? 「いや、5ラウンドの試合はもう十分やってきたよ。もちろん、いつだって最後まで戦う準備はしている。でも、早く終わらせられるなら、そうしたい。昨日は俺と妻の記念日だったんだ。だから、ケージの外で見守る妻を長い時間ハラハラさせないことを、俺からのプレゼントにしようと思ってる。できるだけ早く終わらせにいくよ。それを妻へのプレゼントにできればいいね。  ただ、もちろん、とんでもない激闘になる覚悟もできている。いつもそうだよ。でも、今回は彼をフィニッシュできると思ってる。彼を軽く見ているわけじゃない。スタイルの相性や、今の自分の状態、それに今回どう戦いたいかを考えると、そう思うんだ」 ──あなたはこれまで圧倒的な王者として活躍し、今も王座に就いています。今回勝利すれば、UFC史上最も偉大なファイターのトップ3に入る存在として、その地位を確かなものにできると思いますか? 「いつも言っているけど、そういうことを自分で語るのは、俺には一番向いていないと思う。こういう質問に答えるのが好きじゃないファイターは多いだろうけど、俺は特にそうだね。その判断は、みんなに任せるよ。ベルトや防衛回数、数字には、それほどこだわっていない。俺はただ、自分に挑戦して、その課題を乗り越えるのが好きなんだ。みんなが語ってくれるのも、本当はそういうところだと思う。この年齢で何を成し遂げているのか、どうやってそれを実現しているのか。そういうことが、俺の歩みに深みを与えてくれるんだ。  数字もいいものだし、話題にもなるだろう。でも、何が俺を王者にしたのかを深く掘り下げれば、数字以外の部分の方が大事だと分かってもらえると思う。それが俺を突き動かすものだし、ワクワクさせてくれるものなんだ。記録や防衛回数は、俺にとってそれほど重要じゃない。それ以外のこと、どんな困難を乗り越えられるかの方が大事なんだ。自分を疑っている人たちに、間違っていたと証明できるのも、もちろん気分がいい。でも、自分に何が成し遂げられるのかを示すことの方が、若い世代にも刺激を与えられると思う。俺はそういうふうに考えているよ」 [nextpage] モフサルのレスリングは素晴らしい。でも俺を倒すには足りない ──モフサルのレスリングをどう評価していますか? あなたはマハチェフとの初戦で素晴らしいテイクダウンディフェンスを見せましたが、モフサルはさらに積極的に、激しくレスリングを仕掛けてくると予想していますか? 「彼のレスリングは素晴らしいよ。UFCでも屈指のレスラーだし、俺たちの階級では間違いなく一番だ。でも、それでも俺を倒すには足りない。正直、打撃なしで、レスリングとグラップリングだけを5ラウンドやったとしても、俺が勝つと思ってる。本気でそう思うんだ。彼のレスリングは優れている。でも、MMAとして戦うとなれば、それだけでは足りない。それは試合で見せることになるよ。ただ、彼のことはすごく尊敬している。素晴らしいファイターだし、素晴らしいレスラーだ。  でも、俺にとっては、そうした攻めは問題にならない。たとえ不利なポジションに持ち込まれても、パニックにはならない。俺が立ち上がってくることは、みんな分かっているだろ。それに、彼がそういうポジションから俺にダメージを与えるのは無理だと思う。攻撃しようとした瞬間に、俺を逃がしてしまうからね。押さえ込もうとするだろうけど、それでも十分じゃない。繰り返すけど、彼を軽く見ているわけじゃない。すごく尊敬している。ただ、今回彼の前に立つのは俺なんだ。そして俺は、今話したような戦いをするつもりだ」 ──ファイトIQについて話していましたが、それは自分の強みとして誇りを持っている部分ですか? 自分や対戦相手の試合を分析することも好きなのでしょうか? 長年の経験を積んできた中で、挑戦することが好きだとも話していました。そのあたりを、もう少し詳しく教えてください。 「ファイトIQは大いに役立っているよ。それに、自分に挑戦することが好きなんだ。毎日、ジムでもそうしている。本当は、今やっているほど厳しい練習をする必要はないのかもしれない。特にこの年齢ならね。でも、チームが認めてくれる範囲で、ちょうどいいバランスを見つけている。俺だけで決めていたら、きっと自分を潰すほど追い込んでしまうから。それくらい、自分に挑戦するのが好きなんだ。キャリアを通じて、いや、人生を通じて、ずっとそうしてきた。だからこそ、逆境にも対処できる。ケージの中で苦しい状況になっても、笑顔でいられるんだ。難しい課題にも笑顔で向き合える。  いや、いつも笑っているわけじゃないかもしれない。でも、その挑戦を受け入れる。疲労も痛みも受け入れて、そこを乗り越える方法を見つけるんだ。ずっと笑顔でいられるとは限らないけど、必ず乗り越えるよ」 一つひとつの動きを細かく分解して考える。俺が特に力を入れている部分だ ──あなたは多くの若いファイターに刺激を与える存在です。試合に向かうときや、結果にかかわらず試合を終えた後に、自分の技術や気持ちを整理し、集中するための方法はありますか? 練習の進め方も含めて、そうした部分には特に意識を向けていますか? あるいは、プレッシャーを感じることもあるのでしょうか? 「準備がすべてだよ。ゲームプランも含めて、練習には正しいやり方で取り組まなければいけない。相手が何を仕掛けてくるのか、どんな展開に持ち込みたいのかを理解してくれる、いいチームが必要なんだ。そこから細かく調整していく。そのポジションで俺が何をするのが得意なのか、何ができそうなのかを見て方法を探っていく。そして、相手にどんな選択肢があるのかも把握する。まだ試合で見せていない動きも含めてね。『俺がこうすれば、相手はこうしたくなるだろう』というところまで、深く掘り下げられるんだ。  普段から、相手がどの選択肢を取っても対応できるように準備している。一つの技を練習するときでも、そこにはいろいろな選択肢があるし、そこから派生する展開もたくさんある。そのすべてに備えるんだ。そういうところまで、深く突き詰めている。誰かに技を教わるときも、俺はただその技をやるだけじゃない。なぜその技が効くのか、それを止めるには何ができるのか、そこから何を付け加えられるのかまで、きちんと理解するようにしている。  どんな技にも、優れた工夫や重要な細部がたくさんある。俺はそこにかなり意識を向けているんだ。一つひとつを細かく分解して考える。それが、俺が特に力を入れている部分だよ」 ──あなたはUFCフェザー級の最多防衛記録でジョゼ・アルドと並んでいます。その記録を更新することは、どれほど重要ですか? それとも、ただの数字なのでしょうか? 「さっきも言ったけど、本当にそこにはこだわっていないんだ。もちろん嬉しくはあるよ。気にしていないと言っても、すごいことだとは思う。でも、それが俺を突き動かしているわけじゃない。『タイトルマッチでの勝利数を一番多くしたい!』ということが、やる気の源ではないんだ。目の前の挑戦を乗り越えることの方が、ずっと大きな力になる。それが俺を笑顔にしてくれるんだよ。  ベルトを取り戻したときに、はっきり分かった。俺がそれ以上に大切にしていたのは、逆境を乗り越えることと、そこに至るまでの物語だったんだ。みんなに語ってほしいのも、覚えていてほしいのも、そこなんだよ。ベルトを取り戻すこと自体や、防衛回数にそこまでこだわっているわけじゃない。もちろん、みんなが数字を挙げてくれるのは嬉しい。でも、それ以上に大事なのは、その道のりと、どんな挑戦を乗り越えてきたかなんだ」 ──ジョージアを訪れて、メラブ・ドバリシビリ(バンタム級1位)と、あなたのYouTubeの料理企画「Cooking with Volk」を撮影するのは、いつ頃になりそうですか? 「ぜひやりたいね。これから世界中を旅するつもりだよ。UFCのほぼすべてのファイターと一緒にいる俺を見られるんじゃないかな。それぞれの国を訪ねて、『Cooking with Volk』をやるんだ。でも、それはもう少し先だね。今はまだファイターだし、競技に専念している。そこに集中しているんだ。すべてをやり終えたら、世界中を旅して、みんなと料理をしよう」 ──今は人生で最高のコンディションで、とても集中できていると話しています。一方で、ご自身の動画では、眠そうにしたり、眼鏡をかけたりして、歳を取った姿を演じていますよね。年齢をめぐる議論に、自分から拍車をかけている面もあるのではないでしょうか? 「その通りだよ。それも、この物語を面白くしてくれるだろ? みんなが『もう歳だ』と言うのを、俺は楽しんでいるんだ。『もう歳を取りすぎている』『さすがに衰えているはずだ』と思っていてほしい。そこで俺が乗り越えてみせれば、『どうしてまだこんなことができるんだ? すごいな』となる。そういう物語なんだよ。だから、そういう見方には、とことん乗っかるよ。  でも、いいのは、そこまで自分から仕掛ける必要もないことなんだ。君は俺がそういうイメージを自分で作っていると言ったけど、今はもう、そうしなくてもいい。俺は昔から、下馬評を覆す物語が好きだった。いつも挑戦者の気持ちを持って、自分をそういう立場に置こうとしてきたんだ。でも今は、その必要もない。ここ数試合前からそうだけど、これからはオクタゴンに入るたびに、みんなが俺を疑うだろう。それでいいんだ。わざわざ、俺を疑うように仕向けなくてもいい。普段なら自分でやろうとしていることだから、むしろありがたいよ。自分を疑ってもらおうとするのは、単に相手が間違っていたと証明したいからじゃない。勝利を、さらに大きなものにしたいからなんだ」 ──今回は素晴らしいキャンプを過ごせたとのことですが、あなたを支えるチームについて教えてください。優れたメンバーが揃っていると思います。コーチ陣はどのような顔ぶれなのでしょうか? 「本当に素晴らしいチームなんだ。選手で言えば、今回はありがたいことに、コルビー・シックネスも同じイベントで戦う。これは俺たち2人にとって、ちょっとした夢だったんだ。それを海外の、ここアブダビで実現できるなんて最高だよ。普段から一年を通して一緒に練習している、中心となる練習仲間たちがいる。そこにレスリングコーチのフランク・ヒックマンが加わってくれるし、ヘッドコーチのジョー・ロペスもいる。理学療法士も、ストレングス&コンディショニングのコーチもいて、チーム全体で支えてくれるんだ。  みんな、外から見ていて、ときどき自分の役割だけを果たすような関わり方じゃない。一人ひとりが、本気で取り組んでくれている。俺が加わっていないところでも話し合って、どうすればもっと良くなるかを常に考えてくれる。すべてが正しい方向に進んで、俺たちが最高の力を発揮できるようにね。こんなチームに囲まれていることに、本当に感謝しているよ。カメラマンからマネジャーまで、全員だ。誰もが100%の力を注いでくれるから、俺はすごくやりやすい。本当にありがたいことだよ。俺やコルビーのような選手が、その感謝を伝える一番の方法は、試合に出て勝つことだ。俺たちは、そのつもりでいるよ」 ──料理でも細部までこだわっていますね。料理の腕前も素晴らしいと思います。 「ありがとう。この間の夜は、バーガーだったんだ。ラクダ肉のバーガーだよ。その回も楽しみにしていてくれ。なかなか面白かったよ」 ──もちろん、今回の相手であるモフサルを軽く見ているわけではないと思いますが、今のランキングには多くの有力選手がいます。その中で、対戦を考えると特に楽しみになるのは誰ですか? 「挑戦に手が届くところにいる選手が何人かいるよね。ジェアン・シウヴァ(フェザー級5位)や、アルジャメイン・スターリング(フェザー級4位)もいる。スターリングはケヴィン・ヴァシェホス(フェザー級9位)と戦う予定だろ(※11月21日のUFN)。そこで大きな勝利を挙げれば、ということだね。すぐ近くに、面白いファイターが何人もいるんだ。俺はそういう状況が好きなんだよ。同じ階級の挑戦者候補たちが試合をして、挑戦権を争える位置まで上がってくる。それが好きなんだ。これまでも言ってきたし、これからも変わらない。挑戦にふさわしくて、次は君だということなら、やろう。それだけの話だ。自分こそが挑戦者だと証明して、ナンバーワンの挑戦者になってくれ。そうすれば、俺から君の名前を挙げるよ。君の方から俺に対戦を要求する必要はない。それくらいシンプルなことなんだ」 ──今、SNSでは「ヴォルク兄弟」という投稿を見かけます。あなたと、あなたの「兄弟」であるアレクサンドル・ヴォルコフ(ヘビー級2位)のことです。2人とも面白い動画を作っていますし、ファンは共演を待っています。いつ頃、2人の動画が見られそうですか? 「絶対にやるよ。今回の滞在中に撮ってもいいね。2人とも試合があるけど、ぜひやりたい。面白いのは、彼か俺のどちらかが試合をするたびに、2人ともタグ付けされることなんだ。みんな間違えるんだよ。UFCの人にまで間違えられたことがある。それに彼はいいやつなんだ。勝ってくれるといいな。そうしたら、『Cooking with Volk』か、面白いコント動画でも一緒に撮って、お祝いできるかもしれない。いいね」 ──タイの格闘技ジム、タイガームエタイ時代からの仲間であるピョートル・ヤン(バンタム級王者)は、今回、息子をセコンドの一人にすると話していました。あなたには3人の娘さんがいますが、「パパのセコンドに入りたい」と言われたことはありますか? また、自分の子どもをセコンドに入れたり、試合に立ち会わせたりすることを、どう考えていますか? 「いや、考えたことはなかったね。娘たちからそう言ってくるとも思わないし、本当にやりたがるかどうかも分からない。正直、あの場は娘たちには刺激が強すぎるかもしれない。いや、でも長女のアリアナなら、やりたいと言うかもしれないな。注目されるのが好きだからね。俺の場合は、あまりうまくいかないと思う。でも、子どもが興味を持っていて、親もそうしたいなら、俺は大賛成だよ。ヤンの息子は、きっと今も練習しているか、これから始めるんだろう。そんな子があの場を経験できるのは、すごくいいことだと思う。普段とは違う経験は、誰にとってもいいものだ。慣れない環境に身を置く機会があれば、そこに飛び込んで、その中でも落ち着いていられるようにする。そういう経験は、自分を強くしてくれる。だから、息子をそばに置いて、自分にもプレッシャーをかけようとする彼の姿勢は立派だと思う。本人にもプレッシャーはかかるからね。でも、そういうことに取り組むことで、彼はさらに強くなると思うし、息子にとっても、あの場を経験できるのは素晴らしいことだと思うよ」 ──モフサルは、今回初めて父親が試合を見に来ると話していました。あなたも、ご家族や親戚が応援に来るのでしょうか? 「そうだね。妻と父、それに伯父やいとこたちも来る。何人か来てくれるんだ。これまでも何度か俺の試合を見に来てくれているよ。モフサルにとって、今回はほとんど地元のようなものだろうし、彼のためにも良かったと思う。これまで海外で戦ったときには、あまり歓迎されないことも多かったからね。ブーイングを浴びたり、記者会見でもそういうことがあった。だから今回は、地元のような声援を受けられるのは良いと思うんだ。彼は悪いやつじゃない。ブーイングされるような人間じゃないからね。とはいえ、俺は勝たなければいけないし、必ず勝つ。彼のお祝いムードには、水を差すことになるよ。でも、そこまでは彼にとっていい経験になりそうで嬉しいよ」
全文を読む

MAGAZINE

ゴング格闘技 NO.345
2026年7月23日発売
9.10『超RIZIN.5』でRIZIN&PFLダブル王座戦のシェイドゥラエフ&AJ・マッキー独占インタビュー。榊原CEO、野村駿太、クレベルも。K-1 朝久泰央×大久保琉唯×木村萌那
ブラジリアン柔術&総合格闘技専門店 ブルテリアブラジリアン柔術&総合格闘技専門店 ブルテリア

関連するイベント