高校、大学、実業団で伝統派空手をやっていた

KNOCK OUT初参戦でメインに登場し、現役王者の漁鬼と対戦する吉宗、は、KROSS×OVER初代スーパーウエルター級王座のタイトルを持つ38歳。「対戦するなんて思ってもみなかった」という漁鬼を前に、何を思うのか?
──吉宗、選手は今回初参戦ですが、KNOCK OUTにはどんな印象がありますか?
「KNOCK OUTさんは今、日本の格闘技のメジャー団体の中でも一番人気があるなと思っています。勢いも人気も今、ガーッと上がってきていて、メジャーな選手も参戦したりしていますよね。それってやっぱり、団体として価値があるからだろうなと思うので。自分自身、KNOCK OUTのことは昔から知っていて、試合も見ていたので、もちろん出たいという気持ちもありましたね」
──注目していたり、闘いたいと思っていた選手はいますか?
「いや、出たいとは思っていたんですけど、実際に出られるなんて思ってもいなかったので…闘いたい選手といっても、夢の夢みたいな感じだったので、具体的には考えてなかったです。ただただ、あの舞台に上がれたらいいなと思っていたぐらいで」
──今回は初参戦一発目で、現役王者・漁鬼選手との対戦となりました。話が来た時はどう思いましたか?
「最初に話を聞いた時は、冗談かと思ったぐらいでした(笑)。そしたら本当だと言うので、『え、ホントですか?』みたいな。正直、僕が対戦できる相手じゃないというか、失礼なんじゃないかなと思いましたね。もちろん漁鬼選手のことは知っていて、試合も何戦か見ていて、メチャクチャ強くてヤバいなと思っていました。『やっぱり70kgの世界トップ戦線には、こういう選手が行くんだよな』と思っていた選手だったので。だって初参戦で現役王者との対戦って、普通ないですよね?
──いやいや、吉宗、選手も現役王者で、勝率も高いじゃないですか。
「本当は最初、6月の代々木大会にオファーをいただいていたんですよ。その日は仲間の選手が試合でセコンドがあったので、そもそも出られなかったんですね。その上、漁鬼選手との対戦と聞いて、『いや、さすがにちょっとやれる相手じゃないから、どっちにしても無理だな』と思って、うれしかったんですけど、お断りさせていただいていたんです。『もしまた機会があったら、ぜひ出場したいのでお願いします』と言っていたら、すぐに『じゃあ8月大会にぜひ』というお話をいただいたんですね。しかもそこで、また漁鬼選手でお願いしますと言われて。さすがに2回目は断れないなと思って、申し訳ないなと思いながらも、受けさせてもらった感じですね」
──でも実際、今は6連勝中でそのうち4つがKO勝利、そして直近の試合でタイトルも獲得していて、そこでの自信はないわけではないですよね?
「いやもちろん、公式戦できちんと試合をやらせていただいて、そういう結果は残させてもらっているので、自信は自信なんですけど。ただ、直近で漁鬼選手が闘った相手はシッティチャイ選手とか中島玲選手とかユリアン選手とか、世界トップクラスの強豪選手ばっかりじゃないですか。しかもその中であの闘いぶりなので、正直、恐怖でしかなくて(笑)」
──では実際に、対戦相手としての漁鬼選手の印象というと?
「印象的なのは、やっぱりフック系のパンチですよね。そのパンチの回転が速くて、けっこう大振りなはずなのに、あの回転力で持っていかれると、たぶん全然よけられないと思うんですよ。ブロックしても効くんじゃないかなというぐらいの威力があると思うので、そのへんは一番警戒してるというか、気をつけなきゃなとは思ってますね。さらに、間にミドルとかカーフといった蹴りを入れてくるじゃないですか。実はあれも、パンチを当てるための絶妙なタイミングで打ってるなと思ってて。シッティチャイからダウンを取ったのもあれですからね。もうスタミナも当て勘もパワーも、全部揃ってるみたいな感じで」
──ではそんな相手に、自分のどういうところを生かして、どういう試合にしたいと思っていますか?
「自分は一応、高校、大学、実業団で伝統派空手をやっていたんですよ。その時からずっと得意だったのが左ストレートで、キックに転向してからの4KOも全部それで決めています。あと、意外とこの階級のわりには瞬発力がある方だと思っているので、もう覚悟を決めて漁鬼選手がまっすぐ打ち合いに来たところにまっすぐ飛び込もうと思っています」
──最終的にどう勝ちたいですか?
「これがKNOCK OUT初参戦だし、相手が現役チャンピオンということもあるので、『勝ちたい』というよりも、会場が盛り上がる試合がしたいなと思っています。『絶対勝ちたいです』とか『絶対倒します』とか『今回勝って、ダイレクトリマッチで漁鬼選手からベルトを獲ります!』とか、そういうのは全然ないんです」
──ないんですか。
「はい。まず、やっていただけることがとにかくうれしいし、でもやるからには、会場がワーッと盛り上がる試合はしたいなと思っていて。ヘタにまっすぐぶつかっていっても、ただチャチャッとやられちゃうだけだと思うので、面白い試合展開にできればな、というイメージは持っています」
──ところで、これまで後楽園ホールでの試合というと?
「1回だけですね。2019年のプロデビュー戦が後楽園でした。約7年ぶりだし、まだ後楽園では勝ってないですね」
──しかも7年ぶり2回目の試合が、メインですよ。
「そうなんですよ! WBCムエタイの4大タイトルマッチがあって、てっきりそれがメインから並ぶんだと思い込んでいたので、ビックリしました。周りにも『たぶん第6試合ぐらいだよ』ってみんなに言ってました(笑)」
──でも現役王者のスーパーファイトなので、メインということで。
「いやあ…コメントしづらいですね(笑)。普段は朝から夜まで、普通にサラリーマンとして働いていて、今もちょっと営業に行っていて。そんな中で、まず後楽園で試合できるのも久々でうれしいですし、そもそもメインに
なるなんて考えてもなかったので、もう何というか…うれしいというより、驚きが上回っちゃって」
──そうですか(笑)。
「もちろん、格闘技一本でやっている選手と比較すると、もちろん練習量とか時間では劣るんですけど、一応、やれる範囲ではしっかりやってはいるつもりです。仕事が終わった後と、それから土日とかは全ての時間を練習に使ってますし、ボクシング、キックボクシング、ムエタイとフィジカルのトレーナーはそれぞれ、お金を出して雇ってますから。フィジカルトレーナーはオリンピック選手を見ている方に、大金はたいてたりするので、一応、準備はできているつもりです」
──そして今回を機に、KNOCK OUTに継続参戦したいという気持ちもありますか?
「そうですね。せっかく今回こうやってお話をいただけたので、今回は、漁鬼選手と試合して勝つうんぬんというよりも、KNOCK OUTの運営の方とか山口代表、そしてKNOCK OUTファンの方に、まずは僕という選手を知ってもらいたいんですよね。試合はちょっとどうなるか分かんないですけど、『あの選手面白いじゃん、またちょっと見たいよね』みたいな感じでファンの方々に認識されるといいなと思っているので、それで継続的に参戦できたらいいなと思っています」
──で、先ほど少し出ましたが、普段は営業職のサラリーマンなんですか。
「そうです。もともとは営業にいたんですけど、今は商品管理の方をやっていて。各営業所を回って、商品の管理とか、先方との契約どおりにやっているかとか、そういうチェックをやっています」
──フルタイムでサラリーマンをしながら、プロファイターとして活動する一番のモチベーションはどういうところですか?
「自分は、仕事のモチベーションと格闘技のモチベーションをイコールにしているんですね。格闘技を真剣にやるため…先ほど少し話させていただいた、トレーナーを雇ったりだとか、そうするとやっぱりお金がかかるので、サラリーマンとして働くことで、給料からそれを支払うみたいな感じになってますね」
──では、どちらも欠かせないわけですね。
「はい。僕はスポンサーがいっぱい付いていて、いっぱいお金を出してもらうという感じではないんですよね。一応、スポンサーさんは付いてはくださっているんですけど、別にそんなスポンサー料とかもらってるわけでもなくて。どちらかといえば、例えば整体とか脱毛サロンのスポンサーさんが付いてくれていたら、その店舗を利用させてもらったりという感じなんです。自分の中でも、格闘技をやりたいんだったら自分できちんと働いて、それで稼いだお金を自分に投資して、どこまでいけるかという感じで」
──なるほど。
「いや、もちろん格闘技一本でやってる選手は強いですし、そこに勝つのはなかなか難しいですけど、自分は一応、実業団で空手をやっていたというのもあるので。その延長線上というか、自分の中の集大成としてキックボクシングをやっているというところなので」
──では最後に、今回の試合で一番注目してほしいポイントはどこでしょう?
「まずは気持ちですね。それと、僕は今年38歳になったんですけど、漁鬼選手は30歳になったばっかりじゃないですか。世間から見れば『大丈夫かよ、38歳』みたいに思われるでしょうし、よくそういう風に煽られたりもするんですけど、年齢は別に関係ないと思っていて。空手ももう、実業団を入れたら小学生から25年やってきているので。 そういったキャリアもあるので、年齢よりも気持ちが試合で一番大事なんだよというところを見てもらいたいです」




