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レポート

【修斗】宇野薫が3年7カ月ぶり勝利に涙。倉本一真がジャーマン連発で根津優太に勝利、黒部三奈が優勝宣言

2019/11/24 17:11
2019年11月24日(日)東京・後楽園ホールにてプロフェッショナル修斗公式戦『SHOOTO 30th ANNIVERSARY TOUR FINAL』が開催された。 前日計量では、メインイベントのフェザー級戦で、ドイツ・フェザー級王者のマーカス・ヘルドが65.4kg。宇野薫が65.5kgでともにパス。ヘルドは「ウノは僕にとってレジェンド。明日はベストを尽くして戦う」と意気込みを語れば、5月大会で約2年振りに復帰し、強豪デュアン・ヴァン・ヘルフォートを相手に判定で惜敗ながらも存在感を示した宇野は、「メインイベントとしてお客さんを満足させて帰す試合をしたいと思います」と決意を示した。 ▼第11試合 メインイベント フェザー級 5分3R×マーカス・ヘルド(65.4kg/同級ドイツ王者/GERMAN TOP TEAM)[2R 1分56秒 チョーク]○宇野 薫(65.5kg/日本/UNO DOJO) 宇野は5月6日の修斗30周年記念大会で約2年振りにMMA復帰、欧州修斗代表のマルタイン・デ・ヨングが自信を持って送り込んで来たデュアン・ヴァン・ヘルフォート(グレイシーバッハ・ネーデルランド)と対戦し、判定負けを喫した。 メジャープロモーションでは無名のオランダ人柔術家ヘルフォートは、2018年3月にONEファイターのアンソニー・アンゲレンにチョークで一本勝ちの実績を持ち、宇野を柔術で下した後には、7月にリオン武を打撃で攻め込み判定勝ち。修斗2連勝を飾る実力者だった。 ヘルフォート戦ではバックを取られながらも正対するなど熱戦を展開したが、際の部分を制したのはヘルフォートで、厳しい現実と向き合うことにもなった宇野。今回のヘルド戦に向け、「課題として残った部分を今回の試合までに練習をしてきました」という。 プロデビューから22年。戦績は50戦を優に越え、44歳を迎えながらもMMAファイターとして拘り続ける宇野薫が目指すものはいつも勝利のみだった。ヘルフォート戦から2週間後には英国「POLARIS」に参戦。元UFCのリー・レメディオスにストレートアームバーを極めて一本勝ちするなど、組み技の進化を見せている。今回の試合前にはKRAZYBEEでの出稽古も敢行。 結果としては、2017年4月の斎藤裕戦に続くMMA2連敗のなか、44歳の宇野は26歳のドイツ王者を相手に、大きなダメージを負わず周囲も自身も納得する勝利を見せられるか。MMA33勝20敗5分のレコードのなかで、UFC時代も含め、宇野は3連敗したことは一度も、ない。 事前のビデオでは、「諦めない」「連敗で崖っぷち」「そろそろという気持ちもあるし、まだでも辞めたくないっていう気持ちもあり、そこのせめぎあいを日々している」と、逡巡する気持ちを吐露している宇野は、勝利を渇望しながらも「メインとして、お客さんに満足してもらういい試合をしたい」と語った。 対するマーカス・ヘルド(GERMAN TOP TEAM)は修斗ドイツ・フェザー級王者。2019年1月の開幕戦に初来日し、世界王者・斎藤裕と対戦。序盤に斎藤の打撃を貰い秒殺かと思われたがグランドの展開に移行してからはマーカスのディフェンスに斎藤も攻めあぐねる所も見られ、下からの攻めに関しては侮れない動きをみせた。 2Rには齋藤のテイクダウンからのパウンドにKO負けを喫したが、母国帰国後にはその技に磨きをかけたという。2019年5月に欧州視察に訪れた佐藤ルミナのセミナーにも積極的に参加したヘルドは、新たな技術の習得にも余念がなく、ルミナから「打・投・極」の繋ぎを指摘され何度も繰り返し反復練習を行うなど、ドイツ人らしい勤勉さを見せていた。前回とは全く違うスタイルに変貌している事も充分考えられ、侮れない部分もある。 齋藤戦では四つ組みで下になったヘルドはスクランブルより寝技を選択することもあり、その際で齋藤のパスガードを許している。近年、寝技での進境著しい宇野としてはその部分でもきっちり上回りたいところだ。11月24日のメインで「必死で戦う宇野薫」から「勝つ宇野薫」を見せられるか。 1R、四つから小外でテイクダウンは宇野。ハーフから右で脇差しパスガード、マウントを奪うも、サイドに移り際にヘルドがリバーサル。そこでバックに回る宇野だが落とされ下に。ヘルドはバックから4の字ロックでリアネイキドチョーク狙いも後ろ手をはがす宇野は脱出。脇を潜って正対を試みるができず。 2R、ボディロックテイクダウンは宇野! ハーフから立ち上がろうとするヘルドのシングルレッグを潰して和術慧舟會伝統のチョークへ! 亀のヘルドにサイドから足をかけずに極めた! 3年7カ月ぶりの勝利に宇野は片ひざをついて涙。3人の子供たちをマットに上げ、「やっと子供たちをマットの上にあげることができました。新しいジムになって3年、やっと結果を出すことができました。皆さんありがとうございます。そして青木(真也)くん、ほんとうにありがとう。チームのみんな指導・アドバイスをくれてありがとう。青木くん(マットに呼び込み)やっと言える。俺たちはファミリーだ。そして今回、試合前にKRAZYBEEでも練習させてもらいました。きっとKIDが呼んでくれたんだと思います。僕は、もう少しだけ総合格闘技をやらせていただきます……修斗の30周年、宇野薫はまだまだ走り続けます。応援よろしくお願いします」と挨拶。子供たちと手を組み、四方に手を挙げて礼をした。 [nextpage] ▼第10試合 セミファイナル バンタム級 5分3R×根津優太(61.1kg/同級世界2位/&MOSH)[3R 0分01秒 TKO]※バトン投入による棄権○倉本一真(61.0kg/同級世界6位/修斗GYM東京) 数ある階級の中で最も熾烈を極め、過酷なバンタム級。その中で常にトップランカーに名を連ねているのが根津優太(&MOSH)だ。ソリッドな蹴りを軸に得意の打撃で距離をコントロールし試合を組み立てるなどテクニシャンぶりを発揮し、2018年5月に魚井フルスイングにスプリット判定勝ちで接戦を制すると、同年9月に平川智也に判定勝ち、さらに2019年5月の祖根寿麻戦でも豪快なKO勝利を飾り、ROAD FCから修斗復帰後3連勝を飾っている。 その“打”の根津と相対するのは“投”の倉本一真(修斗GYM東京)だ。 小学・中学と日本空手協会の空手に取り組み、中学では柔道部に所属。滋賀・日野高から拓大、山梨学院大、自衛隊等でレスリングで活躍した倉本。グレコローマンで2012、2013、2014年の天皇杯全日本選手権優勝、2012年アジア選手権2位、2013年の世界選手権では60kg級で7位という実績を誇る。リオデジャネイロ五輪の前年に全日本選手権で勝ち上がれず、オリンピック出場の夢が絶たれ、社会人経験を経て修斗GYM東京に入門した。 総合格闘技(MMA)で倉本は、試合毎にビッグインパクトを残し続け、豪快なジャーマンスープレックス4連発で相手をKOする等、MMAでもワールドクラスのグレコローマンレスラーのレスリングスキルを発揮。かと思えば前戦では組みのフェイントからパンチ一閃! 僅か35秒でランカーの平川智也を失神KOに下し、組みだけではなく倒せる打撃も持ち併せている事も披露してみせた。 デビューから1年半で6連勝を飾り、未だ底を見せない倉本が上位ランカーの根津優太に挑む。どの組み合わせでもメイン級の試合が組めるバンタム級で最も危険なマッチアップが実現した。 1R、左を当ててシングルレッグを狙う倉本を切る根津。倉本の手繰りを切り、右ローを効かせる根津! さらにジャブ&左ストレートも、倉本はバックフィスト2連発から近づき、半ば強引な首投げからバックを奪われそうになりながらも、この際でバックを奪うと後方にそり投げ6連発! さらに根津の立ち際にパンチを入れる。 2R、倉本は根津の足を手繰りテイクダウンもすぐに立つ根津はヒザ蹴りを突く。それがローブローとなり中断、再開。根津のヒザ蹴りを受けながらもボディロック、ダブルレッグテイクダウンは倉本! 根津は立とうとすると後方に投げられるため背後からのパンチを受ける。ヒザを立てると倉本は後方への投げを2発! 徐々に根津の動きが落ちてくる。 3R、開始前に足がふらつく根津を見て、鈴木秀明氏らコーナーが声をかけあい、開始と同時に赤のバトン(タオル)を投入・棄権した。中央まで歩み戦闘態勢に入った根津だが、ゴングに大の字となった。「トップレスラーにとって投げは打撃」という言葉を体現する倉本が上位ランカー相手に戦慄のTKO勝ち。プロMMA7連勝を決めた。 倉本は試合後、「結構もらう部分多く、根津さんは上手かったです。僕にとっては大きなこと。もっと上を目指していま以上に頑張っていきます」と同じモブスタイル契約ファイターの根津を気遣いながらも、王座戦線に名乗りを挙げた。 ▼第9試合 フライ級 5分3R○清水清隆(56.7kg/日本・同級世界4位/TRIBE TOKYO M.M.A.)[1R 4分19秒 TKO]×ショージン・ミキ(56.4kg/米国・ハワイ/HMC) 清水清隆(TRIBE TOKYO M.M.A.)が修斗で再起戦に臨む。清水は、2019年5月6日、修斗プロ化30周年を記念するメモリアル大会の大トリで扇久保博正が保持する世界フライ級王座に挑戦するも、偶発的なバッティングにより、4Rテクニカル判定負け。 しかし、ONE両国大会の修斗vsPANCRASE前哨戦として行われた9月の「Road to ONE CENTURY」ではPANCRASE4位の秋葉大樹を1R2分15秒、左ジャブでKOに下し見事に復活。前田吉朗、石井逸人を葬ったパンチ力が健在である事を証明した。 11月24日(日)後楽園大会での清水の対戦相手はハワイ出身のショージン・ミキ(アメリカ/HMC)に決定。 ミキはMMA7勝5敗。現在ハワイで最も勢いのあるMMAプロモーション「X-1」を中心にBellator等でもキャリアを積み、2019年3月にはVTJやRIZINにも参戦経験のあるカナ・ハヤットと対戦し、典型的なストライカータイプのカナと真っ向から打ち合いを挑み、最後はカナのギロチン、腕十字を凌いで、2Rリアネイキドチョークで一本勝ちをマークしている。 経験では清水に見劣りするものの、ベテランのタイソン・ナム(判定負け)等、強豪ファイター達と毎回接戦を展開し会場を沸かせている。わずか3年弱のキャリアではあるが勝ち星の全てをKOか一本で決着(4S・2KO)しており、フィニッシュ出来るファイトスタイルを誇り、その上ディフェンス力も高く、グランドでは下からの攻撃も多彩なオールラウンダーとしてポテンシャルの高さがうかがい知れる。 キャリア11年目にして初の国際戦となる清水にとって、難敵を迎える事となったがここで足踏みしていられない。王座奪還に向けて“少年”清水清隆の修斗での復活ロードが始まるか。 1R、右ローをカーフで当てる清水。ミキも右ローを返すが単発。清水はボディストレートを突いて右スイング! さらに蹴り足をつかんでの右、ミキのダブルレッグを切って左右を連打するとパンチを受け続け出血したミキは背中を見せて逃走。レフェリーが試合を止めた。 試合後、清水は「自分はまだまだ諦めてないですし、狙う首は一つなので、一つひとつ試合を勝っていきます!」とマイクで語った。 清水清隆「自分は前の扇久保(博正)戦で一回負けてるんで出直しです。しっかり勝って次へ進みます」 ショージン・ミキ「呼んでいただき、ただありがとうとございます。またサポートしてくれた皆さんありがとうございます。明日はシミズ選手、よろしくお願いします」 ▼ジュニア修斗 53kg契約 3分1R○赤羽幾也(CROW FOREST)[判定2-1]※10-9×2,9-10×佐々木瞬真(パラエストラ千葉) [nextpage] ▼第8試合 修斗女子初代スーパーアトム級王座決定トーナメント一回戦 5分2R(延長1R)○黒部三奈(49.9kg/日本/マスタージャパン)[1R 4分52秒 TKO]×ターニャ・アンゲラー(49.1kg/ドイツ/GERMAN TOP TEAM) 今大会から、修斗初の女子世界王者を決める『SHOOTO Women’s Super Atom weight WORLD Championship(修斗女子初代スーパーアトム級(50kg以下)王座決定トーナメント)』が開幕。 エントリー選手は7名で、元DEEP JEWELSアトム級王者の黒部三奈(マスタージャパン)を筆頭に、ドイツRespect FCストロー級王者、AFSOドイツMMA王者のターニャ・アンゲラー(ジャーマン・トップチーム)、しなしさとこと1勝1敗の韓国のイ ・イェジ(TEAM J)、格闘代理戦争で活躍した梅原拓未(GRABAKA)、チーム・ラカイのゼファーニャ・ンガヤ(フィリピン)、東海大柔道部出身の大島沙緒里(AACC)、そして、今大会でも開催中の「インフィニティリーグ2019」優勝者が名を連ねる。 そのなかから今大会では、一回戦として黒部三奈vsターニャ・アングラー、梅原拓未vsイ・イェジが行われ、優勝者に参加資格が与えられるインフィニティリーグとして、杉本 恵(勝ち点5/AACC)vs廣瀬里美(勝ち点0/パラエストラ松戸)、北野きゅう(勝ち点2/高田馬場道場・とらの子レスリングクラブ)vs原田よき(勝ち点2/赤崎道場A-spirit)の4試合が組まれている(※2020年1月26日に残り1回戦・ンガヤvs大島、3月29日に準決勝、5月31日に決勝)。 黒部は2017年にDEEP JEWELSアトム級王座を獲得している実力者。2019年7月の後楽園ホール大会で修斗に初参戦し、イ・イェジを2R リアネイキドチョークで失神させる一本勝ちを決めた。 一回戦の対戦相手のターニャ・アングラーは難敵だ。2015年にドイツのRespect FCでストロー級王座を獲得、AFSO(World All Fight System Organization)ドイツMMAも保持するなど、その実力は折り紙付き。修斗王座獲得を目指しストロー級から1階級下げて修斗に乗り込んできた。空手ベースながら、組み技にも長けており、これまで日本人相手には、2016年6月にドイツで開催された「Shooto Kings 4」で山口さゆりに判定勝ち、同年8月の「DEEP 77 Impact x DEEP JEWELS 13」では「ターニャ・ホフマン」名義で第一DATEに判定勝利。2018年12月の「DEEP JEWELS 22」では長野美香と激闘の末、判定1-0のドローとなっている(※1者ターニャ支持)。 グラップリング巧者の長野に対し、クローズドガードに入れてのギロチンチョーク、コムロック、腕十字、三角に固めてのパウンドなど力強い寝技を誇るターニャは言い方を変えればテイクダウンに対しスクランブルだはなくボトムを選択する動きを見せている。黒部としては、ギロチンに注意しながらもトップから得意の柔術で抑え込み削ることができるか。 前日計量で黒部は「いきなり強敵を当てられちゃったんですけど、トーナメントなので、トーナメントに出ているなかで一番強くならないとベルトは巻けないので、誰が相手でも勝利を勝ち取っていきます」所属するマスタージャパンの先輩・弘中邦佳、松本光史に続く「修斗の世界王者」獲得の決意を表明している。 1R、シングルレッグテイクダウンは黒部。アンゲラーの下からの腕十字を防ぎ、かついでサイドからパウンドで削る。 2R、アンゲラーの右に腰が落ちる黒部だが、ダブルレッグテイクダウン! クローズドに入れるアンゲラーに鉄槌。下からアンゲラーは草刈を狙うが、足をさばいた黒部はサイドを奪取。ケージウォークするアンゲラーからマウントを奪い、怒涛のパウンド。きっちりフィニッシュしてみせた。 試合後、黒部は「昨日、計量で相手が筋肉バキバキでちょっとビビってました(笑)。勝ってよかったです。もう若くなく、ここで負けたら後がないので、あと2戦、試合で頑張ります」と笑顔で語った。 【写真】キレッキレの身体を披露したターニャ。一回戦でいきなり優勝候補同士が激突。 ▼第7試合 修斗女子初代スーパーアトム級王座決定トーナメント一回戦 5分2R(延長1R)×梅原拓未(48.9kg/日本/GRABAKA)[2R 3分21秒 TKO]○イ・イェジ(49.8kg/韓国/TEAM J) 修斗初の女子世界王者を決める『SHOOTO Women’s Super Atom weight WORLD Championship(修斗女子初代スーパーアトム級(50kg以下)王座決定トーナメント)』1回戦で、2018年に行われたAbemaTVの「格闘代理戦争3rdシーズン ジョシカク編」に参加した梅原拓未と、“韓国アイドルファイター”として注目を集めながら、着実に実力をつけてきたイ・イェジが対戦。 梅原は「格闘代理戦争」では、ADCCで日本人として唯一優勝経験を持つ師匠・菊田早苗とチームを組み、優勝候補筆頭と目されたMIOをグラップリングで攻め立て、あと一歩の所まで追い込んだ。MIOには2R TKO負けを喫するも、2018年12月には同ワンマッチでいちごみるくを相手に勝利を収めている。 3歳から柔道を始めた梅原は、禅道会心技道場、ムエタイと格闘技経験を積み、「格闘代理戦争」放送時は元修斗ストロー級世界王者のランバーソムデートM16のジムで指導を行うなど、修斗との接点も見られる女子ファイターだ。ランバーのMMAでも勝てるムエタイと菊田直伝のグラウンドテクニックの融合──独特のMMAエッセンスを併せ持つ梅原は、修斗でどんなスタイルを披露するか。計量後、梅原は「相手のイェジ選手は心身共に強い選手ですが、動画を見てたくさん作戦を練ったので、勝てるように頑張ります」と、落ち着いた表情で語った。 対するイェジは柔道、キックボクシング、韓国の打撃あり柔術ゴンコンユスルをバックボーンに持つ。ROAD FCでは階級は異なるもののしなしさとこと1勝1敗。2019年7月の黒部三奈戦では敗れはしたものの、ギロチンチョークであの黒部をあわやという所まで追い込むなどアグレッシブなファイトスタイルが評価され、今回のエントリーとなった。イェジは計量後、「これ以上私は負けません」と、梅原を倒し、黒部へのリベンジと初代女王の座を狙うことを宣言している。 1R、オーソドックス構えから右ストレートを効かせたイェジ。立つ梅原に右ローをカーフで効かせ、右ミドルも! さらにシングルレッグテイクダウン。 2R、右ローを効かせるイェジに下がる梅原は胸を合わせて背負い投げへ。しかし、これを潰したイェジがバックマウントからパウンド。亀で動けない梅原を見てレフェリーが止めた。 MMAでしっかりと成長を遂げたイェジは、「アリガトウゴザイマス!」と日本語で挨拶。「ここで勝ててほんとうに嬉しいです」と笑顔を見せた。 [nextpage] ▼第6試合 ライト級 5分3R×AB(70.3kg/同級世界6位/和術慧舟會駿河道場)[2R 1分10秒 TKO] ※ABがカット、ストップ○キャプテン☆アフリカ(70.2kg/同級世界10位/総合格闘技道場コブラ会) ライト級で、AB(和術慧舟會駿河道場)とキャプテン☆アフリカ(総合格闘技道場コブラ会)のグラップラー対決が行われる。ABは7月の前戦で泉彰洋との再戦を腕十字で一本勝ち。川名雄生戦、大澤伸光戦での連敗から見事、再起を遂げている。 対するキャプテン☆アフリカは、2018年3月の鈴木槙吾戦で一本勝ちし、鮮烈後楽園デビューを果たしたものの、6月のキム・ギョンピョ戦、11月の小谷直之戦で敗北。QUINTETでのグラップリングマッチで調子を上げ、2019年6月のウエタ ユウ戦を判定勝利し、AB同様に修斗で再起を遂げている。絞めのABか? 極めのキャプテンか? 寝技に絶対的の自信を持つ両者が相まみえる。 1R、サウスポー構えから入るキャプテンは左ロー、ミドル。さらに右アッパー。オーソドックス構えのABも左フックを返し、左で差して押し込むが倒せず。キャプテンはオーソに戻し、陣営のボクサーの妻の声にワンツースリーと打つ。2R、キャプテンの左フックでABが右目上をカット。ストップ。キャプテンが勝利。 ▼第5試合 ライト級 5分3R○田中 有(69.9kg/同級世界8位/リライアブル)[判定3-0]※29-28×3×岡野裕城(70.2kg/同級世界9位/マッハ道場) ライト級サバイバルマッチ。 9月1日に新木場スタジオコーストで開催された「Road To ONE :CENTURY」での修斗vsPANCRASEとの対抗戦で、PANCRASEランカーのアキラを豪快にKOした岡野裕城(マッハ道場)が早くも修斗へ帰還。神戸に拠点を置くリライアブルの若頭・田中有(リライアブル)と激突する。岡野は後楽園では2019年1月に川名雄生に判定負けしており、9月のアキラ戦の勝利の勢いのまま、後楽園の借りを後楽園で返したいところだ。田中はBORDERなど関西で2017年9月から4連勝も、2018年9月に大澤伸光にKO負けを喫しており、今回が再起戦となる。 1R、ともにオーソドックス構え。ジャブ突く岡野に田中はスイッチしてのニータップから金網まで押し込みスタンドバックでヒザを突く。 2R、ダブルレッグテイクダウンは岡野も金網背に立つ田中が小外足払いでテイクダウン! 岡野の立ち際をバック奪いリアネイキドチョーク狙い。 3R、互いにジャブローの刺し合いも手数は岡野。ワンツーに目に入ったか気にした田中に岡野はラッシュ。バランスを崩し亀になる田中のバックからパウンド。 判定は1、2Rで優位に立った田中が接戦を制した。 ▼第4試合 バンタム級 5分3R小野島恒太(61.2kg/Combat Workout Diamonds)手塚基伸(61.2kg/総合格闘技道場コブラ会) 現在の修斗で“ハズレなし”黄金のバンタム級注目のカード。復活の小野島恒太(Combat Workout Diamonds)が“流浪のグラップラー”手塚基伸(総合格闘技道場コブラ会)と対戦する。 小野島はMMA12勝4敗1分。2019年6月、金物屋の秀戦の判定勝利で約2年振りの戦線復帰を果たすと、翌7月の後楽園ホール大会にも参戦を志願。安定感のある試合運びで加藤ケンジも判定で下し、復帰後2連勝を飾った。 対する手塚はMMA32勝13敗7分のベテラン。国内外の様々なプロモーションを渡り歩き、幾つものタイトルを獲得してきたグラップラーだ。これまで第三代GRACHANバンタム級王者、初代HEATバンタム級王者に輝き、PANCRASEでもバンタム級1位にまでランク、2012年から2013年にかけてUFCにも参戦し2戦2敗、2017年以降は4勝1敗1分と好調をキープしている。 2019年6月、修斗初登場となった大阪大会では奇天烈(修斗GYMS直心会)と対戦。グランド地獄に引きずり込むと終始相手をコントロールし、得意の肩固めで完全に相手を捕獲すると、そのままタップを奪い快勝。異次元の極めの強さを披露し、声高らかにタイトル獲得宣言をしている。 今回の後楽園ホール登場を機にいよいよランキングの中枢へと食い込もうとする手塚を小野島は止められるのか? 勝者が更に修斗バンタム級に風穴を開ける事になるであろう、今後の修斗に嵐を巻き起こす男たちによるマッチアップだ。 1R、サウスポー構えの手塚にオーソドックス構えの小野嶋。手塚はオーバーフックから引き込み得意のスイープ! バック、マウントまで奪取。2R、手塚のダブルレッグテイクダウンを切る小野嶋。頭下げての左右フックの圧力で手塚の上を取る。 3R、手塚のシングルレッグからの引き込みは付き合わない小野嶋だが、手塚はダブルレッグからテイクダウン。立つ小野嶋にバック回り、後方に引き込み、正対する小野嶋にハーフからパウンド。判定3-0で手塚が勝利した。 [nextpage] ▼第3試合 THINKS INTERNATIONAL presents Women'sSHOOTO-50kg インフィニティリーグ2019 5分2R○杉本 恵(50.0kg/勝ち点5/AACC)[1R 2分20秒 リアネイキドチョーク]×廣瀬里美(49.0kg/勝ち点0/パラエストラ松戸) 修斗初の女子世界王者を決める『SHOOTO Women’s Super Atom weight WORLD Championship(修斗女子初代スーパーアトム級(50kg以下)王座決定トーナメント)』最後の1枠は、現在熱戦が展開されているインフィニティリーグ2019の優勝者がそのままトーナメントに参加。リーグ戦の優勝者は準決勝からの参戦となり、11月24日の最終戦でエントリー選手が決定する。 9月23日の試合で2ラウンドにKO勝ちした杉本恵が単独首位の勝ち点5、北野きゅう、原田よきが勝ち点2、廣瀬里美が勝ち点0となっているが、1ラウンドで一本かKOを取れば4ポイント獲得となるため、北野、原田にも優勝するチャンスが残されている。毎年最終戦までもつれるインフィニティリーグの行方にも目が離せない。 1R、開始早々にダブルレッグテイクダウンは杉本。廣瀬を金網際でパスし、バックマウント、リアネイキドチョークを極めた。 完勝でトーナメント優勝を決めた杉本は、ケージのなかで「30周年にこのようなベルトを獲れて光栄です。少しでも名前を憶えてもらえれば。次はトーナメントのベルトを狙いにいきたいと思います」と2本目のベルト獲得を目指すことを宣言。2人の子供と記念撮影に収まった。 ▼第2試合 THINKS INTERNATIONAL presents Women'sSHOOTO-50kg インフィニティリーグ2019 5分2R△北野きゅう(49.9kg/勝ち点2/高田馬場道場・とらの子レスリングクラブ)[判定1-0]※19-19×2,20-18△原田よき(49.6kg/勝ち点2/赤崎道場A-spirit) 1R、小外、払い腰テイクダウンは原田。北野はその投げを潰して腕十字入るが、抜く原田が上に。1Rで極めきることはできず。 2R、シングルレッグテイクダウンは原田。立つ北野はミドルから組んでテイクダウン。インサイドからパウンドも決定打は与えられず。判定1-0(1者北野)でドローに。 ▼第1試合 フェザー級 5分2R×山本健斗デリカット(65.7kg/同級世界6位/総合格闘技道場コブラ会)[判定0-2]※19-19,18-20×2○SASUKE(65.7kg/マスタージャパン) フェザー級・5分2Rで、山本健斗デリカット(同級世界6位/総合格闘技道場コブラ会)とSASUKE(マスタージャパン)が対戦する。 約2年半のブランクから連勝を飾ったSASUKE(マスタージャパン)は連続参戦。復帰戦となった2019年7月15日の後楽園ホール大会では、これまでの鬱憤を晴らすかのように鈴木淑徳(オフィス淑徳軍)を相手に豪快な1R TKO勝利を飾ると、続く10月新宿FACE大会でもキャリアで上まわる稲葉聡(秋本道場ジャングルジャンクション)を1Rフロントスリーパーで仕留めてみせた。 試合後にその口から発せられたのは、11.24後楽園ホール大会への連続参戦。復帰する事だけに費やした2年半を取り戻すべく、戦い急ぐSASUKEの思いを受け止めたのは欠場前、最後の対戦相手となった山本健斗デリカット(総合格闘技道場コブラ会)だ。 2016年12月の新人王決勝戦で相対した両者は開始のゴングから感情剥き出しの試合を展開。山本がパンチで追い込めば、SASUKEが寝技であわやの場面を作る。一進一退の攻防を展開するも、最後は山本が得意のパンチでプレッシャーをかけ1R 4分37秒、KO勝利。見事新人王を獲得した。 山本は翌年にはインフィニティリーグにエントリー。優勝争いにも加わり、その後もランキングに定着する活躍を見せている。しかしその山本も2019年1月、阪本洋平(T-BLOOD)戦で自ら放ったローキックで脛(すね)を骨折。不運とも言えるブランクが空き、今回が約10カ月ぶりの復帰戦となる。 寡黙な男が自らアピールして実現したこの一戦。最後に笑うのはSASUKEか? それとも山本健斗デリカットが世界ランカーの実力を見せて返り討ちにするか? 様々な思いが交錯する約3年振りの再戦に注目だ。 1R、オーソドックス構えのSASUKEにサウスポー構えの山本。SASUKEの右ミドルに山本は左ミドル。SASUKEはアンクルピック、足払いでタイクダウンもリバーサルする山本。SASUKEは下から腕十字も山本は外す。 2R、ニータップから2度テイクダウン、さらに山本の右にカウンターのダブルレッグテイクダウンはSASUKE。バック奪うSASUKEに山本は正対しパウンド狙う。判定はテイクダウンしバックからチョークを狙ったSASUKEが2-0、涙の勝利。 ▼オープニングファイト 2019年度新人王決定トーナメント準決勝 フェザー級 5分2R×田村 渓(65.6kg/パラエストラ柏)[判定0-3]※18-20×3○藤野康宏(65.7kg/パラエストラTB) 2019年度新人王決定トーナメントフェザー級準決勝・田村渓(パラエストラ柏)vs 藤野康宏(パラエストラTB)の一戦。 1R、藤野はダブルレッグで3度テイクダウン。田村が立つが、その立ち際に藤野のパンチをもらう。 2R、再三シングルレッグ、ダブルレッグでテイクダウンする藤野にアームロックで後方に回す田村だが、その際で上を取るのは藤野。判定3-0で藤野が勝利。決勝進出を決めた。 【SHOOTO Women's Super Atom weight WORLD Championship Tournament修斗女子初代スーパーアトム級(-50kg)王座決定トーナメント】 ◆エントリー選手 7名・黒部三奈(日本/マスタージャパン)・イ ・イェジ(韓国/TEAM J)・ターニャ・アンゲラー(ドイツ/ジャーマン・トップチーム)Respect FCストロー級王者、AFSOドイツMMA 王者・梅原拓未(日本/GRABAKA)・大島沙緒里(日本/AACC)・ゼファーニャ・ンガヤ(フィリピン/チーム・ラカイ)・インフィニティリーグ2019優勝者 ※準決勝からエントリー ◆トーナメント日程一回戦 3試合 2019年11月24日(日) 後楽園ホール & 2020年1月26日(日)後楽園ホール準決勝 2試合 2020年3月29日(日) 後楽園ホール ※予定決勝戦 1試合 2020年5月31日(日) 後楽園ホール ※予定
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